時差出勤とは?フレックスタイム制との違いや注意点を解説
公開日: 2024.11.18 OHSUGI
「時差出勤とは?」
「時差出勤とフレックスタイム制の違いは?」
「時差出勤を導入するメリットやデメリットを知りたい」
時差出勤について、上記のような疑問や悩みをもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。
時差出勤とは、勤務時間帯を前後にずらして働く勤務方法です。時差出勤を利用すると、通勤ラッシュのストレスを緩和できます。また、仕事とプライベートの両立が実現しやすくなるため、従業員の満足度も高まるでしょう。
本記事では、時差出勤の概要やフレックスタイム制との違いについて解説します。また、時差出勤を導入するメリット・デメリットや導入する際の注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。
しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。
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目次
1. 時差出勤とは
時差出勤とは、定められた勤務時間帯を前後にずらして働く出勤方法です。休憩を含む9時間勤務の場合、8時出社だと17時退社、10時出社だと19時退社になります。
時差出勤は、出社する時間を変更するだけで、勤務時間には影響をあたえません。労働時間そのものは変わらないため、ペースを乱すことなく仕事を進められるでしょう。
時差出勤を利用することで、通勤ラッシュのストレスを緩和することが可能です。また、朝や夜の時間を確保しやすくなるため、子育て中の人や家族の介護が必要な人が働きやすくなります。
2. 時差出勤とフレックスタイム制の違い
時差出勤とフレックスタイム制の違いは勤務時間です。
時差出勤はあくまでも出社する時間を変更するだけなので、勤務時間は変わりません。一方、フレックスタイム制は始業時間だけではなく勤務時間も変更できます。ただし、月間で定められた総労働時間を満たすことが条件です。
たとえば、1日の勤務時間を8時間で契約していたとします。フレックスタイム制で6時間勤務の日を設けた場合、ほかの日に2時間分を補えば総労働時間に影響をあたえないというわけです。
それぞれの特徴を理解し、混同しないよう注意しましょう。
3. 時差出勤の3つのメリット
時差出勤のメリットは以下の3つです。
- 従業員のストレスが緩和される
- 従業員の働きやすさが向上する
- 企業のイメージがアップする
それぞれ詳しく解説しましょう。
3-1. 従業員のストレスが緩和される
時差出勤を利用すると、従業員のストレスを緩和できます。朝の通勤と夕方の帰宅ラッシュを避けられるためです。
満員電車に乗ると、身体的な疲労だけではなく、心身的にも大きなストレスが発生します。疲労やストレスが日々蓄積すると、仕事のモチベーション低下にもつながりかねません。
従業員のストレスを緩和し、業務の効率がアップすれば、企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。
3-2. 従業員の働きやすさが向上する
時差出勤の利用により、従業員の働きやすさが向上します。出勤や退社の時間を変更できることで、仕事とプライベートの両立が実現するためです。
働き盛りの世代には、子育て中の人や家族を介護している人が多く存在します。出勤と退社の時間が固定されていると、仕事以外のことに費やす時間がなかなか確保できません。結果的に、退職や休職を選択する従業員が増えてしまいます。
人材の流出は企業にとっても大きな損失になるため、従業員の働きやすさを向上させることは非常に重要です。
3-3. 企業のイメージがアップする
時差出勤に取り組むことで、企業のイメージアップにつながります。子どもの送迎をしてから出勤できるなど、従業員の生活スタイルに寄り添っているアピールができるためです。
人材獲得が激化している中、企業のイメージアップは採用活動において大きなメリットとなります。
4. 時差出勤の2つのデメリット
時差出勤のデメリットは以下の2つです。
- コミュニケーションが取りにくくなる
- 管理者の負担が大きくなる
それぞれ詳しく解説しましょう。
4-1. コミュニケーションが取りにくくなる
時差出勤を利用することで、従業員同士のコミュニケーションが取りにくくなる可能性があります。勤務時間帯が異なると、実際に顔をあわせる時間が少なくなるためです。
朝礼やミーティングを実施できないことにより情報の伝達がスムーズにいかず、業務に支障が生じる可能性があります。
時差勤務を導入する際は、従業員ができるだけ揃う勤務時間帯を設定し、時間内でコミュニケ―ションを活発に取るようにしましょう。
従業員のスケジュールを全員が確認できるツールを活用することも効果的です。
4-2. 管理者の負担が大きくなる
時差出勤の利用が増えると、管理者の負担が大きくなります。従業員の勤怠管理に必要な工程が増加するためです。
管理者に負担が偏らないよう、時差出勤に対応した勤怠管理システム等を導入するなどの工夫が必要になります。
5. 時差出勤を導入するための準備
時差出勤を導入するためには以下のような準備が必要です。
- 対象者と適用事由を設定する
- 始業・終業時間と適用回数を決める
- 就業規則を変更する
- 従業員に周知を図る
5-1. 対象者と適用事由を設定する
時差出勤を導入する際、事前に対象者と適用事由を設定しておく必要があります。時差出勤を導入しても、対象者と適用事由がはっきりしていなければ、スムーズに活用されないためです。
時差出勤の対象者は、妊娠中や育児中の人、家族の介護が必要な人などが多い傾向にありました。近年では、ワークライフバランスの向上を目的とし、対象となる範囲が広くなりつつあります。
適用事由に関しても保育園の送迎や子どもの学校行事に限らず、自己啓発なども認めると従業員のモチベーションも上がるでしょう。
5-2. 始業・終業時間と適用回数を決める
時差出勤を導入するにあたり、始業・終業時間と時差出勤の適用回数を決めておきましょう。従業員からヒアリングをおこない、ニーズを把握しておくことが重要です。
始業・終業時間に関しては、多くの枠を設けることで従業員のワークライフバランス向上につながります。時差出勤の適用回数もできるだけ多くすると、従業員の満足度は高まるでしょう。
5-3. 就業規則を変更する
時差出勤を導入する場合、就業規則を変更しなければいけません。始業時刻と終業時刻は、就業規則にかならず記載する必要があるためです。
従来の就業規則に、始業時間と終業時間が変更可能であることが記載されていない場合は注意しましょう。
記載方法に決まりはありません。時差出勤で選択可能な始業時間はすべて記載し、始業時間に合わせた終業時間も記載してください。
5-4. 従業員に周知を図る
時差出勤を導入する前に、従業員に周知を図る必要があります。従業員の理解を深めることで、時差出勤を円滑に導入するためです。
社内で説明会などを実施し、以下の点を説明します。
- 時差出勤の導入理由や目的
- 時差出勤の申請方法
- 時差出勤の利用ルール(対象者や適用事由など)
時差出勤に関する疑問や不安など従業員の意見を聞き、必要があればルールなどの見直しも検討しましょう。
6. 時差出勤を導入する際の注意点
時差出勤を導入する際、以下の点に注意しましょう。
- 勤務時間に応じて割増賃金が生じる
- 労働時間の管理が複雑になる
6-1. 勤務時間に応じて割増賃金が生じる
時差出勤を導入する際、勤務時間に応じて割増賃金が生じることに注意しましょう。
労働基準法によると、従業員が深夜に労働した場合、割増賃金を支払う必要があります。深夜とは、22時~翌日5時までの間です。
始業時間が13時を過ぎると割増賃金が生じる可能性が高くなるため、始業時間を遅く設定することはできるだけ避けましょう。
参考:法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省
6-2. 労働時間の管理が複雑になる
時差出勤を導入することで、労働時間の管理が複雑になります。従業員によって始業時間が異なると、一人ひとり労働時間を確認する必要があるためです。
正確に勤怠管理ができるツールを導入することも検討してみましょう。
管理者は、早朝出勤や深夜退社など生活リズムの崩れが原因で従業員が体調不良にならないよう、配慮することも求められます。
7. 時差出勤を活用して働きやすい環境を整えよう
時差出勤は、勤務時間帯を前後にずらして働ける勤務方法です。通勤時のラッシュを避けられたり、プライベートとの両立が実現できたり、従業員の働きやすさが向上するでしょう。
時差出勤を導入すると、人材流出の防止につながります。従業員の満足度が高まるためです。また、採用活動でのアピールポイントにもなり、優秀な人材の確保も期待できます。
企業側にとってもメリットのある時差出勤を活用して、従業員が働きやすい環境を整えましょう。
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