ワークエンゲージメントとは?低下の原因と向上させる具体的施策を解説
更新日: 2025.12.1 公開日: 2022.11.7 jinjer Blog 編集部

ワークエンゲージメントとは、従業員が仕事に対して前向きで充実感を感じている心理状態を指します。これは従業員のパフォーマンスや生産性に直結する重要な要素であり、企業の成長に欠かせません。
現代の多様な働き方の中では、従業員のモチベーションややる気を維持するための取り組みが求められています。本記事では、ワークエンゲージメントの低下サインや原因、測定方法、高めるメリット、具体的な改善施策について解説します。
目次
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. ワークエンゲージメントとは?


ワークエンゲージメントはもともと、オランダ大学のシューフェリ教授らが提唱した概念で、次のように定義されています。
ワーク・エンゲイジメントは,仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり,活力,熱意,没頭によって特徴づけられる.エンゲイジメントは,特定の対象,出来事,個人,行動などに向けられた一時的な状態ではなく,仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である
この定義からわかるように、ワークエンゲージメントが高い状態の従業員は、仕事にやりがいを感じている、積極的に取り組んでいる状態といえます。
ワークエンゲージメントを高めるには、どのような要素で構成されているのかを知っておく必要があるので、次の項目で見ていきましょう。
1-1. ワークエンゲージメントの3つの要素
ワークエンゲージメントは、次の3つが揃った状態と定義されます。
- 活力(Vigor):仕事から活力を得ていきいきとしている
- 熱意(Dedication):仕事に誇りや、やりがいを感じている
- 没頭(Absorption):仕事に熱心に取り組んでいる
それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。
参考:令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|厚生労働省
活力
活力とは、仕事に対して元気に取り組み、いきいきとした状態を指します。活力がある従業員は、困難な課題にも前向きに挑戦でき、自然と努力を重ねる傾向があります。
また、活力を持って仕事に臨むことでストレス耐性が高まり、仕事上の負担を感じにくくなるというメリットもあるでしょう。さらに、活力のある職場はチーム全体の雰囲気を明るくし、協力やコミュニケーションの活性化にもつながります。
熱意
熱意とは、仕事に対する強い関心や誇り、やりがいを感じながら取り組む状態です。熱意のある従業員は、自ら新たな挑戦をしようとする意欲を持ち、指示を待つだけでなく自発的に行動します。
このような熱意は、クリエイティブな発想を生み出す源となり、自身のスキル向上やキャリア開発にもつながるでしょう。また、熱意は周囲にも良い影響を与え、チーム全体のモチベーション向上にも寄与します。
没頭
没頭とは、仕事に深く集中し、時間の経過を忘れるほどのめり込む状態を指します。没頭できる従業員は、目の前の業務に全力で取り組むことで集中力を最大限に発揮でき、結果としてミスの減少や作業効率の向上を実現します。
また、没頭して業務に取り組むことで、達成感や充実感が得られ、仕事そのものの価値をより強く実感できるようになるでしょう。自己効力感の向上にもつながり、挑戦的な業務にも前向きに取り組む姿勢を育む効果があります。
1-2. ワークエンゲージメントが注目される背景
ワークエンゲージメントが注目される背景には、労働人口の減少や人材の流動化が挙げられます。副業の解禁や転職市場の活性化、働き方の多様化により、企業は従業員との関係維持が難しくなっています。このような状況下で、企業は優秀な人材を確保し定着させるためには、ワークエンゲージメントを高める必要があります。2019年には厚生労働省が発表した「労働経済白書」でワークエンゲージメントが特集され、その重要性がより広く認知されるようになりました。
また、健康経営や働き方改革といった企業の取り組みも、ワークエンゲージメントへの関心を高める要因となっています。従業員のワークエンゲージメントが高ければ、結果として企業全体の生産性向上や従業員の健康保持にも寄与します。ワークエンゲージメントとは、仕事そのものへのポジティブな心理状態を意味するため、企業が従業員のワークエンゲージメントを高めることは、組織力の強化にもつながる重要な意味を持っているのです。
参考:「令和元年版 労働経済の分析」を公表します|厚生労働省
1-3. 従業員エンゲージメントとの違い
従業員エンゲージメントは、企業と従業員がお互いに貢献し合う信頼関係を示す、より広範な概念です。これは企業そのものに対する愛着や絆であり、組織全体の目標達成に向けた一体感を意味します。一方、ワークエンゲージメントは、仕事そのものに対するポジティブで充実した心理状態を指し、活力、熱意、没頭という3つの要素で構成されます。
例えば、企業のビジョンに共感し、企業に対するエンゲージメントが高い状態であっても、日々の業務にやりがいを感じられず、ワークエンゲージメントが低いといった状況も考えられます。これら2つの概念を明確に区別することで、組織が抱える課題をより正確に把握し、効果的な対策を講じられるようになります。
関連記事:エンゲージメントとは?ビジネス上の意味や高める方法を徹底解説
2. ワークエンゲージメントと関連する3つの概念


|
心理的態度・認知 |
|||
|
否定的 |
肯定的 |
||
|
活動水準 |
高い |
ワーカーホリック |
ワークエンゲージメント |
|
低い |
バーンアウト |
職務満足感(リラックス) |
|
ワークエンゲージメントと関連する概念には、次の3つがあります。これらは、仕事への活動水準と心理的態度・認知の違いで区分されます。
- 職務満足感(リラックス):活動は低めでも心理的満足は高く、心地よく仕事に取り組める状態
- ワーカーホリック:活動は高いが、義務感や依存による没入で心地よさは必ずしも伴わない
- バーンアウト(燃え尽き症候群):活動も心理的満足も低く、疲労・消耗が顕著な状態
ワークエンゲージメントが高い従業員は、活動水準が高く、仕事に対する心理的満足感も高い状態にあり、心地よく仕事に没頭しながら生産性も高いのが特徴です。ここからは、ワーク・エンゲージメントと関連する3つの概念について詳しく見ていきましょう。
参考:第3章「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて|厚生労働省
2-1. 職務満足感(リラックス)
職務満足感とは、従業員が自分の仕事や職場環境に対して抱く肯定的な感情や評価のことです。具体的には、仕事内容、職場の人間関係、報酬や福利厚生、物理的環境などに対する満足感が含まれます。
また、仕事中のストレスが少なく、心理的に安定した状態で働けることも職務満足感に影響する要因となるでしょう。職務満足感が高い従業員は、離職率の低下や生産性の向上に寄与することが多く、長期的な勤務意欲の維持にも重要な役割を果たします。
2-2. ワーカーホリック
ワーカーホリックとは、強迫観念に駆られて必要以上に働いてしまっている状態です。
ワーカーホリックの場合、強いプレッシャーや成績悪化への恐怖感により、仕事をしていないと不安になります。
そのため、仕事に対する没入度は高いものの精神的な負荷も高く、過労死や離職、バーンアウトになる可能性もあります。
行き過ぎた成果主義や長時間労働の推奨によって発生しやすくなるため、心当たりがある場合はすぐに社内カルチャーを見直す必要があるでしょう。
2-3. バーンアウト(燃え尽き症候群)
バーンアウトとは、その名の通り過度なストレスやプレッシャーにさらされた結果、燃え尽きて無気力になってしまった状態を指します。
仕事をする意義や熱意を失い、無気力状態になるため業務における生産性も低く、注意力も散漫な状態が続きます。
3. ワークエンゲージメントの低下サインとは?


ワークエンゲージメントが低下すると、従業員のパフォーマンスだけでなく、チームや組織全体の雰囲気にも影響を与えます。具体的な低下サインは次の通りです。
- 自主的に取り組んでいたプロジェクトや改善提案が減る(仕事への関心や意欲の低下)
- 仕事中に注意が散漫になり、ミスや手戻り作業が増える(集中力の欠如や生産性の低下)
- チーム内での相談や雑談が減り、情報共有が滞る(コミュニケーションの減少)
- 不満や苛立ちが態度や言葉に現れる(感情面での変化) など
これらの兆候は、ワークエンゲージメントが低下していることを示す「早期警告サイン」と考えられます。放置すると生産性の低下だけでなく、離職率の増加やチーム全体のモラル低下にもつながるため、組織として早期に気づき、適切な対応策を講じることが重要です。
3-1. なぜワークエンゲージメントは低下する?
ワークエンゲージメントの低下は、「個人の資源」と「仕事の資源」の2つの視点から考察できます。
|
要素 |
意味 |
具体例 |
|
個人の資源 |
従業員がもともと持っている、あるいは内面から育むことができるポジティブな心理的要因や強み |
|
|
仕事の資源 |
職場が従業員に提供する、モチベーションや成長を支える環境や仕組み |
|
「個人の資源」と「仕事の資源」のどちらか一方が不足すると、ワークエンゲージメントは持続しにくくなります。
例えば、従業員が自己効力感やスキルといった個人の資源を十分に持っていたとしても、上司や同僚からの支援、業務に必要な情報や環境といった仕事の資源が不足している場合、困難な課題やトラブルに直面した際に相談や協力を得られず、結果としてストレスや不安が蓄積されます。その結果、モチベーションが低下し、最悪の場合は転職を検討することにもつながるでしょう。
逆に、企業が手厚いサポート体制や充実した職場環境を整えていたとしても、従業員側の楽観性や回復力、ストレス耐性といった個人の資源が不足している場合は、些細な失敗や業務上のプレッシャーで容易に落ち込み、成長や挑戦への意欲が阻害されることがあります。
したがって、ワークエンゲージメントを高め、持続させるためには、個人の資源と仕事の資源の両面からバランスよくアプローチすることが不可欠です。
関連記事:ワークエンゲージメントを高める6つのポイントを徹底解説
4. ワークエンゲージメントを高めるメリット


従業員のワークエンゲージメントを向上させることで、企業と従業員の双方にさまざまなメリットが得られます。ここでは、ワークエンゲージメントを高めるメリットについて詳しく紹介します。
4-1. 従業員のストレス緩和
ワークエンゲージメントが高い従業員は、仕事に対して前向きで主体的に取り組む傾向があります。このようなポジティブな心理状態は、単に業務効率を高めるだけでなく、心理的ストレスの軽減にもつながるでしょう。
ストレスが緩和されることで、従業員の精神的健康が維持され、欠勤の減少や集中力の向上といった形で、組織の持続的なパフォーマンス向上に寄与します。さらに、従業員の精神的健康の維持は、長期的な組織の成長やイノベーションの創出にも間接的に貢献すると考えられます。
4-2. 離職率の低下
ワークエンゲージメントが高まると、従業員は与えられた業務をただこなすだけでなく、自ら改善策や業務効率化の方法を考えるようになります。こうした自主的な取り組みは、業務遂行に対する自信や達成感を生み、自分の仕事に誇りを持つきっかけとなるでしょう。
また、従業員が自身の価値や職場への貢献を実感できる環境は、離職の動機を減少させます。その結果、離職意図の低下を通じて、組織全体の離職率の抑制にもつながると考えられます。
4-3. 顧客満足度の向上
ワークエンゲージメントが高まれば、従業員は自らの業務に自信を持てるようになります。業務遂行への自信が高い従業員は、自社の商品やサービスに対しても自然に信頼感を持つようになり、その結果、顧客のニーズや状況に応じた積極的な提案行動が促進されます。
具体的には、従業員は顧客のニーズや状況に最適な商品・サービスを提案する能力が向上し、顧客満足度や信頼感の向上につながる行動が増えることが期待されるでしょう。さらに、この顧客志向的な行動は、リピート購入や口コミによる推奨を通じて、長期的には顧客基盤の強化や売上増加、ひいては企業の利益向上に寄与する可能性があります。
4-4. 生産性の向上
ワークエンゲージメントが高まると、従業員は仕事に対して心理的に前向きな姿勢や熱意を持つようになります。この心理的変化は単なる「やる気」にとどまらず、自発的かつ主体的な業務遂行として現れます。その結果、個人の業務効率が向上するだけでなく、チームや組織のパフォーマンス向上にも寄与する可能性があります。
さらに、ワークエンゲージメントの高い従業員は自己効力感や達成感を実感しやすくなり、仕事を通じた成長意欲も高まるでしょう。これにより、必要な知識の習得や資格取得、スキル向上のための研修参加など、自己研鑽に自主的に取り組む傾向が強まります。このプロセスを通じて、ワークエンゲージメントは単なる「仕事のやる気」にとどまらず、従業員の成長や組織全体の持続的な競争力向上に寄与する重要な要素であるといえます。
5. ワークエンゲージメントの測定方法


ワークエンゲージメントを高めるためには、まず現状を正しく把握することが重要です。また、ワークエンゲージメントと関連性の高い状態として、心理的に消耗した状態である「バーンアウト」も測定することが有効です。ここでは、ワークエンゲージメントを測定する具体的な方法を紹介します。
5-1. UWESの測定方法
ワークエンゲージメントは活力、熱意、没頭の3つの状態を、ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)と呼ばれる17問の質問で測定します。
ワークエンゲージメントは、「UWES-9」とよばれる合計9問の質問で測定が可能です。
「UWES-9」は3つの要素で以下のような質問をおこないます。
| 質問① | 質問② | 質問③ | |
| 活力 | ①仕事をしていると活力がみなぎるように感じる | ④職場では元気が出て精力的になるように感じる | ⑦朝に目がさめると、さあ仕事へ行こうという気持ちになる |
| 熱意 | ②仕事に熱心である | ⑤仕事は私に活力を与えてくれる | ⑧自分の仕事に誇りを感じる |
| 没頭 | ③仕事に没頭しているとき、幸せだと感じる | ⑥私は仕事にのめり込んでいる | ⑨仕事をしていると、つい夢中になってしまう |
従業員はこれらの質問に対して、次の7段階で回答をします。
0点:全くない
1点:ほとんど感じない(1年に数回)
2点:めったに感じない(数ヶ月に1回)
3点:時々感じる(1ヶ月に数回)
4点:よく感じる(1週間に1回)
5点:とてもよく感じる(1週間に数回)
6点:いつも感じる(毎日)
参考:第3章 「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて|厚生労働省
各要素の平均点が、ワークエンゲージメントスコアとなります。
5-2. OLBIの測定方法
OLBI(Oldenburg Burnout Inventory)は、バーンアウトを測定する方法です。
従業員には、「疲弊」「消耗感」「離脱」などのネガティブな因子に基づき、ネガティブな項目とポジティブな項目で構成された質問に回答してもらい、測定をおこないます。
OLBIの測定結果が高い(疲弊や離脱が強い)場合はワークエンゲージメントが低い傾向にあり、逆に結果が低い場合はワークエンゲージメントが高い傾向があると判断できます。
5-3. MBI-GSの測定方法
MBI-GS(Maslach Burnout Inventory-General Survey)も、OLBIと同じくバーンアウトを測定してワークエンゲージメントを測る測定方法です。全16項目で構成され、次の3つの側面を評価します。
- 疲労感(消耗感):5項目
- シニシズム(冷笑的態度):5項目
- 職務効力感(仕事に対する自信や達成感):6項目
疲労感やシニシズムが低く、職務効力感が高い場合はワークエンゲージメントが高い傾向にあると判断できます。一方で、疲労感やシニシズムが高く、職務効力感が低い場合は、バーンアウトのリスクが高い状態を示します。評価の解釈にあたっては、各項目の得点の意味を正確に把握することが重要です。
6. ワークエンゲージメントを高める具体的な施策と進め方


ワークエンゲージメントを測定するだけでは、組織改善や生産性向上にはつながりません。重要なのは、測定結果をもとに課題を抽出し、具体的な施策に落とし込み、実際に職場で改善を実行することです。
ここでは、ワークエンゲージメントを向上させる具体的な施策と実際に取り入れる際のポイントを紹介します。自社の状況に合うものから積極的に取り入れてみましょう。
6-1. キャリアパスの明確化と成長機会の提供
従業員が自らの将来像を描き、明確な目標に向かって主体的に取り組める環境を整えることは、組織全体の成長にも直結する重要な施策です。具体的には、各職位やスキルレベルに応じたキャリアステップを可視化し、どのポジションやスキルを習得すれば次の段階に進めるかを明確に示します。
さらに、社内研修や外部セミナーの参加支援、資格取得支援制度を充実させることで、従業員が必要な知識や能力を体系的に習得できる環境を提供します。加えて、OJTやメンター制度を通じて、日々の業務の中で経験豊富な先輩から実践的な指導やフィードバックを受けられる仕組みも整えるとよいでしょう。これらの取り組みによって、従業員は自身の成長を実感しやすくなり、自然とワークエンゲージメントが高まる職場環境を構築できます。
6-2. 納得感のある人事評価制度の整備
評価基準や評価プロセスが透明かつ公正に運用されることは、従業員の信頼感や納得感を高めるうえで不可欠です。これにより、従業員は「自分の努力や成果が正当に評価される」という安心感を持ち、仕事への意欲や責任感も自然と向上します。
具体的には、従業員それぞれの職務や役割に応じた明確な目標を設定し、その達成度を客観的に測定できる形で提示することが重要です。また、評価制度には結果だけでなく、業務遂行の過程での工夫やチームへの貢献度なども評価対象に含めることで、公正感をさらに高められます。
さらに、評価の信頼性を確保するためには、成果や能力が給与や昇進に実際に反映される仕組みを整備することが必要です。透明性のあるルールの下で、従業員は自らの努力や成長が正当に報われると理解でき、ワークエンゲージメントの維持・向上にもつながります。
6-3. 柔軟な働き方とワークライフバランスの推進
従業員が仕事と生活を無理なく両立できる環境を整備することは、精神的負荷を軽減するだけでなく、長期的に高いワークエンゲージメントを維持するうえでも重要です。具体的には、テレワークやフレックスタイム制度など、業務時間や場所に柔軟性を持たせる施策が挙げられます。
さらに、育児や介護をおこなう従業員が安心して休暇を取得できるよう、取得促進の施策や制度の周知徹底をおこなうことも重要です。また、有給休暇やリフレッシュ休暇の取得を奨励し、休息をきちんと取れる文化を醸成することで、心身の健康維持にもつながります。
6-4. 効果的な1on1ミーティングの仕組みづくり
上司と部下が定期的に行う1on1は、単なる面談ではなく、従業員の悩みや課題を早期に把握し、適切なサポートや成長支援をおこなうための戦略的なコミュニケーション施策です。効果的に運用するには、形式的なチェックリストや報告会のような場にとどまらず、部下の「成長」「課題」「目標」に焦点を当てた対話をおこなうことが重要です。
具体的には、部下が自由に意見や悩みを話せる安心・安全な雰囲気を作ることが求められます。上司は単に指示を与えるだけでなく、部下の話に耳を傾け、共感的に受け止める傾聴スキルを磨くことが不可欠です。また、対話の内容をもとに個々の課題に応じた具体的な支援策や成長プランを提示することで、部下のモチベーションや主体性を高める効果も期待できます。
関連記事:1on1とは?目的や人事面談・フィードバックとの違いをわかりやすく解説
6-5. ジョブ・クラフティングの活用促進
従業員自身が自らの仕事を工夫し、やりがいや意味を感じられるようにする「ジョブ・クラフティング」は、主体的なワークエンゲージメントを高める有効な手段です。具体的には、従業員が日々の業務の進め方や役割分担を自ら見直し、改善することを奨励します。
例えば、業務の手順やスケジュールの工夫、チーム内での役割調整、情報共有の方法の改善などを通じて、より効率的でやりがいのある働き方を実現できます。また、個々の強みや興味に応じてタスクの割り当てやプロジェクトの選択を調整することで、従業員は自分の能力を最大限に発揮しやすくなります。
これにより、単に与えられた仕事をこなすのではなく、自ら積極的に取り組む姿勢が育まれ、結果として業務への没入感や達成感が向上し、長期的なエンゲージメントの向上につながります。
関連記事:ジョブクラフティング研修のやり方は?研修の目的や得られる効果を解説
6-6. サンクスカード・ピアボーナス制度の導入
従業員同士で感謝や称賛を伝える仕組みは、職場の心理的安全性を高め、エンゲージメントの向上に大きく寄与します。具体的には、サンクスカードやピアボーナス制度などを導入すれば、日々の業務の中で発生する小さな成功や貢献を可視化し、互いの努力を認め合う文化を育めます。
サンクスカードでは、同僚のサポートや成果に対する感謝の気持ちを手書きやデジタル形式で伝えられ、記録としても残るため、後から振り返ることが可能です。ピアボーナス制度では、感謝や称賛をポイントや報酬に換算できるので、モチベーションの向上につながりやすくなります。
これらの仕組みは、個々の貢献を認めるだけでなく、チーム全体の信頼関係や協力意識を醸成し、結果的に組織全体の生産性向上や離職率低下にもつながる重要な施策です。導入にあたっては、全員が気軽に参加できる簡便さや、称賛が偏らず公平に分配されるルール設計がポイントとなります。
7. ワークエンゲージメントを高めて業務効率をアップしよう!


企業の成長や発展には、従業員のポジティブな働きかけが重要です。従業員の仕事に対する意欲や熱意が低下すると、業務効率や生産性の低下につながる可能性があります。また、業務や職場環境に不満を抱えている場合、スキル向上への自主的な取り組みや創造的な活動に影響を及ぼすことがあります。
このような状態を改善するためには、従業員のワークエンゲージメントを高め、仕事に対する前向きな心理状態で働いてもらうことが重要です。まずは自社に適した方法でワークエンゲージメントを定量的に評価し、その結果をもとに、コーチングやポジティブなフィードバック、職務裁量や支援体制の整備などの施策を組み合わせて向上を図ることが望まれます。



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