適切な勤怠管理でトラブルを防ぐ | 承認時に注意すべきポイント
更新日: 2024.9.30
公開日: 2020.1.28
OHSUGI
勤怠管理は従業員の勤務状況を正しく把握し、適正に保つために重要な役割を持っています。そのため、残業が極端に多い、社員が出勤・退勤時間の打刻で不正を働いたなどのケースでは、そのまま承認してしまうことでトラブルになる可能性があります。
適切に勤怠管理をおこなうために、注意すべきポイントを知っておきましょう。
関連記事:勤怠とは?管理方法や管理項目など人事が知っておきたい基礎知識を解説!
遅刻早退や欠勤、残業、有給取得などの申請は、勤怠管理をするうえで欠かせないものである一方、紙で運用していると確認や勤怠の集計などに時間がかかりがちです。
勤怠管理システムであれば、それらの申請承認をウェブ上でおこなうことができ、自動で勤怠実績まで反映されるため、労働時間の集計する工数を減らすことが可能です。
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1. 勤怠の承認とは?
まずは勤怠の承認とは何か、具体的な内容と承認をする人について解説していきます。
1-1. 従業員の勤怠申請を承認すること
従業員の勤務時間や残業時間は、タイムカードや出勤簿などで管理するのが一般的です。給与はこの記録をもとに計算されるため、勤怠の記録は従業員にとっても、企業側にとっても非常に重要です。
しかし、勤怠申請がされるまま給与計算をしていては、申請者の勘違いや記載ミスがある状態で誤った給与が支給される恐れがあります。故意に記録を改ざんする人もいないとは限りません。
そこで必要なのが「勤怠の承認」という作業です。
従業員が記録して申請した勤怠の内容を担当者が確認・承認することで、会社のルールや労働基準法に則った勤怠管理が可能になるわけです。このような一連の流れを勤怠の承認と呼びます。
勤怠の承認を怠ってしまうと給与についてのトラブルにつながりかねません。適切な勤怠を管理するために勤怠の承認は重要なポイントです。
1-2. 勤怠を承認するのは誰?
従業員から勤怠の申請を受けた場合、一般的に上長や管理者が承認します。法律上の定めはないため、どのような人物が承認者になっても問題はありません。
しかし、従業員の給与を決める非常に重要な部分を担当するため、何らかの役職を持っていたり、関連する部署の人がおこなったりするのが妥当でしょう。従業員からの不信感がでない人物を選ぶことも大切です。
誰を承認者にするのか決めたら、承認のルールを明確にしておきましょう。
チェックすべきポイントや承認するための条件はもちろんですが、承認作業の締め切り日も決定しておくとトラブルを回避しやすくなります。
従業員から残業の申請があった際、承認者によって対応にバラつきがあっては勤怠管理に差が出てしまうため、決めたルールは周知することも忘れずにおこないましょう。
2. 勤怠管理も働き方改革への対応が急務
労働環境を大きく見直す「働き方改革関連法」が、2019年4月から順次施行されています。残業や長時間労働にかかわる部分も多い内容なので、勤怠管理も働き方改革への対応が急務です。
2-1. みなし残業と長時間労働の見直し
賃金などにあらかじめ残業代が含まれている「みなし残業(固定残業)」がありますが、これは企業が設定した「みなし残業」の分をあらかじめ残業代として給与に含めて支給する制度です。
しかし、みなし残業の時間を大幅に超えて働いている実態があっても、残業代が一切出ないことがあり、それが問題視されています。社員とのトラブルを防ぐためにもみなし残業の見直しが求められるでしょう。
また、みなし残業制を取っていない企業であっても、極端に長過ぎる残業が続くなどの長時間労働も解決すべき課題であるとされています。長時間労働は従業員の健康を損なう可能性がとても高いからです。
こうした労働時間に関連する課題は、働き方改革において労働環境の改善につながる重要なポイントになっています。
罰則や取り締まりも強化されているため、企業はしっかりと対応していかなければなりません。
2-2. 業務の偏りは勤怠承認時に把握
上記のみなし残業制を採用していたり、長時間労働が続いたりしている企業においては、働き方改革に沿った労働のために勤怠管理で正しい勤務時間を把握する必要があります。
残業が多い、労働時間が長すぎる、業務が偏っているなどのケースは、管理者が勤怠承認時に把握しておけば、働きすぎを予防できます。
有給休暇の取得や時短勤務など労働者の権利を守ろう
「有給休暇を取りたいけれど、休み中に同僚や上司に自分が不在の分負担をかけてしまうのでなかなか取れない」と考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、有給休暇取得も時短勤務も労働者の権利です。いずれも、利用することによって労働者に不利益になることも、労働基準法で禁止されています。
このような従業員に与えられた権利を行使するには、人事が仕事を振り分けて負担の分散をするべきでしょう。
過少申告は承認すべきではない
みなし残業や長時間残業では、実態よりも出退勤時間を過少申告するケースが見られます。勤怠管理は管理者が承認するものですが、もし過少申告を見過ごしてしまうと、企業側がペナルティを科されることがあります。
そのため、過少申告を見つけた場合は承認するべきではないといえます。
2-3. 派遣社員の勤怠承認、責任の所在は?
企業によっては、派遣社員が勤務している部署があることが少なくありません。派遣社員は派遣会社との雇用契約があり、業務内容の指示のみ派遣先の企業がおこないます。
勤務先の企業と直接契約がない派遣社員の勤怠は、派遣会社が管理するのが基本です。しかし、派遣先の企業も管理をおこなう必要があり、勤怠管理の内容については派遣先、派遣元の企業両方に責任があります。
そのため、派遣社員の労働時間が適正でなかったり、残業時間が正しく管理されていなかったりするなど、勤怠管理に問題があった場合は、派遣先と派遣元の両方にとっての問題になります。
罰則が発生するケースもあるため、派遣社員を受け入れている企業は派遣元にすべて任せるのではなく、自社でも労働時間をしっかりと管理しましょう。
2-4. 管理監督者の勤怠は誰が承認するのか?
まず、管理監督者とはどのような人物を指すのでしょうか。
じつは管理監督者には明確な定義や基準がありません。役職で明確にわけるものではなく、業務の内容によって管理監督者であると認められ、反対に管理監督者であるとしていても待遇や地位がふさわしくない場合は認められないケースもあります。
部長や課長など、一定の役職に就く社員を「管理監督者」として扱うことが多く、管理監督者になった場合は残業代の支払い対象外となります。
しかし、一般社員と同等の待遇でも管理監督者とされており、残業代が一切支払われず、長時間労働を強いられる環境が問題視されています。加えて、2019年4月からは管理監督者についても勤怠管理による労働時間の把握が義務化となりました。
管理監督者の勤怠管理も適切におこない、働きに応じた待遇と労働時間の管理が求められているわけですが、この管理監督者の勤怠も承認しなければなりません。
管理監督者の勤怠承認は誰がおこなうか定められていませんが、一般的には人事や労務担当者がおこなうことになります。
3. 勤怠管理に承認印は必要?
勤怠管理は、企業によってさまざまな方法があります。いずれの方法でも勤怠管理では承認が必要となりますが、勤怠管理システムを使うケースなど、利用する方法によっては承認印が不要となることもあります。
3-1. タイムカードやエクセルによる勤怠管理
出勤・退勤時にタイムカードをタイムレコーダーに通して打刻する方式はアナログではありますが、以前から多くの企業で利用されている比較的メジャーな方法です。
タイムカード方式では、一般的に1ヵ月分の打刻された每日の出勤・退勤時間を労務管理者や上司がチェックして承認印を押すことで内容を把握したことを記録します。企業には勤務時間の把握は必要ですが、その方法は特に決められていないため、承認印は必ずしも必要というわけではありません。
エクセルを利用して勤怠管理をおこなう企業もあります。この場合も同様に電子印鑑で済ませても問題はありませんが、いずれの方法にしても内容を確認したことを示すために承認印があった方がいいでしょう。
不正、改ざん、生活残業は承認時に見抜こう
残業をしたにもかかわらず、勤怠管理上では定時退社となっているケースは、タイムカード打刻やエクセル上で不正や改ざんがおこなわれていることがあります。生活費を稼ぐために残業代を稼ぐ「生活残業」の場合も、不必要な残業で残業代が発生してしまいます。
このような不正や改ざん、生活残業は、詐欺として取り扱われることがあり、悪質なケースでは社員が懲戒解雇となることもあります。
しかし、労務管理者側が社員の不正を見抜けない場合は企業側に非があり、懲戒解雇処分が認められない判例もあるほどなので、不正は必ず承認時に見抜かなければならないのです。
3-2. ICカード打刻なら承認印は不要
近年、勤怠管理システムでおこなう企業も増えています。勤怠管理システムでは、労働者がICカードを読み取るだけで出勤・退勤時刻を記録できます。
このような勤怠管理システムでは、社員すべてに新たなカードを用意する必要なく、交通系ICカードや電子マネーなど社員手持ちのICカードを活用できます。利用する社員にとっても、每日持ち歩くICカードを使って打刻ができるため、利便性が高い方法です。
記録されたデータは勤怠管理システムで自動的に集計されるため、打刻ミスや改ざんの心配もないため承認印は必要ありません。
4. 勤怠の承認フローを効率化する方法
タイムカードやエクセルでの勤怠管理は、業務内容や部署によっては承認フローが複雑化することがあります。労務の負担を減らすためには、承認フローの効率化がポイントとなってきます。
4-1. 改善点や課題を洗い出して対応する
勤怠の承認の効率が悪いと感じていたり、時間をもっと短縮させたいと考えていたりする場合は、そうした改善点や課題を洗い出すことから始めましょう。
たとえば、承認までに時間がかかりすぎている場合は、ボトルネックになっている部分を見つけ出すことから始めます。タイムカードや勤怠データの提出が遅いのか、それとも確認作業に時間がかかっているのか、問題が分かれば対応も見えてきます。
一つずつ問題点を解決していくことで労務や承認者の負担が減り、業務の効率化も進むでしょう。また、プロセスを見直して余分な業務を削減し、承認フローをシンプルにすることも可能になります。
4-2. 勤怠管理システムを導入する
勤怠管理システムでは、スマホやタブレットですばやく打刻できます。とくに朝の忙しい時間帯は、その日の仕事のことで頭がいっぱいになってしまい、ついつい打刻を後回しにしてしまう社員が少なくありません。
スマホやタブレットに対応した勤怠管理システムなら、専用アプリにログインするだけで、後は1クリックで簡単に打刻できます。SlackやChatworkのようなチャットアプリと連携している勤怠管理システムであれば、始業前のちょっとした業務連絡のついでに打刻するといった使い方もできます。
最近注目を集めているのが、GPS機能を使って打刻できる勤怠管理システムです。タブレットやスマホのGPS機能を使い、打刻と同時に従業員の位置情報を送信してもらうことで、打刻した時間と場所の両方を取得します。勤怠管理システムが自動で記録してくれるため、原則的に打刻漏れが発生しません。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
5. 勤怠承認は電子化やシステムの導入で正確かつスムーズに進めよう
働き方改革により、従来の働き方や勤怠管理では対応できない状況も出てきています。現在の働き方にマッチした勤怠管理をおこなうためには、効率的に承認を進める必要性も重要視されてきています。
さまざまな働き方に対応し、かつ承認もスムーズにできる勤怠管理システムは、適切な勤怠管理のために導入が推奨されるものといえるでしょう。
関連記事:勤怠申請の必要性と勤怠管理が簡単になるおすすめのシステムについて
遅刻早退や欠勤、残業、有給取得などの申請は、勤怠管理をするうえで欠かせないものである一方、紙で運用していると確認や勤怠の集計などに時間がかかりがちです。
勤怠管理システムであれば、それらの申請承認をウェブ上でおこなうことができ、自動で勤怠実績まで反映されるため、労働時間の集計する工数を減らすことが可能です。
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