親を社会保険の扶養に入れることは可能?条件や手続きを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

親を社会保険の扶養に入れることは可能?条件や手続きを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

親を社会保険の扶養に入れることは可能?条件や手続きを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

親を社会保険の扶養に入れることは可能?条件や手続きを解説

手のひら

「従業員から親を社会保険の扶養に入れたいと相談されたが、手続きがわからない」

「そもそも社会保険の扶養の対象なのかわからない」

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。親を社会保険の扶養に入れることは可能ですが、複数の条件を満たしている必要があります。

本記事では、従業員の親を社会保険の扶養に入れる際の条件や手続きを解説します。必要書類や提出窓口なども解説しているので、具体的な手続きの参考にしてください。

1. 親を社会保険の扶養に入れることは可能

若い女性と年老いた女性

条件を満たせば、被保険者である従業員の親を社会保険の扶養に入れることは可能です。

社会保険とは主に以下の5つを指します。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 労災保険
  • 雇用保険

このなかで親を扶養に入れる際に対象となる社会保険は、一般的に以下の3つです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

したがって、本記事でもこの3つを前提に解説します。

2. 親を社会保険の扶養に入れるための条件

老夫婦とスーツの男性

親を社会保険の扶養に入れるための条件は以下の4つです。

  • 親と納税者である子どもが同一生計
  • 親が75歳未満
  • 親の年収が130万円未満または180万円未満
  • 同居している場合は親の収入が扶養者の半分未満

同一生計とは子どもの収入が親を支えていることを指し、子どもの仕送りが親の主な収入源であれば別居していても同一生計とみなされます。

親が75歳以上の場合は社会保険の扶養家族にできません。75歳以上は後期高齢者医療制度に移行し、子どもとは異なる公的医療保険制度に加入しないといけないからです。

扶養に入る親の年収は原則130万円未満ですが、親が60歳以上、または一定の障害がある場合は180万円未満となります。なお、いずれの場合も、同居している場合は子どもの収入の半分未満であることも親を社会保険の扶養に入れるために必要な条件です。

3. 親を社会保険の扶養に入れるために必要な書類

年齢の違う二人の男性

親を社会保険の扶養に入れるには、「被扶養者(異動)届(健康保険被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届)」が必要です。

また、以下の書類も添付する必要があります。

必要添付書類
続柄が確認できる書類 ・戸籍謄本

・戸籍抄本

・住民票の写し

親の収入が確認できる書類 ・退職証明書

・離職票

・雇用保険受給資格証

・雇用保険受給資格通知の写し

・直近の確定申告書の写し

・課税証明書

・年金額の改定通知書の写し

仕送り額が確認できる書類(親と別居している場合) ・預金通帳の写し

・振込証明書

・現金書留の控え

参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構

4. 親を社会保険の扶養に入れる手続き

書類を確認する二人の男性

親を社会保険の扶養に入れるには、従業員に被扶養者(異動)届を提出してもらい、会社から年金事務所または保険組合に提出します。

被扶養者(異動)届の主な記載事項は以下です。

記載欄 記載事項 備考
事業主記入欄 届書提出日 会社側が保険組合に提出する日
事業所整理記号 適用事業所台帳や雇用保険被保険者資格取得等確認通知書などに記載されているコード
事業主確認欄 親の収入を会社側が確認済みの場合は「確認」に丸をつける
事業主等受付年月日 会社側が従業員から届書を受け取った日
被保険者欄 従業員の氏名や生年月日、個人番号など
収入 親を扶養に入れる従業員の年収見込額を記入
その他の被扶養者欄 親の氏名や生年月日、続柄など
収入 親の年収見込額を記入

参考:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構

被扶養者(異動)届が準備できたら年金事務所または保険組合に提出しましょう。続柄が確認できる書類、また必要に応じて親の収入が確認できる書類と仕送り額が確認できる書類も添付します。

提出は直接窓口に持参するほか、郵送やe-Govでの電子申請も可能です。

5. 親を社会保険の扶養に入れる際の5つの注意点

はてなマーク

 親を社会保険の扶養に入れる際の注意点は以下です。

  1. 75歳以上の親は社会保険の扶養に入れない
  2. 税法上の扶養と社会保険上の扶養はそれぞれ別に手続きが必要
  3. 電子申請は気をつけることが多い
  4. 片方の親だけを社会保険の扶養に入れることは不可能な場合がある
  5. その他の控除枠も周知する

5-1. 75歳以上の親は社会保険の扶養に入れない

親が75歳以上の場合、社会保険の扶養に入れません。平成20年度より、75歳に達した国民は原則それまで加入していた医療保険から外れ、後期高齢者医療制度へ移行することになっています。

したがって、従業員から被扶養者(異動)届の提出があった場合、「その他の被扶養者欄」に記載された親の生年月日を必ず確認しましょう

なお、すでに扶養に入っている親が75歳に達した場合、扶養から外す手続きが別途必要です。

5-2. 税法上の扶養と社会保険上の扶養はそれぞれ別に手続きが必要

税金と社会保険の扶養手続きは片方を済ませればもう片方も自動的に手続きされるものではなく、それぞれ別に手続きが必要です。

被扶養者(異動)届を提出して扶養手続きできるのは社会保険のみなので、税法上の扶養は年末申請で実施しましょう。

税法上の扶養に親を入れる場合、年末調整で「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に親の情報を記載して提出してもらう必要があります。年末調整に間に合わなかった場合は、従業員自身で確定申告時に手続きしてもらいましょう。

5-3. 電子申請は気をつけることが多い

被扶養者(異動)届を電子申請する場合、以下の点に注意が必要です。

  • 添付書類はJPEGまたはPDF形式のみ利用可能
  • 添付書類など申請データの容量が99MBを超えると送信できない
  • 申請書・電子添付書類には電子署名が必要
  • 本人確認後に個人番号の入力が必要
  • 申請が差し戻された場合届書の入力を最初からやり直す必要がある

とくに不備があり申請が差し戻された場合、最初から手続きをやり直さなければいけないため大変です。

はじめての申請で自信がない場合、窓口に直接持っていくことをおすすめします。

5-4. 片方の親だけを社会保険の扶養に入れることは不可能な場合がある

両親のうち、片方の親だけを社会保険の扶養に入れることは不可能なことがあります。

例えば、父親と母親が共働きで、父親の年収が400万円、母親の年収が100万円の場合、母親の年収だけを見れば社会保険の扶養に入ることは可能です。

しかし、両親の年収を合計すれば、被保険者である子どもの支援がなくても生計が維持できると保険組合に判断された場合、母親は社会保険の扶養に入れません。

また、退職金や貯蓄などで生計を立てている場合も社会保険の扶養に入れないことがあります。

細かい条件は保険組合により異なるので、被扶養者にできる条件の詳細は加入先の保険組合に問い合わせましょう

5-5. その他の控除枠も周知する

従業員の親が社会保険の扶養の対象外であった場合は、その他の控除枠も提示してあげましょう

例えば、生命保険や医療保険、個人年金保険などに加入していれば生命保険料控除を受けられる可能性があります。生命保険料控除を利用すれば所得税と住民税の軽減が可能です。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入していれば、小規模企業共済等掛金控除を適用できます。小規模企業共済等掛金控除も所得税や住民税の軽減が可能です。

どのような控除があるかを周知することで、親を社会保険の扶養に入れられない従業員でも税金の負担を軽くできるよう配慮しましょう。

6. 親を社会保険の扶養に入れたい従業員に適切に対応しよう

老夫婦と若い女性

従業員の親を社会保険の扶養に入れることは可能です。親を社会保険の扶養に入れるには、以下の条件があります。

  • 親と納税者である子どもが同一生計
  • 親が75歳未満
  • 親の年収が130万円未満または180万円未満
  • 同居している場合は親の収入が扶養者の半分未満

また、両親の年収を合計すれば生計を立てられる場合、片方の親だけが年収の基準を満たしていても社会保険の扶養に入れないことがあります。

親を社会保険の扶養に入れるには、被扶養者(異動)届と添付書類を会社から年金事務所、または保険組合に提出してください。電子申請は注意点が多いため、はじめて申請する場合は直接窓口に持っていくことがおすすめです。

手続きに必要な書類や条件をきちんと理解し、親を社会保険の扶養に入れたい従業員に適切に対応しましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

人事・労務管理のピックアップ

新着記事