時短勤務とは?介護・育児(子育て)を支える制度概要とメリット、デメリットを解説
少子化や高齢化により、日本の労働人口は年々減少し続けています。そのため、人材を確保することが最重要課題となっている企業は少なくありません。そこで求められるのが、育児や介護と仕事を両立するための「短時間勤務制度」の導入です。
従業員は、仕事だけでなく、出産や育児・介護などのライフイベントもあるので、仕事と両立できる環境を整えることが大切です。従業員の離職を防ぎ、継続して働いてもらうためには、勤務時間を短くした分を育児や介護にあてられる職場環境を構築する必要があるのです。
ここでは、時短勤務(短時間勤務制度)の概要や導入手順、メリット・デメリットなどを解説していきます。
「社内で時短勤務をした例が少ないので、勤怠管理や給与計算でどのような対応が必要か理解できていない」とお悩みではありませんか?
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目次
1. 時短勤務(短時間勤務制度)とは?
労働時間を通常よりも短くできる制度で、育児や介護のためフルタイム勤務ができなくなった従業員でも働き続けることを支援する目的があります。
1-1. 育児介護休業法により国に定められた制度
時短勤務とは、2009年の「育児・介護休業法」の改正により導入が義務付けられた制度で、所定労働時間を原則1日6時間として短縮勤務することです。
短時間勤務制度は、勤務時間を6時間に短縮することが原則となっていますが、会社によって時短勤務の時間を決めることができます。例えば、業務内容や職種によっては4時間勤務にすることも可能なので、従業員の状況や希望に合わせた労働環境を整えられます。
1-2. 短時間勤務制度が導入された背景
少子高齢化社会に直面する日本では、労働力不足が深刻な問題となっています。また、働く親の増加により、家庭と仕事を両立させる必要性も高まっています。従来の日本企業では、出産や育児、介護といった家庭の責任と仕事の両立を支援する制度が不十分で、これが働き続ける上での大きな障害となっていました。
これを解決するため、家庭生活と職業生活のバランスを保つことを目指し、育児・介護休業法が制定されました。この法律は複数回の改正を経ており、特に短時間勤務制度の導入が進められています。これにより、家庭と仕事の両立を図り、豊かな家庭生活を築きながらも仕事で活躍できる環境が整えられつつあります。厚生労働省も少子化対策の一環として、これらの支援制度強化に力を入れています。
1-3. 育児短時間勤務の導入状況
厚生労働省の調査によれば、育児短時間勤務を導入している事業所の割合は年々増加傾向にあります。具体的には、令和元年度の67.4%から令和3年度には68.9%に上昇しています。
令和1年 | 令和2年 | 令和3年 | |
導入割合 | 67.4% | 68.0% | 68.9% |
また、短時間勤務の最長利用可能期間に関しては、3歳未満が最も多く、次いで小学校就学の始期に達するまでの事業所の割合が高いです。令和3年度のデータでは、3歳未満までの利用を認める事業所が53.6%、小学校就学の始期に達するまでの利用を認める事業所が16.1%でした。
令和1年 | 令和2年 | 令和3年 | |
3歳未満 | 55.7% | 55.7% | 53.6% |
小学校就学の始期に達するまで | 15.3% | 15.0% | 16.1% |
このような背景を踏まえ、企業は育児短時間勤務の導入と運用を検討し、従業員のワークライフバランスをサポートすることが重要になります。
2. 時短勤務導入のメリット
労働時間が短くなれば、子どもや介護者のいる従業員は時間に余裕ができるというメリットが得られます。一方、企業側は業務の引き継ぎや給与計算方法の変更など、さまざまな負担が発生することになりますが、実はメリットもあるのです。
では、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
2-1. 社員の離職を防げる
時短勤務を導入すれば、従業員は家庭と仕事を両立しやすくなるので、離職を防ぐことができます。人手不足が深刻になっている昨今では、求人広告費用もかかってしまいますし、
特に優秀な社員の場合、短時間でも働いてもらい、育児や介護が一息ついた時点で復帰をしてもらえることは、生産性の点からみても企業にとっては大きなメリットです。
また、従業員に寄り添った制度の導入は、満足度もアップするので会社への貢献も期待できるでしょう。
2-2. 社会的評価がアップする
今や働く価値観は変化しており、企業戦士としてばりばり働くというよりはプライベートを重視する人が増えているので、育児や介護に関して理解のある企業は社会的評価がアップするというのもメリットです。優秀な人材を確保するには、仕事内容だけでなく、会社自体の評価というのもとても重要です。
社員を大切にしているというイメージがある会社は、求人への応募も増えますし、提供するサービスへの付加価値にもなるので、事業の発展につながる効果も期待できます。
2-3. ワークライフバランスを保てる
時短勤務制度の導入により、従業員は家庭と仕事のバランスを保ちやすくなります。家庭の責任が大きい従業員にとって、短縮された労働時間は大きな助けとなり、親の介護が必要な家族を持つ従業員も安心して働けます。その結果、労働意欲が向上し、生産性が増加することが期待できます。また、心理的ストレスが軽減されるため、職場環境も改善され、従業員満足度が高まります。
3. 時短勤務のデメリット
時短勤務は、対象の従業員にとってはメリットが感じられやすいですが、会社側や対象外の従業員にとってはデメリットがあるのも事実です。デメリットをしっかり把握しておかないと、対象外の従業員の不満や不公平感が高まってしまうリスクがあるので要注意です。
ここでは、時短勤務のデメリットを解説します。
3-1. ほかの社員の負担が増える
フルタイム勤務していた従業員が6時間勤務になった場合、2時間分の労働をほかの従業員が担当しなければいけません。2時間分の業務負担が増えると、社内で不公平感が生じてしまいやすくなり、社内の雰囲気が悪くなってしまうというデメリットがあります。
とはいえ、時短勤務を利用しにくい雰囲気になってしまうと導入した意味がなくなってしまうので、ほかの従業員の仕事量を把握して、一部の人だけに負担がかからないように調整することが大切です。
ほかの従業員の仕事量が多い場合は、不足した労働力をアウトソーシング化するなど、システム化できる部分はシステムを導入するなどのサポートで負担を減らしましょう。
3-2. 対象外の社員のモチベーション低下
時短勤務は、対象となる従業員にとっては「労働時間が短くなる」「業務負担が減る」などのメリットが得られます。しかし、対象外の社員の中には、必要な制度だとわかっていても、「ずるい」「不公平」などの不満を感じる人がいるかもしれません。
そのため、仕事へのモチベーションが低下するというデメリットがあります。モチベーションが低下すると、生産性が下がったり業務効率が悪くなったりするため、業績に影響がでることも考えられます。
モチベーションの低下を防ぐには、制度の目的の周知を徹底すると同時に、給料の減額や残業をしても割増がないことなど、対象の社員も単に楽をしているわけではないということを周知するのがベストです。
3-3. 対象者にとっては手取りが減る
時短勤務を選択すると、給与が減額されることが多く、経済的な負担となる可能性があります。
例えば、以前8時間フルタイムで働いていた人が勤務時間を6時間に短縮した場合、月給制や年俸制に関わらず、基本給は8分の6に減額されるのが一般的です。具体的には、基本給が20万円の人が時短勤務を選択すると、基本給は15万円に減ります。
これは25%の減少を意味します。また、時短勤務により残業代や諸手当も減少するため、手取り額は基本給の減額分以上に減少することが考えられます。企業の人事担当者やマネージャーにとっては、時短勤務制度のデメリットを理解し、従業員に明確に説明することが重要です。
4. 時短勤務の対象となる条件・適用期間
4-1. 時短勤務の条件は?
時短勤務を利用するためには、企業ごとに異なる条件を満たす必要がありますが、育児介護休業法で以下の5つの条件すべてを満たす必要があります。
- 3歳に満たない子を養育する労働者であること
- 1日の所定労働時間が六時間以下でないこと
- 日々雇用される者でないこと
- 短時間勤務制度が適用される期間に育児休業をしていないこと
- 労使協定により適用除外とされた労働者ではないこと
このような条件となります。なお、時短勤務を正社員だけの制度と考える人も多いですが、この5つの条件を満たしていれば、パートや有期雇用で働く人も利用することができます。このように、時短勤務の条件を理解し、適切に運用することで、企業の人事担当者やマネージャーは労働者の働きやすさを向上させることができます。
参考:改正育児・介護休業法が全面施行されま 全面施行されます!! |厚生労働省資料
フレックスタイム制度とは?
フルタイム勤務よりも自由に勤務できる制度には、「フレックスタイム制度」があります。
フレックスタイム制度は、始業時刻と終業時刻、労働時間を自分の裁量で決められる制度です。
基準となる総労働時間を満たせれば、毎日の勤務時間を自由に調整できます。例えば、「月曜日は時間があるから10時間勤務にする」、「火曜日は介護の関係で5時間しか働かない」といった働き方もできるので、仕事とプライベートの両立が可能になります。
フレックスタイム制度には、「コアタイム」という出勤していなければいけない時間帯があります。しかし、時短勤務の場合は勤務時間を6時間と決めた場合は、毎日6時間勤務しなければいけませんが、フレックスタイム制度の場合はコアタイムに勤務していれば勤務時間を自由に調整できるため、時短勤務よりも自由度が高い働き方ができます。
関連記事:フレックスタイム制とは?清算期間の仕組みやメリット・デメリットを解説
4-2. 時短勤務の適用はいつまで?
時短勤務の適用期間は、「育児」と「介護」で異なるので、担当者の方は正確に把握しておきましょう。
育児時短勤務の場合は、「子が3歳に達するまで」と定められています。厳密にいうと、子どもの3歳の誕生日の前日までが適用となります。
ただし、これは法律で定められている期間なので、企業側が期間を延長することは可能です。独自で延長をする場合には、就業規則に記載しておくことで、従業員の満足度をアップできるでしょう。
介護による時短勤務は、対象の家族1人につき「3年以上の期間で2回以上取得できる」と定められています。つまり、介護時短勤務の適用期間は決まっておらず、「3年以上」取得できるということです。「2回以上」というのは、介護休業を挟めるように取られた措置です。例えば、1回時短勤務を利用して介護休業を取得した後、再度短時間勤務制度を利用できるということなので、従業員から時短勤務解除の申請があるまでが適用期間といえます。
5. 時短勤務の正しい給与計算とは?減給できる?
賃金払いは、「ノーワーク・ノーペイの原則」という基本原則があります。この原則は、「賃金は提供された労働力の対価として支払われるものである」と定義されているので、労働力が減少すれば賃金も減少することになります。
5-1. 時短勤務者の給与は減額して計算する
この原則を時短勤務に当てはめた場合、1日8時間だった労働力が6時間に減少するので、給与を減給するのは当然といえるでしょう。そのため、企業側が時短勤務の従業員に対して賃金を減少させるのは何の問題もありません。
ただし、減給できるのはあくまでも減少した労働力分だけで、時間でいうと2時間分/1日のみです。不当に、必要以上の減給をした場合は「不利益取扱の禁止」に抵触する可能性があるので注意してください。
▼時短勤務の給料に関する詳しい記事はこちら
時短勤務時の給料はどうなる?知っておきたい減額率の考え方
計算方法の例
例として、フルタイム勤務が8時間で、時短勤務が6時間の場合、給与は通常の75%となります。これに基づいて、月給や時給を計算します。
基本給(月額)×月の合計実労働時間÷月の合計所定労働時間
例えば、月額の基本給が20万円の場合です。
基本給:20万円/月
所定労働時間:8時間/日
実労働時間:時短勤務により6時間/日
所定労働日数:20日
計算式は以下の通りです:
200,000円×(6時間×20日)÷(8時間×20日)=150,000円
このように、時短勤務により基本給は20万円から15万円に減少します。
5-2. 残業を免除する場合もある
時短勤務者は、会社の就業規則に記載がある場合、残業免除を請求することが可能です。この請求を行う場合は、書面での申請が必要です。
この請求を行わない場合でも時短勤務者は勤務時間が短いため、基本的に残業が免除されるケースが多いです。
その上で法定内残業や法定外残業を理解しておくことも重要です。法定内残業とは、所定労働時間を超えているが、法定労働時間の範囲内の労働であり、時短勤務においてはフルタイムより2時間少ない6時間が所定労働時間となります。このため、1日に2時間までの残業が法定内残業となり、通常の賃金が支払われます。一方、法定外残業はその範囲を超える労働です。
また、時短勤務では基本的に固定残業代がなくなることが多いです。固定残業代とは、実働時間にかかわらず一定時間の残業を見込んで支払われる制度ですが、時短勤務はそもそも残業が発生しないことを前提としています。そのため、給与が減ることが予想されますので、事前に自身の会社の給与体系を確認し、時短勤務に変更した場合の収入シミュレーションを行うことが重要です。
5-3. 休憩時間は6時間を超える勤務場合のみ控除する
労働基準法に基づき、6時間を超える勤務する場合は休憩時間を提供する必要があります。これは時短勤務者にも適用される原則です。1日の労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間が必要です。したがって、時短勤務でも6時間を超える勤務がある場合は、法的に休憩時間を提供しなければなりません。
時短勤務制度を導入する際は、社員の勤務時間を詳細に確認し、適切な休憩時間を設けることが求められます。例えば、労働時間が6時間以内の場合は休憩を設けなくても違法ではありませんが、従業員の働きやすさを考慮して休憩時間を導入することが推奨されます。
具体的な運用方法として、6時間以上の勤務シフトには明確に45分以上の休憩を設定することが一例です。このように柔軟に対応することで、労働法を遵守しながら従業員の満足度を高めることができます。
6. 時短勤務の導入手順
時短勤務は、「なんとなく必要だから」「義務だからとりあえず」という感覚で導入してしまうと失敗するかもしれません。担当者の方は、なぜ時短勤務が必要なのか、時短勤務を導入することでどのような問題が発生するのかよく考えてから決める必要があります。
ここでは、導入手順を紹介するので、1つ1つの項目をチェックして導入しても問題ないかしっかり検討してみてください。
6-1. 導入目的を明確にする
時短勤務を導入する前に、まずは「何故時短勤務を導入する必要があるのか」を明確にする必要があります。
導入する際は、担当部署だけで決定するのではなく、役員や事業主、ほかの部署の従業員などの賛同を得なければいけないため、全員が納得する目的の提示が必要です。
導入する目的の例として以下のものが挙げられます。
- 出産や育児のタイミングで優秀な人材が退職してしまう
- 部下からの要望があり、多くの社員が現状の働き方に不満を持っている
- 女性社員や役員の割合を増やしたい
現状の課題を特定すると、導入の目的が明確になるため、自信を持って提案することができます。
まずは社員のヒアリングやアンケート調査などをして、現状の課題を明確にすることから始めるといいでしょう。
6-2. 申請方法を定める
目的を決めて、役員や事業主などの賛同が得られたら、次は申請方法を定めます。ここで重要となるのは、煩雑な申請方法にしないということです。手続きが面倒だと、従業員は利用しづらくなってしまいます。
申請書への記入事項や必要書類はできるだけミニマムにして、承認までに時間がかからないようにすることで、従業員の利用を促進できます。申請書には記入例をつけるなどの工夫をすると、手続きがよりスムーズになるでしょう。
また、申請方法を決める際には、申請期限を決めておくのも重要です。時短勤務は、ほかの従業員に仕事を割り振ったり、新たな人材雇用が必要になったりするので、すぐに対応できません。余裕を持って対応するためにも、申請期限は必ず決めておきましょう。
6-3. 業務内容や引き継ぎの調整
時短勤務になると勤務時間が短くなるため、これまでの業務量をこなせなくなってしまうケースがあります。
このような場合は、勤務時間内に業務を終わらせられるように仕事量の調整や業務の振り分けが必要になるでしょう。
また、その際はフルタイム勤務の従業員の仕事量が多くなってしまうかもしれません。
時短勤務になる従業員だけではなく、フルタイム勤務の従業員と一緒にどの程度仕事を担当するのかよく話し合って決めるといいでしょう。
6-4. 時短勤務中の評価方法を決める
時短勤務中には減給するのが一般的ですし、賞与なども減額できます。しかし、業務に関する評価はしなければいけないので、評価方法をしっかりと決めておきましょう。
時短勤務の場合、「働く時間が短いことで低評価になるのではないか」という不安を抱える従業員が多いといわれています。評価が低いと昇進や昇給への影響も考えられるので、短時間勤務制度の利用をためらってしまうこともあるかもしれません。このような不安をクリアにするためにも、評価方法を決めておくことが重要です。
評価方法を決める場合は、上司や担当者だけでなく、対象者と面談をして意見をすり合わせ、双方で納得できる内容にしましょう。
6-5. 就業規則の変更を周知する
時短勤務の導入にあたり就業規則が変更された際は、従業員に周知することが重要です。
時短勤務を希望する対象者だけでなく、全社員に周知することで、すぐに時短勤務を申請する予定がない従業員も安心して働けるようになります。
従業員満足度が高い会社は社員のモチベーションが上がるため、業務効率が良くなるだけではなく、離職率の低下や有望な社員が入社しやすくなるなどのメリットがあります。
7. 短時間勤務制度の導入事例
それでは実際に時短勤務を導入している企業の例にはどんなものがあるのか紹介します。
7-1.【卸売業・小売業】テレワークと短時間勤務を導入した例
ある卸売業・小売業の企業では、社員がストレスなく働ける環境を目指し、テレワーク、時差出勤、短時間勤務制度を導入しました。この企業は1980年代に設立され、社員数は300名以下です。
短時間勤務制度は原則労働時間を定めつつも、個々の事情に応じて柔軟に対応可能です。
テレワークや時差出勤の導入は、社員へのアンケート結果を基に検討されました。この取り組みにより育児中の社員が家庭と仕事の両立を実現し、離職率も大幅に低下しました。現在もアンケートを活用し、さらに働きやすい環境作りに努めています。
7-2. 【金融・保険業】週4勤務制度を導入した例
金融・保険業の企業は、育児や介護による社員の離職防止を目指し、週4勤務制度を導入しました。
1980年代に設立され、社員数約3,000名を有するこの企業は、妊娠や育児、介護に応じた働き方を提供しています。短時間勤務やシフト勤務も整備され、週4勤務制度と併用可能で、多様な労働時間パターンで勤務できます。
さらに、社員の働き方の質を高めるためにテレワーク制度も導入されています。これにより、社員はキャリアを中断せずに継続でき、将来的にフルタイム勤務に戻ることも可能です。週4勤務制度の導入によって、社員はワークライフバランスを保ちながら効率よく業務を行うことができ、社員満足度が向上しました。
8. 短時間勤務から通常勤務へ戻す際のポイント
短時間勤務から通常勤務に戻る際には、計画的な準備と調整が必須です。以下に具体的なポイントを説明します。
8-1. 対象者の家庭環境に配慮する
まず、家庭環境の考慮が欠かせません。時短勤務時には育児・介護や家事など、家族内で役割分担がされていたことが多いです。
フルタイム勤務に復帰すれば、これらの負担が他の家族に影響を与える可能性があります。ライフプランの検討も重要です。個々のキャリア目標や仕事の優先度により、フルタイム勤務に戻る際の準備や対応が異なるためです。キャリアアップを目指すなら、資格取得や研修時間も必要となるかもしれません。育児や介護の部分はファミリーサポートなどの外部サービスの利用も視野に入れましょう。
8-2. 意識的にコミュニケーションをとる
加えて、勤務先とのコミュニケーションが鍵です。フルタイム勤務に戻ると、以前と同様に残業を求められることがありますが、家庭の事情で難しい日もあるのが現実です。そのため、上司やチームメイトと適切な対応を図り、日常的にコミュニケーションを深めることが求められます。
8-3. 派遣社員の場合は派遣元への連携が必要
法律で定められた短時間勤務制度は派遣社員も対象です。希望する場合は派遣元の会社と手続きを進めます。
さらに、1日4~6時間勤務を基本とする時短派遣という選択肢も増えています。自分や家族の生活スタイルに合ったものを検討することが大切です。このようにポイントを押さえることで、スムーズな移行が可能です。
9. 時短勤務は法律を遵守したうえで利用しやすい環境づくりが重要
時短勤務を導入すれば、対象となる従業員は育児や介護と仕事の両立がしやすくなり、企業にとっては従業員の離職を防げるというメリットがあります。ただし、1人の従業員の勤務時間が短くなることでほかの従業員の負担が増えると、時短勤務を利用しにくくなりますし、不満が出てくる可能性もあるため注意が必要です。
時短勤務を気兼ねなく利用してもらうには、フルタイム勤務の従業員の負担が増えないようにする、制度の内容を周知して理解してもらうなどの環境づくりが重要です。また、それぞれの従業員に適した働き方が選択できるよう、リモートワーク制度やフレックスタイム制などの導入を検討してみるといいでしょう。
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