貸借対照表における純資産とは?経営状況を判断する方法も紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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貸借対照表における純資産とは?経営状況を判断する方法も紹介

資産

貸借対照表の「純資産」はその企業の自己資本を示す項目です。純資産には株主からの出資金のほか、企業がこれまで積み上げてきた利益などが含まれます。貸借対照表を正しく読み解くため、純資産が示す内容や他の経営指標との関係をしっかり把握しておきましょう。

この記事では、貸借対照表における純資産について、経営分析での活用方法も含めて分かりやすく解説します。

関連記事:貸借対照表(バランスシート)とは?読み方・作り方をわかりやすく解説

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1. 純資産は貸借対照表における企業の自己資本

資本

純資産は貸借対照表において企業の「自己資本」を示す項目です。そもそも自己資本とは何かを知るには、まず貸借対照表の構成を理解しなくてはいけません。

ここでは貸借対照表の基本を確認しつつ、純資産が示す自己資本の内容について見ていきましょう。

1-1. 貸借対照表は企業の財務状況を表す

貸借対照表は、ある一定時点における企業の財務状況を「資産の部」「負債の部」「純資産のの部」の3項目で表した会計書類です。損益計算書、キャッシュフロー計算書と共に財務三表に数えられます。

表の構成は大きく左右2つに分かれており、表の左側が資産の部、右側が負債の部と純資産の部です。表の左側(資産の部)には企業が保有する資産が表示され、右側(負債の部、純資産の部)には保有資産に対する資金の調達方法が表示されます。

つまり、貸借対照表とは、企業がどのように資金を集め、その資金をどのように運用したのかを明らかにした表です。また、貸借対照表はその特性から左側と右側の合計額が必ず一致する関係にあり、「バランスシート(BS、B/S)」とも呼ばれます。

関連記事:貸借対照表の見方とは?基本的な見方や分析のポイントを初心者向けに解説

1-2. 負債と純資産の違いは返済義務の有無

負債と純資産は、貸借対照表において資金の調達方法を示す項目です。事業活動の元手となる資金を「資本」と呼びますが、負債と純資産では資本の意味合いが異なります。両者の決定的な違いは返済義務の有無です。

負債…返済義務がある他人資本

純資産…返済義務がない自己資本

負債には銀行からの借入や社債の発行により調達した資金のほか、買掛金など未払いの費用が含まれます。これらは全て企業の借金であり、事業で得た収入の中から返済費用を拠出しなければなりません。企業が返済義務を負うことから、負債は他人資本とも呼ばれます。

一方、純資産は株主からの出資金や企業の利益などから得られた資金です。これらの資金は企業が所有する資産であり、第三者への返済義務がありません。このことから、純資産は自己資本とも呼ばれます。

2. 貸借対照表における純資産の内訳

ひらめき

ここでは貸借対照表における純資産の内訳を解説します。純資産の主な内訳は以下の通りです。

  • 資本金
  • 資本剰余金
  • 利益剰余金
  • 自己株式
  • 新株予約権
  • 評価・換算差額等

上記のうち、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の4項目は「株主資本」と呼ばれます。

2-1. 資本金

資本金は企業が事業活動の元手として用意する資金です。創業者の自己資金や、株主の出資金で構成されます。

創業時は株主から十分な資金を募るのは困難であり、資本金の大部分は創業者の自己資金で賄われる場合が殆どです。その後、事業拡大に伴い株主から新たに資金を調達し、資本金を増大させます。

また、資本金は企業の事業規模や体力を示す重要な指標です。金融機関や取引先、入社希望者等の第三者に対する信用力にも影響します。

2-2. 資本剰余金

資本剰余金は「資本準備金」と「その他資本剰余金」の2項目で表示されます。

資本準備金とは、株主から調達した資金のうち資本金に組み込まなかった資金です。株主からの出資金は必ずしも全額を資本金に充てる必要はなく、出資額の2分の1以下の金額までは資本準備金として用途の保留が会社法第445条2項によって認められています。仮に業績が赤字で資本金が減少してしまう場合、資本準備金を取り崩して資本金に組み込むことも可能です。

その他資本準備金には、先述した資本準備金の取り崩し金や、自己株式の処分により発生した差益などが該当します。

参照:会社法|e-Gov法令検索

2-3. 利益剰余金

利益剰余金は、企業が創業以来の事業活動を通じて蓄積してきた利益の積立金です。貸借対照表では「利益準備金」と「その他利益剰余金」の2項目で表示されます。

利益準備金は、利益剰余金の中から将来的な株主への分配に備えて積み立てるお金です。それ以外の残金がその他利益剰余金であり、設立以来繰り越された企業の利益などが含まれます。

なお、利益剰余金は企業の業績によってプラスにもマイナスにもなる項目です。利益剰余金がマイナス計上されている場合は経営状況の悪化を示しています。

2-4. 自己株式

自己株式は、企業が保有する自社株の購入資金です。企業の自社株は「金庫株」とも呼ばれます。自己株式の保有は自社で発行した株式の買い戻しとなるため、貸借対照表ではマイナスで計上されます。

2-5. 新株予約権

新株予約権とは、その権利を発行した株式会社の株式をあらかじめ決められた価格で取得できる権利です。権利の行使により、対象となる企業に一定の価格で新規株式を発行させる、またはその会社が保有する自己株式を譲渡してもらうことができます。

2-6. 評価・換算差額等

評価・換算差額等は、保有する有価証券や土地などの購入価格と現在の時価の差額(評価損益)です。主に以下の項目が計上されます。

  • その他有価証券評価差額金
  • 年再評価差額金
  • 繰越ヘッジ損益(※)

(※)先物取引やオプション取引など金融派生商品の評価損益

3. 純資産から経営状況を分析する方法

比率から経営を分析する人

ここからは貸借対照表の純資産から見る経営状況の分析方法を紹介します。純資産は企業の安定性を把握するうえでも重要な項目であるため、貸借対照表の分析をおこなう際は必ずチェックしておきましょう。

関連記事:貸借対照表における自己資本や経営状況を分析する方法を解説

3-1. 自己資本比率

自己資本比率とは、総資本に対する純資産の割合を示した指標です。事業に必要な資金をどの程度まで自己資本で賄えているかを示します。

自己資本比率(%)=純資産÷総資本×100

自己資本比率が高い企業は、事業活動において借金への依存が少ない企業です。必ずしも自己資本比率が全てではありませんが、倒産のリスクを判断する基準となります。一般的には30%〜40%が目安と言われています。適正な割合は業種によっても異なるため、同業他社の自己資本比率も参考にしましょう。

関連記事:自己資本比率が20%以下は危険水域?計算式や業種別の目安を解説

3-2. 自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率は、純資産における当期純利益の割合を示した値です。自己資本のうち、過去の利益がどれほど蓄積されているかを表します。

自己資本利益率(%)=当期純利益÷純資産×100

当期純利益とは、損益計算書で計上される企業の最終利益です。過去と比較し自己資本当期純利益率の増加が見られれば企業の収益力が成長していると判断できます。自己資本利益率は一般的に10%がひとつの目安とされています。

関連記事:自己資本利益率とは?計算方法や数値から判断できることを紹介

3-3. 固定比率

固定比率は、企業が保有する固定資産に対する純資産の割合です。

固定比率(%)=固定資産÷純資産×100

固定資産とは、建物や土地、車両など長期に渡って保有する流動性の低い資産を指します。これらは事業活動のインフラとなる資産ですので、借金に頼らず保有している状態が理想です。固定比率が100%以下であれば、全ての固定資産を自己資本で賄えていることになります。

なお、実際には固定比率を100%以下にすることは簡単ではありません。そのため、固定資産に対する資本のバランスを、純資産と固定負債の総額で見る固定長期適合率という指標もあります。

固定長期適合率(%)=固定資産÷(純資産+固定負債)×100

固定負債は返済までに長期の猶予がある負債を指し、原則としてすぐに経営を圧迫するものではありません。固定比率が100%を超えていても固定長期適合率が100%以下であれば、安定して資産を保有していると考えられます。

関連記事:固定長期適合率の算出方法や数値の改善方法を詳しく解説

4. 貸借対照表の純資産を経営分析に役立てよう

分析

貸借対照表における純資産は企業の自己資本を表し、経営の安定性や企業の体力に深く関わる項目です。ただし、企業経営では事業規模が大きくなるにつれ必然的に他人資本に頼る機会も増えます。大事なことは純資産と負債のバランスです。純資産が示す指標はもちろん、他の指標も用いて多角的に経営状況を捉えるようにしましょう。

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jinjer Blog 編集部

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