領収書の宛名に書く「上様」の意味とは?会社の経費精算・税務上でダメな理由
更新日: 2024.11.15
公開日: 2021.1.12
OHSUGI
領収書を発行してもらうときに、宛名を「上様」にしてもらいたいと申し出る方がいます。
宛名を上様にしている領収書を見ながら「上様ってあんまりよくないって聞くけど、大丈夫かな……」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。
今回は、領収書の宛名に上様を使うことに問題があるのか、問題があるのであれば、どのようなケースが想定されるのかを解説いたします。
「領収書がたくさんあって、管理しきれずに困ってる」
「経費精算の際に、申請書類と領収書のチェックに時間がかかる」
「電子化するためにシステム検討を始めたが、何からはじめたらいいかわからない」
「電子化したいが、電子帳簿保存法をしっかり理解できず困っている」 など領収書管理に関してお悩みではないでしょうか。
法改正もすすみ、中長期的には領収書を電子化することがのぞましいでしょう。
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1. 領収書の宛名に書く上様とは?意味や由来
領収書の宛名で頻繁に使用される「上様」ですが、なぜ使用されているのでしょうか。
上様が使用されるようになった背景として以下の2つの意味に基づいているとされています。
- 尊敬の念を込めた呼び方として古くから使用されていた
- 上得意のお客様に対して使用していた呼称である「上客」が略され
日本では古くから似たような言葉が使用されており、その名残として現在も少し形を変えて残っているため、領収書などで「上様」が使用されるのです。
1-1. 「上様」の読み方
「上様」の読み方は「うえさま」が一般的ですが、「じょうさま」と呼んでも間違いではありません。いずれの読み方でも、主に古風な敬語として使われます。ただし、現代のビジネス文書や公式な書類においては、使用しない方が賢明です。
2. 法人の領収書に上様を使用していいの?
領収書の宛名に「上様」と記載することは現在でも一般的におこなわれています。結論から言えば、宛名「上様」であっても領収書として認められないということはありません。しかし、領収書の宛名を「上様」にすることで、法人の経費精算においていくつかの問題が起きてしまう可能性もあるのです。そのため、なるべく避ける方が良いでしょう。
ここでは、会社としてのリスクを避けるためにも、そもそも領収書の「上様」の記載はどんな点が問題なのかを詳しく次の章で解説します。
3. 会社の経費精算・税務上でなぜ「上様」はダメ?
3-1. 領収書を悪用される可能性がある
宛名が上様であっても原則としては領収書が認められないということはありません。しかし、正確に名前が書かれている領収書と比較すると、証拠としての能力に劣ってしまいます。また、上様であれば誰宛ての領収書かが分からないため、受領者が紛失した際、悪用される可能性があります。領収書を悪用されると思わぬトラブルに巻き込まれかねません。そのため、領収書は上様ではなく正確な宛名が求められます。
3-2. 税務調査をクリアできない可能性がある
宛名が上様の領収書の場合、税務調査をクリアできない可能性があります。例えばすべての領収書の宛名が上様では、税務調査の担当者の心証が悪くなってしまうかもしれません。その結果、税務調査をクリアできない可能性があります。税務調査をクリアするためにも、領収書には宛名を記載するといったルールを徹底しましょう。
4. 例外的に上様が認められる場合がある
領収書は宛名を含めて、発行者や取引日時などが分かることが求められます。しかし、次のようなケースは受取人(宛名)の記載が不要です。
- 小売業
- バス、鉄道といった旅客運送業
- 旅行に関する事業
- 飲食業
- 駐車場業
このような業種からの領収書であれば、宛名が上様であっても問題はありません。
5. 領収の宛名において正しい書き方や訂正する方法
「上様」の記載については、会社の経費精算時にはなるべく利用を避け、正しい記載方法で運用すべきです。
ここからは領収書における宛名の正しい書き方と、訂正したい場合もの対処法を解説します。
5-1. 領収書の宛名には会社の正式名称を記載する
会社や取引先に提出する領収書の宛名には、企業の正式名称を記載するのがマナーとされています。
例えば「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」などを「〇〇(株)」と省略することはやめましょう。社名の最後に御中を書き足すことも忘れないでください。経理担当者が明らかな場合は、所属部門や氏名も記載します。個人事業主の場合、宛名は個人名で問題ないですが、屋号がある場合は個人名の前に記載すると良いです。店側に領収書の発行を依頼する際は、会社名や氏名が記入してある名刺を渡しておけば誤記のリスクが少なくなるでしょう。
5-2. 訂正は発行元に依頼する
自身が書類の受取人になっている場合、もらった領収書の宛名に誤りがあったり記入もれがあったりすることがあるかもしれません。
そんな時、領収書を自分で訂正することはやめましょう。税務調査で不正を疑われてしまう可能性があるからです。発行者による宛名の誤記がある旨を、メモ書きで領収書に沿えておくのがベターです。ほかの項目についても同様のことが言えます。また、自身が領収書を発行する際に書き間違えてしまうこともあるでしょう。その場合、訂正したい箇所に二重線を引いて上部に正しい文字を書き、訂正印を押すのが正しい方法です。修正ペンや修正テープで消すことは認められません。
6. 経理担当者は領収書の宛名において正しいルールを把握しておこう
こちらの記事では宛名で上様を使用する背景や、用途について解説しました。上様の領収書は悪用や税務調査のリスクがあります。もし自分が領収書を発行する側であれば訂正しましょう。
他にも領収書の宛名に関しては法人や個人事業主で記載する方式が異なっていたり、宛名が記載されてないような場合があったりと様々なケースに応じて対応する方法がことなってきます。
ケースに応じた適切な領収書の取り扱いを心がけましょう。
関連記事:この領収書の宛名、問題あり?各ケースと訂正方法を解説
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