給与計算がつらくてやりたくない理由と乗り越えるための考え方
更新日: 2025.6.10
公開日: 2020.12.14
jinjer Blog編集部
人事の業務のなかでも特に正確性が求められるのが「給与計算」です。従業員の労働に対する対価である給与を計算するため、計算をする際に些細なミスや遅延も許されません。
さらに、給与計算は大量の数字を扱うため、細かい作業が苦手な方にとっては業務が苦痛に感じることがあるかもしれません。
本記事では、給与計算をやりたくないと思ってしまう背景を整理し、その気持ちを和らげて、前向きにするための切り替え方をご紹介します。給与計算の業務がつらくなってしまったときは、ぜひ参考にしてみてください。
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算とは?計算方法や業務上のリスク、効率化について徹底解説】
目次
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。

1. 給与計算をやりたくないと思う心理
多くの人が給与計算に対してやりたくないと感じてしまうのは、いくつかの共通した要因が考えられます。ここでは、代表的な理由や心理を掘り下げて見ていきます。ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めてみると良いでしょう。
1-1. 責任が重くミスが許されないプレッシャー
給与計算は従業員の生活に直結するお金を扱い、また従業員から企業への信頼に関わるためミスが許されないという強いプレッシャーがあります。労働基準法や所得税法などの多くの法律知識が要求される高度な業務であり、少しの間違いでも大きな問題に発展しかねません。
また、法律のみでなく就業規則と整合性のある処理を再現度高くおこなわなくてはいけないため、ほかの業務と比べ非常に専門知識や事務処理能力が必要とされる業務です。
例えば、企業が定めた給料日に給与を支払えなかった場合、労働基準法で定められた「賃金支払いの5原則」のうち「一定期日払いの原則」に反するため、違法とみなされることがあります。
このように、専門知識の習得と維持、そして何よりもミスが許されないという責任の重さが、給与計算を「やりたくない」と感じさせる大きな理由の一つです。
「賃金支払いの5原則」や罰則について詳しくは以下の記事にて解説しています。ぜひご覧ください。
関連記事:賃金支払いの5原則とは?例外や守られないときの罰則について
1-2. 定期的な法改正の対応に労力がかかる
前述の通り、給与計算は労働基準法、所得税法、住民税法、社会保険関連法規など、数多くの法律と密接に関連しています。これらの法律は、社会情勢の変化や政策の変更に伴い、毎年のように何らかの改正がおこなわれます。
法改正に対応するためには、まず改正内容を正確に把握し、自社の給与計算実務にどのような影響があるのかを理解しなければいけません。官公庁の発表資料を読み解いたり、専門家のセミナーに参加したり、関連書籍を使った勉強が必要になることもあるでしょう。
そして、給与計算システムの改修や設定変更、従業員への周知など実務への落とし込みも必要です。
1-3. 毎月のルーティンワークで飽きてしまう
多くの業務には、ある程度のルーティンワークが含まれるものですが、とくに給与計算はその傾向が強く飽きが生じやすい業務です。
同じ事務であっても、例えば総務や営業事務のように社内外のさまざまな人とコミュニケーションを取る業務は、給与計算に比べるとまだ飽きにくい傾向にあります。
一方で給与計算は、同じような計算処理を繰り返すことが中心となるため飽きやすい傾向にあります。
もちろん、決められた手順を正確にこなすことにやりがいを感じる方には、給与計算は適した業務です。しかし、そうでない場合この単調さが「やりたくない」という気持ちを生むきっかけになるかもしれません。
1-4. コツコツ作業が苦手
そもそも、数字を扱う細かい作業やコツコツとした作業の多い事務が嫌いな方は、給与計算に向いていない可能性が高いです。自分の適性や好みに合わない業務を続けることは、大きなストレスにつながります。
どうしても給与計算のようなコツコツとした作業が苦手で、気持ちの切り替えもうまくいかない場合は、上司に相談してほかの業務を担当させてもらえないか相談することも必要かもしれません。
1-5. 減点方式で評価されやすく成果が認められづらい
給与計算は、その特性上、「ミスなく正確にできて当たり前」と見なされがちな側面があります。従業員にとって給与が正しく期日通りに支払われることは当然であり、そのために担当者がどれほど細心の注意を払い、多くの工程をこなしているかはあまり意識されません。
その結果、問題なく遂行されている間は評価されることもなく、ミスが発生した場合には厳しい指摘を受ける「減点方式」の評価になりやすい傾向があります。これは担当者にとって大きなモチベーションの低下につながります。
1-6. 将来性やキャリアアップに不安を感じる
近年、AI技術の発展やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により業務の自動化が進んでいます。こうした状況を目の当たりにして、「将来、給与計算の業務はなくなってしまうのではないか」、「キャリアアップにつながるのだろうか」といった不安を感じる方もいるかもしれません。
確かに、単純なデータ入力や計算処理は自動化が進む可能性がありますが、給与計算のすべてがなくなるわけではありません。例えば、複雑な勤怠データの解釈やイレギュラーなケースへの対応、法改正の正確なシステムへの反映などは、人間の判断や専門知識が不可欠です。
とはいえ、「業務がなくなるかもしれない」「成長できないのではないか」という不安や焦りは、モチベーションを低下させ「やりたくない」という気持ちを強める一因となります。
1-7.毎月の定型業務のため特定の日に休みづらい
給与計算は毎月決まった時期に作業が集中するため、特定の日に休みを取りづらくなりがちです。
従業員の給与情報は社内でも特に機密性の高い情報であり、給与計算を担当できる人員は限られている場合が多く、急な休みが取りづらかったり、休むことに後ろめたさを感じたりしがちです。この「休みづらさ」が、給与計算に対するネガティブな感情を抱かせ、「やりたくない」と感じる要因になることもあります。
2. 給料計算をやりたくないと思うときの気持の切り替え方
「給与計算をやりたくない」という気持ちを抱いてしまうことは、誰にでも起こり得ることであり、甘えではありません。しかし、その気持ちにただ流されるのではなく、少し視点を変えたり工夫したりすることで前向きな気持ちになれるかもしれません。ここでは、気持ちを切り替えてモチベーションを上げる方法を4つご紹介します。
2-1. 自分の業務が従業員を支えていると考える
日々、膨大な数字と向き合っているとつい忘れがちですが、給与計算の業務の先には給与を受け取る従業員やその家族の生活があります。給与計算担当者にとっては慣れた毎月のルーティンワークでも、従業員にとって給料日は毎月の頑張りが給与となって現れる待ち遠しい日です。
給与計算が従業員のモチベーションや生活の支えになっていると考えることで、やりがいや意義を見いだせるようになるかもしれません。
2-2. 専門性の高さや責任の大きさを理解する
給与計算は労働関連法規や税法に関する専門知識、そして細部までミスなく業務を遂行する正確性が求められます。そのような業務を任せてもらえているという事実は、あなたに対する企業からの信頼の証と捉えることができるでしょう。
単に「やりたくない業務」ではなく、「専門性を活かせる責任ある業務」と捉え直すことで、業務に対する向き合い方が変わってくるかもしれません。
従業員や企業のお金を動かす業務は、軽々しく誰にでも任せられるものではありません。上司から評価され、信用されていることを自覚し、前向きな気持ちで給与計算に取り組んでみてはいかがでしょうか。
2-3. 目標設定をしてスキルアップに意識を向ける
給与計算にやりがいを見いだすためには、自分なりの目標を設定しスキルアップに意識を向けることが有効です。
給与計算は専門性が高い分野であり、スキルアップの機会も豊富に存在します。関連資格の取得を目指したり、外部研修に参加して新しい知識を学んだりすることも、自身の成長につながります。
スキルアップを実感できれば業務に対する自信も深まり、新たな面白さや意義を見いだせるかもしれません。
2-4. 気分転換をする
集中力が途切れたり、どうしてもやる気が出なかったりするときは、一旦作業を中断して気分転換をすることも有効です。以下のような簡単な方法でも、気持ちをリフレッシュさせる効果が期待できます。
- ストレッチや軽い運動をする
- 15分程度の仮眠をとる
- デスク周りの整理整頓をする
これらの方法は、あくまで一例です。短い時間でも意識的に休息を取り、心身のバランスを整えることが、結果として業務のパフォーマンス向上にもつながります。
2-5. アウトソーシングや給与計算システムを活用する
どうしても給与計算を負担に感じる場合、外部の力を借りるのも解決策の一つです。具体的な方法には、給与計算そのものを外部の専門業者に委託する「アウトソーシング」や、業務を効率化する「給与計算システム」の導入・活用があります。
アウトソーシングを利用すれば、専門知識を持つプロフェッショナルに業務を任せることができるため、法改正への対応漏れや計算ミスといったリスクを大幅に軽減できるでしょう。
加えて、給与計算システムを新たに導入する方法も有効です。既存システムに不便を感じている場合は乗り換えを検討するのもよいでしょう。
勤怠データや会計ソフトと連携できるサービスを選べば、自動計算・自動控除・Web 明細発行などがワンストップで完結し、法改正情報も自動でアップデートされます。活用することで手作業によるミスを減らし、担当者の作業時間を大幅に短縮できます。
3. 給与計算をしたくないときはアウトソーシングの検討もおすすめ
ここまで、給与計算をやりたくないと感じる心理や、気持ちを切り替える方法について紹介しました。しかし、それでもなお「給与計算から解放されたい」「コア業務に集中したい」という思いが強ければ、給与計算そのものを外部に委託する「アウトソーシング」がおすすめです。
3-1. 社会保険労務士や税理士、給与計算BPOなど委託先は多様
給与計算をアウトソーシングする場合、委託先にはいくつかの選択肢があります。それぞれの専門性や提供サービスが異なるため、自社の状況に合わせて最適な委託先を選ぶことが重要です。この章ではそれぞれの委託先の得意分野を紹介するので、自社の規模や業種、委託したい業務範囲、予算などを考慮して、複数の候補を比較検討しましょう。
3-1-1.社会保険労務士
労働関連法規や社会保険手続きの専門家です。給与計算はもちろんのこと、社会保険の手続き、就業規則の作成・変更や法改正への対応にも強く、人事労務全般に関する相談や業務代行を依頼できます。
3-1-2.税理士
税務の専門家であり、所得税や住民税の計算に強みがあります。給与計算に加えて、年末調整や法定調書の作成・提出など、税務関連の業務も一括して委託できる場合があります。
3-1-3.給与計算BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
給与計算を専門に請け負う業者です。大量の給与計算に対応できる体制となっている場合が多く、正確な処理が期待できます。勤怠管理システムとの連携やWeb給与明細の発行など、幅広いサービスを提供している業者もあります。
3-2.法改正対応を専門家に任せられる
給与計算における大きな負担の一つが、頻繁に行われる法改正への対応です。労働基準法、所得税法、社会保険関連法規など、関連する法律は多岐にわたり、その改正内容を正確に把握し給与計算に反映させることは容易ではありません。
給与計算をアウトソーシングする大きなメリットの一つは、煩雑な法改正対応を専門家に任せられる点です。専門家は常に最新の法改正情報を収集しており、その内容を的確に給与計算に反映させるノウハウを持っています。
3-3.年末調整や社会保険手続きなどを一連で委託できる場合も
毎月の給与計算だけでなく、関連する一連の業務もまとめて委託できる場合があります。
代表的な例としては、年末調整が挙げられます。年末調整は従業員の所得税の過不足を精算する手続きであり、多くの書類の確認や複雑な計算が伴います。これをアウトソーシングすることで、担当者は年末の繁忙期における大きな負担から解放されるでしょう。
また、社会保険や労働保険に関する各種手続きも、給与計算と密接に関連しています。従業員の入退社に伴う手続き、算定基礎届や月額変更届の作成・提出、労働保険の年度更新などは非常に煩雑です。
これらを給与計算と合わせて委託することで、ミスを防ぎ担当者の業務効率を向上させることができます。
4.やりたくない給与計算をポジティブに変えていこう
給与計算は、その責任の重さや繰り返されるルーティンワーク、評価のされにくさなどから「やりたくない」と感じやすい業務の一つかもしれません。しかし、その気持ちと向き合い、考え方を変えたり具体的な対策を講じたりすることでネガティブな感情を和らげ、より前向きに取り組むことが可能です。
給与計算を少しでも効率化し、負担を軽減するための方法の一つとして、クラウド型給与計算システム「ジンジャー」の活用もぜひご検討ください。ジンジャーは自動計算でミスの削減、作業時間の短縮に貢献し、給与計算をよりスムーズに進める手助けとなります。
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。



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