退職連鎖とは?なぜ発生するのか原因や企業への影響をわかりやすく解説
更新日: 2025.3.7
公開日: 2025.3.7
OHSUGI
「退職連鎖の概要を知りたい」
「退職連鎖を止める方法を知りたい」
上記のようにお悩みの方も多いでしょう。
退職連鎖とは、従業員ひとりの退職が引き金となり、立て続けに従業員が退職していくことです。
止める方法には迅速な職場環境の改善や従業員へのフォローアップなどがあります。
本記事では、退職連鎖について概要や原因、止まらない場合の職場崩壊の可能性や発生しやすい企業の特徴について解説していきます。
そのほかに、企業への影響や止める方法、起きないようにする方法についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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1. 退職連鎖とは
退職連鎖とは、従業員ひとりの退職を発端にして連鎖反応が起こり、従業員が立て続けに退職していくことです。
主な種類は以下の2つで、連鎖退職とよばれることもあります。
ドミノ倒し型 | ひとりの退職により周囲の従業員の業務負荷が増加し、退職連鎖の悪循環が生じる |
蟻の一穴型 | 主力従業員の退職による周囲の従業員の意欲低下や不安増加から、退職連鎖が発生する |
どちらも誰かが辞めることで周囲への影響を及ぼした結果、退職者が増加していきます。
退職連鎖は立て続けに従業員が退職することにより、企業にさまざまな悪影響を及ぼす現象です。
2. 退職連鎖が止まらない場合は職場崩壊の可能性がある
退職連鎖が止まらない場合、末路として職場崩壊の可能性があります。
立て続けに従業員が退職すると、日常業務に支障をきたして業務が正常に回らないようになるためです。
社内で退職の噂が広がると会社への不信感や不安から退職する従業員が増えて、人員不足による業績悪化が加速して組織の衰退に拍車がかかります。
社外に悪評が広がり企業イメージが低下すると、新たな人材の採用も難しくなるでしょう。最悪の場合には、廃業に追い込まれる可能性もあります。
3. 退職連鎖の原因
退職連鎖の原因は、以下の3つです。
- 労働条件・環境への不満
- 主力従業員の退職
- 退職連鎖による人手不足
各原因の詳細を見ていきましょう。
3-1. 労働条件・環境への不満
退職連鎖の原因の一つは、従業員が会社に対してもつ、以下のような労働条件・環境への不満です。
- 低い給与水準
- 有給を消化できない会社風土
- 残業の常態化
- 慢性的な人手不足
- ワンマン経営の組織構造
退職予定の従業員がほかの従業員へ退職理由となった会社への不満を伝えることで、ほかの従業員も会社へ不満を抱き退職連鎖が起きます。
3-2. 主力従業員の退職
主力従業員の退職も、退職連鎖の原因の一つです。
業務やチームの中核を担っていた社員がいなくなると、業務が周囲の社員に割り振られたり、チームとしてのまとまりが失われたりします。
結果として、周囲の従業員の意欲が低下したり将来に不安を感じたりして、退職連鎖が起こります。
3-3. 退職連鎖による人手不足
退職連鎖の原因には、退職連鎖による人手不足もあります。
退職により周囲の従業員の業務負荷が増加して、周囲の従業員が立て続けに退職する悪循環です。
マンパワーをすぐに確保するのは難しいため、特定の誰かに業務負担が集中してしまいます。
4. 退職連鎖が発生しやすい企業の特徴
退職連鎖が発生しやすい企業の主な特徴は、以下の3つです。
- 職場環境や雰囲気が悪い
- 従業員の帰属意識が低い
- 慢性的に人手が不足している
各特徴を詳しく見ていきましょう。
4-1. 職場環境や雰囲気が悪い
退職連鎖が発生しやすい企業の特徴の一つは、以下のように職場環境や雰囲気が悪いことです。
- 長時間労働が常態化している
- ハラスメントが蔓延している
- 仕事量に対して給料が低すぎる
- 正当な評価を受けられない
職場環境や雰囲気が悪い会社では、会社への不満が原因の退職連鎖が起こりやすいでしょう。
4-2. 従業員の帰属意識が低い
従業員の帰属意識が低いことも、退職連鎖が発生しやすい企業の特徴です。帰属意識とは、各従業員が自身は会社の一員だと自覚をもつことです。
帰属意識が低い従業員は、会社への満足度や愛着心、信頼感や関心が低い傾向にあります。
従業員の帰属意識が低い場合、退職に対する抵抗感が少ないため、退職連鎖が起こりやすくなります。
4-3. 慢性的に人手が不足している
慢性的に人手が不足していることも、退職連鎖が発生しやすい企業の特徴にあります。
人手不足の会社では、各従業員の業務負担が大きいため、各従業員が会社へ不満を感じやすいです。
加えて、仕事量に対して低い給料やかんばしくない職場環境などの悪条件が重なると、会社への不満による退職連鎖が起こる可能性があります。
5. 退職連鎖による企業への影響
退職連鎖は以下のような順番で企業に影響を及ぼします。
- 組織力の低下
- 経営状況の悪化
- 企業イメージの悪化
- 採用活動における形勢不利
退職連鎖により退職者が続出すると人材が不足して組織力が低下し、業務に支障をきたすことで経営状況が悪化します。
続いて、噂やSNSなどにより業績悪化や退職連鎖の発生を外部に知られると、企業イメージが悪化して採用活動においても形成が不利になるでしょう。
経営状況や企業イメージが悪化するほどに、ますます退職者が増える悪循環に陥ります。
退職連鎖が止まらないと会社経営が立ちいかなくなるため、廃業の可能性も否めないでしょう。
6. 退職連鎖を止める方法
退職連鎖を止める主な方法は、以下の3つです。
- 職場環境改善に向けた迅速な対応
- 従業員へのフォローアップ
- 退職原因の分析と改善
各方法について見ていきましょう。
6-1. 職場環境改善に向けた迅速な対応
退職連鎖を止める方法の一つは、職場環境改善に向けた迅速な対応です。退職の連鎖反応を早急に止めるために、職場環境改善に手を尽くします。
例えば、退職による人手不足から業務量が増加して起こる退職連鎖を止めるために、他部署・採用・アウトソーシングなどから人材を補充しましょう。
残業を減らすための対策を講じたり評価制度を見直したりすることも有効です。
6-2. 従業員へのフォローアップ
従業員へのフォローアップも、退職連鎖を止める方法の一つです。
退職者が出ると周囲の従業員が不安や不満を感じやすくなるため、従業員に適切なフォローやサポートを実施し、新たな退職者が出ないように勤めます。
例えば、従業員との個別面談により各従業員の現在の悩み・不満・課題などを把握し、適切な支援を提供しましょう。
6-3. 退職原因の分析と改善
退職連鎖を止める方法には、退職原因の分析と改善もあります。
退職予定者へ匿名アンケートや面談などを実施して、共通する退職理由について探りましょう。例えば、業務量の多さや長時間労働の常態化などです。
退職原因を分析し、組織全体で退職原因の改善に向けた対策を講じましょう。
7. 退職連鎖が起きないようにする方法
退職連鎖が起きないようにする主な方法は、以下の3つです。
- 労働条件・環境の見直し
- 社内コミュニケーションの活性化
- 役職者に対する意識改革や教育
各方法について見ていきましょう。
7-1. 労働条件・環境の見直し
退職連鎖が起きないようにする方法の一つは、労働条件・環境の見直しです。
従業員の多くが労働条件・環境に不満を抱くと、退職連鎖の可能性が高まります。
一人の従業員が感じていた不満は他の従業員も感じているかもしれません。
従業員へのアンケートや面談などを実施し、従業員が抱える不満や悩みなどの情報を収集して、労働条件・環境の見直しに役立てましょう。
例えば、評価制度や労働時間の見直しやハラスメント対策の強化などです。
7-2. 社内コミュニケーションの活性化
社内コミュニケーションを活性化することも、退職連鎖が起きないようにする方法です。
社内コミュニケーションが不足すると、業務効率が低下したり従業員が不満を解消しにくかったりします。
従業員間の活発な意見交換の場となる次のような環境を整えると、社員の帰属意識や満足度の向上が期待できるでしょう。
- 上司との定期的な個別面談
- 社内懇親会の開催
- 社内SNSやチャットツールの導入
良好な人間関係の構築にもつながるため、従業員の定着率アップが見込まれます。
7-3. 役職者に対する意識改革や教育
退職連鎖が起きないようにする方法には、役職者に対する意識改革や教育の実施もあります。
長時間労働やハラスメントなどが原因の退職連鎖を防ぐためには、経営幹部をはじめとする役職者の意識改革が欠かせません。
すべての企業においても、管理職は会社の風土や雰囲気を作る上で大きな役割を担っています。
定期的な教育により、管理職が時代に即したマネジメント手法を学ぶことにより、常に従業員が働きやすい環境を整備できるでしょう。
8. 退職連鎖を防ぐために働きやすい職場を目指そう
退職連鎖とは、従業員ひとりの退職が発端となり従業員がつぎつぎと退職していく現象のことです。
退職連鎖の発生が人手不足や業績悪化、企業イメージの低下を招き、放置していると、ますます退職者が増える悪循環が生じます。
退職連鎖が起こる可能性はすべての企業にあるため、止める方法についても知識として知っておきましょう。
本記事の退職連鎖が起きないようにする方法も参考にしつつ、予防策を講じて従業員が働きやすい職場を目指してください。
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