タイムカードの押し忘れによる給料カットや欠勤扱いの処分は妥当?労働基準法の規定に注意!

タイムカードを押し忘れた従業員に対して、ペナルティを課す企業は少なくありません。打刻漏れが起きると給与計算作業が滞るため、防止策として「給料カット」「欠勤扱い」などの処分を検討している企業もあるでしょう。

しかし、労働者へなんらかの処分を課す場合は、労働基準法の規定に違反していないか確認する必要があります。労働基準法に違反するペナルティを従業員に課してしまうと、労働基準監督署に通報され、逆に企業側がペナルティを課されるリスクもあります。

そこで今回は、タイムカードの押し忘れへの「給料カット」「欠勤扱い」の処分は妥当かどうか、労働基準法を参照しながら解説いたします。タイムカードの押し忘れにお悩みの企業の方は、ぜひ参考にしてください。

「タイムカードと勤怠管理システムの違いを徹底比較ガイド」

働き方改革が始まり、「タイムカードの集計工数を削減したいけど、どうしたらいいかわからない・・」とお困りの人事担当者様も多いでしょう。そのような課題解決の一手として検討していきたいのが、勤怠管理システムです。

勤怠管理システムの導入には、以下のようなメリットがあります。

・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる

働き方改革を成功させるため、ぜひ「タイムカードと勤怠管理システムの違いを徹底比較ガイド」をご参考にください。

 

1. タイムカードの押し忘れで「罰金額」を設定するのはNG

タイムカードの押し忘れを防止するため、「1回打刻漏れがあるたびに○円の罰金」といった「罰金」を設定している企業があります。タイムカードを押し忘れる従業員が多いと、給与計算作業のために1人ひとりの実労働時間を再確認する必要があるため、時間も手間も増えてしまいます。

会社としても余分なリスクを抱えることになるため、打刻漏れに対してなんらかのペナルティを設けたいと考える企業が少なくありません。

しかし、打刻漏れに対し「罰金」を課す場合は、労働基準法第16条の規定に違反してしまう可能性があります。

労働基準法第16条

『使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。』ということが明記されている法律です。【詳しくはこちら

労働基準法第16条によれば、従業員の労働契約に違反する行為に対して、企業があらかじめ罰金や損害賠償の金額を決めておくことはできません。

「1回打刻漏れがあるたびに○円の罰金」と罰金額を決めている企業は、この第16条の規定に抵触する可能性があります。

とくに1度か2度タイムカードの押し忘れがあっただけで、常習性があるわけではない従業員に罰金を課しているケースでは、「労務契約の不履行への違約金」とみなされる可能性があります。

ただし、あまりにもタイムカードの押し忘れがひどく、注意しても改善が見られない場合では、「労務契約の不履行に対する違約金」ではなく、そもそも会社の定めたルールを守っていない「職場規律違反」とみなすことが可能です。

あらかじめ就業規則に打刻漏れのペナルティについて記載したうえで、従業員に対して事前に周知徹底がなされているならば、罰金ではなく懲戒処分として「減給処分」をおこなうことは可能です。

しかし、タイムカードの押し忘れに対し減給処分をおこなう場合は、別の労働基準法の規定にも配慮する必要があります。

2. タイムカードの押し忘れによる減給額は「上限」が決まっている

前項では、タイムカードの押し忘れに対して「罰金額」を定めるのは原則として不適切ですが、職場規律違反に対する「減給処分」とみなすことは十分に可能だと述べました。しかし、この減給処分についても、企業が自由に減給額を決められるわけではありません。

たとえば、「タイムカードを押し忘れたからその日の給与は全額カット」「打刻漏れがひどいので月給の8分の1を減給とする」といった減給処分をおこなうと、その企業は労働基準法に違反してしまいます。減給処分の「上限」について定めているのが、労働基準法第91条です。

労働基準法第91条

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。【詳しくはこちら

労働基準法第91条では、減給処分の2つの上限を定めています。まず、1回のペナルティにつき、1日あたりの給与の半額を超える減給処分は第91条に違反しています。

平均賃金1日分の給与が1万円であれば、1回あたりの減給処分の上限は5,000円です。したがって、「タイムカードを押し忘れたからその日の給与は全額カット」といったペナルティを定めることはできません。

また、減給処分のトータルが、1ヵ月あたりの給与の10分の1を超えるペナルティも労働基準法に違反しています。月の平均給与が30万円の従業員であれば、減給処分の総額の上限は3万円までです。
図解してみると以下のようになります。

つまり「打刻漏れがひどいので月給の8分の1を減給とする」といったペナルティは、この規定に反しています。

すでに述べたように、タイムカードの押し忘れに対し「減給処分」を課す場合は、就業規則の「服務規律違反」の項目にあらかじめペナルティについて記載しておく必要があります。

原則として、就業規則に懲戒および懲戒事由についての規定がない状態で、企業が従業員に対し懲戒権を行使することはできません。

新しく懲戒処分を設ける企業は、タイムカードの打刻漏れと処分内容の釣り合いがとれているか吟味したうえで、ペナルティについて従業員に広く周知徹底しましょう。

また、減給処分を規定する以前のタイムカード打刻漏れに対し、さかのぼってペナルティを課すことはできないため注意が必要です。

3. タイムカードの押し忘れに対する減給や欠勤扱いは原則的に妥当ではない

ここまで、タイムカードの押し忘れに対し、「罰金」「減給処分」を課すことの是非について解説してきました。それでは、タイムカードの押し忘れがひどい従業員に対し、打刻漏れを理由に「欠勤扱い」とするペナルティは可能でしょうか。

結論からいえば、打刻がないとはいえ労働者が実際に出勤している以上、「欠勤扱い」はどのようなケースでも労働基準法に違反してしまいます。労働者への賃金の支払いについて定めているのが、労働基準法第24条です。

労働基準法第24条
労働基準法第24条は、賃金の支払いについて明記された法律です。
 1. 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(省略)
2.賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(省略)
【詳しくはこちら
 また、労働基準法第6条では、労働契約が成立する条件について規定されています。
労働基準法第6条

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。【詳しくはこちら

 労働基準法第6条のとおり、会社が支払う賃金の対価となるのは、従業員が提供する労働力です。労働契約が成立している限り、賃金は労働者本人へ規定どおり支払われなければなりません。

タイムカードの押し忘れがあったケースでも、実際に従業員が勤務していた場合は、労働力が提供されていたとみなされます。これを無理に「欠勤扱い」として、労働力が提供されなかったとし、賃金を支払わないことは労働基準法に対し明確に違反しています。

タイムカードはあくまでも労働時間を客観的に記録するためのツールであって、労働力が提供されたかどうかを決めるためのものではありません。タイムカードの押し忘れへのペナルティとして、「欠勤扱い」とすることは避けましょう。

また、タイムカードの押し忘れに対し「減給処分」としたい場合も、運用するケースをじっくり検討することが必要です。あらかじめ就業規則の「服務規律違反」に懲戒および懲戒事由を記載し、適切な手続きによって周知徹底につとめている場合は、労働基準法第91条の範囲内で減給処分とすることは問題ありません。

しかし、労働者に対する懲戒権の行使は、一般的に相当重い服務規律違反に対しておこなうべきものです。タイムカードの押し忘れが1度だけあった従業員に対し、いきなり重い減給処分を課すのは、違反行為の内容に対し処分の重さが釣り合っていません。1回や2回の打刻漏れについては、まずは始末書や報告書類の提出にとどめている企業がほとんどです。

常習的にタイムカードの押し忘れがあり、始末書を何度提出させても改善が見られない従業員に対しても、いきなり減給処分とするのではなく、その手前の段階の「減給警告」として様子を見るのが一般的な運用です。

会社のルールを守らない従業員へのペナルティは、あくまでも従業員の教育や啓発を目的としていることを忘れてはなりません。厳罰主義ではなく、従業員が自ら改善できるような仕組みを作ることが大切です。

4. タイムカードの押し忘れは勤怠管理システムの導入で防げる!

ここまで、従業員のタイムカードの押し忘れに対し、減給や欠勤扱いの処分は適切かどうか解説してきました。原則として、減給処分や欠勤扱いは、タイムカードの押し忘れへのペナルティとして妥当ではありません。

もし、押し忘れを防止するためにペナルティを課そうとお考えなら、別の対処法も検討してみましょう。タイムカードの押し忘れを根本的に解決できるのが、勤怠管理システムです。勤怠管理システムには、次の3つの強みがあります。

4-1. タイムカードの押し忘れを自動でアラートしてくれる

勤怠管理システムには、従業員1人ひとりの勤務実態をリアルタイムに監視し、異常を検知した場合にアラートを出す機能がついています。タイムカードを押し忘れている従業員がいた場合も、自動的に本人へアラートを飛ばせます。

また、所属部署の上長にもアラートを送れるため、慢性的に打刻漏れをしている従業員がいた場合、口頭で注意するといった柔軟な対処も可能です。

タイムカードの押し忘れをチェックするには、担当者を設けて手動で確認してもらう方法もありますが、この方法は手間も時間もかかります。

勤怠管理システムを導入すれば、システム側で打刻漏れを自動検知してくれるため便利です。

4-2. スマホやタブレットで忙しい始業前でも手軽に打刻できる

勤怠管理システムには、従業員1人ひとりの勤務実態をリアルタイムに監視し、異常を検知した場合にアラートを出す機能がついています。タイムカードを押し忘れている従業員がいた場合も、自動的に本人へアラートを飛ばせます。

また、所属部署の上長にもアラートを送れるため、慢性的に打刻漏れをしている従業員がいた場合、口頭で注意するといった柔軟な対処も可能です。

タイムカードの押し忘れをチェックするには、担当者を設けて手動で確認してもらう方法もありますが、この方法は手間も時間もかかります。

勤怠管理システムを導入すれば、システム側で打刻漏れを自動検知してくれるため便利です。

5. GPS機能を利用すれば出社するだけで自動的に打刻できる

最近、注目を集めているのが、GPS機能を使ってタイムカードを打刻できる勤怠管理システムです。タブレットやスマホのGPS機能を利用し、アプリで打刻する際に当人の位置情報を勤怠管理システムに送信してもらう仕組みです。

打刻した時間と場所の両方が勤怠管理システムに自動で記録されるため、原則として打刻漏れが発生しません。そのため、タイムカードの未記入を防ぐ手段として非常に効果的です。

とくに従来のタイムレコーダーを使った方法だと、営業や外回りなど直行直帰することも多い職種ではタイムレコーダーを押せないため、タイムカードの虫食いが発生していました。GPS打刻なら、出先からスマホやタブレットを使い1クリックで打刻できます。

また、GPS機能で本人の位置情報がシステム側に送信されるため、「実際は出勤・退勤していないのにもかかわらず打刻する」といった不正な打刻を防止することもできます。

スマホやタブレットを従業員に貸与している企業や、私的端末の業務利用(BYOD)を許可している企業なら、アプリのインストールだけで導入できます。

6. タイムカードの押し忘れによる減給処分・欠勤扱いは原則として不適切

今回は、タイムカードの押し忘れへの「給料カット」「欠勤扱い」が妥当かどうか解説しました。労働基準法によれば、労務契約の不履行に対しあらかじめ罰金額を決めておくことや、タイムカードの押し忘れを「欠勤」とみなすことは禁じられています。

打刻漏れに対し減給処分のペナルティを課す場合も、減給できる金額の上限が定められている点に注意が必要です。

また、労働者への減給は重い懲戒処分にあたるため、懲戒権を行使する状況をよく考える必要があります。タイムカードの押し忘れを防ぎたいなら、勤怠管理システムを導入するほうが効果的です。

打刻漏れを自動でアラートしてくれるだけでなく、スマホやタブレットを使ってすばやく打刻できるため、始業前の慌ただしい時間帯でも打刻漏れが発生しにくくなるでしょう。

ペナルティを課すのではなく、勤怠管理の効率化によってタイムカードの押し忘れを減らしましょう。

勤怠管理システムの導入で工数削減を実現

近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。

人事業務は、タイムカードや出勤簿で労働時間を管理している場合、集計時にExcelに入力するといった工数がかかります。タイムカードでの労働時間管理にお悩みの方がいらっしゃいましたら、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。

勤怠管理システムとは、従業員の出退勤をWeb上で管理できるシステムのことです。

勤怠管理システムの導入を検討することで、

・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる

など、人事担当者様の工数削減につながります。

「効率化できるのはわかったけど、実際にタイムカードでの労働時間管理とどう違うのかを知りたい」という人事担当者様のために、タイムカードと勤怠管理システムの違いを23ページでまとめました。

働き方改革を成功させるため、ぜひ「タイムカードと勤怠管理システムの違いを徹底比較ガイド」をご参考にください。