リフレッシュ休暇とは?導入するメリットや事例を解説
更新日: 2025.9.25 公開日: 2024.11.27 jinjer Blog 編集部

「リフレッシュ休暇とは?」
「リフレッシュ休暇を導入するとどうなるの?」
上記のように悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
リフレッシュ休暇とは、従業員の心身をリフレッシュし、新鮮な気持ちで仕事をしてもらうための特別な休暇制度のことです。働き方改革が進み、従業員の心身の健康維持が重要視される昨今では、幅広い業界から注目を集めています。
本記事では、リフレッシュ休暇の特徴や、導入するメリット・デメリットについて詳しく解説します。実際の導入事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。
◆この資料でわかること
- 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
- 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
- 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
- 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点
多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. リフレッシュ休暇とは


リフレッシュ休暇とは、従業員が心身ともにリフレッシュすることを目的とした特別な休暇制度のことです。法律で義務付けられている「法定休日」ではないため、導入の有無や内容は自由に決められます。
リフレッシュ休暇は、勤続年数が一定期間を超えた際に付与されることが多いことが特徴です。とくに、5年目や10年目などの節目に提供する企業が多く見受けられます。
1-1. 法定休暇と法定外休暇の違い・種類
休暇には次のとおり法定休暇と法定外休暇があります。
- 法定休暇:年次有給休暇や介護休業など法律で定められた休暇
- 法定外休暇:病気休暇やボランティア休暇など就業規則によって会社独自で定められた休暇
このうち、リフレッシュ休暇が該当するのは法定外休暇です。そのため、リフレッシュ休暇がない会社も存在します。
リフレッシュ休暇をはじめとした法定外休暇は従業員それぞれの事情に対応できる休暇制度で、労使の話し合いによって設定されます。
法定外休暇を導入することで、従業員のワーク・ライフ・バランス向上や離職防止につながるため、厚生労働省は導入を促進しています。
1-2. リフレッシュ休暇と有給休暇との違い
リフレッシュ休暇と有給休暇との違いは法定外休暇か法定休暇だけではありません。次のような違いもあります。
| リフレッシュ休暇 | 有給休暇 | |
| 目的 | 心身の疲労回復 | 特定の目的はない |
| 取得条件 | 企業ごとに異なる | 入社後6ヵ月経過し、全労働日の8割以上出勤している従業員に対し、最低10日間付与 |
| 給与支払い | 企業の判断に委ねられる | 法律で給与支払いが義務づけられている |
有給休暇中は法律で給与支払いが義務づけられています。一方でリフレッシュ休暇の場合、期間中の給与支払いについては企業の判断に委ねられる点が特徴です。また、有給休暇はすべての企業で同一の取得条件が設けられているのに対して、リフレッシュ休暇の取得条件が企業ごとに異なります。
2. リフレッシュ休暇を導入している企業の割合


厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、リフレッシュ休暇を導入している企業の割合は12.9%であることがわかっています。ただ、以下の表のように企業規模によって大きく異なる点が特徴です。
| 企業規模 | 導入割合 |
| 1,000人以上 | 43.6% |
| 300〜999人 | 29.5% |
| 100〜299人 | 16.3% |
| 30〜99人 | 9.3% |
従業員数1,000人以上の大企業では、43.6%がリフレッシュ休暇を導入しています。業務の代替がしやすく、かつ優秀な人材を確保しやすいためです。
中規模企業(300〜999人)では29.5%、小規模企業(100〜299人)では16.3%でした。さらに小さい規模の企業(30〜99人)では9.3%と、企業規模が小さくなるほど導入率は低下する傾向にあります。
3. リフレッシュ休暇を導入する5つのメリット


リフレッシュ休暇の導入によって企業が得られるメリットは、以下の5つです。
- 従業員の健康・メンタルヘルス対策につながる
- 採用ブランディングや企業イメージアップに寄与する
- 従業員の離職防止・満足度向上ができる
- 従業員のワークライフバランスが向上する
- 従業員のモチベーションを高めて生産性向上できる
それぞれ、具体的に解説します。
3-1. 従業員の健康・メンタルヘルス対策につながる
リフレッシュ休暇を導入するメリットの一つとして、従業員のメンタルヘルスの向上につながることが挙げられます。日常の業務から一時的に解放され、心身をリセットする時間を作れるためです。
特に長時間労働が常態化している職場では、リフレッシュ休暇の導入により従業員の心身の健康維持に大きく寄与するでしょう。
3-2. 採用ブランディングや企業イメージアップに寄与する
リフレッシュ休暇は採用ブランディングや企業イメージアップに寄与します。従業員の心身の健康を重視し、働きやすい職場環境を提供していることを示せるためです。
現代の求職者は給与だけでなく、福利厚生やワークライフバランスにも注目する傾向があります。
株式会社ワンキャリアの調査によると、学生が企業選びで最も重視するのは「働きやすさ」です。リフレッシュ休暇を取り入れることで働きやすさをアピールできれば、優秀な人材を引きつける要素となり得るでしょう。
また、リフレッシュ休暇は企業の社会的責任としての評価も得られる可能性が高いです。消費者や投資家から信頼を得やすくなり、ビジネスチャンスの拡大も期待できるでしょう。
参考:【2025年卒 選考直前調査】企業を選ぶ上での最大の決め手は「企業説明会」|PR TIMES
3-3. 従業員の離職防止・満足度向上ができる
リフレッシュ休暇は、従業員の離職対策にも効果的といえます。
リフレッシュ休暇を実施することで、従業員は「自分たちが大切にされている」と感じられるためです。従業員満足度が向上することで、会社への帰属意識が強まるでしょう。
また、リフレッシュ休暇を導入することで、長時間労働によるストレスも解消できます。心身ともに回復することで、病気による休職や離職を防げるでしょう。
3-4. 従業員のワークライフバランスが向上する
リフレッシュ休暇を導入していれば、従業員は休暇を活用してプライベートを向上させられます。従業員のワークライフバランスは離職や企業イメージ、人材確保など、さまざまな要素に関わる要素です。そのため、リフレッシュ休暇を導入してワークライフバランスの向上を目指せば、企業にはさまざまなメリットが期待できます。
3-5. 従業員のモチベーションを高めて生産性向上できる
リフレッシュ休暇を導入することで、従業員の生産性向上も期待できます。例えば従業員がリフレッシュ休暇によって趣味に没頭することで、心身の疲労をしっかりと回復できます。その結果、仕事のモチベーションが高まり、業務に対する集中力が増すでしょう。
また、休暇取得のために業務の引き継ぎを実施することで、業務フローの見直しや効率化を図るよい機会になります。業務の無駄を削減し、効率的に仕事を進められれば、生産性が向上するでしょう。
さらに、休暇中の新しい経験や活動を通じて、新たなアイデアやイノベーションが生まれる可能性もあります。企業の競争力強化も期待できるでしょう。
4. リフレッシュ休暇を導入する3つのデメリット


リフレッシュ休暇を導入することで企業に起こり得るデメリットは、以下の3点です。
- 業務引き継ぎやカバーに手間がかかる
- 業種や職種によって導入しづらい
- 制度が形骸化する場合もある
以下、それぞれ詳細に解説します。
4-1. 業務引き継ぎやカバーに手間がかかる
リフレッシュ休暇を導入する際の課題の一つとして、引き継ぎ業務に時間が奪われることも挙げられます。不足なく引き継ぎを実施するためには、わかりやすいマニュアルの準備や十分な説明の時間が必要なためです。
また、引き継ぎを受ける側も、新たな業務を短期間で習得する必要があります。双方にとって大きな負担になりかねません。特に、特定の従業員だけが把握している属人化された業務は、引き継ぐ側の負担になってしまうでしょう。
円滑に業務の引き継ぎを実施するためにも、事前に業務プロセスをマニュアル化し、日常的に情報共有をおこなうことが大切です。
4-2. 業種や職種によって導入しづらい
リフレッシュ休暇は業種や職種によっては導入しづらい傾向にあります。例えば中小企業や特定のスキルを持つ従業員が少ない職場では、残された従業員に過度な負担がかかりかねません。リフレッシュ休暇中の従業員の仕事は、勤務中の従業員が担当するため、一時的に人手不足になることも考えられます。そもそもの人手が少ない中小企業はリフレッシュ休暇によって、一時的ではあるものの、人手不足が深刻化しかねません。
4-3. 制度が形骸化する場合もある
リフレッシュ休暇を導入しても制度が形骸化してしまい、取得率が向上しないケースもあります。特に日頃から多くの業務が発生している環境や休暇を取得しづらい環境では、休暇制度が形骸化しかねません。
制度を形骸化させないためにも、休暇取得の推進を図りましょう。
5. リフレッシュ休暇の運用方法


リフレッシュ休暇を企業に導入する際は、以下の4点に注意しましょう。
- 取得条件・付与日数・給与支払いルールを整理する
- 就業規則・規定を作成する
- 従業員に周知する
- 取得しやすい社内環境を作る
それぞれ、具体的に解説します。
5-1. 取得条件・付与日数・給与支払いルールを整理する
リフレッシュ休暇を導入する際は、次のようなルールを明確に規定することが重要です。
- 取得条件
- 付与日数
- 給与支払いの有無
リフレッシュ休暇の取得条件と付与日数として、勤続年数を定めているのが一般的です。例えば勤続3年であれば5日、勤続10年であれば10日といったように、勤続年数に応じて付与日数を決定します。しかし、企業によっては勤続年数に関わらず休暇を付与していため、自社に応じた取得条件、付与日数を検討しましょう。なお、厚生労働省『平成31年就労条件総合調査』によれば、取得日数の平均は5.5日のため、ルール策定の参考にしましょう。
同調査では給与支払いの有無についても発表しています。調査によれば95.9%もの企業がリフレッシュ休暇中でも給与を全額支給しています。
リフレッシュ休暇中に給与を全額支給することで、従業員の制度利用を促進できます。
参考:厚生労働省 | 平成31年就労条件総合調査 結果の概況 労働時間制度
5-2. 就業規則・規定を作成する
リフレッシュ休暇の取得条件や付与日数、給料の有無などルールを決めたら就業規則・規定の作成が必要です。労使間で条件について合意したうえで、作成を進めていきます。
なお、就業規則・規定を作成する際はリフレッシュ休暇の目的に沿った申請ができるようにしましょう。例えば、従業員によっては退職前にリフレッシュ休暇を取得するケースがあります。しかし、リフレッシュ休暇の目的は心身のリフレッシュであるため、次のように取り方を規定してトラブルを防ぎましょう。
- 申請は取得権利が発生した年度に限る
- 申請時に退職することが決まっている従業員は対象外にする
5-3. 従業員に周知する
リフレッシュ休暇制度を導入する際、従業員に周知しましょう。周知が不十分だと、制度が形骸化するおそれがあります。
具体的な内容として、以下の点を明示することが大切です。
- 取得条件
- 日数
- 給与面での取り扱い
制度の詳細について、全員がアクセスできる社内ポータルサイトなどで公開することで、休暇取得を促せるでしょう。
また、説明会やQ&Aセッションを開催することもおすすめです。不明点が解消できるため、より積極的な休暇取得につなげられます。
5-4. 取得しやすい社内環境を作る
リフレッシュ休暇を導入する際は、従業員が取得しやすい社内環境を作ることにも注意しましょう。制度が導入されても取得しにくい環境では、効果的な運用につながりません。
具体的には以下に取り組むことが重要です。
- 管理職が率先して取得する
- 引き継ぎ体制を整備する
- 支援金や報奨金制度を導入する
上司が積極的に休暇を取る姿勢を見せることで、従業員は罪悪感なく休暇を申請できる雰囲気が生まれます。
また、引き継ぎ体制の整備も重要です。日常的に業務の標準化やマニュアル化を進めておくことで、だれもが安心して休暇を取れる環境が整います。
支援金や報奨金制度があると、経済的な不安なく存分に休暇を楽しんでもらえるでしょう。
6. リフレッシュ休暇以外の特別休暇


リフレッシュ休暇以外にも、企業によっては特別休暇を導入しているところがあります。特別休暇とは、法定休暇とは異なり、就業規則で認められた有給休暇です。
特別休暇の代表例は次のとおりです。
- 夏季休暇:お盆の期間(8月中旬)に連続した数日間に取得できる特別休暇
- 病気休暇:体調不良、病気、けがなどで療養が必要な場合に取得できる特別休暇
- ボランティア休暇:社会貢献や地域貢献活動、自然保護活動などに参加する際に取得できる特別休暇
- 教育訓練休暇:従業員の自発的なスキルアップを支援するための特別休暇
- 裁判員休暇:従業員が裁判員制度に選ばれた場合に取得できる特別休暇
- 慶弔休暇:結婚、配偶者の出産、葬儀、告別式などの際に取得できる特別休暇
- 誕生日休暇:従業員の誕生日に1日の休暇を与える特別休暇
厚生労働省の『令和5年就労条件総合調査』によれば、特別休暇を導入している企業は55.0%で、夏季休暇は37.8%もの企業が導入しています。
いずれの特別休暇であっても、取得条件や日数や、給与発生の有無などは企業ごとに異なるため、自社でルールを策定しましょう。
7. リフレッシュ休暇を導入し従業員が働きやすい環境を整えよう


リフレッシュ休暇は、従業員の心身の健康を促進し、企業の生産性やイメージアップに寄与する重要な制度です。適切に運用することで、従業員の離職防止や属人化の解消につなげられます。一方、業務引き継ぎやカバーに手間がかかる、制度が形骸化するなどのデメリットも挙げられます。
導入を成功させるためには、取得の条件やリフレッシュ休暇とは何日の休暇が取得できるのかなどを明確にして従業員に周知し、取得しやすい社内環境を作ることが大切です。例えば管理職が率先して取得する、引き継ぎ体制を整備するといった対策で、従業員の取得を促せます。
さらに、リフレッシュ休暇だけでなく、夏季休暇をはじめとした特別休暇の導入も検討してみましょう。特別休暇の取得条件や日数も企業ごとに異なるため、自社の状況を考慮してルールを策定しましょう。



従業員からの「これって有給?欠勤扱い?」といった質問に、自信を持って回答できていますか。
無給休暇と欠勤の違いや特別休暇との関係など、曖昧になりがちな休暇のルールは、思わぬ労務トラブルの原因にもなりかねないため、正しく理解しておく必要があります。
◆この資料でわかること
- 無給休暇・有給休暇・欠勤の明確な違い
- 間違いやすい、無給休暇取得時の給与計算方法
- 慶弔休暇など、会社独自の「特別休暇」の適切な設定方法
- 会社都合で休業させる場合の休業手当に関する注意点
多様化する働き方に伴い、休暇制度の管理はますます複雑になっていますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
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