給料の締め日とは?支払日との違いや決めるポイント・変更の注意点を解説
給料の締め日とは、給料を計算する対象期間の最終日を指します。支払日とは異なることに注意が必要です。
「締め日を決める際のポイントはあるの?」
「締め日を変更する場合の注意点を知りたい」
など疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、給料の締め日と支払日の違いや決めるポイント、変更する際の注意点を解説します。最後まで読むと、会社で締め日を決める際のポイントや変更する場合に注意すべきことが把握できるでしょう。
目次
1. 給料の締め日とは
給料の締め日とは、1ヵ月分の給与を計算するために、勤務期間を区切った際の最終日を指します。
例えば25日に給料を支払う場合、25日より前の期間で支給に該当する勤務期間を定めなければいけません。
締め日は定めた勤務期間の最終日であり、会社では「◯◯日締め」と表現する場合が多いです。例えば月末締め、翌月末払いであれば、給料は当月末で締めて翌月末に支払われます。締め日は会社によって異なり、従業員であれば「給与明細書」から調べられます。
2. 給料の締め日と支払日の違い
給料の締め日と支払日の違いは、以下のとおりです。
締め日 | 給与計算のために勤務期間を区切った際の最終日 |
支払日 | 実際に給料を従業員に支払う日 |
さらに、給料を支払うタイミングには、大きく分けて以下の2つがあります。
当月払い | 給料の締めと支払いが同月におこなわれる |
翌月払い | 給料を締めた月の翌月に支払いがおこなわれる |
当月払いは、給料を支払う側が締めと支払いを同月におこなう必要があるため、事務処理を迅速にしなければいけません。
一方で翌月払いは、支払う側にとっても事務処理や資金繰りなどの面で余裕が持てるでしょう。
3. 一般的な給料の締め日・支払日はいつ?
一般的な給料の締め日と支払日は、以下のとおりです。
締め日 | 支払日 |
15日 | 25日 |
5日 | 15日 |
一般的に25日が支払日の場合は、15日が締め日であることが多いです。前月の16日から当月の15日までに計算した給与が、25日に支払われます。
15日が支払日の場合は、5日が締め日であることが多いです。前月の6日から当月の5日までに計算した給与が、15日に支払われます。
月末を支払日に設定する場合は、給料日が月によって異なるケースが生じるでしょう。また、昔から25日を支払日に設定している企業が多かったため、一般的には以上の締め日や支払日を設定している場合が多いです。
また、支払日は雇用形態によっても異なります。
雇用形態 | 支払日で多いケース |
正社員 | 25日 |
派遣社員 | 15日・25日 |
アルバイト | 25日 |
雇用形態が異なると、月給制や時給制などの給与形態も異なるため、支払日が変わる場合があります。
4. 給料の締め日や支払日を決める際の3つのポイント
給料の締め日や支払日を決める際のポイントは、以下のとおりです。
- 賃金支払いの5原則を確認する
- 締め日と支払日の間を空ける
- 資金繰りに余裕を持たせる
基本的に締め日や支払日は任意に決められますが、以下の理由から慎重に検討する必要があります。
- 人件費は一度に動かす資金として大きい
- 決め方によっては給料関係の事務処理に負担がかかる
1つずつ見ていきましょう。
4-1. 賃金支払いの5原則を確認する
支払日は、労働基準法第24条の「賃金支払いの5原則」に基づいて決める必要があります。
法律に従わなければ罰則が科されるケースもあるため、初めに「賃金支払いの5原則」を確認した上で適切に設定しましょう。
「賃金支払いの5原則」の詳しい内容は、以下のとおりです。
原則 | 内容 | 例外 |
通貨払いの原則 | 賃金を日本円の現金で支払う | ・金融機関への振り込み
・通勤に使用する定期券の現物支給 ・小切手や郵便為替での退職金の支払い |
直接払いの原則 | 賃金を従業員に直接支払う | ・使者への支払い
・裁判所より賃金の差し押さえがあった場合 |
全額払いの原則 | 賃金を全額支払う | ・法令によって賃金からの天引きが定められているもの
・労使協定によって同意しているものの天引き |
毎月1回以上払いの原則 | 賃金を毎月1回以上支払う | 臨時で支払われる賃金(賞与など) |
一定期日払いの原則 | 賃金を「毎月25日」のように、一定の期日で支払う | ・毎月末日の支払い
・支払日が休日に該当する場合 ・労働基準法内の非常時払い |
以上の「賃金支払いの5原則」を基に、支払日を決定してください。
参考:厚生労働省 | 賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。
関連記事:労働基準法第24条の内容や違反した場合の罰則を詳しく紹介
4-2. 締め日と支払日の間を空ける
締め日と支払日は、間隔を空ける必要があります。担当者は締め日のあとに従業員の給与を計算するため、ある程度間隔を空けなければ、給料を計算する期間が短くなるでしょう。
計算する期間には、打刻ミスなどの対応もおこなう必要があるため、5日ほどの短い期間だと対応が難しい場合もあります。
そのため、締め日と支払日の間は10日ほど空けると、余裕を持って給与計算ができ、ミスも起こりにくいです。従業員の数が多い会社ほど、給料の計算にも時間がかかるため、余裕を持って設定した方が安心できます。
また、締め日と支払日の間に土日や祝日がある場合、計算する期間が短くなるため注意しましょう。しかし、締め日から支払日までが長いと従業員の不満につながりかねません。
4-3. 資金繰りに余裕を持たせる
締め日や支払日を決める際は、資金繰りに影響を与えないように設定しましょう。給料の支払いや仕入れなどが同時期に重なり、支出が多くなると資金不足になる可能性が考えられます。
資金繰りに余裕があれば問題ありませんが、支出のタイミングが重ならないように設定した方が確実です。そのため、入金と支払いのタイミングを考慮しつつ、締め日や支払日を決めましょう。
5. 給料の締め日や支払日を変更する際の3つの注意点
給料の締め日や支払日を変更する際の注意点は、以下のとおりです。
- 就業規則の変更が必要になる
- 社会保険の手続きの関係から4〜6月の変更は避ける
- 従業員へ説明し理解を得る
給料の締め日や支払日は変更できます。しかし、支払日の変更は従業員の生活にも影響を与えるため、配慮が必要です。
以下で1つずつ見ていきましょう。
5-1. 就業規則の変更が必要になる
賃金の締め日や支払日を変更する際には、就業規則を変更し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
就業規則を変更する手続きには、ある程度の時間が必要であるため、余裕を持っておこなうと良いでしょう。
また、「賃金支払いの5原則」では、賃金を毎月1回以上支払うことが定められています。そのため変更する際は、ルールに注意しておこなうことが必要です。
5-2. 社会保険の手続きの関係から4〜6月の変更は避ける
4〜6月に締め日や支払日の変更をおこなうことで、社会保険の手続きが複雑になります。社会保険の保険料は、4〜6月に支払われる報酬をもとに計算するためです。
場合によっては、算定基礎届を記入する際など、通常よりも算定が複雑になる可能性もあるでしょう。
従業員の数が多ければ、さらに算定に負担がかかります。そのため、締め日や支払日の変更は、4〜6月以外がおすすめです。
5-3. 従業員へ説明し理解を得る
給料の締め日や支払日の変更をおこなう場合は、事前に従業員へ説明し、理解を得る必要があります。締め日や支払日の変更は、以下のケースで従業員にも影響があるでしょう。
- クレジットカードの引き落としを支払日に合わせている場合
- 住宅ローンや車のローンを支払日に合わせている場合
従業員の理解を得なければ、不満の声が収まらなくなる可能性があります。
例として、以下を従業員に説明すると良いでしょう。
- 従業員へ影響はあるか
- 変更をおこなう理由は何か
従業員の負担を軽減するため、できる限り速やかに伝えることをおすすめします。
また、場合によっては支給額が少なくなる月が発生するかもしれません。そのため、賞与支給のタイミングに合わせて変更する配慮も必要です。
6. 給料の締め日から支払日までは期間を空けて設定しよう
給料の締め日や支払日を決める際には、「賃金支払いの5原則」を把握した上で適切に設定する必要があります。
資金繰りの面も考慮し、同時期に支払いが重ならないように設定すれば、資金不足のリスクを避けられるでしょう。
また、事務処理の負担を軽減するためにも、締め日から支払日までは期間を空けることをおすすめします。
関連記事:給与計算方法を11ステップに分けて解説!注意点・効率化のポイントも
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