2021年の大幅な税制改正とは?最新の情報と2025年の確定申告について解説
更新日: 2025.3.11
公開日: 2022.3.11
OHSUGI
新型コロナウイルスの影響を受け、2021年は多くの税制改正がおこなわれました。すでに元の生活に戻りつつありますが、そうした税制改正は2024年の時点では継続しています。
また、リモートワークや副業をはじめとした新しい働き方や、多様化した働き方に対応するために、税率や税制の見直しも頻繁におこなわれています。
本記事ではどのような税制改正がこれまでに実施されたのか、2025年の確定申告についての情報とあわせて解説していきます。
関連記事:所得税とは?納税方法や確定申告が必要な人・不要な人について解説
目次 [非表示]
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1. 2021年の所得税関連の税制改正とは
2021年は、所得税関連の税制改正がいくつも施行されました。傾向としては、新型コロナウイルスの影響を考慮した改正が多くあります。
ここでは2021年に所得税関連で税制改正されたものについて解説していきます。
1-1. 住宅ローン控除の延長
住宅ローン控除とは、マイホームを増改築した際、公庫融資や銀行などの住宅ローンを使った場合に、一定の要件を満たすと適用となる控除です。
元々は、一定の要件に該当すれば、住宅ローンの年末残高の1%相当の所得税が10年にわたって控除されていました。
しかし、消費税10%への引き上げに伴う上乗せ措置として、2019年から2020年12月末(契約締結条件を満たせば2021年12月末)までに入居した場合には、控除期間が3年間延長され、13年間控除されます。
これに加え2021年の税制改正では、住宅ローン減税における控除期間の特例措置が2022年12月末まで延長されました。
これは、あくまで入居期限であるため、注文住宅の場合は2021年9月、分譲住宅の場合は2021年11月までに契約しておく必要があるため、注意しましょう。
1-2. セルフメディケーション税制の見直し
セルフメディケーション税制とは、対象となるOTC医薬品(処方せん無しに購入できる医薬品)を購入した時に適用となる制度です。市販薬の購入費用が年間で1.2万円を超過した場合に課税対象の所得からその金額を差し引くことが可能となります。
セルフメディケーション税制は、医療費控除内に特例として存在する制度です。この制度が利用できる期限は、元々は2021年12月までと定められていましたが、2021年の税制改正により、期限が5年間延長されて2026年12月まで利用できるようになりました。加えて、対象となる医薬品についても一定の見直しがおこなわれました。
1-3. エコカー減税・環境性能割の延長
エコカー減税は、国土交通省が定める環境基準を満たす自動車の購入者に対して、環境性能割と自動車重量税が減税される制度です。元々は2021年4月末で終了予定だった制度ですが、2021年の税制改正により、適用期限が2年間延長されました。そこからさらに延長がされ、2026年3月31日が2024年の時点で提示されている期限です。
現在の燃費基準を達成している車種に限っては2年間の免税が継続されます。
基準を達成していない車種も再度施行される燃費測定試験の基準をクリアすれば、2年間免税が継続します。
また、環境性能割(自動車取得税の代わりに導入された課税制度)もエコカー減税と同様に、元々は2021年3月末で終了予定の制度でしたが、2021年の税制改正に伴い2021年12月末まで期限が延長となりました。こちらも再延長され、2026年3月31日が2024年の時点で提示されている期限です。
1-4. 退職所得課税の適正化
退職所得とは、退職によって一時的に受け取る給与(退職金や退職手当)を指します。退職所得の場合、他の所得とは分けて計算する分離課税の特別措置がされています。
特別な措置理由として、退職所得は「長年の働きに感謝する」という配慮から、税負担の軽減等がされていました。
しかし、近年は短い期間で退職し、転職や起業するケースが増えてきました。
そのため、勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職手当については、1/2課税の適用に上限額が設けられることになりました。
この制度が実際に適用されるのは、2022年以降の所得税からとなっています。
本章で解説したように、税制は細かく改正されており、給与計算をおこなう際や年末調整・確定申告の際にミスが起きやすいため、気を付けて業務に取り掛かる必要があります。
当サイトでは、税金の計算方法や計算時に気を付けるべきポイントなどを解説した資料を無料で配布しております。税金の計算において不安な点がある方は、こちらから「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。
2. 2022年以降の所得税関連の税制改正
2022年からも税制は改正され続けており、さまざまな変化がありました。制度そのものや課税方法の変更、限度額の見直しなど、大きな変化を中心に2024年までの変化を確認しておきましょう。
2-1. 2022年までの変更点
2022年までの変化は子育てに関するものや退職所得に関係するものなどがあります。
子育てに関連する非課税措置
国や自治体などから子育てに関連する助成金や給付金を受けた場合は、雑所得として処理し、確定申告をする必要がありました。
しかし、この見直しがおこなわれてから所得税・住民税ともに非課税として扱われるようになっています。企業がおこなう対応はありませんが、もしも従業員から相談された場合は説明できるようにしておくとよいでしょう。
退職所得の課税方法の変化
こちらも退職者が確定申告をする際の変化であり、企業には直接関係のないものです。しかし、退職金を受け取った人から質問がある可能性があるため、最新の情報を知っておきましょう。
退職所得には、退職所得控除や1/2の制度があります。これまでは勤務年数を問わず「課税退職所得 = (退職金支給額 - 退職所得控除額)× 1/2」という計算式で、」課税退職所得が算出されていました。
しかし、2022年の確定申告からは、勤続年数が5年以下で300万円を超えた部分の退職金には、この1/2が適用できなくなりました。
2-2. 2023年の変更点
2023年は住宅ローンや居住財産の買い替えなどの変化が多くみられます。住宅購入者にとってプラスになる変更もありますが、マイナスになるものもあるので注意しましょう。
住宅ローン控除の適用期限・借入限度額等の見直し
従業員が住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、住宅ローンの残高を元に所得税額から一定の控除を受けることができます。さまざまな条件がありますが、この制度を住宅ローン控除といいます。
この住宅ローン控除は以前からあるものですが、2023年度に適用期限や借入限度額などの見直しがおこなわれました。
住宅ローンの適用期限が4年に延長されたり、控除率が1%から0.7%に変化したり、住宅を購入した人にとっては大きな改正になっています。
居住用財産の買換え等に関する特例等の見直し
マイホームを売却し、新しいマイホームを購入した場合は、特定の条件を満たした場合は売却益の繰延べができるようになりました。
これは売却益が非課税になるわけではありませんが、買い替えた新しい家を将来売却するときまで売却益に対する課税を待つという措置です。
特例であるためさまざまな条件がありますが、所得税に大きく影響する改正のひとつです。
2-3. 2024年の変更点
2024年の所得税関連の変更で注意したいのは、定額減税が実施されたという点です。
定額減税とは、2024年6月から1年間おこなわれるもので、4万円(所得税3万円+個人住民税1万円)を減税する制度です。この定額減税は、企業が年末調整を実施する際に適用させなければなりません。
定額減税は、対象になる人とならない人がいたり、給与所得者の家族も対象になったりするなど、複雑な点も多いです。初めての業務になるため、ミスの内容に実施しましょう。
なお、定額減税については以下の記事で詳しく解説しています。
【2024年6月】定額減税とは?対象者や減税額・給付金をわかりやすく解説
3. 2024年分の所得税の確定申告の提出手順
確定申告は、1年間(1月1日から12月31日)に生じた全ての所得金額と、それに対する所得税額を計算し、納税する手続きを指します。時期は、毎年2月16日〜3月15日の1ヶ月間となっています。
2021年分の確定申告及び納税をする場合は、2022年3月15日までです。
しかし、近年は新型コロナウイルスの影響で延長措置もとっていることが多いため事前に確認しておくと良いでしょう。
ここでは、2021年分の所得税の確定申告の提出手順を順に解説していきます。
3-1. 2025年の確定申告の時期
確定申告の時期は、毎年2月16日〜3月15日の1ヶ月間となっています。ただし、土日祝日に重なる場合はずれ込みます。
それを踏まえると、2024年分の確定申告の期間は、2025年(令和7年)2月17日(月)から2025年3月17日(月)だと思われます。
なお、e-Taxを利用して電子申請をする場合は、会計ソフトによっては事前申告をしておくことができます。これはe-Taxへの申告が可能になった時点で自動的に申告をしてくれるシステムで、確定申告の業務を先に完了しておけば確定申告の1ヶ月という期間に拘る必要がなくなります。
1月中や2月上旬までに確定申告の処理を済ませられる人はぜひ利用してみてください。
3-2. 確定申告方法を決める
確定申告の方法には大きく分けて、青色申告と白色申告の2種類あります。
青色申告の場合は、最大で65万円の青色申告特別控除が受けられる税制上の優遇措置があります。
しかし白色申告と比較すると帳簿の作成方法が複雑になる他、申告できる所得の種類が限られます。
一方の白色申告の場合は、青色申告のような複雑な帳簿作成の必要がないため、簿記の知識がなくても確定申告することができます。その反面、青色申告のような税制上の優遇措置はありません。
節税という観点からみると、青色申告の方がお得となります。
また、近年では会計ソフトを利用することで簿記知識がなくても帳簿を付けることができるようになり、そのことからも青色申告を選択する人は増えています。
3-3. 必要書類の作成
確定申告の提出期日までに必要書類を作成する必要があります。
必要書類は下記の通りです。
- 確定申告書AまたはB
- 本人確認書類(マイナンバーカード)
- 銀行口座が記載されたもの
- 所得を明らかにできるもの(青色申告書、源泉徴収票など)
- 控除証明書(医療費や住宅ローンなど)
また、改正によって、2021年分の確定申告から下記のような変更点があります。
今年度の改正は、確定申告書の作成において重要な内容が多くなっているため、書類作成前に確認しておきましょう。
- 確定申告書に区分欄が追加される
- 確定申告書や決算書などの押印義務がなくなる
- 住宅ローン控除の期間延長及び要件緩和
- ふるさと納税の確定申告手続きが簡素化
- 保育の助成等の非課税措置の適用
これらの中には所得税の減額対象となる変更点もあるので、留意しておく必要があります。
3-4. 確定申告書を提出
確定申告書の提出方法は「税務署の窓口に直接提出または郵送」と「e-Taxを利用して電子申告での提出」があります。2020年分から、青色申告特別控除額が55万円に減額されることになりました。
しかし、複式簿記による帳簿作成(青色申告)などの条件に加えてe-Taxを利用して確定申告をオンライン上で提出することで、今まで通り65万円の控除が受けることができます。
4. 2024年粘度分の所得税の還付金が振り込まれる時期
還付金は、税務署へ窓口や郵送で提出した場合、1〜1ヶ月半程度を目安に入金されることが多いです。
また、税務署から還付金に関する通知ハガキが送られてくるため、おおよその入金予定日を確認することが可能です。
電子申告で提出した場合は、3週間程度を目安に入金されることが多いです。
また、e-Taxにログインして還付金処理状況を確認することもできます。
確定申告後すぐに処理状況を確認することは出来ず、還付申告からおおよそ2週間後に確認することが可能となります。
5. 所得税関連の税制改正は毎年確認して最新の情報で処理しよう
以上、令和3年度(2021年)所得税の税制改正内容と2025年の確定申告の提出手順について紹介しました。
近年の経済社会の変化によって、私たちの働き方が大きく変わろうとしています。
それに伴い社会変化に合わせた税制改正が多くなってきた印象です。
エコカー減税や住宅ローン控除などは、個人事業主でないサラリーマンでも利用できる制度が多いです。
本記事を参考に、より節税ができるように知識を深めていきましょう。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
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