在宅勤務における健康管理の課題とその解決方法を紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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在宅勤務における健康管理の課題とその解決方法を紹介

在宅勤務における健康管理

働き方改革やコロナウイルス対策により、在宅勤務を導入する企業が増え、現在も普及しています。在宅勤務になると通勤ストレスがなくなるというメリットがありますが、働き方が変わることで、肉体と精神の双方に健康リスクが生じることがあります。

また、企業側が従業員の健康状態を確認するのが難しく、健康課題に気付きづらくなっていることから、早急な対策が必要となっているのが現状です。

この記事では、これらの問題を解決するため、在宅勤務における健康管理の課題と解決方法などを解説していきます。

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1. 在宅勤務にも労働安全衛生法上の健康管理が必要

在宅勤務となった場合でも、労働安全衛生法は適用されるので、企業側は従業員の健康管理をしなければなりません。そのため、在宅勤務の従業員に対する安全衛生管理体制が整っていない場合は、すぐに対応する必要があります。

健康管理に関する法令はたくさんありますが、主に以下のような条項が定められています。

(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
 
(健康診断の結果の記録)
第六十六条の三 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第六十六条第一項から第四項まで及び第五項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。

(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第六十六条の四 事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
 
(面接指導等)
第六十六条の八 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
 
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第六十六条の十 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
 
法令で見るとわかりづらいかもしれませんが、健康管理の徹底のためには、出社しない従業員にも医師の健康診断や意見聴取、面接指導、産業医面談などをおこなうことが義務付けられているのです。
 
また、健康問題が表面化した場合は、厚生労働省から書類の提出を求められることもあるので、健康診断結果の管理もしっかりとおこなえる環境を作っておきましょう。

2. 在宅勤務における従業員の健康課題

在宅勤務中の健康に課題を抱える社員

在宅勤務になるということは家にいる時間が長くなるということです。在宅時間が長ければ、体を休める時間を取ることもできますし、好きなときに休憩できるので、出社するときよりも健康になるというイメージがあるかもしれません。

しかし、じつは「メンタル面の健康リスク」と「運動不足が原因の健康リスク」が高くなり、不健康になってしまうこともあるのです。「在宅だから大丈夫」という考えでは、従業員の健康管理ができないので課題をしっかり把握しておきましょう。

2-1. メンタル面の健康リスク

在宅勤務になると、日常生活と仕事の境界が曖昧になってしまいます。仕事用の部屋を別に用意するなどの対策をして、仕事と日常を切り替えるという方法もありますが、1Rや1Kの住宅に住んでいる場合は切り替えが難しいです。

また、家族とのコミュニケーションが増えるというメリットもありますが、逆に家族がいることによって仕事に集中できなくなることもあります。

オフィスと違い、周りに働いている人がいないことでやる気がでなかったり、コミュニケーションが不足したりすることで、ストレスがどんどん蓄積しメンタル不調になるケースも少なくありません。

2-2. 運動不足が原因の健康リスク

在宅勤務になると、通勤時間がなくなるので体への負担が軽くなるという面もあります。しかし、辛いと思っていた通勤時間も、運動不足解消の役割を担っていたかもしれません。

また、在宅勤務になり座っている時間が長くなった従業員に対しては、特に注意が必要です。
国立がん研究センターが中心となり、座った状態が長くなるとどのような健康被害があるのか調査した結果によると、発がんリスクや糖尿病のリスクが高くなるというデータがあります。

在宅勤務者のすべてが発症するわけではなく、あくまでも発症する可能性が高くなるというデータですが、運動不足がきっかけで重大な健康被害になる可能性があるのです。

2-3. 生活習慣が乱れやすい

生活習慣の乱れというのは、「食生活の乱れ」「睡眠不足」「運動不足」などのことで、生活習慣が乱れると基礎代謝が落ちたり血液の循環が悪くなったりするので、肥満のリスクが高くなります。コロナ過で在宅勤務が推奨された頃、「コロナ太り」という言葉をよく聞いた方もいるかもしれません。

肥満になると高血圧や糖尿病など生活習慣病のリスクも高くなり、進行すると心筋梗塞や脳卒中などを発症することもあります。

在宅勤務になると間食が増えたり、逆に食事を取るのを忘れて業務してしまうかもしれません。また、仕事と日常の切り替えがうまくできず、睡眠が乱れたり運動不足になったりすることもあるでしょう。

在宅勤務は上司や同僚とのコミュニケーションが不足してしまいがちなので、これまで以上に健康管理に注意する必要があります。

3. 在宅勤務における企業側の健康管理の課題

在宅勤務に課題を抱える人事担当者

在宅勤務の導入を検討している会社や、すでに導入を始めている会社は在宅勤務において、どのような健康管理の課題があるのか確認するべきでしょう。

おもな課題は4つあります。

  • 体調不良者の発見が遅れる
  • 会社側がどこまで介入するか曖昧
  • 新しい健康管理ルールの設計が必要

ここでは、それぞれを詳しく解説していきます。

3-1. 体調不良者の発見が遅れる

在宅勤務の場合、従業員が体調不良になっていても、発見が遅れてしまいがちです。オフィスであれば、体調が悪そうにしている社員はすぐにわかるため、本人が申告しなくても上司や同僚が報告するといったケースがあります。

しかし、在宅勤務の場合は直接的なコミュニケーションが取れないので、従業員から体調不良を申告してもらわないと発見が遅れてしまいます。また、体調だけではなく、メンタル面の不調も同様に気が付くのが難しいでしょう。

実際に顔色を見たり、声を聞いたりするのが難しい在宅勤務は、体調不良を発見しづらいというのが一番の健康課題です。

3-2. 会社側がどこまで介入するか曖昧

在宅勤務であっても、企業側は社員の健康管理をしなければいけません。もちろん、社員も自分自身で健康管理をする責務があるため、会社が健康診断や健康に関する施策をおこなう場合は協力する必要があります。

しかし、在宅勤務は仕事とプライベートの区別が難しいため、会社側がどの程度まで介入して良いか、判断が難しいというのも課題です。例えば、生産性が落ちている社員に不調の疑いがあっても、本人が否定した場合は会社としては介入が難しくなります。

このような場合は、オンラインでもかまわないので、社員との面談回数を増やすという対策が有効です。特に不調が疑われる社員に対しては、積極的にコミュニケーションを取りましょう。

また、会社側から社員の健康に関しサポートをする姿勢をしっかりと見せることも重要です。会社が健康管理にしっかりと取り組んでいると社員も健康意識が高くなりますし、健康状態の情報提供もスムーズになるでしょう。

3-3. 新しい健康管理ルールの設計が必要

在宅勤務者には、在宅勤務に適した健康に対するアプローチが必要になるでしょう。

健康に対するアプローチは、以下の4つが挙げられます。

  • 健康やストレスのチェックシートを導入
  • 勤怠ルールを決める
  • 健康管理を目的としたアプリを導入
  • 健康について定期的に報告するルールを設置

在宅勤務になるとこれまでと仕事のやり方が変わるだけではなく、社員の健康管理についても大きく変わります。そのため、管理担当者だけでなく、社員側にも新たな管理方法について説明をしておくことが重要です。

スムーズに管理ルールを導入するためにも、在宅勤務を始めてから管理方法を決めるのではなく、前もって新しい健康管理のルールを設計しておきましょう。

関連記事:在宅勤務を実施する企業の問題点とその解決策を詳しく解説

4. 在宅勤務における健康管理対策

在宅勤務の健康管理の方法職場でのメンタルケアには、「ラインケア」というものがあります。ラインケアは、上司などの管理者が部下の異変にいち早く気付き対策を取ることで、厚生労働省にガイドラインが定められているほど一般的になっています。

しかし、在宅勤務者は異変にいち早く気が付くのは難しいため、在宅勤務に特化した健康管理対策をすることが望ましいでしょう。ここでは、すぐに始められる対策を紹介するので、参考にしてみてください。

4-1. 健康被害を未然に防ぐ方法

健康被害を防ぐ方法として、まず挙げられるのが勤務時間を制限することです。

在宅勤務はサービス残業が発生しやすいため、チャットツールや社内システムを時間帯によって制限をかけたり、長時間労働をする可能性がある労働者にたいして事前に声掛けをすることでサービス残業を防ぎます。

タスク管理ツールによっては、プロジェクトメンバーの業務量を可視化することができるため、許容範囲を超えている場合は管理者が業務量を調整するといいでしょう。

また、コミュニケーション不足を解消するためにも、業務とは関係がないチャットルームを用意するのも有効です。

コミュニケーションが円滑になるだけではなく、部下や同僚が不調のときに気付きやすくなりますし、悩みを抱えている場合早く知ることもできます。

関連記事:テレワークでしっかりした残業管理に欠かせない3つのポイント

4-2. 体調不良者にすぐ気づく方法

体調不良者に気付くためにおすすめの方法が、定期的なストレス・健康チェックです。出社しない社員に、突発的ではなく定期的にチェックを実施することで、体調面の変化を把握できます。社員の健康を確認するアンケートは、チェックシートのようにできるだけシンプルなものにすると回答率が高くなります。

また、健康相談窓口を設置して、気軽に専門家に相談できるシステムを整えるというのもおすすめです。健康相談窓口も同様に、気軽に質問できるために専用のチャットルームなどを用意するといいでしょう。

在宅勤務を導入する際には、就業規則の見直しが必要になるため、その際に健康管理につながる福利厚生を追加することもおすすめです。

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関連記事:在宅勤務の本格化で福利厚生を見直す必要性や事例を紹介
関連記事:在宅勤務の就業規則の在り方や見直しのポイントを解説

4-3. 労務管理方法の見直し

在宅勤務者の自己申告で管理をしている場合は、管理方法を見直してみましょう。例えば、始業時間や終業時間は勤怠管理システムを活用することで、客観的かつ正確な記録に基づいて管理できるようになります。勤怠管理システムは、休憩時間も管理できますし、法定労働時間の基準を超える前にアラートで通知してくれる機能もあるので、適切な健康管理をおこなうことが可能です。

過重労働になっている場合は、健康診断や産業医との面談を促せるので、体調不良やメンタル面の不調を見逃すリスクを軽減できるでしょう。

5. 在宅勤務における労務管理のリスク対策

出社する社員であれば労務管理もしやすいですが、目の届かない在宅勤務の労務管理にはどうしてもリスクが伴います。いくら「目が届かない」としても、社員の健康管理は企業の義務となっているため、過重労働などによる健康被害は防がなければなりません。

ここでは、在宅勤務における労務管理のリスク対策を紹介するので、対策をおこなっていない担当者の方は参考にしてください。

5-1. 健康管理のオンライン化

コストはかかってしまいますが、在宅勤務の健康管理はオンライン化をするのがもっともベストな選択です。

健康管理は、労務管理担当者だけでなく、人事部や産業医・保健師などの専門スタッフと連携しておこなう必要があります。いくつかの部署で別々に管理をしていると、連携が取りにくくなってしまい、社員の体調不良などを見落としてしまうかもしれません。

オンライン化をしておけば、健康診断結果や健康チェック、面談の記録などの健康情報を一元化できるので、どの担当者もすべての情報にアクセスすることが可能です。また、オンライン上で管理ができれば、担当者の業務負担の軽減や専門スタッフの業務効率化にもつながるので、コストがかかっても導入する価値があるリスク対策といえるでしょう。

5-2. 労働時間の管理を徹底する

労務管理のリスク対策でもっとも重要なのは、労働時間の管理です。

在宅勤務は、時間を自由に使えるだけに、法定労働時間を社員自身が管理するのが難しい環境です。だからこそ、労働時間の管理は徹底しなければなりません。

いくら勤怠管理システムを導入しても、定期的に労働時間をチェックをしなければ、過重労働や時間外労働に気が付くことはできないので、担当者は必ず確認するようにしましょう。もしも、業務負担が大きくなるようであれば、法定労働時間を超えると通知してくれる機能やシフト管理機能など、自社に必要な機能が搭載されている勤怠管理システムを選びましょう。

6. 在宅勤務・テレワークでも健康管理に注意し仕組み作りをしよう

在宅勤務の仕組みを整備する

在宅勤務になった従業員は、通勤をしなくなることでどうしても運動不足になるため、企業側は健康管理に注意する必要があります。また、出社しているときよりも不調に気付きにくくなるので、健康確認などのコミュニケーションを定期的に取ることが重要です。コミュニケーションを取ることで、病気のリスクを回避したり、従業員の不調を早期発見したりできるので、在宅勤務専用ツールやアプリの導入も検討してみることをおすすめします。

これから在宅勤務を導入する会社はもちろんすでに在宅勤務を導入している会社も、改めて従業員の健康を意識して、管理ができる仕組み作りを見直してみましょう。

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