交通費精算で重要なガソリン代の計算方法・経費計上の基本的な考え方を解説
更新日: 2024.10.7
公開日: 2020.5.7
jinjer Blog 編集部
通勤や出張といった移動のために自分の車を使った場合、ガソリン代は全額経費として精算できるのか、どのように計算すればよいのか、悩むことも多いでしょう。
電車代やバス代とは異なり、ガソリン代は曖昧になりやすく、計算の間違いや精算ミスも起こりがちです。
本記事では、交通費精算におけるガソリン代についての考え方や計算方法を紹介します。会社ごとに独自のルールがあるケースも多いため、自社の就業規則を確認しながら読んでください。
「通勤手当の非課税限度額っていくらから対象?」
「交通費精算で領収書が必要な場合と不要な場合って何が違うの?」
「接待に使ったタクシー代ってどの勘定科目になるの?」
「ガソリン代って交通費に含まれるの?」
などなど交通費に関してちょっとした不安や疑問を感じたことはないでしょうか。
交通費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。そこで今回は交通費に関するよくあるQ&Aや経理担当者が知っておくべき交通費の基本知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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目次
1. 交通費精算におけるガソリン代の考え方の基本
そもそも交通費精算とは、仕事のために支払った電車代やバス代などの交通費を会社に請求することです。ここでは、交通費精算におけるガソリン代の考え方について解説します。基本的な内容ですので、しっかりと理解しておきましょう。
1-1. 自家用車のガソリン代
出張や打ち合わせのために自家用車で移動した場合、その分のガソリン代は精算できますが、当然、プライベートの移動にかかったガソリン代は精算できません。ただ、電車代やバス代とは異なり、ガソリン代は仕事で使用した分とプライベートで使用した分を分けるのは難しいでしょう。
そこで多くの会社では、仕事での走行距離に応じてガソリン代を支給する方法がとられています。
ガソリン代は走行距離に応じて支払う会社が多い
たとえば、走行距離1kmあたり10円などと決めておき、出張で100km移動したのであれば1,000円支払うようなイメージです。
ガソリン代は、車の燃費や社会状況によって異なりますので、社員にとって大きな不利益がないように設定することが重要です。
1-2. 社用車のガソリン代
社用車を使う場合は、仕事としての移動であることが前提のため、ガソリン代は全額経費として精算できます。
ガソリン代は全額経費とするのが一般的
社員が給油をしたときは、領収書やレシートを提出させ、その分のガソリン代を支給します。また、社用車の利用が多い会社では、会社名義の給油用クレジットカードを準備し、社員に貸し出しているケースもあるでしょう。
関連記事:経費精算の勘定科目について種類や精算時の注意点を解説
2. 交通費精算におけるガソリン代を求める手順と計算方法
それでは交通費精算の際にガソリン代をどのように計算すべきなのか、一般的な計算方法を紹介しますのでぜひ参考にしましょう。
2-1. 走行距離の計算方法
ガソリン代の計算において、まずは走行距離を正確に求めることが重要です。走行距離は、車載メーターの数値差または地図アプリを用いて確認できます。例えば、出発地点の自宅から到着地点の会社までの走行距離は、車載メーター上の数値の差から求めることが可能です。しかし、従業員の申告がメーター数値のみの場合、経路上の寄り道や小さな違いを防ぐのが難しいため、一貫した測定が求められます。
そのため、Googleマップなどの地図アプリの利用を推奨します。社員から地図付きの通勤経路と共に走行距離を申告してもらうことで、会社側は経路の正確性を確認できます。通勤の片道分の距離が把握できれば、その距離を2倍にして往復分とし、さらに車を使用して出社した日数を掛け合わせて一定期間の総走行距離を算出できます。これにより、ガソリン代の計算がより正確になります。
2-2. 燃費の計算方法
燃費の計算方法について説明します。燃費は車種や使用状況によって変動するため、経理担当者やビジネスパーソンはその違いに留意する必要があります。カタログ上の数値は参考になりますが、実際の使用状況に応じた正確な燃費を知るには、走行距離とガソリン消費量を計測するのが最も確実です。
具体的な方法として、まず出発前にガソリンを満タンにします。そして、一定の走行距離を走った後に再度ガソリンを満タンにすることで、その間に消費したガソリン量がわかります。燃費は「走行距離(キロメートル)÷ガソリン消費量(リットル)」という計算式で求められます。
この方法で燃費を算出すれば、以後は走行距離だけを考慮することでガソリン代の計算が容易になります。ただし、車の経年劣化や条件の変動によっても燃費は変わるため、定期的に再計算するとより正確なデータが得られます。適切な燃費管理は、経費計上の精度向上に寄与します。
2-3. ガソリン代の計算方法
ガソリン代を正確に計算することは、経理担当者やビジネスパーソンにとって重要です。ガソリン代の計算方法は、次の式を用います:使用したガソリン代=走行距離÷燃費×1リットル当たりのガソリン代。この計算方法により、車両の利用コストを明確にし、予算管理に役立てることができます。
ガソリン代を計算する際には、地域や社会情勢によるガソリン価格の変動を考慮することが不可欠です。例えば、従業員が住んでいるエリアのガソリンスタンドの価格や、全国および主要都市の平均価格といった統計データを参考にする方法があります。ガソリン価格は日々変化しますが、毎回の変更は手間がかかるため、定期的に見直すのが現実的です。さらに、ガソリン代の設定を変更する際には、固定的な賃金の変動に該当し、社会保険の随時改定を考慮する必要があります。これにより、経費計上の際の透明性が保たれ、経費管理が効率的に行えます。
3. 通勤のためのガソリン代の計算方法
出張や打ち合わせなどにかかったガソリン代は、基本的には会社に請求できます。ただ、通勤交通費を社員に支払う法的な義務はないため、通勤にかかったガソリン代は支払わない会社や、限度額を設けている会社もあるでしょう。
3-1. 非課税限度額を基準に限度を定めるケースが多い
ガソリン代を請求できる限度額は、会社によって異なります。一律3万円までなどとしている会社もありますが、国税庁が設定する通勤手当の非課税限度額を基準としているケースも多いでしょう。
通勤の非課税限度額
自家用車で通勤している場合の非課税限度額は、通勤距離によって異なります。たとえば、2〜10kmの場合は4,200円、10〜15kmの場合は7,100円、55km以上の場合は31,600円であるため、この金額をガソリン代の上限としているケースも多くあります。[注1]
国税庁:マイカー・自転車通勤者の通勤手当
3-2. 会社独自のルールは就業規則へ記載する
このようにガソリン代の対応は会社によっても要件が異なっていたり、税額や勘定科目に関しても複雑なルールがあったりと戸惑うことが多い経費です。交通費は他にもタクシー代の対応や通勤手当に関する対応など細かな内容も必要になりますが、毎回調べて確認していると時間がかかってしまいます。
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4. 交通費精算後の支給方法
4-1. 全額支給
企業が従業員に対して交通費を全額支給する方法は、経理担当者やビジネスパーソンにとって非常にメリットのある制度です。全額支給とは、通勤や出張などで発生したガソリン代やその他の交通費を、企業が従業員に対して全額補填することを指します。
具体的には、従業員が最初に交通費を一時的に立て替えますが、後でその全額が企業から返金される形です。この方法により、従業員は最終的には一切の金銭的負担を負うことなく、安心して業務に専念できます。通常、この返金は毎月の給料日にまとめて行われますが、場合によっては立て替えが発生するたびに随時支給されることもあります。結果として、従業員の経済的負担を軽減し、企業側も交通費の管理を効率化することが可能です。
4-2. 一律支給
一律支給とは、交通費精算後の支給方法として、就業規定に基づきあらかじめ決められた金額を全従業員に一律で支給する方法です。この方法では、経理担当者がガソリン代の計算方法に関する複雑な手続きを省けるという利点があります。
例えば、車を使用する従業員に対して一律2万円を支給する場合、実際の走行距離や使用したガソリンの量に関わらず、毎月一律2万円を受け取ることができます。この方式は手続きの簡便さが魅力ですが、不公平感が生じる可能性もあります。特に、実際の経費が支給額よりも多い場合、従業員から不満の声が上がることがありますので、適切な支給額の設定が欠かせません。このように、一律支給は交通費精算の手間を減らしつつ、制度設計には慎重な検討を要します。
4-3. 一部支給
交通費精算後の支給方法としての「一部支給」とは、あらかじめ設定された上限や条件に基づき、発生した交通費の一部だけを支払う方法です。
この方式では、例えば1か月の支給上限を2万円と設定すると、実際の交通費が2万円未満であれば全額が支給されますが、2万円を超える場合は超過分が従業員の自己負担となります。このため、経理担当者や一般のビジネスパーソンが一部支給を選択する際は、従業員との信頼関係維持のために公正で明確なルール設定が重要です。自己負担が発生するほど従業員の不満を招きやすいため、予算管理と従業員の負担バランスを適切に見極めることが求められます。
5. 交通費精算時にガソリン代を経費計上する際の注意点
交通費精算時にガソリン代を経費計上する際には、主に二つの重要な注意点があります。経理担当者は、注意点点を押さえておくことで、交通費精算時のガソリン代の経費計上をスムーズに実施することができますので押さえておきましょう。
5-1. 勘定科目は統一して仕訳にまわす
ガソリン代を経費計上する際には、勘定科目の統一が重要です。経理担当者や一般のビジネスパーソンが交通費精算時にガソリン代をどの勘定科目に仕訳するかは自由ですが、車両費や旅費交通費のように異なる勘定科目を選ぶ場合は一貫性が求められます。
会計期間中に統一しないと、お金の流れが不透明になり経営判断が難しくなるほか、税務署から利益操作を疑われるリスクが高まります。そのため、ガソリン代は一度決めた勘定科目を厳守し、全ての会計処理で統一して仕訳にまわすことが不可欠です。これにより、透明性の高い財務処理が可能となり、企業の信頼性も向上します。
5-2. ガソリン代と軽油代は会計処理をわけて運用する
経理担当者や一般のビジネスパーソンの方々にとって、交通費精算時にガソリン代を経費計上する際の注意点として、ガソリン代と軽油代を分けて会計処理することは非常に重要です。ガソリン車と軽油車両の両方を使用している場合、それぞれの費用の計算方法が異なるため、正確な会計処理が求められます。
具体的には、ガソリン代はガソリン本体代にガソリン税や石油税を加え、それに消費税を適用します。一方、軽油代は軽油本体代と石油税に消費税を適用した後、軽油引取税を加える形式です。このように、ガソリン代には関連する税金すべてに消費税がかかりますが、軽油には軽油引取税が不課税であるため、誤って消費税を適用すると過剰計上となります。
このミスが起きると、会社が支払う消費税額に誤りが生じ、仮受消費税から仮払消費税を控除する際に過少申告のリスクが高まります。したがって、ガソリン代と軽油代を正確に分けて管理し、それぞれの消費税の計算方法を理解することが、適切な経費計上において不可欠です。
6. ガソリン代の計算や交通費精算を楽にする方法は?
ガソリン代の計算を簡単にするために、経費精算システムを導入するのもおすすめです。
走行距離1kmあたりのガソリン代などをシステムに事前に登録しておけば、移動距離を入力するだけでガソリン代を計算できるサービスもあります。
社員の計算ミスを防ぎつつ、経理担当者のチェックの負担も軽減できるでしょう。
このように交通費精算は他の経費精算と比べて課題が多く、ミスや不正も起きやすい状況にあります。当サイトで無料配布しております「旅費交通費精算基本知識まとめBOOK」では、旅費交通費に関する起きやすい不正などの課題とそれに応じた解決方法の解説に加え、交通費の業務を効率化する情報もあわせて紹介しておりますので、経理担当者の方には大変参考になる資料となっております。資料は無料ですので、ぜひこちらからダウンロードしてご活用ください。
関連記事:経費精算システムのメリット・デメリット・選び方をまとめて解説!
7. ガソリン代計算のルールを再確認して交通費精算のミスを減らそう!
今回は、ガソリン代の精算における基本的な考え方を紹介しました。
走行距離に応じてガソリン代を支払う会社や、通勤にかかるガソリン代には上限がある会社も多いのですが、精算のルールは就業規則によって異なります。
まずは自分の会社の交通費精算ルールを再確認し、間違いのないようにしましょう。
ガソリン代を含む交通費精算を効率化するためには、経費精算システムの導入もおすすめです。
面倒な計算をする必要がなくなるため、社員の入力ミスを防止でき、経理担当者のストレスも減らせるでしょう。
「通勤手当の非課税限度額っていくらから対象?」
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