タレントマネジメントとは?目的やメリット、導入方法まで徹底解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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タレントマネジメントとは?目的やメリット、導入方法まで徹底解説

タレントマネジメントは人材管理の手法のひとつですが、日本で認知され始めたのは比較的最近のことなので、その内容についていまいち把握していないという方も多いでしょう。

導入することで多くの恩恵を享受できると期待されるタレントマネジメントですが、導入する際に注意しなければならないことも、もちろん存在します。

本記事では、タレントマネジメントとは何かおよびその目的、タレントマネジメントをおこなうことのメリットや導入の際の注意点などについて、説明します。

1. タレントマネジメントとは?

クエスチョンマークを囲む従業員のイラスト

タレントマネジメントとは、「社員それぞれのスキル・才能・経験などを的確に把握して、人材開発や人材配置に役立てるマネジメント手法」のことです。

タレント(talent)という単語には「能力」「手腕」「才能」という意味があるので、タレントマネジメントは文字どおり「能力や才能の管理」を表します。

もともとは欧米で広く取り入れられている手法でしたが、日本でも2000年代後半から2010年代前半にかけて、少しずつ認知されるようになってきました。

2. タレントマネジメントをおこなう目的

タレントマネジメントをおこなう主な目的は、人材開発や人材配置に役立てるためです。

社員のスキルや経験値・今後目指すべき目標などは一人ひとり異なるので、各社員に割り振るべき業務や設定する指標なども当然それぞれ異なります。

会社と社員の双方が納得できる形で業務内のPDCAを回していくためには、社員のスキルや才能を可視化して一元管理できるタレントマネジメントが役立ってくれます。

KPIのようなわかりやすい指標だけでなく、数値には表れないものの評価されるべき成果をコントロール・把握することは、人材開発をおこなううえでは見逃せません。

また、人材の配置や異動をおこなう場合は社員のスキルや適性ができる限り生かされるように考慮すべきですが、そのような場合にもタレントマネジメントが役立ちます。

社員自身が達成したい目標と、会社がその社員に求めていることをすり合わせたうえで人材配置をおこなえるので、社員のモチベーションアップにもつながるため、エンゲージメント向上というのも目的といえるでしょう。

3. タレントマネジメントが注目されている背景

タレントマネジメントが注目されるようになった背景には、下記のような理由が挙げられます。

  • 人材の多様化
  • 市場の変化

ここでは、これらの背景について解説していきます。

3-1. 人材の多様化

現在は日本で働く外国人は珍しくありませんし、女性の社会進出が促進されるようになって女性社員の割合も増えてきています。

また、働き方改革の影響によって、時短で勤務したり出社せずに在宅で勤務したりする社員も珍しくなく、「人材」というものの捉え方が多様になってきています。

そのため、これまでの画一的な人材管理システムでは適材適所の人材配置が難しいケースも多々出てきていることから、個人の資質に沿った管理が可能なタレントマネジメントが必要とされているのです。

3-2. 市場の変化

近年の技術やシステムの革新は目覚ましいものがあり、それに応じて市場も目めぐるしく変化しています。

市場の変化に対応するためには、社内リソースを最大限に稼働させる必要があります。しかし、そのためには従来のような情報が分散している人事システムではなく、タレントマネジメントのような情報を一元管理できるシステムが望ましいと考える企業が増えているのです。

4. タレントマネジメントをおこなうメリット

タレントマネジメントをおこなうことで得られるメリットは、以下のようなものが挙げられます。

  • 人材配置の最適化
  • 従業員の能力評価を公正におこなえる
  • 従業員のモチベーションアップ
  • リーダーや後継者の育成に役立つ

ここでは、これらのメリットについて解説します。

4-1. 人材配置の最適化

個人の持つ能力やスキルを的確に把握できるようになるので、人材を適材適所に配置することが可能になります。

人材が流動的になり、社員をずっと会社に抱えていられる保証がない現在では、社員の入れ替わりがあっても組織としてのパフォーマンスを維持することが重要です。

タレントマネジメントは、従業員の情報を一元化しているので、配置転換が必要な場合でも最適な人材を配置できるというメリットがあります。

4-2. 従業員の能力評価を公正におこなえる

どこの部署に所属しているか、上司が誰かなどによって評価基準が異なるのは、社員の能力評価を公正におこなえない要因のひとつです。

しかし、タレントマネジメントでは客観的な指標でそれぞれの社員を判断できるので、社員の能力評価を公正におこなえるというメリットがあります。

評価制度が公平に運用されていることは、社員のモチベーション低下を防ぐという点でも重要です。

4-3. 従業員のモチベーションアップ

タレントマネジメントによって能力が公正に評価されて、自分に適した仕事ができるポジションに配置されれば、社員のモチベーションはアップします。

モチベーションがアップした社員は業績向上に大きく貢献してくれますし、職場に満足できずに転職してしまう可能性も低くなるというメリットが得られます。

また、意欲的に仕事に取り組む社員はスキルアップも早いので、会社が想像していた以上の成長を見せてくれるという嬉しい誤算があるかもしれません。

4-4. リーダーや後継者の育成に役立つ

タレントマネジメントでは社員をピックアップして育成することも可能なので、将来的に組織を引っ張っていくリーダーや社長の後継者を育てることにも活用できます。

従来の人事管理手法より効率的な育成が可能なので、計画的にリーダー候補・後継者候補を育成することで、中長期的な組織の安定を図るのに役立ちます。

社内に適任がいないような場合でも、リーダーや後継者に求められるスキルや人物像が明確になっていることで、社外からヘッドハンティングをする際などのチェックポイントとして使えるというのもメリットとなるでしょう。

関連記事:タレントマネジメントの5つのメリットと3つのデメリット

5. タレントマネジメントの導入方法

人事データを閲覧するタレントマネジメントは、自社の課題や目標に沿って運用するため、「これがタレントマネジメント」という定義はありません。

こう聞くと、難しいと感じるかもしれませんが、導入ステップには下記のような土台があります。

  • 現状の課題を洗い出す
  • ゴール目標の徹底
  • 運用体制の構築
  • 従業員への周知

ここでは、これらのステップを解説していきます。

5-1. 現状の課題を洗い出す

まずは、自社の現状の課題を洗い出しましょう。

現状は、人材管理をおこなう従業員の数やそれぞれの能力、スキル、目標や評価などの情報をデータにして可視化してください。可視化したら、実際におこなっている人事戦略と比較して、できている項目とできていない項目に分けます。

課題=できていない項目なので、できていない項目の中から課題を洗い出しましょう。

人事部だけでなく管理者や他部署も巻き込んでビジョンを共有し、経営戦略実現に向けたリアリティのある課題設定をすることが重要です。

5-2. ゴール目標の設定

課題を洗い出したら、次はゴール目標を設定します。

ゴール目標というのは、タレントマネジメントをおこなうことで達成できるものです。目標が決まっていないと導入しても課題を解決できません。

「どの部署にどんなスキルを持った人材を何人配置するのか」「必要な人材を採用するのか、育成するのか」などの人事施策を決定しましょう。

施策を決める際には、各部署の課題や目標をヒアリングし、現場のニーズを把握することも重要です。

5-3. 運用体制の構築

ゴール目標を設定したら、運用体制を構築していきます。

従業員から集めた情報をどのように構築していくかは、ゴール目標によって異なるため、運用体制も企業によって異なります。

運用体制の一例を以下に挙げてみましょう。

  • 必要なスキル、経験を持った従業員を発掘する
  • 情報をもとに適性に応じた従業員を配置する
  • 能力を最大化するために研修やセミナーで育成する
  • 評価制度の整備
  • フィードバック制度の整備

このように、運用体制を構築しておくことで、スムーズな運用開始が可能になります。

5-4. 従業員への周知

運用体制の構築が完了したら、導入前に従業員に周知します。

会社主導でおこなうものであっても、情報を集めるには従業員の協力が欠かせないので、しっかり説明して納得してもらうことが重要です。勝手に始めてしまうと、従業員からの反発などで正確な情報が得られなくなることもあります。

タレントマネジメントは、情報をもとに運用していくので、情報の正確性は必須です。そのため、従業員が進んで協力してくれるよう、導入の意味やメリットなども併せて周知していきましょう。

6. タレントマネジメントをおこなう際に注意すべき3つのこと

タレントマネジメントはさまざまな課題を解決できる手法ですが、ただ実施すればよいというものではありません。

実施する際には、下記の点に注意が必要です。

  • 目的を明確にする
  • 運用体制・評価項目をしっかり構築しておく
  • 現場の声を反映させる

ここでは、これらの注意点について解説するので、担当者の方はチェックしておきましょう。

6-1. 目的を明確にする

タレントマネジメントをおこなう場合、「今までの人事評価の代わりにタレントマネジメントを導入するのか」を明確にしておく必要があります。

社員を評価する立場にある上層部のメンバーが目的をしっかり把握しておくことはもちろんですが、実際に評価されることになる社員たちにも目的を浸透させましょう。

目的を明らかにしておくことで、タレントマネジメントに対する社員の向き合い方も変わりますし、振り返りもおこないやすくなります。

関連記事:タレントマネジメントの効果を向上させるための3つの秘策とは?

6-2. 運用体制・評価項目をしっかり構築しておく

タレントマネジメントは、社員それぞれのデータ入力や更新などを適宜おこなわなければうまく活用できません。

タレントマネジメントは人材が流動的になっている昨今の事情に対応できる手法ではありますが、評価する側の人材が社外に流出しないとも限りません。

そのため運用を属人的なスキルに依存していると、運用担当者が転職してしまった場合にマネジメントがうまく運用できなくなってしまう可能性があります。

継続的かつ普遍的にマネジメントができるように、評価項目の明確化やマニュアルを作るなどして運用体制をしっかり構築するようにしましょう。

関連記事:タレントマネジメントの導入においてチェックすべき5つの項目

6-3. 現場の声を反映させる

タレントマネジメントにはある程度標準的な評価モデルがありますが、会社によって抱える事情はさまざまなので、実際に導入する場合はモデルを微調整しなければなりません。

その際、上層部や経営陣が重視するポイントを特別に評価できるようにすることはもちろんですが、現場の声も反映させる必要があります。

タレントマネジメントは、実際に評価される社員の協力がなければうまく機能しません。必要以上に社員におもねる必要はありませんが、社員に納得して協力してもらうためにも、現場の声も重視してモデルの調整をおこないましょう。

7. タレントマネジメントシステムは必要?

虫眼鏡で違いを探す従来の人事管理とタレントマネジメントがまったく異なる場合、自社で運用体制を構築するのは難しいかもしれません。構築自体が初めてであれば、運用実施までに時間がかかってしまいます。

このような状態を回避するには、タレントマネジメントシステムを導入するのがおすすめです。

システムには、データ情報を一元管理できるさまざまな機能が搭載されているので、担当者の方が必要事項を入力するだけで運用を開始できます。

ここでは、タレントマネジメントシステムの概要や機能、選び方を紹介します。

7-1. タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムとは、名前のとおり「タレントマネジメント」に特化した機能を持つシステムです。

タレントマネジメントを運用する場合、担当者が部署間の連携をおこなったり、情報ごとにデータ化したりするなど、実施までには膨大な手間と時間がかかってしまいます。

システムを使えば、連携やデータ分析、評価などのプロセスを自動化できるので、担当者の業務負担を大幅に削減することが可能です。

導入費用やランニングコストはかかりますが、タレントマネジメントに関わる作業の多くをシステム化できるので、効率を考えれば高い費用対効果を得られるシステムといえるでしょう。

7-2. タレントマネジメントシステムの機能

タレントマネジメントシステムの機能は製品ごとに異なりますが、基本的な機能は搭載されています。

ここでは、ほとんどの製品に共通している機能を一覧で紹介します。

機能名 内容
採用管理機能 求人票の作成や面接スケジュール、応募者のスクリーニングなど
育成管理機能 研修プログラムの作成、セミナー受講者の登録、進捗管理など
従業員パフォーマンス管理機能 従業員の目標・キャリア設定、実績管理、フィードバック管理など
スキルマネジメント機能 従業員の知識やスキルの共有、蓄積された情報を抽出・集計・比較・分析など
キャリア開発機能 目標に基づき、キャリア開発に必要な情報の提供、人事異動の際に適切な人材などなど

7-3. タレントマネジメントシステムの選び方

タレントマネジメントシステムを選ぶ際に、もっとも重要となるのは自社のニーズにあった機能が搭載されているかということです。

例えば、従業員の目標を把握して育成をおこなう目的で導入しているのに、キャリア開発機能がなければ効率的なマネジメントができなくなるので、必ずどのような機能が必要かを吟味して搭載されているものを選びましょう。

ただし、多機能であればよいというものではありません。

一般的に、機能が多ければその分費用も高額になります。機能を使いこなせないようであれば、かけた費用が無駄になってしまうので注意してください。機能の追加を検討している場合は、設定や機能を追加できるカスタマイズ性のあるシステムを選ぶとよいでしょう。

また、アフターサービスもしくはサポートがあるかというのも、重要なチェックポイントです。システムは不具合が出ると使えなくなってしまうので、「購入して終り」ではなく定期的な点検やアフターサポートが充実している製品を選ぶのがおすすめです。

8. タレントマネジメントシステムの注意点

注意を促すブロックタレントマネジメントシステムを導入する際には、以下の2点を注意してください。

  • 部署間で連携できるように運用すること
  • 人材が増えても管理できる体制を整える

ここでは、これらの注意点について解説していきます。

8-1. 部署間で連携できるように運用すること

システムは、データをシステム上で一元管理できることで、担当者の負担を軽減してくれるツールです。

そのため、導入前に必ず部署間で連携できるように確認しておきましょう。人事部と関わりのない部署の場合、システムを連携することで作業が複雑になると断ってくることもあるようです。

1つでもそういった部署があると、データの一元管理ができなくなってしまうので、導入前に話し合いをして連携を確認してから運用するようにしましょう。

8-2. 人材が増えても管理できる体制を整える

職種や部署によっては、現時点よりも人材が増える可能性があるかもしれません。そのような場合にも、柔軟に対応できる管理体制を整えておくことも重要です。

管理できる人数が少なければ、その分コストは安くなるため、初期費用を抑えるために人数も抑えてしまうことがあるかもしれません。しかし、人材が増えることでシステムを変更しなければならない、入れ替えなければならないとなると逆にコスト高になってしまいます。

人材増加の振り幅は、人事や管理職である程度予想はつけられるので、管理できる人数には余裕を持っておきましょう。

9. タレントマネジメントで人材配置を最適化しよう!

タレントマネジメントは、従業員一人ひとりを公平に評価し、人材開発や人材配置に役立てることができる手法です。

タレントマネジメントをおこなうことで、従業員のモチベーションアップやスキルアップにつながるため、組織のパフォーマンスを最大化させることが期待されています。

市場が絶えず変化し続けている昨今の事情にフィットする手法なので、人材管理にお悩みの経営者・人事担当者の方はタレントマネジメントを導入して人材配置などの課題を最適化していきましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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