タイムカードの押し忘れで給料なしや減給、欠勤扱いの処分は妥当?労働基準法の規定に注意! - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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タイムカードの押し忘れで給料なしや減給、欠勤扱いの処分は妥当?労働基準法の規定に注意!

勤怠と給与

タイムカードを押し忘れた従業員に対して、ペナルティを課す企業は少なくありません。押し忘れが起きると給与計算作業が滞るため、防止策として「減給」や「欠勤扱い」などの処分を検討している企業もあるでしょう。 しかし、労働者へなんらかの処分を課す場合は、労働基準法の規定に違反していないか確認する必要があります。労働基準法に違反するペナルティを従業員に課してしまうと、労働基準監督署に通報され、逆に企業側がペナルティを科されるリスクがあります。 そこで今回は、タイムカードの押し忘れへの「減給」「欠勤扱い」の処分は妥当かどうか、労働基準法を参照しながら解説します。タイムカードの押し忘れにお悩みの企業の方は、ぜひ参考にしてください。 【関連記事】最新のタイムカード機5選!買い替え時に一緒に見ておきたい勤怠管理システムもご紹介

タイムカードの打刻漏れの正しい対応方法とは?

タイムカードの押し忘れがあった際、給料を支払わない・罰金を科すなどの対応は違法になる可能性が高いです。

当サイトではタイムカードの打刻漏れがあった際の適切な対応方法について、本記事の内容をわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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1. タイムカードの押し忘れによる罰則は正当?

タイムカードの押し忘れによる罰金はNG タイムカードを押し忘れてしまうと、正確な勤務時間を把握することが難しくなります。そのため、「打刻漏れには罰則を設けて、押し忘れのないようにしたい」と考える企業もあるかもしれません。そこで本章では、打刻に関するルールについて解説します。

1-1. タイムカードの打刻は法律で定められていない

タイムカードを導入している企業では、就業規則で出社や退勤時に本人がタイムカードを打刻することが定められています。 しかし、これはあくまでも会社内でのルールであり、法律ではタイムカードを打刻する人やタイミング、打刻方法などについて言及されていません。そのため、タイムカードの打ち忘れに対する罰則も法律上は存在せず、会社でどのように規定するかによって大きな違いがあります。 タイムカードの打ち忘れに独自の罰則を設けることも可能ですが、その場合は労働基準法違反にならないように注意する必要があります。

1-2. 押し忘れに対する罰金は労働基準法違反に該当する可能性がある

タイムカードの押し忘れを防止するため、「1回打刻漏れがあるたびに○円の罰金」といった「罰金」を設定している企業もあるかもしれません。タイムカードを押し忘れる従業員が多いと、給与計算作業のために1人ひとりの実労働時間を再確認する必要があるため、時間も手間も増えてしまいます。 会社としても余分なリスクを抱えることになるため、打刻漏れに対してなんらかのペナルティを設けたいと考える企業が少なくありません。

しかし、打刻漏れに対し「罰金」を課す場合は、労働基準法第16条の規定に違反してしまう可能性があります

労働基準法第16条によれば、従業員の労働契約に違反する行為に対して、企業があらかじめ罰金や損害賠償の金額を決めておくことはできないとしています。 「1回打刻漏れがあるたびに○円の罰金」と罰金額を決めている企業は、この第16条の規定に抵触する可能性があるのです。 とくに1度か2度タイムカードの押し忘れで、常習性が確認できない従業員に罰金を課しているケースでは、「労務契約の不履行への違約金」とみなされる可能性があります。

ただし、あまりにもタイムカードの押し忘れがひどく、注意しても改善が見られない場合では、「労務契約の不履行に対する違約金」ではなく、そもそも会社の定めたルールを守っていない「職場規律違反」とみなすことが可能です。 あらかじめ就業規則に打刻漏れのペナルティについて記載したうえで、従業員に対して事前に周知徹底がなされているならば、罰金ではなく懲戒処分として「減給処分」をおこなうことができます。

タイムカードの押し忘れに対し減給処分をする場合は、別の労働基準法の規定にも配慮する必要があるため、注意しましょう。当サイトでは、タイムカードの押し忘れに関して注意しておきたい法律や押し忘れに対する適切な方法をまとめた資料を無料で配布しております。打刻漏れの対応について不安のある方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

2. タイムカードの押し忘れによるペナルティの設定方法

勤怠結果 タイムカードの押し忘れが頻発する社員に対し、抑止効果を期待してペナルティを設定する会社があります。減給処分や始末書の提出など、ペナルティの重さはさまざまですが、内容によっては労働基準法違反に該当する恐れがあります。 ペナルティを設定する際は、労働基準法を遵守して重すぎる内容にならないように気をつけましょう。

2-1. 減給処分にするのは問題ない

前項では、タイムカードの押し忘れに対して「罰金額」を定めるのは原則として不適切ですが、職場規律違反に対する「減給処分」とみなすことは十分に可能だと述べました。 そのため、就業規則で定めており、それを周知していればタイムカードの押し忘れが頻発する従業員に対して、会社独自のペナルティを科すことができます。しかし、こうした条件をクリアしている場合でも、会社側が自由に罰則の内容を決められるわけではありません。 大幅な減給や欠勤扱いなど、重すぎるペナルティは労働基準法に違反する恐れがあります。とくに減給処分にする場合は、上限が明確に定められているためこれを守る必要があります。

2-2. 減給額には上限が定められている

タイムカードの押し忘れに対する減給処分には上限が定められています。 例えば、「タイムカードを押し忘れたからその日の給与は全額カット」「打刻漏れがひどいので月給の8分の1を減給とする」といった減給処分をおこなうと、その企業は労働基準法に違反してしまいます。減給処分の「上限」について定めているのが、労働基準法第91条です。

■労働基準法第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。 引用:労働基準法|e-Gov

労働基準法第91条では、減給処分の2つの上限を定めています。まず、1回のペナルティにつき、1日あたりの給与の半額を超える減給処分をしてはいけません。 平均賃金1日分の給与が1万円であれば、1回あたりの減給処分の上限は5,000円です。したがって、「タイムカードを押し忘れたからその日の給与は全額カット」といったペナルティを定めることはできません。 また、減給処分のトータルが、1ヵ月あたりの給与の10分の1を超えるペナルティも労働基準法に違反します。月の平均給与が30万円の従業員であれば、減給処分の総額の上限は3万円までです。 つまり「打刻漏れがひどいので月給の8分の1を減給とする」といったペナルティは、この規定に違反することになります。 すでに述べたように、タイムカードの押し忘れに対し「減給処分」を課す場合は、就業規則の「服務規律違反」の項目にあらかじめペナルティについて記載しておく必要があります。 原則として、就業規則に懲戒および懲戒事由についての規定がない状態で、企業が従業員に対し懲戒権を行使することはできません。 新しく懲戒処分を設ける企業は、タイムカードの打刻漏れと処分内容の釣り合いがとれているか吟味したうえで、ペナルティについて従業員に広く周知徹底しましょう。 また、減給処分を規定する以前のタイムカード打刻漏れに対し、さかのぼってペナルティを課すことはできません。

3. タイムカードの押し忘れへの対応は慎重に

タイムカード タイムカードの押し忘れに対するペナルティで、条件を満たし、労働基準法を守った範囲であれば減給することは可能であるとお話をしてきました。しかし、実際にペナルティを設けたり、従業員に対して科したりする際は以下の点に十分に注意しましょう。

3-1. 打ち忘れを原因に欠勤扱いにはできない

タイムカードの押し忘れがひどい従業員に対し、打刻漏れを理由に「欠勤扱い」とするペナルティは可能でしょうか。 結論からいえば、打刻がないとはいえ労働者が実際に出勤している以上、「欠勤扱い」はどのようなケースでも労働基準法に違反してしまいます。労働者への賃金の支払いについて定めているのが、労働基準法第24条です。

■労働基準法第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。 引用:労働基準法|eGov

また、労働契約法第6条では、労働契約が成立する条件について規定されています。

■労働基準法第6条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。 引用:労働契約法|e-Gov

労働基準法第6条のとおり、会社が支払う賃金の対価となるのは、従業員が提供する労働力です。労働契約が成立している限り、賃金は労働者本人へ規定どおり支払われなければなりません。 タイムカードの押し忘れがあったケースでも、実際に従業員が勤務していた場合は、労働力が提供されていたとみなされます。これを無理に「欠勤扱い」として取り扱い、労働力が提供されなかったとして賃金を支払わないことは労働基準法に明確に違反しています。 タイムカードはあくまでも労働時間を客観的に記録するためのツールであって、労働力が提供されたかどうかを決めるためのものではありません。タイムカードの押し忘れへのペナルティとして、「欠勤扱い」とすることは避けましょう。

3-2. 本人へのヒアリングを丁寧におこなう

タイムカードの押し忘れの原因は、本人の意識だけの問題でないケースも少なくありません。例えば、外回りが多い社員が打刻しにくい環境であったり、タイムレコーダーに問題があったりする可能性もあります。始業前の混み合うタイミングでは、タイムレコーダーに行列ができて押せない、待っている間に会議に間に合わなくなるというような可能性も考えられます。 そのため、ペナルティを科す前に必ず本人に対し、打刻忘れの理由や状況を丁寧にヒアリングすることが重要です。やむを得ない理由や、会社側で改善できる点がある場合は、即座に処分するのではなく環境を変えて打ち忘れが発生しにくい状況を作りましょう。 ペナルティを実際に科すのは、本人の怠慢による打刻忘れが明確で頻繁に繰り返される場合に限定するとよいでしょう。

3-3. 減給処分にする場合は十分に検討する

タイムカードの押し忘れに対し「減給処分」にする場合は、運用するケースをじっくり検討することが必要です。あらかじめ就業規則の「服務規律違反」に懲戒および懲戒事由を記載し、適切な手続きによって周知徹底に努めている場合は、労働基準法第91条の範囲内で減給処分とすることは問題ありません。 しかし、労働者に対する懲戒権の行使は、一般的に相当重い服務規律違反に対しておこなうべきものです。タイムカードの押し忘れが1度だけあった従業員に対し、いきなり重い減給処分を課すのは、違反行為の内容に対し処分の重さが釣り合っていません。1回や2回の打刻漏れについては、まずは始末書や報告書類の提出にとどめている企業がほとんどです。 常習的にタイムカードの押し忘れがあり、始末書を何度提出させても改善が見られない従業員に対しても、いきなり減給処分とするのではなく、その手前の段階の「減給警告」として様子を見るのが一般的な運用です。 会社のルールを守らない従業員へのペナルティは、あくまでも従業員の教育や啓発を目的としていることを忘れてはなりません。厳罰主義ではなく、従業員が自ら改善できるような仕組みを作ることが大切です。 タイムカードに関するルールを正しく作成しておくことは、従業員と会社間でのトラブル防止につながります。以下の記事で具体的な5つのルールを紹介しておりますので、ルールの作成に不備があると感じる企業の労務担当者の方は一度ご確認ください。 ▶タイムカードで打刻ミスをなくすために用意しておきたい打刻ルールの具体例

4. タイムカードの押し忘れは勤怠管理システムの導入で防げる

勤怠管理システム ここまで、従業員のタイムカードの押し忘れに対し、減給や欠勤扱いの処分は適切かどうか解説してきました。原則として、減給処分や欠勤扱いは、タイムカードの押し忘れへのペナルティとして妥当ではありません。 押し忘れを防止するためにペナルティを科そうと考えている場合、別の対処法も検討してみましょう。タイムカードの押し忘れを根本的に解決できるのが、勤怠管理システムです。勤怠管理システムには、次の3つの強みがあります。

4-1. タイムカードの押し忘れを自動で通知する機能がある

勤怠管理システムには、従業員1人ひとりの勤務実態をリアルタイムに監視し、異常を検知した場合にアラートを出す機能がついています。タイムカードを押し忘れている従業員がいた場合も、自動的に本人へアラートを飛ばせます。 また、所属部署の上長にもアラートを送れるため、慢性的に打刻漏れをしている従業員がいた場合、口頭で注意するといった柔軟な対処も可能です。 タイムカードの押し忘れをチェックするには、担当者を決めて手動で確認してもらう方法もありますが、この方法では手間も時間もかかります。 勤怠管理システムを導入すれば、システム側で打刻漏れを自動検知してくれるため業務の効率化が可能です。

4-2. スマホやタブレットで簡単に打刻ができる

タイムレコーダーを使った打刻方法は、非常にシンプルで簡単です。しかし、会社にいないとできない点や、混雑時はタイムレコーダーに行列ができるなどの問題があります。 勤怠管理システムはスマホやタブレットから簡単な操作で打刻できる機能があります。若い世代も使い慣れている端末であるため、打刻が習慣化しやすく打ち忘れが発生しにくいです。また、個々が所有する端末から打刻ができるため、待ち時間が発生することもありません。 前述したアラート機能との併用ももちろん可能であるため、この2つのシステムがあればタイムカードの打ち忘れリスクを大幅に抑えることが可能になります。

4-3. GPS機能で外出先からも打刻できる

最近、注目を集めているのが、GPS機能を使って打刻できる勤怠管理システムです。タブレットやスマホのGPS機能を利用し、アプリで打刻する際に当人の位置情報を勤怠管理システムに送信してもらう仕組みです。 とくに従来のタイムレコーダーを使った方法だと、営業や外回りなど直行直帰することも多い職種ではタイムレコーダーを押せないため、タイムカードの虫食いが発生していました。GPS打刻なら、出先からスマホやタブレットを使い1タップで打刻できます。 また、GPS機能で本人の位置情報がシステム側に送信されるため、「実際は出勤・退勤していないのにもかかわらず打刻する」といった不正な打刻を防止することもできます。 スマホやタブレットを従業員に貸与している企業や、私的端末の業務利用(BYOD)を許可している企業なら、アプリのインストールだけで導入できます。 【関連記事】タイムカードはもう不要?GPSで打刻できる勤怠管理システムとは

5. タイムカードの押し忘れに対する重いペナルティは不適切

バツマークを出す二人 今回は、タイムカードの押し忘れへの「減給処分」や「欠勤扱い」の妥当性について解説しました。労働基準法では、労務契約の不履行に対しあらかじめ罰金額を決めておくことや、タイムカードの押し忘れを「欠勤」とみなすことは禁じられています。 打刻漏れに対し減給処分のペナルティを課す場合も、減給できる金額の上限が定められている点に注意が必要です。 また、労働者への減給は重い懲戒処分にあたるため、懲戒権を行使する状況をよく考える必要があります。タイムカードの押し忘れを防ぎたい場合は、勤怠管理システムを導入するほうが効果的です。 打刻漏れを自動でアラートしてくれるだけでなく、スマホやタブレットを使ってすばやく打刻できるため、始業前の慌ただしい時間帯でも打刻漏れが発生しにくくなるでしょう。 ペナルティを課すのではなく、勤怠管理の効率化によってタイムカードの押し忘れを減らしましょう。

 

タイムカードの打刻漏れの正しい対応方法とは?

タイムカードの押し忘れがあった際、給料を支払わない・罰金を科すなどの対応は違法になる可能性が高いです。

当サイトではタイムカードの打刻漏れがあった際の適切な対応方法について、本記事の内容をわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

「タイムカードの押し忘れがあった際の対応が適切か確認したい」

「できれば打刻漏れを減らしたい」

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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