年末調整における固定資産税の書き方など基本を解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2021.10.1
MEGURO
固定資産税は土地と家屋にかかる税金で、それらの資産を固定資産と呼びます。もし社員が固定資産税の減税制度を利用している場合、年末調整時に関連書類を提出して所得税の還付を受ける必要があります。
本記事では固定資産税の仕組みと、減税される制度についてご紹介します。
目次
1. 固定資産税の概要
固定資産税は土地・家屋・償却資産からなる「固定資産」にかかる税金のことで、固定資産の価格をもとにして計算されます。
固定資産税は固定資産を持っているだけで発生する税金なので、厄介だと感じる人もいるでしょう。しかし、市町村に納税するようになっている固定資産税は、その市町村の行政サービスを提供するために欠かせないものです。
また、固定資産税は軽減制度が充実しているのが特徴で、減額された分は所得税と住民税の還付金として返却されます。つまり、所得税を企業が計算する年末調整で申告しないと、所得税の還付が受けられないのです。
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1-1. 固定資産税は土地・家屋・償却資産にかかる税金のこと
「固定資産」に含まれるのは、土地・家屋・償却資産の3種類です。
土地には住宅用の土地だけでなく田畑や沼地、山林なども含まれ、家屋には住宅のほか店舗や工場、倉庫などが含まれます。また、償却資産では土地や家屋以外の、事業に使われる機械類を指します。
固定資産の所有者で、固定資産課税台帳に登録されている方が納税者です。納期は1年に4回で、通常は6月・9月・12月・2月の決められた期限までに納めなければなりません。
1-2. 固定資産税は固定資産の価格をもとに計算される
固定資産税は、総務大臣が定める「固定資産評価基準」に基づいて、各県の知事か市町村長が決めます。このとき決められた値は、固定資産課税台帳に登録され、固定資産税を計算する場合は、この台帳に登録された値をもとに計算されます。
固定資産額=課税標準額 × 税率 |
上記の税率は多くの自治体が1.4%としていますが、特例措置がある場合や、自治体の制度によっては0.1%単位で変動する可能性があります。
2. 固定資産税が軽減される場合や制度
固定資産税には特例として、減税・免税制度が制定されています。2021年現在では、住宅取得や中古住宅の活用、空き家解消のために住宅売買に関する固定資産税の減税制度が増えています。
一般の企業で関係の多い固定資産税の内容は、マイホームに関するものです。そのためここではマイホームに関する固定資産税の軽減についてご紹介します。
2-1. 新築住宅に関する固定資産税の軽減制度
住宅取得時に利用できる軽減制度には、以下のようなものがあります。
▼新築住宅に係る税額の減額措置
期限:令和4年3月31日
質のよい住宅を増やすため、市町村の条件に沿って新築の戸建て住宅とマンションの固定資産税が一定期間だけ減額する制度です。
一戸建ての場合は3年間、マンションの場合は5年間、固定資産税が2分の1に減額されます。4年目、6年目からは元の税額に戻ります。
▼認定長期優良住宅に関する特性措置
期限:令和4年3月31日
耐震性・他急性・可変性に優れている住宅を「認定長期優良住宅」として、固定資産税が軽減される制度です。
一戸建ては5年間、マンションは7年間適用されます。
2-2. 中古住宅のリフォームに関する軽減制度
中古住宅の活用にも力を入れていて、軽減制度も豊富なのが特徴です。
▼耐震改修に関する特例措置
期限:令和4年3月31日
耐震工事を行った際に、工事が完了したその翌年分の家屋にかかる固定資産税が減額される制度です。
▼省エネ改修に関する特例措置
期限:令和4年3月31日
耐震改修の場合と同じで、省エネに関する改修工事を行うと、工事完了の翌年分の固定資産税が軽減されます。
▼バリアフリー改修に関する特例措置
期限:令和4年3月31日
バリアフリーに関する改修工事を行った場合の軽減措置です。仕組みは耐震改修と同じです。
▼長期優良住宅化リフォーム関する特例措置
期限:令和4年3月31日
耐震改修または省エネに関する改修工事を行い、認定長期優良住宅になると適用される制度です。こちらも耐震改修の特例措置と同様の仕組みです。
2-3. 住宅用地(土地)に関する固定資産税の軽減制度
ここまでは家屋に関する減税制度でしたが、土地に関する軽減措置も実施されています。
▼小規模住宅用地の軽減措置
200㎡以下の土地を「小規模住宅用地」と定め、課税標準を6分の1に軽減する制度です。200㎡を超える「一般住宅用地」には3分の1に軽減されます。
3. 年末調整で固定資産税の調整を行う場合の申請方法や書き方
社員が固定資産税に関して変更があった場合、企業側ではそれを把握できないので、各自で申請してもらったり、必要書類を提出してもらう必要があります。
3-1. 年末調整と固定資産税は直接関与しない
ここまで固定資産税の軽減制度をご紹介しましたが、固定資産税を軽減するには税務署に各自で申請しなければなりません。よって年末調整では、固定資産税控除に関する書類は処理できないのです。
ただし、固定資産税は控除額が戻ってくるわけではなく、所得税や住民税として還付されるのが特徴。年末調整で所得税が控除される制度として「住宅ローン控除特例」があり、こちらも一定条件に従って、所得税が還付されます。
固定資産税の軽減については、年末調整で扱えないので注意しましょう。
3-2. 土地や家屋に変更があった場合は税務署に書類を提出してもらう
年末調整で主に控除されるのは、以下の7項目です。
- 配偶者控除と扶養控除
- 配偶者特別控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 損害保険料控除
- 住宅借入金等特別控除
これらの控除を受けるために各種の書類を提出してもらいますが、このうち固定資産税に関係するのは住宅借入金等特別控除のみです。略称として住宅ローン控除特例と呼ばれています。
住宅ローン控除特例では、年末時点での住宅ローン残高の1%が所得税から控除され、還付される仕組みです。
ただし、会社員であっても1年目は確定申告を行い、2年目以降は会社で行われる年末調整で還付される点には注意しなければなりません。担当者は住宅ローン控除特例に該当する社員から、「住宅借入金等特別控除申告書」を提出してもらいましょう。
なお、1年目は必ず確定申告によって申請する必要があり、還付される金額は銀行振り込みによって返却されます。年末調整は2年目以降から利用可能ということも注意が必要です。
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4. 社員が住宅ローンを利用した場合は年末調整で書類を提出してもらう必要がある
社員が住宅ローン控除特例(住宅借入金等特別控除)の制度を利用する場合、2年目以降から年末調整で「住宅借入金等特別控除申告書」を提出してもらう必要があります。
なお、1年目に関しては社員が直接確定申告で申請しなければならないため、注意してください。
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