労災保険料とは?2024年の保険率や計算方法・注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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労災保険料とは?2024年の保険率や計算方法・注意点を解説

職場での事故の様子労災保険料は労災保険に加入するために納付する保険料で、事業主が全額負担します。

労働者を1人でも雇用する事業主は労災保険に加入する義務があるため、正しく労災保険料を算出し、納付しなければいけません。

労務担当者の中には、「労災保険料の正しい計算方法を知りたい」「労災保険料に関する注意点は?」と悩む方もいるでしょう。

本記事では、労災保険料の保険率や計算方法、注意点について解説します。

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1. 労災保険とは

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労災保険とは、業務上または通勤中による怪我や病気に対し、保険給付をおこなう制度です。

労災保険の加入は任意ではなく義務なので、労働者を1人でも雇用する事業主は労災保険に加入しなければいけません。

労働者の雇用形態は関係なく、正社員はもちろんアルバイトやパートなどすべての方が対象です。

労災保険は以下のように分類されます。

原因・事由 分類 内容
仕事中に発生するもの 業務災害 業務が原因で負傷、疾病、障害または死亡した場合
複数業務要因災害 複数事業で働く労働者が、業務を要因とする傷病等を患った場合(対象となる傷病は脳・心臓疾患・精神障害など)
通勤中によるもの 通勤災害 通勤中に労働者が傷病等を被った場合

労働災害が起こった際に迅速かつ的確な対応ができるよう、労災保険の種類は理解しておきましょう。

参考:厚生労働省 | 労災補償

1-1. 労働保険料との違い

労災保険と労働保険との違いは雇用保険を含むかどうかです。労働保険は労災保険と雇用保険を総称する名称です。そのため、労働保険と言った場合は労災保険だけでなく雇用保険も含みます。労災保険、雇用保険の給付は別でおこなわれます。しかし、保険料の申告と納付は労災保険料として一括でおこなうのが原則です。

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2. 労災保険料の2024年の保険率

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労災保険料がいくらなのか算出するためには労災保険率を用いますが、保険率は原則3年ごとに改定されます。過去3年間の災害発生状況や給付実績などをもとに、保険料率を見直す必要があるためです。

労災保険料率は会社ごとではなく、業種ごとに設定されています。業種によって事故にあう確率や怪我を被る危険性が異なるためです。

2024年度の労災保険料率の一部をご紹介しましょう。

事業の種類 業種 労災保険率
建設事業 水力発電施設、ずい道等新設事業 34
道路新設事業 11
舗装工事等 9
鉱業 金属鉱業、非金属鉱業、石炭鉱業 88
製造業 食料品製造業 5.5
木材または木製品製造業 13
林業 林業 52
運輸業 交通運輸事業 4
貨物取扱事業 8.5
電気・ガス・水道・熱供給の事業 電気、ガス、水道または熱供給の事業 3
その他の事業 卸売業・小売業、飲食店または宿泊業 3
金融業、保険業、または不動産業 2.5

鉱業や建設事業など、一般的に危険度が高い業種ほど保険率は高く、危険度が低い業種は保険率が低く定められています。

参考:厚生労働省 | 労災保険料率(令和6年4月1日施行)

3. 労災保険料の計算方法

タブレットを操作している

労災保険料は、すべての従業員に支払った賃金総額に労災保険料を乗じて算出します。
賃金総額とは給料や賞与など労働基準法で定められた賃金の総額です。以下では、賃金総額に該当するものと該当しないものの一部をまとめています。

賃金総額に該当するもの 賃金総額に該当しないもの
基本給
賞与
通勤手当
深夜手当
休日手当
住宅手当
扶養手当
役職手当
家族手当
前払い退職金
役員報酬
退職金
出張旅費
宿泊費
傷病手当金
出産手当金
寝具手当
休業補償費
見舞金や結婚祝い金など臨時で支払われたもの

では、具体例を用いて実際に計算をしてみましょう。

例1 例2
業種 金融業 道路新設事業
賃金総額 5千万円 1億円
労災保険率 2.5 11
労災保険料 5千万円×2.5/1000=12万5千円 1億円×11/1000=110万円

金融業の労災保険率は2.5です。賃金総額が5千万円の場合、労災保険率の2.5を乗じ、労災保険料は12万5千円と求められます。

また、道路新設事業の労災保険率は11なので、賃金総額が1億円の場合は労災保険料が110万円です。建設事業で賃金総額を算出することが難しい場合には労務比率を用いることになります。

保険料を計算するうえで小数点以下が発生した際、1円未満は切り捨てになります。

4. 労災保険料の納付方法

選択に悩んでいる

労災保険料の納付方法を下記の3つの観点から解説します。

  1. 労災保険料の納付期間
  2. 労災保険料の算出
  3. 労災保険料の提出先

納付期間や納付場所など、あらかじめチェックしておきましょう。

4-1. 労災保険料の納付期間

労災保険料は、毎年6月1日から7月10日の期間に納付しなければいけません。

ただし、6月1日が土曜であれば6月3日、日曜であれば6月2日から開始となります。また、7月10日が土曜であれば7月12日、日曜であれば7月11日で終了となるため注意しましょう。

納付期間を過ぎた場合は延滞金が発生する場合があるので、計画的に準備を進め、必ず期限内に納付してください。

なお、以下のいずれかに該当する場合は保険料の分割納付が認められています。

  • 概算保険料額が40万円以上の場合(ただし、労災保険と雇用保険のどちらか一方だけ成り立っている場合は20万円以上)
  • 労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合

分割納付が認められた場合、保険料を3回に分割して納付が可能です。

参考:厚生労働省 | 労働保険料の申告・納付

4-2. 労災保険料の算出

労災保険料は前年度の賃金総額をもとに当年度の保険料を算出します。つまり、当年度に支払う労災保険料はあくまでも概算の保険料です。

前年度に概算で支払った労災保険料に不足があった場合は不足分を支払い、多かった場合は今年度の保険料に充当します。

ただし、年度途中で以下の2つに当てはまった場合は注意しましょう。

賃金総額の見込額が2倍以上に増加する場合
申告済みの概算保険料より13万円以上増加する場合

両者に該当する場合、賃金総額と概算保険料が増加した日から30日以内に増加概算保険料申告書の提出と増加概算保険料の納付が必要です。

参考:兵庫労働局 | 賃金の見込額が増加したとき(継続事業)

4-3. 労災保険料の提出先

労災保険料が算出できたら申告書を記入し、以下のいずれかの場所で保険料の納付と申告書の提出をおこないます。

  • 都道府県労働局
  • 労働基準監督署
  • 銀行や郵便局などの金融機関

なお、e-Govによる電子申請も可能です。

5. 労災保険料に関する3つの注意点

ブロックで注意点を表している

労災保険料を申告・納付する前に、以下の5つの注意点を押さえておきましょう。

  1. 賃金総額に該当するものを正しく見極める
  2. 過不足は翌年度で調整する
  3. 納付期限を過ぎると延滞金が発生する
  4. 事業ごとの保険率で算出する
  5. 出向や派遣社員に注意する

それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。

5-1. 賃金総額に該当するものを正しく見極める

労災保険料を算出するにあたり、賃金総額を正しく求めることが重要です。

賃金総額は給与や賞与など労働の対価として支払われたすべての賃金を指しますが、中には含まれないものもあるので注意しましょう。

賃金総額に含まれないものには、以下が挙げられます。

  • 役員報酬
  • 出張旅費
  • 休業補償費
  • 退職金
  • 臨時で支払われる結婚祝い金や見舞金など

5-2. 過不足は翌年度で調整する

労災保険料で過不足が発生した場合は、翌年度の保険料で調整しなければいけません。

労災保険料は今年度の見込み賃金総額を基準にし、概算で申告・納付する仕組みとなっています。

納付した保険料が多かった場合は今年度の労災保険料に充当し、足りなかった場合は翌年度の労災保険料に追加して支払いましょう。

5-3. 納付期限を過ぎると延滞金が発生する

労災保険料を期限までに納付しなければ、延滞金が発生するので注意しましょう。

納付期限を過ぎても労災保険料を納付しなかった場合、まずは督促状が届きます。

督促状に記載された指定納期を過ぎても労災保険料を納付しなければ延滞金が発生するため、迅速な対応が必要です。

延滞金は年14.6%で発生し、延滞日数は法定納期の翌日まで遡って算出されます。督促状に記載された納付期限が基準ではないので注意しましょう。

5-4. 事業ごとの保険率で算出する

労災保険料を算出する際は事業ごとの保険率で算出する必要があります。複数の事業を展開している企業の場合は注意が必要です。複数の事業を展開しているのであれば、事業ごとに定められた労災保険上の事業の種類に応じた保険率で計算しましょう。労災保険法においての事業の区分は労働基準法や労働安全衛生法と捉え方が異なります。混同しないように注意しましょう。

5-5. 出向や派遣社員に注意する

出向や派遣社員についての労災保険料の取り扱いにも注意が必要です。出向している社員は出向先で労災保険に加入するため、保険料は出向先が負担します。一方、派遣社員は受け入れている企業ではなく、派遣元が労災保険料を支払います。派遣社員を受け入れている事業主負担ではありません。

6. 従業員を雇用した場合は労災保険料を納めよう

タブレットを操作している

労災保険料を納付することは、労働者を雇用する事業主の義務です。

労災保険料の納付手続きを怠ると延滞金が発生し、最悪の場合は労働者への保険給付した額を会社が負担することになります。

計算方法や納付手続きなど複雑な面もありますが、従業員を守るために必ず期限内に納付しなければいけません。

労務担当者は労災保険の制度を正しく理解し、正確な保険料を算出することが重要です。

労災保険に関して悩みや疑問がある場合は、厚生労働省が運営する相談ダイヤルを利用するなどして理解を深めましょう。

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