人員配置基準とは?常勤換算の計算方法と注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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人員配置基準とは?常勤換算の計算方法と注意点を解説

人員配置基準とは、介護施設における使用者に対して配置すべき従業員数の基準のことです。

施設別に人員配置基準は異なります。違反した場合、営業停止などの処分が下る可能性があるため、必要な従業員数を正しく把握しなければなりません。

「しかし運営している施設の詳しい人員配置基準を把握していない」と、お悩みの方もいるでしょう。

そこで本記事では、介護施設別の人員配置基準と常勤換算の計算方法について解説します。人員配置基準について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1. 人員配置基準とは

人員配置基準とは、介護施設での人員体制を指す用語です。介護施設では、使用者に対して配置すべき従業員の数が定められています。

人員配置基準は介護保険法に基づいて設定されており、各施設で自由に決められません。厚生労働省が定めた基準に従う必要があります。

人員配置基準を設定している目的は、従業員が協力して高品質な介護サービスを提供することです。現場での予期せぬトラブルや事故などが発生しても、迅速に対応できるように最低限の従業員数が設定されています。

介護サービスの品質向上やトラブルへの迅速な対応を実現するために、各施設の人員配置基準を必ず確認しておきましょう。

2. 介護施設別の人員配置基準

以下の介護施設別の人員配置基準を解説します。

  • 特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • グループホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • デイサービス
  • 訪問介護

各施設の人員配置基準を把握し、適切な従業員数を設定しましょう。

2-1. 特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームの人員配置基準は以下のとおりです。

職業のカテゴリー 人員配置基準
施設長 1名
医師 使用者に対し健康管理または療養上の指導を実施するために必要な数
生活相談員 使用者が100名またはその端数を増すたびに1名以上
介護・看護・准看護師 ・使用者3名につきフルタイム1名以上

・使用者が30名未満:常勤換算で1名以上

・使用者が30名超で50名未満:常勤換算で2人以上

・使用者が50名超で130名未満:常勤換算で3人以上

・使用者が130名を超えるケース:3名以上で、50もしくはその端数を増すたびに1名プラス

栄養士 1名以上
機能訓練指導員 1名以上
調理員、事務員 施設の実情に応じた人数

参考:特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準|厚生労働省

特別養護老人ホームとは、常に介護を必要とする高齢者が利用する介護保険施設です。日常生活の手助けや機能訓練をおこないます。

介護職員や看護・准看護師は、使用者3名につきフルタイムで1名以上必要です。使用者の増加に伴い、フルタイムで働く人の数も多くなります。

2-2. 有料老人ホーム

有料老人ホームの人員配置基準は以下のとおりです。

職業のカテゴリー 人員配置基準
管理者 1名(兼任可)
生活相談員 使用者100名未満は1名
看護・介護スタッフ ・要支援者:10名対して1名

・被介護者:3名に対して1名

・看護職員は被介護者などが30名未満で1名、30名を超えるケースでは50名を超えるたびに1名プラス

機能訓練指導員 1名以上
計画作成担当者 介護支援専門員1名以上(兼任可)

参考:特定施設入居者生活介護|厚生労働省

有料老人ホームとは、被介護者や要支援者など、介護が必要な使用者に対してサービスを提供する施設を指します。

被介護者と要支援者の数で、介護・看護職員の配置基準が変わるため注意が必要です

2-3. グループホーム

グループホームの人員配置基準は以下のとおりです。

職業のカテゴリー 人員配置基準
管理者 ・3年以上の認知症の介護を経験したことがある人

・厚生労働省が定める研修を修了した人が常勤専従

介護従業者 ・日中:常勤換算方法で使用者3名につき1名

・夜間:各ユニットに1名ずつ

計画作成担当者 介護支援専門員1名以上

参考:認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)について|厚生労働省

グループホームは、認知症の使用者に対して日常生活の手助けや機能訓練をおこなう施設です。少人数を対象にしている施設のため、必要な専門職が多くありません。

看護師の配置が義務ではない点も特徴です。

2-4. サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅の人員配置基準は以下のとおりです。

職業のカテゴリー 人員配置基準
管理者 1名(兼任可)
生活相談員 使用者100名未満は1名
看護・介護スタッフ ・要支援者:10名対して1名

・被介護者:3名に対して1名

・看護職員は被介護者などが30名未満で1名、30名を超える場合は50名ごとに1名プラス

・夜間は1名以上

機能訓練指導員 1名以上
計画作成担当者 介護支援専門員1名以上

参考:高齢者向け住まいについて|厚生労働省

サービス付き高齢者向け住宅には、「一般型」と「介護型」があります。上記は介護型の人員配置基準です

介護の必要がない、もしくは要介護度の低い高齢者が住む一般型の住宅では、以下に該当する従業員が日中1名以上いれば問題ありません。

  • 社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所などの従業員
  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修を修了した者

介護サービスを提供する場合は、細かい人員配置基準が定められています。

2-5. デイサービス(通所介護)

デイサービス(通所介護)の人員配置基準は以下のとおりです。

職業のカテゴリー 人員配置基準
管理者 フルタイムで1名以上
生活指導員 施設ごとのサービス提供時間に伴って専従が1名以上
看護・准看護職員 単位ごとにサービス提供時間に伴って専従が1名以上
介護スタッフ ・使用者数が15名以上で1名以上

・使用者数が16名以上のケースでは5名増えるごとに1名プラス

機能訓練指導員 1名以上

参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省

デイサービス(通所介護)とは、要介護状態にある使用者に対して入浴や食事、排泄などの介護や機能訓練をおこなうサービスを指します。生活機能の維持や向上を目指し、使用者に施設へ通ってもらう日帰りサービスです。

使用者が10名以上のデイサービスに関しては、上記の人員配置基準が定められています。

2-6. 訪問介護

訪問介護の人員配置基準は以下のとおりです。

職業のカテゴリー 人員配置基準
管理者 フルタイムで2.5名以上
サービス提供責任者 ・使用者40名につき1名以上

・フルタイムの場合は介護職員と兼任可

訪問介護員 1名以上(フルタイムと介護職員の兼任可)

参考:訪問介護・訪問入浴介護|厚生労働省

訪問介護は被介護者が日常生活を問題なく送れるように、自宅を訪問して生活の手助けをするサービスのことです。食事や入浴などの介助をおこないます。

訪問介護では業務に支障がなければ、管理者とサービス提供責任者を兼任可能です

3. 人員配置の常勤換算の計算方法

人員配置の常勤換算の計算方法は以下のとおりです。

常勤換算=フルタイムの職員数+(非常勤スタッフの労働時間÷フルタイムが勤務すべき時間)

常勤換算とは、施設で働く従業員数の平均のことを指します。

各施設では、働くスタッフ全員がフルタイムで勤務しているわけではありません。パート・アルバイトなど、短時間労働の非常勤スタッフもいることでしょう。

フルタイムの勤務と非常勤での勤務を同じように数えると、人員配置基準を満たせない可能性があるため、上記の計算式で常勤換算をします。

例えば以下の勤務体系のパターンで計算式に当てはめてみましょう。

  • フルタイム職員:週45時間勤務
  • フルタイム職員:週45時間勤務
  • 非常勤職員:週30時間勤務

2名+(30時間÷45時間)=2.6名

常勤換算を正しく計算してから、人員配置を考えることが大切です。

4. 人員配置基準を違反した際のリスク

人員配置基準に違反すると「人員基準欠如減算」の処分が下るリスクがあります

人員基準欠如減算とは、施設内の従業員が人員配置基準を満たしていなかった場合に、労働者全員の給与を3割カットすることです。

また基準を満たしていないのに満たしていると虚偽の報告をした際は、施設の指定取消や営業停止処分が下される可能性があります。

運営する施設の人員配置基準を正しく把握し、違反が発生しないように注意しましょう。

5. 人員配置基準が例外になるケース

人員配置基準が例外になるケースは以下のとおりです。

経過措置 関連法の改正が実施される場合に、経過期間が設定され一時的に人員配置基準が緩和されるケースがある
緊急事態 新型コロナウイルスの流行などの緊急事態が発生した際に厚生労働省から特別措置が発表された

人員配置基準は、関連法の改正が実施されるときに経過期間として基準が緩和されるケースがあります。新制度へ改正している最中やしたあとに、不都合が起きないための処置です。

また近年では新型コロナウイルスの流行で、人員配置基準を満たすのが難しい状況になりました。厚生労働省から例外的に特別措置が発表されたため、緊急事態の際は人員配置基準が緩和される可能性があります。

6. 人員配置を決める際の注意点

人員配置を決める際は、ギリギリの人数ではなく余裕をもった配置を心がけることが大切です。職員が急な用事で休んだり退職したりした場合、仕事が回らなくなります。

特に介護施設は、使用者に対してのサービスを軽減しにくい仕事です。働く職員が減っているのに業務量が変わらない状況は、残った職員に大きな負担がかかります。

働く職員に負担をかけない労働環境を整備するためにも、余裕をもった人員配置を心がけましょう。

7. 人員配置基準を理解して適切に従業員を管理しよう

人員配置基準は各施設で異なります。自身が運営する施設の人員配置基準を把握して、適切な人員配置を実施しましょう

もし違反すると人員基準欠如減算の処分が下され、全職員の給与が3割カットになるケースもあります。また人員配置基準について虚偽の報告をすると、営業停止処分になるなどの重い処分が下されます。

余裕をもった人員配置を心がけて、適切に従業員を管理することが大切です。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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