法人カードを導入する企業の目的とは?メリットや経費精算時の注意点を解説
更新日: 2024.6.24
公開日: 2022.1.13
jinjer Blog 編集部
法人カードの導入は、経費精算の効率化や透明化に役立ちます。とはいえ、管理方法を確立しないと、不正利用などが発生する恐れもあるため注意しましょう。
この記事では、法人カードを導入する目的や注意点、カードの選び方を解説します。
目次
1. そもそも法人カードとは
法人カードとは、会社や経営者、個人事業主などの「法人」に対して発行されるクレジットカードのことです。一般的に使用されるクレジットカードと比べて、事業に有益な特典があることがポイントです。支払い口座に会社名義の法人口座を指定できたり、利用限度額が通常のクレジットカードより大きく設定されていたり、また従業員向けの追加カードが発行できたりとビジネスをする上で有効なサービスが多く含まれています。
1-1. 法人格を問わず申し込めるクレジットカード
さらに法人カードは、法人格を問わず申し込みができるものを指します。例えば、「株式会社」「合同会社」「合資会社」などの法人格を持つ企業だけでなく、個人経営の商店やフリーランスの方々でも法人カードを作ることが可能です。このように法人カードは、事業規模にかかわらず、様々な経営形態に対応しているため、ビジネスシーンでの経費管理や購買活動をサポートする重要なツールとなっています。
1-2. 法人カードの特徴(個人カードとの違い)
法人カードには個人カードと違って法人カード独自の特徴がいくつかあります。
特に違いがわかりやすいのは、利用限度額の項目です。法人で支払う金額は個人で支払う金額より大きい傾向があるため、それにともなって利用限度額も高く設定できる傾向があります。また法人カードは事業に有益な特典が多いことを言及しましたが、例えば接待の際に利用した飲食店の割引があったり、出張する際に法人カードで交通費を決済することで、交通費が割引されたりと、さまざまな特典があります。
関連記事:法人カードとはどんなクレジットカード?選ぶポイントや作る手順に関して
2. 法人カードを導入する目的とは
法人カードとは、個人・法人を問わない事業者が使えるクレジットカードのことです。
個人のクレジットカードと違い、下記のように、会社運営に役立つ多彩な機能が利用できます。
● 利用限度額が高額。さらに自由に設定できるものもある
● オーナーだけでなく、従業員分のカードを追加発行できる
● 法人名義の口座から利用料金を引き落とせる
● 空港ラウンジ利用サービスやETCカード年会費無料特典などがある
以上の特徴を活かせるため、業務の効率化や従業員の福利厚生に役立てることができます。
では、具体的に法人カードを導入する目的を解説します。
2-1. 立て替え精算をなくし経理業務を効率化する目的
法人カードは部署別や従業員別に発行できます。例えば営業部門に法人カードを導入すれば、出張費や交際費などをカード払いに統一でき、従業員の立て替え払いが不要になります。
なお、領収証は本来、金銭や有価証券の受領を証明するもののため、法人カードでの取引なら、発行してもらう必要もありません。[注1]
そのため、営業部門は帰社後に報告書を作成し経費精算をする必要はなくなります。また、経理部門では領収書の宛名間違いで再発行を依頼するなどの手間が省け、会社全体の業務効率化につながります。
細かな精算業務が減ることで、各部門は本来やるべき仕事に集中できます。
関連記事:法人カードで経費精算を行うメリット・デメリットや手順とは
2-2. 利用内容を透明化し、経費削減を図る目的
法人カードで利用した明細は、売上日時や商品名などが後日正確に反映されるため、経費利用の透明化にも役立ちます。
いつどこで、誰が、どのような理由で経費を使っているか、一元管理できるため、無駄や使いすぎにも気が付きやすくなるでしょう。
また、経費精算システムなどと連携すれば、利用データを自動で取り込んだのち、科目別に振り分けられため、さらに客観的な理解に役立ちます。
このように、利用状況をデータで管理できれば、紙管理にかかる印刷や管理のコストから経理部門の負担削減にもつながります。結果として経費の無駄を削減するだけでなく、残業を減らすのにも役立つでしょう。
関連記事:法人カードと会計ソフトを連携するメリットや使い方について
2-3. 締め日と支払日を明確化しキャッシュ・フローを適切に管理する目的
法人カードも締め日と支払日が定められているため、キャッシュ・フローの適切な管理に役立ちます。
また、カードによっては支払い日を当月だけでなく、翌々月に変更できるものもあるため、キャッシュに余裕を持たせたいときにも安心です。
光熱費や消耗品費などをまとめて支払えば、支払いにかかる手間だけでなく、振込手数料の削減にもつながります。
2-4. 小規模事業所においては福利厚生の充実させる目的
成長段階にあるベンチャー企業などでは、福利厚生の充実を目的とし、法人カードを導入するのもよいでしょう。
法人カードでは、外部の福利厚生サービスを割引価格で利用できたり、健康・学習支援を受けられたりなど、さまざまな特典が利用できます。
さらに、法人カードの年会費は経費として処理できることも利点です。
業務の効率化だけでなく、法人カードの特典を利用すれば、従業員満足度の向上にも役立つでしょう。
2-5. ガバナンスを強化する目的
法人カードの導入は、企業のガバナンス強化にも効果的です。社員個人と企業の支払いを、法人カードによって明確に分けられるのがポイントです。「誰が、いつ、どこで、いくら」経費を使ったのか、経費利用をすべて可視化できるため、社員の不適切な利用や不必要な経費の利用防止にもつながります。法人カードの引き落としを法人名義の銀行口座にすることで、企業・法人の経理がより透明化されるでしょう。
3. 法人カードのメリット
法人カードを利用するメリットを大きく分けて下記の4つです。
▼法人カードを利用するメリット6つ
- マイルなどのポイントを貯められる
- 付帯サービスを活用できる
- 年会費を経費として計上できる
- 資金繰りに余裕を持たせることができる
- 個人と法人の支払いが区別できる
- 追加カードも発行することができる
ここからはひとつひとつのメリットを詳しく解説していきます。
3-1. マイルなどのポイントを貯められる
経費の支払いに法人カードを利用することで、マイルなどのポイントを貯めることができます。貯まったポイントは、ギフトカードや景品と交換することも可能なので、会社の経費削減として活用することができます。
3-2. 付帯サービスを活用できる
法人カードでは、ビジネスに役立つ付帯サービスが数多く提供されているケースが多いです。出張の際に無料で空港ラウンジを利用できたり、接待に利用できる飲食店の割引サービスなどさまざまです。カードを選定する際に参考にしてみるとよいでしょう。
3-3. 年会費を経費として計上できる
法人カードは、支払った年会費を経費として計上できます。
そのため、個人カードと比べて年会費の費用の高さにこだわらず、付帯サービスの数が多いカードを優先的に選択することもおすすめです。
3-4. 資金繰りに余裕を持たせることができる
法人カードは、ビジネス上で扱うさまざまな経費の支払いに活用できます。例えばオフィスの賃料や光熱費などの費用を法人カードを使って支払うことで、実際の支払日までに時間的な猶予をもたせることが可能です。そのためキャッシュフローに対する不安を軽減することができます。
3-5. 個人と法人の支払いが区別できる
法人カードの大きなメリットの一つは、個人と法人の支払いを明確に分けられることです。特に個人事業主の場合、業務とプライベートの支払いが混在しがちです。法人カードを使用することで、ビジネス関連の支払いを分け、経費精算にかかる手間と時間を大幅に削減できます。これにより、経理業務の効率化が図れ、より正確な経費管理が実現します。また、年間支出が一目でわかるため、ビジネス戦略の見直しにも役立ちます。
3-6. 追加カードも発行することができる
法人カードのもう一つの大きなメリットは、追加カードを発行できることです。追加カードを発行して社員に渡しておけば、オフィス用品の購入時や出張時などで支払った経費も、法人カードの支払いとして一括管理できます。ただし、法人カードの種類によっては、追加カードの発行枚数に上限が設けられています。複数の社員に法人カードを所持させたい場合は、あらかじめ発行できる追加カードの枚数を確認しておきましょう。追加カードには使用に関して制約があるものが多いため、目的の使い方ができるかどうかも確認することをおすすめします。
4. 法人カードのデメリット
かつて法人カードは、個人向けクレジットカードのような分割払いやリボ払いが選択できず、キャッシング機能もないというデメリットがありました。
しかし、現在は法人カードでも分割払いやリボ払いができるもの、キャッシング機能を備えたものも登場し、法人カードの弱みは大きく改善されています。
そのほか、法人カードの追加カードを発行する場合には、一定の条件をクリアしなければならない点や、発行後の追加カード管理が煩雑化することも考えられるので、注意が必要です。
5. 法人カードを導入・運用する際の注意点
法人カードは経理精算の効率化や福利厚生の充実などに役立つものの、利用金額や使い方に制限を設けないと、不正利用が起こる可能性も否めません。
そのため、あらかじめ利用ルールを設けた上で導入するとよいでしょう。
5-1.不正利用の防止やチェック体制を作る
法人カードは、個別に利用限度額を設けたり、私的利用分は当該従業員に請求したり、不正利用を防止する仕組みがあるものもあります。それらの仕組みがあれば、活用するとよいでしょう。
また、それとは別に、経理部門などで利用明細を確認し、経費を私的に使っていないかチェックする仕組みを整えましょう。
関連記事:法人カードと会計ソフトを連携するメリットや使い方について
5-2.ポイントの利用方法を明確化する
法人カードも、利用金額に応じてさまざまなポイントが貯まります。
従業員別カードのポイントも合算して管理できるため、経費を全てカードで支払えば、ポイントだけでもまとまった金額になるケースもあります。
これらのポイントは、誰が、どのような目的で処理するか、事前に決めておきましょう。
ポイントといっても、現金と同じように使えるため、ルールを設けないと思わぬトラブルにつながる可能性があります。
5-3.法人カードの使いまわしは利用停止の危険性がある
法人カードも名義人以外は利用できず、名義貸しなどを疑われれば、カード会社から利用停止処分を受ける可能性もあります。
そのため、代表者名義のカードだけでなく、従業員に発行したカードも、使いまわすことのないよう指導を徹底しましょう。必要がある時のみ貸し出すなどの管理方法を導入するのもおすすめです。
また、結婚や離婚で従業員の名前が変わったり、退職により担当者が変更になったりした際は速やかにカードの名義も変更しましょう。
5-4.会社の状況に合ったカードを導入する
法人カードといっても、大企業向けのものから、個人事業主が申請できるものまでさまざまなタイプのものがあります。
また、追加カードの発行制限がないものや、購買活動に特化したものなど、特徴にも違いがあります。
そのため、年会費を確認するだけでなく、自社の状況に合った、最も使いやすいカードの導入が大切です。
関連記事:設立直後でも作れる法人カードの特徴や審査に落ちた場合の対策
関連記事:中小企業におすすめの法人カードとは?審査基準や選び方について
6. 目的に合った法人カードを選ぶ際のポイント
法人カードは会社の規模に合わせて選ぶ他、経理の効率化が目的の場合は、何枚まで追加発行できるかも合わせて確認しましょう。また、特典がある場合は、自社の活動に活かせるかどうかもポイントです。
6-1. 会社の規模によって選べるカードが違う
法人カードは、下記のとおり事業規模に応じて選べる種類が異なります。
・ビジネスカード:個人事業主や中小企業を対象としたカード
・コーポレートカード:従業員数20名以上などの大企業を対象としたカード
特に、従業員数により発行できるカードが変わってくることが多いため、まずは自社に導入する場合、どちらのカードが該当するか確認しましょう。
6-2. 追加カードは何枚発行できるか
法人カードによっては、追加カードの発行枚数に制限があるものもあるため、事前に確認しましょう。
また、発行できるものの、1会員ごとに年会費が追加されるケースもあります。
経理業務の効率化が目的なら、発行枚数と年会費を確認しメリットが大きくなるように選びましょう。
6-3. 利用特典は自社の活動に活かせるか
カードの付帯サービスが充実していても、自社の活動や従業員の福利厚生に活かせなければ意味がありません。
例えばゴールドカードの特典で空港ラウンジの利用が無料になったとしても、出張が極めて稀な会社では活かしきれないでしょう。
それなら、一般カードを導入し年会費を抑え、その分を従業員の福利厚生に利用する方が有意義かもしれません。
関連記事:法人カードを比較!選ぶポイントや特徴別でカードを紹介
関連記事:コーポレートカードの特徴とは?法人カードにおける特徴やメリットについて
7. 法人カードは導入目的を明確にし、注意点を理解して選ぼう!
法人カードは精算を一元化できるため、経費精算システムと連携すれば、経理部門の負担軽減や、経費利用の透明化に役立ちます。
ただし、法人カードは使い方にルールを設けないと、不正利用などが起きる可能性も否めません。
また、法人カードは、事業規模によっても選べるものが異なります。
導入の際は、年会費を比べるだけでなく、自社の活動に活かせる特典が利用できるかも確認するのがポイントです。
「中長期的に法人カード導入を検討しているけどなにからはじめたらいいかわからない」
「法人カードを実際に利用するイメージをつけたい」
「法人カード連携した経費精算システムの導入を検討している」
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