エンゲージメントとロイヤリティの違いと向上させる方法を解説
更新日: 2025.9.8 公開日: 2022.12.6 jinjer Blog 編集部

「エンゲージメント」と「ロイヤリティ」は、しばしば似た意味の言葉として使われることがありますが、考え方には明確な違いがあります。
本記事ではエンゲージメントとロイヤリティの違いについて、また、双方を向上させるためのポイントについて解説します。
目次
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. エンゲージメントとロイヤリティの違い


「エンゲージメント」と「ロイヤリティ」という二つの言葉は、どちらも「会社に対する従業員の愛着」を意味します。しかし、会社と従業員の関係性や、それに基づく従業員の感情や行動が大きく異なります。
エンゲージメントの考え方では、会社と従業員の関係性は対等で横並びです。従業員が会社のビジョンやミッションに共感し、自発的に貢献したいという意欲を持つことで、会社と共に成長していきます。この状態では、従業員は会社に愛着や誇りを感じ、主体的に業務に取り組む特徴があります。
ロイヤリティは、従業員が会社に対して抱く忠誠心や帰属意識を意味します。エンゲージメントと違い、会社の立場が強く、主従関係に近い考え方です。ロイヤリティが高い従業員は、会社の理念や価値観に従い、個人の意見よりも組織の方針に従う姿勢が強い傾向があります。指示待ちや受動的な働き方になりやすい一方、長期的な帰属意識や安定性に寄与します。
2. エンゲージメントとは?


エンゲージメント(Engagement)は、もともと「約束する」「契約する」という意味の英単語です。人事領域においては、従業員と組織の心理的なつながりを指し、単なる雇用関係に留まらない、会社への愛着や絆を意味します。
会社に対する従業員のエンゲージメント(以降、「従業員エンゲージメント」と呼ぶ)が高い状態では、従業員が会社のビジョンやミッションに共感し、会社のメンバー同士がパートナーのような形で信頼し協力し合うことが重視されます。従業員自身が会社に貢献したいという意欲を自発的に持っているため、組織が一体となって目標の実現を目指せるでしょう。
また、従業員エンゲージメントとは別に「顧客エンゲージメント」という言葉もあり、顧客と企業との親密度を表します。顧客エンゲージメントが高まると、商品の継続的な購入やサービスの継続的な利用といった効果が期待できます。
関連記事:エンゲージメントとは?ビジネス上の意味や高める方法を徹底解説
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2-1. 従業員エンゲージメントに影響する4要素
Center for Creative Leadership(CCL)※によると、従業員エンゲージメントを高める要素は4つあります。
- リーダーエンゲージメント
- ジョブエンゲージメント
- チームエンゲージメント
- 組織エンゲージメント
それぞれの要素を詳しく説明します。
※Center for Creative Leadership(CCL)とは、1970年に米国で設立され、リーダーシップに関する研究と実践をおこなう非営利団体のことで、リーダーシップ研究の世界的なパイオニアとして知られています。
参考:About the Center for Creative Leadership|CCL
2-1-1. リーダーエンゲージメント
リーダーエンゲージメントとは、組織のリーダーと従業員の間に築かれる関係性のことです。
従業員エンゲージメントが低い原因の一つに、現場で従業員を率いるリーダーのスキル不足が挙げられます。CCLの研究によると、多くのリーダーが重要なスキルを欠いており、その結果、約60%の従業員がエンゲージメントや生産性の低下、離職リスクを経験していると報告されています。また、約25%の組織では、スキルが不足するリーダーによって利益の損失が生じているとの調査もあります。
リーダーが有能であれば、従業員は直属の上司からモチベーションを得て、組織への信頼と忠誠心を育むことができるでしょう。
2-1-2. ジョブエンゲージメント
ジョブエンゲージメントとは、従業員が自身の仕事に対して抱く充実した心理状態を指します。もちろん、給与や福利厚生は従業員エンゲージメントに大きな影響を与えますが、重要なポイントはそれだけではないのです。自身の仕事がいかに組織の目標に貢献しているかを従業員一人ひとりが感じられると、仕事へのモチベーションが高まり、商品の質や顧客満足度などの向上が期待できます。
2-1-3. チームエンゲージメント
チームエンゲージメントとは、チームメンバー同士が協力し、一体となって目標達成を目指す状態を指します。異なるバックグラウンドをもつメンバーが集まるチームでは、お互いの信頼関係やスムーズな連携が欠かせません。特に、オフィスとオンラインを組み合わせたハイブリッドチームでは、新たなコミュニケーションスキルが求められます。
チームエンゲージメントを高めるためには、明確なチーム規範を作り、メンバーが相互に信頼を築く方法を学ぶことが不可欠と言えるでしょう。
2-1-4. 組織エンゲージメント
組織エンゲージメントとは、従業員が組織全体と深く結びつき、支えられていると感じる心理状態のことです。
具体的には、組織レベルで従業員一人ひとりのキャリアアップをサポートしたり、業務の場以外での自己実現を促す機会を豊富に提供したりといった取り組みが挙げられます。逆に、このような機会が不足すると、従業員が成長機会を求めて他社へ転職する可能性が高まるでしょう。
実際に、ある調査では、自身の専門性を高める成長機会が得られない場合、58%の労働者が離職を検討するという結果も出ています。
3. ロイヤリティとは?


終身雇用や年功序列の慣習が強い企業では、このロイヤリティを重視する傾向があります。しかし、ロイヤリティが過度に高い場合、従業員自身の考えや会社の理念が一致していなくても、組織の方針に従い続けてしまうリスクも考えられます。
なお、印税や特許使用料などを指す「ロイヤルティ(Royalty)」とは異なる意味合いを持つため、混同しないよう注意が必要です。
4. 従業員エンゲージメントを高める方法


従業員エンゲージメントの向上によって生産性や業務効率はアップしやすくなります。会社の発展のためにも、以下のような工夫を行いエンゲージメントを高めていきましょう。
4-1. リーダーシップの手法を工夫する
従業員エンゲージメントを高めるために、リーダーシップの手法に着目しましょう。単に部下に対して指示や命令を出すだけではなく、ビジョンを共有して共通の目標に向かうようなスタイルを意識するのも有効です。
重要なのは、従業員が「積極的に業務に参加できる」「会社とともに成長できている」と感じられるような環境を作ることです。そのために上司は部下を適宜サポートし、十分な信頼関係を構築していく必要があります。
リーダーとして組織を牽引する人には、状況に応じたフレキシブルな対処が求められます。
4-2. コミュニケーションを活発化させる
従業員同士のコミュニケーションを活発化させることも、会社への愛着心や信頼度を高めるための有効策です。
近年ではコロナ禍の影響によって対面のコミュニケーションを取る機会が減りつつあります。この状態が続くと従業員エンゲージメントの低下を招くおそれがあるため、積極的なコミュニケーションの場を用意したいものです。
社内にくつろげるミーティングスペースを作る工夫のほか、ビジネスチャットツールやウェブ会議ツールを使ったオンラインコミュニケーションも効果的です。
4-3. 福利厚生の充実や待遇の改善
福利厚生が充実していると、従業員は安心して働くことができエンゲージメントも上昇しやすくなります。給与や休日など従業員にとって重要な待遇に納得感がある場合も同様です。
会社が従業員を守る、より良い環境で働けるように工夫しているという姿勢を見せるほど、信頼関係が築けてエンゲージメントも向上します。不満点を改善するだけでも大きな違いが出ることも多いため、事業規模や業種に合った福利厚生の充実や待遇の改善を目指しましょう。
5. 従業員ロイヤリティを高める方法


会社が主体となって従業員ロイヤリティを高めていくことも大切なポイントです。以下のような具体的な取り組みを行い、ロイヤリティの向上を目指しましょう。
5-1. 企業の方針や理念を共有する
企業の理念や方針を従業員に理解してもらうことで、愛社精神や忠誠心が育ちやすくなります。
多くの企業では企業理念や方針を文章化し、社内に掲示したりホームページに掲載したりと工夫しています。しかし、言葉だけを従業員に伝えても内容を理解してもらえるとは限りません。
企業理念や方針を周知する際には、込められた思いについてエピソードを交えて具体的に説明したいものです。企業が何を目指しているのかに関する考え方を従業員に浸透させるよう意識しましょう。
5-2. 人事評価の仕組みを整える
適切な人事評価がおこなわれることも、ロイヤリティを高めるための条件の1つです。
適切に評価されていないと従業員に感じさせてしまうと、会社と従業員の信頼関係が薄れてしまいます。また、従業員が不満を溜めてしまう上、モチベーションの低下も起こりやすくなるため、注意したいものです。
ロイヤリティ向上のために自社の人事評価の体制を見直してみましょう。その際、業績や結果だけでなく、過程についても評価できるような体制を構築するのが効果的です。
従業員が納得できる公平な人事評価が実現できれば、従業員の不満を解消しモチベーション低下を防ぐことも可能となります。
一方で、「従業員がどのような仕組みや制度づくりを望んでいるのかがよくわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような場合、従業員に直接アンケート形式で調査をおこなうのが良いでしょう。当サイトでは、従業員にアンケートを取って業務改善に活用できる「従業員満足度調査」についてわかりやすく解説した資料を無料でお配りしています。従業員の望んでいる制度や仕組みを取り入れたいとお考えの方は、こちらから「従業員満足度調査のハンドブック」をダウンロードして参考にしてみてください。
5-3. スキルアップ機会の提供
多くの人は自分を成長させてくれる組織や人に対しては、忠誠心や愛着を持ちやすくなります。そのため、社内の勉強会や資格取得のサポート、キャリアを見越した配置など、スキルアップや昇進につながる機会を提供することはロイヤリティの向上につながります。
人材の育成のも大きなメリットになるため、積極的にスキルアップの機会を作り、ロイヤリティが高く優秀な人材を育てていきましょう。
6. エンゲージメントとロイヤリティ、どちらも高めることが重要


エンゲージメントとは従業員が会社に対して抱く愛着や思い入れ、絆を意味する言葉です。これに対してロイヤリティとは、従業員の愛社精神や忠誠心を意味します。双方はよく似た考え方ですが、ビジネスにおいてはエンゲージメントとロイヤリティを分けて考るのが一般的です。
どちらか一方が重要という話ではなく、エンゲージメントとロイヤリティの両方を高めることで、会社の成長や業務効率化につながります。この記事で紹介した、エンゲージメントとロイヤリティと高める方法を実施し、従業員から定期的にフィードバックをもらうことで自社に合った取り組みを模索していきましょう。



従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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