給与計算における年末調整の流れと注意すべきポイント3つ | jinjerBlog

給与計算における年末調整の流れと注意すべきポイント3つ

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年末調整は毎年おこなう業務ですが、必要な申請書が多かったり、人によって必要な書類が異なったりと、複雑でわかりにくいでしょう。

年に一度の業務なので、なかなか慣れずに給与計算に手間取っている方もいるかもしれません。

今回は、わかりにくい年末調整の方法や注意点について解説していきます。年末調整のポイントを押さえて、スムーズに業務を進めていきましょう。

1. 年末調整と業務スケジュール

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年末調整の手順を説明する前に、まずは年末調整の基本的な事項をご紹介します。

1-1. 年末調整とは?

年末調整とは、1年間(その年の1~12月)に支払われた給与から「所得税」を算出する手続きのことです。

所得税は1年間の所得に応じて課されるもので、従業員は給与を受け取る際にあらかじめ所得税が差し引かれています。

しかしこの所得税はあくまでも概算となっており、生命保険控除や扶養控除など各従業員の所得控除は考慮されていません。

年末調整では従業員ごとに応じた控除額を考慮の上、その人が本来納めるべき所得税を算出します。源泉徴収額と算出した金額を比較し、差額を返金したり徴収したりすることで正しい支払額に調整していきます。

1-2. 年末調整のスケジュール

以下は年末調整の一般的なスケジュールです。担当者は年末調整以外にも、年間で多くの事務処理を行いますが、今回は年末調整のみピックアップしてご紹介します。

年末調整は、早い企業で10月から準備を始めることが一般的です。企業規模が大きい会社は、従業員数が多いこともあり、その分給与計算する担当者の負担も大きくなります。

また、提出の期限も設けられているため、書類の不備などが原因で期限が過ぎてしまったなど、後々トラブルに発展することのないよう、早めのうちから準備するとよいでしょう。

また、年末調整で必要な書類は以下にまとめているので、興味がある方はご参照ください。

【参照】年末調整に必要な書類は?その種類や揃える方法を解説

上記スケジュールは一般的な会社のスケジュールとなりますが、次にその方法や注意事項をご紹介します。

2. 給与計算における年末調整の方法

年末調整をおこなう際は、どのような流れで手続きを進めていけばいいのでしょうか。ここからは、年末調整の方法についてみていきましょう。

2-1. 年間給与額の算出

まずは、従業員ごとに1年間に支払った給与の総額を計算していきます。後に給与から差し引いた健康保険料や社会保険料、源泉徴収額も使用するため、こちらもご用意ください。

2-2. 控除額を差し引く

次に、給与額から所得控除を差し引いていきます。このときに差し引くのは、以下の2つです。

●給与所得控除額
従業員が仕事をする上で必要な経費。税務署配布の「年末調整のしかた」という冊子や国税庁のサイトで確認可能。

【参照】年末調整のしかた

●所得控除額
社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除・扶養控除・障害者控除・基礎控除など。

所得控除は、11月下旬までに従業員から回収した「給与所得者の扶養控除等申告書」と「給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」をもとに計算していきます。

2-3. 所得税率をかける

給与の総額から所得控除額を差し引いた金額が、所得税の課税対象となります。所得税の税率は所得金額によって変動します。

所得税の税率は、以下のとおりです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 ~ 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 ~ 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 ~ 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 ~ 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 ~ 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 ~ 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

2-4. 住宅ローン控除額を差し引く

所得税を算出できたら、住宅ローン控除額を差し引いていきます。

住宅ローン控除額は、年末の住宅ローン残高に応じて、10年の間一定額が所得税などから控除される制度です。住宅ローン控除お行うと各年最大40万円、10年間で最大400万円の所得税が戻ってくることになります。

住宅ローン控除が必要な場合は、従業員から「住宅借入金等特別控除申告書」を提出してもらう必要があります。ただし、控除を受ける最初の年は従業員自身が確定申告をする必要があるため、事業主が年末調整で控除する必要はありません。

2-5. 源泉徴収額と照らし合わせる

正しい所得税が計算できたら、給与支払いの際に課された源泉徴収額と正しい税額を照らし合わせていきましょう。源泉徴収額が正しい所得税よりも多いときは差額を還付し、少ないときは追加で徴収していきます。

2-6. 必要書類を作成する

計算が完了したら、源泉徴収票を発行して従業員に配布します。源泉徴収票は給与額や控除額を記載した書類で、従業員が転職するときや確定申告のとき、住宅ローンの審査をするときに必要となります。必ず正しい情報を記載するようにしましょう。

また、1月31日までに税務署に提出する「法定調書合計表」や市町村に提出する「給与支払報告書」を作成する必要があります。

3. 給与計算における年末調整の注意点

年末調整をする際は、正しく手続きするために意識したい注意点があります。ここからは、年末調整における注意点についてご紹介していきます。

3-1. 2020年の税制改正による変更に注意

「平成30年度税制改正大綱」と「令和2年度税制改正大綱」により、以下の6つの点が変更になります。

●給与所得控除額の引き下げ
●基礎控除の引き上げ
●所得金額調整控除の創設
●配偶者控除、扶養控除などの合計所得金額要件の見直し
●未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し
●年末調整書式の大幅改訂

改正内容に関しては国税庁のホームページに記載されているので、手続きの際はしっかりと確認しておきましょう。

3-2. 従業員の提出漏れや書類紛失によるトラブル

従業員の提出漏れや書類紛失がある場合、事業主は年末調整で控除をおこなうことはできません。

提出漏れや未回収者への個別連絡やチェック作業のせいで書類作成作業が遅れてしまうもあるため、提出期限や必要書類の周知徹底をおこなうようにしましょう。

もしも書類の提出が遅れる従業員がいる場合は、従業員自身に確定申告をしてもらうことで控除を受けられるようになります。

あらかじめ締め切りを伝えた上で、間に合わない場合は従業員自身に確定申告をしてもらうようにお願いしておきましょう。

3-3. 提出書類は7年間保存しておく

従業員から集められた書類は、年末調整が終わったら会社が保管することになります。適切に保管し、税務調査の際は年末調整の書類を提示できるようにしておきましょう。

提出された書類は、翌年1月10日の翌日から7年間保存することが定められています。

税務調査の際に、人件費の調査は必ずおこなわれます。求められたときに提出できないと問題になるので、しっかりと保存しておいてくださいね。

4. 年末調整の流れを理解してスムーズな給与計算を

年末調整は、正しい所得税を算出して概算の源泉徴収額を比較して過不足分を調整する作業です。

年末調整は、複雑な計算や多量の書類を必要とするため、非常に時間のかかる業務です。流れや注意点をしっかり理解し、スムーズに作業を進められるように準備しましょう。