試算表の作り方や作成時期、作成時のチェックポイントを紹介
更新日: 2024.7.2
公開日: 2022.8.2
jinjer Blog 編集部
試算表とは、企業の仕訳に間違いがないかを確認するために作る一覧表のことです。試算表を作成すれば企業のお金の動きや経営状態を把握することも可能となります。
ここでは、試算表の具体的な作り方や、作成に適したツールについて解説いたします。また、試算表を作るべきタイミングや、作成の際に注意すべきポイントについても確認していきます。
関連記事:試算表とは?主な役割や作成方法、見方のチェックポイントについて解説
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 試算表の作り方を種類ごとに確認
試算表には合計試算表や残高試算表、合計残高試算表といった種類があります。まずはそれぞれの試算表の作り方や特徴をチェックしていきましょう。
1-1. 合計試算表の作成方法
合計試算表は勘定科目ごとに借方と貸方の合計を集計して作成します。
勘定科目には現金、売掛金や買掛金、借入金、給料などさまざまな科目を記載します。一般的には、試算表の上部には資産や負債、純資産に関するものを並べます。下部には費用や収益をまとめて記載していきます。
こうすれば上部と下部がそれぞれ貸借対照表と損益計算書に対応するので、数値の分析がしやすくなります。また、決算書を作成する際にもスムーズです。
まずは総勘定元帳の借方と貸方、それぞれにある勘定科目の合計額を計算しましょう。その後、合計試算表に転記する方法で作成していきます。勘定科目の左側には借方の金額を、右側には貸方の金額を記入します。
最後に借方と貸方の金額を合計しますが、この合計額は左右で必ず一致します。合計試算表の左右が一致するのは貸借平均の原則によるものです。
金額が一致しなかったときには、どこかに転記ミスや計算ミスなどの間違いがあるということになります。
1-2. 残高試算表の作成方法
残高試算表は、総勘定元帳の勘定科目ごとに残高のみを記載して作成します。合計試算表では借方と貸方の双方に数字を記入しますが、残高試算表はあくまで残高をまとめるものなので、金額は借方または貸方の一方にしか記入しません。
残高試算表を作る際にもまず、総勘定元帳の各勘定科目を確認し、借方と貸方それぞれの合計金額を計算します。続いて、借方の合計金額と貸方の合計金額を比較し、より大きい金額から小さい金額を差し引きます。
この差し引きの残高が、残高試算表に記入される金額ということになります。総勘定元帳に記載されている勘定科目に関して、すべての残高を準に記入しておきましょう。
残高試算表は合計試算表と同じように、借方と貸方の金額が最終的に必ず一致します。合計額を計算したときに数値にブレが生じるときは、転記や計算の段階においてミスが起きているので修正が必要です。
1-3. 合計残高試算表の作成方法
合計残高試算表は、合計試算表と残高試算表を1つの表にまとめたような作りになっています。中央に勘定科目を記入し、その左右に借方と貸方それぞれの合計を、さらに外側にそれぞれの残高を記入します。
合計残高試算表の作成には手間がかかりますが、合計と残高の両方が確認でき便利です。手書きで作成する場合、書類のサイズが大きくなることがあるので注意しましょう。
合計残高試算表の作り方は、合計試算表と残高試算表をそれぞれ作成するときの手順と同じです。まずは総勘定元帳の勘定科目ごとに借方と貸方の合計を計算して合計試算表の部分に転記し、続いて差し引きをして残高を求め、残高試算表の部分に転記します。
2. 試算表を作成する方法
試算表を作成する方法には手書きのほか、Excel(エクセル)などの表計算ソフトを使う方法、会計ソフトを使う方法などが考えられます。また、試算表の作成を税理士に依頼する例もあります。
より手軽に試算表を作成するために、企業の規模や方針に応じた最適な方法を選択しましょう。
2-1. 手書き
かつて試算表は手書きで作成されるのが一般的でした。現在でも、小規模な事業所で仕訳の数がそれほど多くなければ、試算表を手書きで作成しても問題ありません。
手書きの試算表を作成するときには、それぞれの金額を電卓で計算し合計や残高を算出することになります。このとき、間違いが起きないよう丁寧に作成することが重要です。
合計試算表や残高試算表は借方と貸方、勘定科目のみを記入しますが、合計残高試算表を作る場合には借方と貸方それぞれの合計と残高の欄を作るため、用紙の幅が足りなくなる可能性も考えられます。
2-2. Excel(エクセル)など表計算ソフトでの作成
経理書類をExcel(エクセル)などの表計算ソフトで作成する例も少なくありません。
Excelなどの表計算ソフトには、金額を順に打ち込んだ状態で計算式を組めば、即座に合計額や残高を算出できるという良さがあります。専用のソフトを使うのとは違い、費用もそれほどかかりません。
フォーマットを作るのが比較的簡単なのも、Excelなどの表計算ソフトで試算表を作るメリットです。試算表のフォーマットをインターネット上で検索し、ダウンロードして使うこともできます。
ただし、普段Excelなどの表計算ソフトを使わない方には、表を作ったり計算式を組んだりするのは少しハードルが高いかもしれません。
また、Excelなどの表計算ソフトには、間違って削除や上書きをしてしまいデータが失われてしまうリスクもあります。企業がExcelなどの表計算ソフトで試算表を作成するときには、バックアップを取るなど運用のルールを細かく決めておきましょう。
2-3. 会計ソフトを使った作成
近年では、仕訳帳から自動で試算表を作成してくれる便利な会計ソフトが多数リリースされています。
会計ソフトの魅力は、仕訳表や総勘定元帳と紐付けられ、転記が自動でおこなえるという点にあります。システム上で転記をすれば、計算ミスや転記ミスが起きる心配がありません。
ただし、会計ソフトへの仕訳入力は基本的に経理担当者など社内の人員がおこなう必要があります。また、ソフト導入にあたって一定のコストがかかるという点も把握しておきたいものです。
2-4. 税理士事務所への依頼
経理業務に苦手意識をもっている場合には、経理関連の業務を税理士事務所などに依頼するのもいいかもしれません。
税理士事務所では、試算表の作成だけでなく毎月の仕訳帳の作成も依頼できます。また、決算期に相談に乗ってもらうなど、トータルサポートを受けられます。
もちろん、税理士事務所に依頼するとなると費用は多少かさむものです。とはいえ、クオリティの高い経理書類をスムーズに作成してもらえるのはやはり魅力的です。
3. 試算表を作成する時期や、作成時に注意すべきポイント
試算表を作成する時期は明確に決められていません。決算前に作成するという企業もあれば、月ごとや週ごとという短いスパンで作成するという企業もあるものです。
試算表をこまめに作っておけばミスに気づきやすく、取引を振り返ってすぐに修正できます。とはいえ週ごとなど短期間で作成すると日々の作業量はどうしても増えてしまうため、最適なスパンで作成したいものです。
試算表を作成すれば経営の全体像を把握できます。ただし、細かいお金の動きは試算表だけではなかなか確認できないため注意が必要です。より詳しく状況を知りたいときには、資金繰り表などを作成して比較分析をおこないましょう。
4. 試算表が合わない例と対応
試算表が合わないケースとして以下が挙げられます。
- 記入ミス
- 転記ミス
それぞれの事例と対策について解説します。
4-1. 記入ミス
試算表は記入ミスや漏れが発生すると試算表の借方、貸方の結果がズレてしまいます。そのため、仕訳の際に記入ミスや記入漏れが発生していないかを確認しましょう。一人で記入しているとミスには気づきづらいでしょう。そのため、複数人で記入ミスがないかを確認する仕組みづくりが大切です。
4-2. 転記ミス
試算表は総勘定元帳から転記することで作成します。この際の転記にミスがあると試算表の結果が合わなくなってしまいます。転記ミスを防ぐにはチェック体制を整える、ミスがあった箇所について部署で共有して改善に努めるなどが効果が期待できます。
5. 試算表で企業の決算や事業分析に役立てよう
試算表には合計試算表と残高試算表、合計残高試算表という種類があり、それぞれ作成方法が違っています。また、試算表作成に活用するツールも、Excelなどの表計算ソフトや専用の会計ソフトなど、企業によって大きく異なります。
試算表を作成するときには、自社の方針に合う方法を選ぶことが大切です。スマートに試算表を作成し、企業の決算や事業分析に役立てましょう。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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