看護休暇とは?企業側のメリットや制度導入時の注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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看護休暇とは?企業側のメリットや制度導入時の注意点を解説

「看護休暇とは?」

「看護休暇を導入する企業側のメリットは?」

「看護休暇を導入する際の注意点を知りたい」

看護休暇について、上記のように疑問や悩みをもつ人事労務の担当者は多いのではないでしょうか。

看護休暇とは、法律で定められた子どもをもつ従業員のための休暇制度です。看護休暇は子どもをもつ従業員のニーズを満たすだけでなく、企業側にも大きなメリットがあります。

本記事では、看護休暇を利用できる条件や企業側のメリットについて解説します。また、看護休暇を導入する際の注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

1. 看護休暇とは法律で定められた子育てのための休暇制度

看護休暇とは、育児休業・介護休業に関する法律で定められた法定休暇のことです。

従業員の子どもが病気やケガをした場合、1日もしくは時間単位で休暇を取得できます。看護休暇は雇用形態や性別を問わず、対象となる子どもをもつ場合に適用可能です。

ただし、以下の労使協定が締結されている場合は、看護休暇の取得を制限できます。

  • 雇用期間が6ヵ月以下の従業員
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

以下の記事に労使協定の締結方法と流れについて詳しくまとめているため、ぜひ参考にしてください。

関連記事:労使協定とは?種類や労働協約・就業規則との違い、届出義務に違反した場合を解説

参照:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第16条|e-Gov 法令検索

参照:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則第34条|e-Gov 法令検索

2. 看護休暇と介護休暇・育児休暇の違い

看護休暇と介護休暇・育児休暇の主な違いは、対象者と休暇日数です。それぞれの違いについて、以下の表にまとめました。

休暇の種類 対象者 休暇日数
看護休暇 小学校就学前の子どもをもつ従業員 子ども一人につき年5日間

(二人以上の場合は最大10日間)

介護休暇 要介護状態の家族をもつ従業員 要介護状態の家族一人につき年5日間

(二人以上の場合は最大10日間)

育児休暇 原則一歳未満の子どもをもつ従業員 原則として一歳の誕生日を迎える前日まで

看護休暇と介護休暇は、対象となる従業員が異なりますが、休暇日数は同じです。一方、育児休暇は、原則一歳未満の子どもを持つ従業員が対象であり、子どもが一歳の誕生日を迎える前日まで休暇を取得できます。

なお、令和6年5月に育児・介護休業法が改正されました。令和7年4月より、看護休暇の名称・対象者などが変更されます。詳しい概要は、以下の厚生労働省のパンフレットをご確認ください。

参照:育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正ポイントのご案内|厚生労働省

3. 看護休暇を利用できる条件

従業員が看護休暇を利用できる条件について、以下の表にまとめました。

対象者 小学校就学前の子どもをもつ従業員
休暇取得の目的 ・子どもの病気やケガによる看病

・子どもの予防接種

・子どもの健康診断

・子どもの通院付き添いなど

看護休暇の対象となる従業員は、小学校に就学する前の子どもをもつ従業員です。子どもの病気やケガによる看病や予防接種・健康診断などを理由に、看護休暇を取得できます。

なお、育児・介護休業法の改正により、看護休暇を利用できる条件が変更されます。以下の記事に法改正のポイントや対応方法についてまとめているため、ぜひ参考にしてください。

関連記事:育児・介護休業法改正のポイントは?2025年施行予定の内容・企業の対応方法

4. 看護休暇は無給か有給か

従業員が看護休暇を取得した場合の賃金について、法律上の定めは設けられていません。したがって、企業側で無給もしくは有給の扱いを定められます。

令和3年度雇用均等基本調査の資料によると、看護休暇を取得した場合に無給と回答した企業は65.1%でした。一方で、有給と回答した企業は27.5%の結果です。

従業員の要望や企業の状況をふまえたうえで、賃金の取り扱いについて判断してください。

参照:令和3年度雇用均等基本調査|厚生労働省

5. 看護休暇を推進する企業側のメリット

看護休暇を推進する企業側のメリットは以下の3つです。

  1. 優秀な人材を確保できる
  2. 定着率の向上につながる
  3. 助成金を受けられる

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

5-1. 優秀な人材を確保できる

看護休暇を推進する企業側のメリットとして、優秀な人材を確保できる点が挙げられます。

企業が長期的に経営を続けるには、人材を確保しなければなりません。看護休暇を推進すると、子育てしながら働ける環境が整っていると認識されるため、子どもをもつ世代から支持されやすいです。

子どもをもつ世代から支持されると、安定して求職者を集められるため、優秀な人材の確保にもつながります。

5-2. 定着率の向上につながる

従業員の定着率の向上につながる点も、看護休暇を推進する企業側のメリットです。

定着率とは、企業に就職してから一定期間を超えて在籍している従業員の割合を指します。従業員の働きやすさを表すため、定着率の数字は高いことが望ましいです。

看護休暇を推進することで、離職を選択する従業員が減少し、定着率の向上が期待できます。定着率を向上できると人材採用に関わるコストの削減や、企業イメージの向上にもつながりやすいです。

5-3. 助成金を受けられる

助成金を受けられる点も、看護休暇を推進する企業側のメリットです。厚生労働省は、育児と仕事の両立をサポートする企業に対して、両立支援等助成金を提供しています。

2024年度の両立支援等助成金では、中小企業の事業者のみを対象とした柔軟な働き方選択制度等支援コースが新設されました。柔軟な働き方を選択できる制度を2つもしくは3つ導入し、従業員が利用することで、助成金を受けられます。

両立支援等助成金に関する詳しい概要は、以下の厚生労働省ホームページをご確認ください。

参照:両立支援等助成金|厚生労働省

6. 看護休暇の利用を促進させる方法

従業員に対し、看護休暇の利用を促進させる方法は以下のとおりです。

  • 看護休暇に関する情報共有をおこなう
  • 看護休暇の取得申請を当日もしくは後日でも可能にする

看護休暇は雇用条件や男女関係なく、対象となる子どもをもつ従業員が制度を利用できます。全従業員が看護休暇の利用条件について把握できるように、書面や社内SNSなどのツールを活用して情報共有をおこないましょう。

また、看護休暇の取得申請は、柔軟な対応も求められます。子どもの発熱やケガなどは突発的に発生するため、前もって申請することは難しいためです。当日もしくは後日に取得申請が可能になると、従業員も安心して看護休暇を利用できます。

7. 看護休暇を導入する際の注意点

看護休暇を導入する際の注意点は以下の2つです。

  1. 看護休暇の要件を就業規則に記載する
  2. 時季変更権は適用できない
  3. 休暇時間が所定労働時間を超えないようにする

それぞれの注意点について詳しく解説します。

7-1. 看護休暇の要件を就業規則に記載する

看護休暇を導入する際は、看護休暇の要件について就業規則に記載しましょう。看護休暇は、労働基準法89条の1に定められている「休暇」に該当するためです。

就業規則には以下3つの項目を記載する必要があります。

  • 対象となる従業員
  • 看護休暇の取得に必要な手続
  • 看護休暇の期間

以下の記事に就業規則の作成方法についてまとめているため、ぜひ参考にしてください。

関連記事:就業規則の作成方法|記載すべき項目や注意すべきポイントを解説

参照:労働基準法第89条|e-Gov法令検索

参照:就業規則への記載はもうお済みですか‐育児・介護休業等に関する規則の規定例‐|厚生労働省

7-2. 時季変更権は適用できない

看護休暇は子どもの病気やケガなどを理由に取得する休暇制度のため、時季変更権は適用できません。企業側の都合で休暇日を変更することはできないため、導入する際はご注意ください。

以下の記事では時季変更権を適用する条件や注意点についてまとめています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:時季変更権とは?行使するための条件や注意点を徹底解説

7-3. 休暇時間が所定労働時間を超えないようにする

従業員が看護休暇を時間単位で利用する際は、休暇時間が所定労働時間を超えないように管理しましょう。法律により看護休暇を取得できる時間は、所定労働時間に満たない範囲までと定められているためです。

所定労働時間が1時間単位でない場合は、端数を切り上げて計算します。例えば所定労働時間が6時間30分の場合、7時間を所定労働時間とみなさなければなりません。

看護休暇を時間単位で取得する従業員がいる場合は、所定労働時間の計算を間違えないようにご注意ください。

参照:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則第34条|e-Gov 法令検索

参照:子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A|厚生労働省

8. 看護休暇の理解を深めて従業員が働きやすい環境を整えよう

看護休暇は雇用形態や性別を問わず、小学校に就学していない子どもをもつ従業員が利用できる休暇制度です。看護休暇の利用を促進することで、育児と仕事の両立をサポートできます。

また看護休暇の推進は、優秀な人材の確保や定着率の向上、助成金を受けられるなどの企業側のメリットも大きいです。看護休暇に対する理解を深めて、子どもをもつ従業員が働きやすい環境を整備しましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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