代休とは?振替休日との違いや割増賃金の計算方法を解説
更新日: 2026.5.21 公開日: 2021.9.6 jinjer Blog 編集部

従業員に休日出勤をさせたあと、ほかの日に従業員を休ませる取り扱いを代休といいます。しかし、単に休ませれば良いだけではなく、付与のルールや割増賃金の有無など、気をつけるポイントが多々あります。似た制度である振替休日との違いも重要です。
本記事では、代休の基本的な仕組みや割増賃金の取り扱いなど、運用するうえで重要なポイントをわかりやすく解説します。
勤怠管理や給与計算でミスしないためにも、代休のポイントを押さえましょう。
人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。
そこで当サイトでは、労働基準法にて定められている内容をもとに、振休や代休など休日を取得させる際のルールを徹底解説した資料を無料で配布しております。
「休日出勤させた際の対応を知りたい」「代休・振休の付与ルールを確認したい」という人事担当者の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 代休の定義


代休を理解するには、法律上の定義を正しく押さえる必要があります。代休の意味や目的、取得した場合の割増賃金の取り扱いを解説します。
1-1. 代休とは
代休とは従業員に休日出勤を命じたあと、代わりとして別の労働日を休みにする制度です。
厚生労働省によれば、代休は「休日労働がおこなわれた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするもの」と定義されています。
例えば、日曜日に休日出勤させたあとに従業員と調整し、代わりに翌週の月曜日を休みにする場合が該当します。
代休の取得は労使で話し合って決めるもので、義務ではありません。ただし、労働基準法第35条で、従業員には最低でも週に1回もしくは4週に4回の休日を与えなければならないと定められています。
代休を取得しないと必要な休日の日数が確保できない場合は法律違反となるため、必要な期間内に取得させる必要があります。
1-2. 代休を取得した場合の割増賃金の取り扱い
代休を取得した場合に間違えやすいのが、割増賃金の取り扱いです。代休は休日出勤をしたあとに付与するため、休日勤務をおこなわせた点は変わらず、休日勤務に対する割増賃金を支払う必要があります。
勤務させた休日が法定休日か法定外休日かによって割増率が異なる点にも注意しましょう。法定休日と法定外休日の定義、割増率の違いは次のとおりです。
- 法定休日
法定休日とは、毎週1日または4週間を通じて4日の、従業員に最低限与えなければならない休日です。法定休日に従業員を働かせた場合、35%の割増賃金を支払う必要があります。 - 法定外休日(所定休日)
法定外休日(所定休日)とは、企業が就業規則などで任意に定める、法定休日を上回る分の休日です。週休2日制で法定休日を毎週1日与える従業員の場合、一方の休日は法定外休日に該当します。
法定外休日に労働させた結果、その週の労働時間の合計が法定労働時間である週40時間を超えた場合、その超えた時間分に対して、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
代休はあくまで従業員に休息の機会を与える措置であり、割増賃金の支払いを免除する効果はないため注意しましょう。
関連記事:所定休日と法定休日の違いや運用ルールを分かりやすく解説
2. 代休と振替休日の違い


代休とよく似た制度に振替休日があります。休日と労働日を交換する点は同じですが、法律上は異なる制度です。
実務でも間違えやすい、代休と振替休日の違いを解説します。
2-1. 定義の違い
振替休日は、休日に従業員を勤務させる前に、あらかじめ労働日と休日を入れ替える制度です。例えば「次の日曜日に出勤してもらう代わりに、翌日の月曜日に休みを与える」と事前に従業員と決めた場合が該当します。
振替休日の場合、労働日と休日が入れ替わるため、本来は休日であった日に勤務をさせても休日出勤には該当しません。
一方、代休は休日出勤したあと、別の日を休みにする制度です。働いた日が所定労働日になるわけではなく、休日出勤には変わりません。
振替休日と代休は、休みを指定するタイミングの違いとして理解されがちですが、別の制度と理解しておきましょう。
関連記事:振休(振替休日)と代休の違いは?定義をわかりやすく徹底解説!
2-2. 割増賃金の違い
代休と振替休日では、割増賃金の取り扱いが次のように異なります。
- 代休:休日出勤に対する割増賃金の支払いが必要
- 振替休日:休日出勤ではないため割増賃金の支払いは不要
ただし、振替休日の場合も、休日を別の週に取得させる場合は注意が必要です。休日の振替によって週の労働日が1日になった結果、1週間の労働時間が40時間を超えた場合は、越えた分に対する割増賃金を支払わなければなりません。
割増賃金の違いは実務で最も間違えやすく、トラブルにつながりやすい点です。休日出勤の代わりに別の日を休ませる場合は、代休と振替休日の区別をつけ、割増賃金の有無を判断しましょう。
3. 代休の運用方法

代休は労使間の合意か労働契約上の根拠がなければ付与できず、割増賃金も影響するため、事前に運用ルールを定めておく必要があります。従業員とのトラブルを発生させないよう、代休の具体的な運用方法を解説します。
3-1. 就業規則に定める
代休を与える場合がある旨は、あらかじめ就業規則に定めなければなりません。
代休は労働契約で定められた休日を変更する制度のため、運用には契約上の根拠が必要です。個別の労働契約書に規定しても問題ありませんが、全従業員に適用される企業のルールとして取り扱うには、就業規則に定める方が現実的です。
「会社は、労働者に休日労働をさせた場合、代休を与えることがある。」などと定めましょう。
3-2. 運用ルールを策定・周知する
規則に定めを追加したら、具体的な運用ルールを策定しましょう。次の項目を決めておきます。
- 取得の手続き
- 申し出先
- 取得の期限
就業規則に細かく定める必要はありませんが、従業員や部署によって差が出ないよう、ルールを明文化しておくとトラブルを防げます。
運用ルールを定めたら従業員へ周知します。代休を取得する従業員だけでなく、決裁者である上司や管理監督者にも運用方法を伝えましょう。
4. 働き方別にみた代休の取り扱い


代休を付与できるのは、通常の勤務体系の従業員だけではありません。昨今では働き方改革の影響もあり、多様な働き方が推進されています。
働き方別にみた代休の取り扱いを解説します。
4-1. パートやアルバイト
正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非正規雇用労働者に対しても、あらかじめ就業規則に定めていれば代休を与えられます。パートやアルバイトの方向けの規則がある場合は、正社員と同様に代休の条文を定めましょう。
なお、代休を付与した場合でも、休日労働の割増賃金の支払いが必要になる点も正社員と同じです。
4-2. 変形労働時間制
変形労働時間制でも、代休は付与できます。変形労働時間制とは、日や週によって所定労働時間の長さを変えられる働き方です。
労働基準法では原則として、法定労働時間である1日8時間・週40時間を超える労働は認められません。しかし変形労働時間制を適用すれば、法定労働時間を超えた時間を所定労働時間として設定できます。
この場合、1ヵ月や1年などあらかじめ定めた期間内で、所定労働時間が法律で決められた労働時間の範囲に収まらなければなりません。
ただし、変形労働時間制は日によって所定労働時間が異なる場合があるため、1日単位の代休も取得する日によって時間数が変わります。有利不利が大きくならないよう、賃金の取り扱いなどに対する個別判断が必要となるケースも生じるでしょう。
変形労働時間制では原則として、休日出勤や代休の付与はあまり想定されていません。変形労働時間制自体がそもそも、事業運営の都合に合わせて勤務日を調整し、事前に提示する制度であるためです。勤務日の提示後、予期しなかったトラブルなどで突発的に休日出勤を命じる必要が生じたなどの事情がない限り、設定した勤務日のとおりに働いてもらうのが原則です。
休日出勤が極力発生しないよう、勤務日を提示する前にあらかじめ従業員と調整し、代休の付与は例外的な取り扱いにとどめましょう。
関連記事:変形労働制でも残業代は出さないとダメ!知っておくべきルールとは
4-3. フレックスタイム制
フレックスタイム制の従業員にも代休は与えられます。フレックスタイム制とは、あらかじめ定められた清算期間中に、総労働時間の範囲内で、従業員が自ら始業・終業時刻を決められる働き方です。
フレックスタイム制は始業と終業時刻を従業員が決められる制度にすぎず、所定労働日や休日は企業があらかじめ決める必要があります。休日と定めた日に労働を命じれば、休日労働の割増賃金を支払う必要があります。
一方、時間外労働は清算期間全体で考える必要があり、所定休日(法定外休日)に労働させても、清算期間全体の労働時間が法定労働時間に収まっているのであれば、割増賃金を支払う必要はありません。
フレックスタイム制は清算期間単位で労働時間を管理するため、清算期間をまたいで代休を取得させると、給与計算が複雑になります。代休は原則として同じ清算期間内に取得するなど、あらかじめルールを決めておきましょう。
関連記事:フレックスタイム制で残業代は減る?残業の考え方や計算方法も紹介
4-4. 裁量労働制
裁量労働制でも代休の運用はできます。
裁量労働制とは、実際の労働時間に関係なく、あらかじめ企業と従業員との間で定めた「みなし労働時間」の分だけ、労働したものとみなして賃金を支払う制度です。裁量労働制は労働時間に関する定めのため、休日に出勤した場合は通常の勤務形態と同様、休日労働として取り扱い、割増賃金を支払う必要があります。
ただし裁量労働制の場合、割増賃金は実労働時間ではなく労使協定で定めたみなし労働時間を用いて計算します。代休を取得した場合も、みなし労働時間にもとづいて支払うべき割増賃金の額を計算しましょう。
関連記事:裁量労働制の残業時間の上限は?知っておくべき注意点を解説
5. 代休に関するよくある質問


代休の運用には労働時間や休日、割増賃金のルールが関係するため、取り扱いに悩むケースが多々発生します。実務で重要な代休に関するよくある質問をまとめました。
5-1. 代休は月またぎで取得できる?
代休は月またぎでの取得も可能です。ただし、賃金の計算に注意しなければなりません。
休日出勤をした月に代休を取得する場合は、休日出勤の割増賃金をその月に支払うだけで済みます。
代休を月またぎで取得させる場合は、休日出勤をした月は休日出勤分の賃金全額を支払い、割増分以外の賃金は代休を取得した月の賃金から控除する必要があります。
例えば、9月に1日だけ休日出勤をし、10月に代休を取得させる場合、9月の休日出勤分の賃金を10月分へ繰り越しはできません。9月分の給与に割増賃金を含めた休日出勤の賃金を支払い、10月分の給与からは代休取得日の賃金を控除する必要があります。
9月に全額を払い、10月で控除しなければならない理由は、賃金の「全額払の原則」を守るためです。
賃金は労働基準法上、労働させた分の全額を支払わなければならないと定められています。9月の休日出勤分を10月まで支払わないと、この全額払の原則に違反します。
月またぎで代休を取得させる場合、代休を取得した月の賃金から控除する処理が忘れられやすいため、あらかじめメモを残しておくなどの工夫をするとよいでしょう。
5-2. 従業員が代休を指定しない場合は?
従業員が代休を指定しない場合は、無理に付与する必要はなく、休日出勤した分の賃金全額を支払いましょう。
代休の取得は法律で義務づけられておらず、法定休日が適切に確保されている限り、付与するかどうかは企業の裁量次第です。
ただし、後々のトラブルを防ぐため、従業員から取得日の指定がなく代休を付与しない場合は賃金の支払いで処理する旨をあらかじめ周知しておくとよいでしょう。
関連記事:休日出勤させて代休なしは違法?割増賃金や振替休日についても解説
5-3. 代休の買い取りはできる?
原則として、代休の買い取りはできません。代休制度の目的は本来、労働日であった日を休日に替えることであるため、買い取りには馴染みません。
従業員が代休の取得を希望しない際は、法定休日が確保されている場合に限り、代休を与えなくても、割増賃金を含めた休日出勤分の賃金を支払えば法律上の問題はありません。
5-4. 欠勤を代休に変えられる?
欠勤を代休に変更する運用は可能ですが、使用者側の一方的な判断だけでは変えられません。
欠勤と代休はもともと別の制度で、それぞれ分けて考える必要があります。法律上も欠勤を代休に変更する根拠は定められていません。
しかし、休日出勤をさせたあとに従業員が欠勤し、労使が合意した場合は、欠勤を代休に変更できる可能性があります。あくまで労使が合意のうえで変更しなければならず、使用者側の一方的な変更は認められません。
欠勤を代休に変更した場合も、休日手当の支払義務はなくならないため注意しましょう。
5-5. 代休と有給休暇の違いは?
有給休暇は、取得した期間の労働義務を免除しつつ、給与を支払う制度です。労働基準法第39条により、6ヵ月以上継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員には年次有給休暇を付与する必要があります。
代休と有給休暇は、付与されるのが休日か休暇かという点で大きく異なります。
- 休日:もともと労働の義務が存在しない日、所定労働日ではない
- 休暇:本来存在する労働の義務が免除された日、所定労働日である
休暇には所定労働時間が設定されており、年次有給休暇の「全労働日の8割以上出勤」を計算する際には、休暇を取得した日も含めて考えなければなりません。
一方、休日は所定労働時間そのものが設けられていないため、労働日や労働時間の計算からは除外されます。
そのほかの違いは次の表のとおりです。
|
比較項目 |
代休 |
有給休暇 |
|
発生するケース |
休日出勤のあと |
従業員の申し出 |
|
従業員が申し出た場合の付与 |
任意 |
必須 |
|
休んだ日の賃金 |
なし |
あり |
このように代休を理解するためには、振替休日や有給休暇との違いを明確にすることが大事になります。そこで当サイトでは、そもそもとなる休日と休暇の違いから、それぞれの種類、取得のルールまでを解説した「休日・休暇ルールBOOK」を無料で配布しています。休日休暇の定義から対応方法まで一通り基本を理解したい担当の方は、こちらから「休日・休暇ルールBOOK」をダウンロードしてご覧ください。
関連記事:休日・休暇とは?違いや種類・賃金の注意点など勤怠管理のポイントを解説
関連記事:年次有給休暇とは?をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介
6. 代休の定義を理解して正しく運用しよう


代休は、休日出勤をした従業員を別の日に休ませる制度です。振替休日や有給休暇と混合しがちですが異なるため、それぞれの定義や位置づけをしっかり区別しましょう。
代休を付与する場合に最も気をつけなければならないのが割増賃金の取り扱いです。そもそも割増賃金が発生するか、適用する割増率など、確認すべき事項が多々あります。
代休の定義やポイントを押さえ、適切に運用しましょう。



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