給与計算における住民税とは - 住民税の計算方法・納付・注意点について解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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給与計算における住民税とは – 住民税の計算方法・納付・注意点について解説

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給与計算で住民税を算出する場合、給与所得や控除などを理解しておく必要があります。また、給与計算における住民税は、住民票のある市町村や都道府県によって課税される税金額が違うため、事前の確認が必要です。

本記事では、住民税の基礎知識と計算方法、納付や注意しておきたいポイントなどをご紹介します。

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というような悩みをお持ちのご担当者様は多いと思います。

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本資料にて、税金計算のミスを減らしたり、効率化が図れる給与計算システムの解説もあるので、税金計算をミスなく効率的に行いたいという方は、こちらから「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご覧ください。

1. 給与計算で知っておきたい住民税の基礎知識

給与計算において住民税の項目は、毎年5月ごろに届く住民税決定通知書に記載された金額を使って給与を計算します。一方で住民税の計算方法を理解することで、税務知識が高まるだけでなく、従業員から問い合わせの対応や税務申告業務が円滑におこなえます。

まず本章では住民税とは何なのか、基本的な情報を解説します。

関連記事:住民税決定通知書とは?見方や再発行の方法、ふるさと納税との関係も解説!

1-1. 住民税とは

住民税とは個人の所得にかかる地方税のひとつで、「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせた税金を表しています。各自治体の公的サービスに利用される税金で、それぞれ住んでいる都道府県と市区町村に納めます。

住民税を納める先は、その年の1月1日に住民票の籍を置いている自治体です。税額に関しては、前年の1月1日~12月31日までの所得額から算出される点に注意が必要です。市民税と県民税を合わせて市県民税と呼称することもあります。前述の住民税のことを指しており、呼び名が異なるだけです。

地方税

都道府県税

個人県民税
事業税
地方消費税
不動産取得税 など

市区町村税

市区町村民税
固定資産税
軽自動車税
市町村たばこ税 など

1-2. 住民税と所得税の違い

住民税と所得税は、課税のタイミングや対象となる年度が異なります。

住民税は所得のあった年の翌年度に課税され、たとえば2023年の所得に対しての住民税は2024年の6月から納付が始まります。一方、所得税は現年度、つまり所得があった年に課税されます。このため、前年に所得がない新卒社員は住民税が徴収されない仕組みですが、退職した社員は前年の所得に基づいて住民税を支払わなければなりません。

また、2024年度からは両税に特別控除が適用されることが決まっており、合計所得額が1,805万円以下であれば、特別控除の対象となります。

1-3. 住民税の税率(所得割・均等割)

住民税は「所得割」と「均等割」の2つの要素で構成されます。計算式で表すと以下のとおりです。

【住民税(年間)】=【所得割】+【均等割】

「所得割」と「均等割」はそれぞれ以下の考え方に基づき、金額が決まります。

所得割
  • 従業員の前年の所得に応じて課税
  • 標準税率は都道府県民税で所得の4%、市区町村民税で6%と合わせて10%となるように設定されていることが多い
均等割
  • 従業員の所得に関係なく、各自治体で定めた一律の課税金額
  • 標準税率で、都道府県民税1,500円と市区町村民税3,500円を足した5,000円が均等割で課税される

毎月給与から天引きする金額は、所得割と均等割を合算して算出した【住民税(年間)】を12ヵ月分に割ると算出できます。

【住民税(月間)】=(【所得割】+【均等割】)÷ 12

住民税

都道府県民税

所得割:標準税率4%

均等割:1,500円

市区町村民税

所得割:標準税率6%

均等割:3,500円

1-4. 住民税が決まる時期

住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年の1月1日に住民票のある自治体に納付する地方税です。住民税の算出は各自治体がおこない、毎年5月ごろに納付者に通知が送られます。普通徴収の場合は個人宛てに、特別徴収の場合は会社宛てに納付書が届きます。

特別徴収は、前年の住民税が6月の給与から1ヵ月ごとに天引きされる仕組みです。一方普通徴収では、納付書の期日までに3ヵ月ごとに納付します。ただし、年の途中で退職した場合は1ヵ月分ごとの納付となることがあります。届いた納付書に従って納付してください。

2. 給与計算で住民税を計算する方法

住民税の概要を理解いただけましたでしょうか。ここからは住民税の具体的な計算方法を解説します。住民税の計算は大きく次のような流れで進めていきます。

  • 課税標準額の算出
  • 所得割の算出
  • 所得割と均等割を足す

それぞれの計算方法について解説します。

2-1. STEP①「課税標準額」を算出する

課税標準額は、給与所得から所得控除額を差し引いた金額です。この金額が課税の対象となります。

【課税標準額】=【給与所得】-【所得控除額】

  • 給与所得:給与収入(支給額)から給与所得控除を差し引いたもの
  • 所得控除:社会保険料控除や生命保険料控除、配偶者控除、扶養控除などの各種控除

参照:国税庁:No.1410 給与所得控除
参照:国税庁:所得金額から差し引かれる金額(所得控除)

2-2. STEP②「所得割」を算出する

所得割は、課税標準額に所得割の税率をかけたものに、調整控除や配当控除、住宅ローン控除などの控除を引いたものが、都道府県民税と市区町村民税の所得割の金額です。

【所得割】=【課税標準額】×【税率】-【各種控除額】

2-3. STEP③「所得割」と「均等割」を足し合わせる

最後に、STEP②で計算した所得割に、各地方自治体の均等割を足し合わせれば、徴収する住民税が算出されます。

特別徴収の場合は、これを12等分した金額を毎月給与から天引きしていくことになります。

3. 住民税を計算するときの注意点

給与計算で住民税を算出するときには、自治体によって税率が異なっていたり、追加の税金が上乗せされる場合があります。

3-1. 2023年までの復興特別税と2024年から導入の森林環境税

東日本大震災の復興に充てる財源確保のため、所得税と住民税と法人税に復興特別税が上乗せされています。住民税においては均等割に対して上乗せされており、都道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円と500円ずつ上乗せされます。

ただし復興特別税は上乗せされる期間が設けられており、住民税は平成26年度から令和5年度までと定められています。復興特別税と引き換えに2024年から徴収がはじまるのが森林環境税です。住民税の均等割りと併せて、1人年額1000円上乗せして徴収されます。結果的に徴収額は変わりませんが、徴収する項目が変更になる点に注意しましょう。

3-2. 自治体によっては税率が異なる

国税庁により、住民税には標準税率が設定されています。しかし、自治体によって税率は異なるので注意しましょう。例えば、政令指定都市では都道府県民税が2%、市区町村民税が8%です。

基本的には合わせて10%ですが、横浜市は10.025%、名古屋市は9.7%と異なる場合もあります。詳しくは、各自治体で確認しておくと良いでしょう。上述のように、自治体によって異なるため、従業員の引っ越しがある際には所得税の再計算が必要になります。また、所得に応じて税額が変わるので毎年計算が必要になります。従業員が少なければ問題ないかもしれませんが、コア業務と併せておこなうとなると難しいのではないでしょうか。

そのような場合はシステムを導入すると、人事・勤怠システムと連携させることでミスなく漏れなく控除金額を自動で計算してくれるため、時間を取られることもなくなるのでおすすめです。

当サイトでは、給与計算システム「ジンジャー給与」の管理画面のキャプチャ画像を参考に、実際にどのように住民税を算出するかや、システムを連携することでどのように効率化できるか解説した資料を無料で配布しております。システムを導入することで、再計算の手間含め、給与計算業務が効率化されそうだと感じた方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

参照:個人の市民税・県民税について|横浜市
参照:所得割の税率|名古屋市

3-3. 条件によって住民税が非課税になる

住民税は基本的に一定の収入がある場合に課税されますが、一部の条件を満たすことで非課税となることがあります。具体的に条件を把握しておくことで、税負担を軽減できる可能性がありますので詳しく見ていきましょう。

所得割・均等割どちらも非課税になるケース

所得割・均等割どちらも非課税になるケースについては、特定の条件を満たす場合に該当します。具体的には、1月1日時点で生活保護を受けている人や、前年の合計所得が135万円以下の障害者、未成年者、ひとり親、または寡婦(夫)の人が含まれます。

さらに各自治体の条例で定める所得金額以下であれば、非課税の対象となります。例えば、東京23区では、同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合、特定の金額計算をもとにそれ以下であれば非課税となるため、個人の状況によって異なるため注意が必要です。

所得割のみ非課税になるケース

前年の合計所得金額が区市町村で定められた以下の金額内である場合は、「所得割」が非課税となります。生計を同一とする配偶者や扶養親族がいる場合、非課税の条件は次の通りです。

35万円に本人、同一生計の配偶者、扶養親族の合計人数を掛け、その合計が42万円を超えないことが必要です。一方、生計を同一にする配偶者や扶養親族がいない単身者の場合は、前年の合計所得が45万円以下であれば非課税となります。ただし、この非課税の対象となる金額は自治体によって異なるため、住民登録をしている地方自治体への確認が欠かせません。

4. 住民税の納め方は2種類

住民税を納める方法には、特別徴収と普通徴収の2通りがあります。特別徴収は会社側が支払い、普通徴収は個人で支払う形になります。

4-1. 特別徴収

特別徴収は、給与から天引きされる納付方法です。給与の支払い者である会社が従業員の住民税を計算して給与から天引きし、各自治体へ納付する仕組みになっています。

年額を12回に分けて、毎月の給与から支払います。この制度によって、従業員は自分で納付手続きを行う必要がなく、税金の支払いが自動的に行われるため、手間が省けるのが大きなメリットです。

ただし、特別徴収は基本的にその年の所得に基づいて行われるため、年度の途中で転職や退職をした場合は、未納分の住民税が残る可能性があります。このため、転職や退職を予定している従業員は、今後の住民税の支払いに関する確認をしておくことが重要です。

4-2. 普通徴収

普通徴収とは、勤めている会社を通さずに自分で住民税を納付する方法です。対象は個人事業主やフリーランス等の給与所得でない人となります。

また、退職や転職をした場合にも普通徴収となることがあるので、注意が必要です。企業から給与を支払われている従業員は、一定の条件を除いて、特別徴収(給与から天引き)しなければならないと地方税法で定められています。
もし従業員から普通徴収へ切り替えを希望された場合、個々で選択することは認められていないことを伝えましょう。

4-3. 転職や退職する従業員がいる際は注意が必要

転職をした際は、転職前の企業では特別徴収だった場合でも、普通徴収に切り替わる場合があります。

転職者が在職中の場合は、元の会社が必要事項を記入した「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の発行を依頼しましょう。受け取り後、必要事項を記入して、市区町村に提出することで、特別徴収の継続手続きができます。

一方で、転職者が元の会社を退職し、その後会社に属していない期間を経てから入社する場合、その転職者の退職月より手続きが変わります。

退職日が1月1日~4月30日の場合の例 退職した月から5月分の住民税の支払いが残っている状態になります。
これらを退職時の給与や退職金から一括で支払う手続きをとります。
自社から他社へ転職する従業員、もしくは退職する従業員が発生した場合はこの手続きをとりましょう。
退職日が5月1日~5月31日の場合の例 5月分の住民税が残っているのみであるため、通常通り最後の給与から1ヵ月分の住民税が天引きされるのみです。
退職日が6月1日~12月31日の場合の例 従業員に以下の2パターンのいずれかの方法で納税してもらう必要があります。
①退職月から翌年の5月までの住民税を会社を通じて一括で支払う
②普通徴収としてもらう

5. 住民税の納付期限

住民税の納付期限は、普通徴収と特別徴収で異なります。特別徴収の場合、企業が給与から住民税を天引きし、毎月の給与支払い時に納付を行います。一般的には、6月から翌年の5月までの期間に納付が行われます。一方、普通徴収では地方自治体から送付される納付書に基づき、年に数回に分けて個人が自ら納付します。各納付方法の期限を正しく把握しておくことで、納付遅延を防ぎ、円滑な税務管理を実現しましょう。

5-1. 特別徴収の納付期限

特別徴収の納付期限は、企業が従業員の給与から天引きした住民税を、毎月の給与支払日の翌月10日までに納付する必要があります。この期限までに、各区市町村ごとに徴収した住民税の総額を支払わなければなりません。

納付期限を過ぎると延滞税が加算されるため、期限内の支払いが重要です。企業は、従業員の住民税を適切に管理し、期限を守ることが求められます。

5-2. 普通徴収の納付期限

普通徴収の納付期限について説明します。普通徴収は、毎年5月に地元の区市町村から納付書が送付される制度です。納付は年4回に分けて行うことができ、具体的な納付期限は、1期が6月末、2期が8月末、3期が10月末、そして4期は翌年の1月末となっています。

このように、普通徴収では一定の期限に従い、計画的に納付を行うことが求められます。

6. 給与計算で住民税を算出するときは給与所得と所得控除額が必要

給与計算で住民税を算出する際には、前年の給与所得と所得控除の総額が必要です。また、その年の1月1日に住民票を置いていた自治体の税率も確認ください。

また、税率は自治体によっても異なります。詳しくは自治体ごとに確認しましょう。

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【税金計算のミスという不安から解放されたい方へ】

給与計算業務は税務リスクや労務リスクと隣り合わせであるため、

・税額が合っているか不安
・税率を正しく計上できているか不安
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というような悩みをお持ちのご担当者様は多いと思います。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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