労働時間の上限規制は管理職にもある?管理監督者との違いを理解しよう - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

労働時間の上限規制は管理職にもある?管理監督者との違いを理解しよう - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

労働時間の上限規制は管理職にもある?管理監督者との違いを理解しよう - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

労働時間の上限規制は管理職にもある?管理監督者との違いを理解しよう

 

悩む

現在では過労死などが社会問題になっていたこともあり、従業員の労働時間をしっかり把握する風潮が企業間で高まっています。
加えて働き方改革によってフレキシブルな働き方、より働きやすい職場環境作りが重視されるようになってきました。

それとともに労働時間の上限を決めて労働者を守ろうという動きも活発になっていますが、いわゆる「管理職」の労働時間の上限も規制されているのでしょうか?

本記事では、管理職の労働時間の上限規制や、管理職とみなされる基準について解説します。

管理監督者の勤怠管理、法的に問題なくできていますか?

管理監督者に残業の上限規制は適用されませんが、労働時間の把握は管理監督者であってもしなくてはならないと、法改正で変更になりました。

この他にも、法律の定義にあった管理監督者でなければ、残業の上限超過や残業代未払いとして違法になってしまうなど、管理監督者の勤怠管理は注意すべきポイントがいくつかあります。

当サイトでは、「管理職の勤怠管理を法律に則っておこないたい」という方に向け、管理監督者の勤怠管理の方法やポイントについて、本記事の内容に補足事項を加えわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

管理職の勤怠管理に不安のある方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

1. 管理職の労働時間の上限規制はある?

社内でタブレットを見ている企業の重役

企業は従業員に対して法定労働時間を守って労働させる必要があり、法定労働時間を超えて労働をする場合や、休日出勤が発生した場合は割増賃金が発生します。しかし、管理職と呼ばれる立場の人には、こうした労働基準法で定められている部分が適用されないことがあります。まずは管理職の労働時間や残業代の取り扱いを知っておきましょう。

1-1. 管理職は労働時間の上限規制の適用外

労働基準法では一般の労働者が働ける時間が1日8時間、1週間で最大40時間と定められています。法定労働時間を超えて労働をする場合は、36協定を締結しなければなりません。
ただし、36協定の時間外労働にも労働時間の上限が設けられており、あまりに過酷な労働にならないよう配慮がなされています。

こうした36協定による労働時間の上限規制の変化は、管理監督者とされる労働者に対しては適用されません。
厳密には、管理監督者に該当する場合に限り、労働基準法に定められている「1日8時間、1週間40時間」という労働時間の上限が適用されなくなります。

また、36協定にある時間外労働が1ヵ月最大45時間、年間360時間という規制も受けないため、管理監督者は労働時間・残業時間に制限がないといえます。

36協定とは

36協定とは、労使協定のひとつです。労働基準法第36条に基づいて締結されるため、36協定と呼称されています。

そもそも労働基準法では、労働時間や必要な休日数などを定めており、その基準を超えて労働をさせる場合に締結する必要があるのが36協定です。そのため労働者に労働基準法で定められている労働時間を超えて労働させる場合には企業と労働者の間で36協定を結ばなければなりません。36協定を労働基準監督署に届けず、法定労働時間を超えて労働させていると労働基準法違反となってしまいます。

参考:労働基準法|e-Gov 法令検索

1-2. 管理監督者や管理職には残業代も発生しない

管理監督者については労働時間の規定については適用されないことになっています。そのため、割増賃金支払いの義務が適用されないため、残業手当は支給されません。つまり、管理監督者はどれだけ労働しても残業代は出ないのです。

しかし、このことを悪用して従業員を形式上は役職についている「名ばかり管理職」にして、残業代を支払わずに長時間労働させる企業も存在します。

後述しますが、管理監督者は役職名ではなく実態に基づいて判断されるものです。従業員を名ばかり管理職にし、実際は非役職者と業務内容や待遇がさほど変わらない場合、残業代を支給しないのは違法になる可能性があります。

1-3. 管理監督者の労働時間の把握は必要

これまで管理監督者の労働時間の把握については「おこなうことが望ましい」という表現にとどまっていました。しかし、働き方改革による労働安全衛生法の改正によって、管理監督者の労働時間を把握することが必要になっています。

改正労働安全衛生法の第66条の8では、一定の労働時間を越えた従業員に対して医師による面接指導を実施することを定めています。その対象になる労働者を把握するために、労働時間を把握しなければならないとしています。

このことについて、厚生労働省は2018年12月に「労働時間の把握をする労働者の対象に管理監督者は含まれる」と通達を出しているため、管理監督者の労働時間も把握する必要があるのです。

参考:厚生労働省労働基準局長 | 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について

2. そもそも労働基準法における管理監督者とは?

微笑むサラリーマンの写真

管理監督者とは、使用者と一体的な立場にあり、権限や責任を有する従業員のことをさします。ただし、企業内で一般的にいう「管理職」と労働基準法が定義する「管理監督者」は厳密には同じではありません。

労働基準法における「管理監督者」の定義と、管理職との違いを解説していきます。

2-1. 「管理職」と「管理監督者」の違い

企業が自社内で決めている「管理職」と、法律上の「管理監督者」には大きな違いがあります。企業が独自に決定する管理職が法律上の管理監督者に該当するわけではありません。

労働基準法上の管理監督者とは経営者と同じかそれに近い強い権限を持っており、就業時間を自分の裁量で決定することができ、給与などの面でその地位にふさわしい、ほかの一般社員とは明確に異なる待遇を受けている人のことです。

したがって、企業の中で役職者とされていても、実際には一般社員と同じ業務や裁量である場合は管理監督者とみなされません。管理監督者は、役職名ではなく実態に基づいて判断されるものです。

この点で理解が不足していたり誤解があったりすると、労働基準法に基づいた残業代が支払われていないとみなされる可能性があるため注意が必要です。

2-2. 管理監督者とみなされる4つの基準

では、管理監督者とみなされる判断基準はどのようなものなのでしょうか。具体的には、「職務内容」「責任と権限」「勤務形態」「賃金(待遇)」の4つを基準に管理監督者にあたるかの判断がされます。厳しい判断基準が設けられており、管理監督者として認められない場合はトラブルになる可能性もあるため、明確に基準を知っておきましょう。

①職務内容

厚生労働省は、管理監督者の職務内容を「労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること」と定めています。ここでいう重要な職務内容には、以下のようなものが含まれます。

  • 経営会議
  • 経営戦略の企画や立案
  • 部門や部署の統括
  • 労働条件の決定
  • 人事評価や採用

こうした経営に関連する重大な職務をおこなっている場合は管理監督者として認められます。ただし、単純にこれらの職務についているだけでなく、影響力や権限が伴っていなければなりません。

②責任と権限

職務内容の部分でも少し触れましたが、管理監督者として認められるには重要な責任や権限を保有していなければなりません。

たとえば、採用や解雇などの人事権限を保有していることや、経営者不在時には経営者代行として対応する権限を保有しているなど、一般の従業員とは大きく異なる権限を持っていることが必要です。経営者からの指示に従うだけや、部下に伝達するだけなど、実態がない場合は管理監督者としては認められない可能性が高いです。

③勤務形態

管理監督者の勤務形態は、自分自身の裁量で決定できなければなりません。前述したように経営上の重大な判断や決定をできるのが管理監督者であるため、固定された労働時間で働く形ではなじまないからです。

始業時間や就業時間が決められている場合や、遅刻や早退によるペナルティが発生する場合などは、時間管理が企業側にされているとみなされ、管理監督者としては認められません。

④賃金(待遇)

管理監督者はより責任が重く、重要な職務を担っているため、一般の従業員と比べて相応の待遇であるべきとされています。

管理監督者には残業代が支払われません。そのため、給与や賞与、役職手当などで相応の待遇をしていないと、一般の従業員と同等や、それ以下の給与になってしまうことがあります。そのような場合は管理監督者としては認められず、裁判になった場合は未払いの残業代を企業側は支払うことになります。

参考:厚生労働省 | 労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために

2-3. 管理監督者の勤怠管理における注意点

労働基準法では安全配慮義務が定められています。働き方改革の際に、労働時間の客観的把握をおこなわなければいけなくなり、これには管理監督者ももちろん含みます。ただし、管理監督者だけ適用除外となる項目があるなど、管理監督者の勤怠管理における注意点を3点解説します。

①労働基準法における一部の規定は適用対象外となる

労働基準法第41条に基づいて、管理監督者の適用が除外される項目は以下の3つです。

  • 労働時間
  • 休憩
  • 休日

原則として、すべての労働者はこれら3つの規定を遵守しなければなりませんが、管理監督者に関しては適用対象外です。労働時間の規定がないことにより、36協定も対象外になります。

関連記事:労働基準法第41条に基づく適用除外の項目と該当者について解説

②深夜労働と休暇の規定は適用される

上述した通り、管理監督者は労働時間や休日労働についての規定はありませんが、「深夜労働」と「有給休暇」は通常通り適用されます。

管理監督者に該当する人でも、午後10時から午前5時の間に業務をする場合は割増賃金(25%以上)を支給する必要があります。有給休暇も一般の従業員と同じように与えなければなりません。

36協定が適用されない管理監督者でも、健康的な働き方ができ、相応の対価を得られるために設けられている規定です。

③自己裁量にも限度はある

管理監督者においては、労働時間や休憩などの規定はなくなりますが、すべてが自由というわけではありません。

早退や遅刻を繰り返し、社内の業務に支障をきたしてしまうような行動をとってしまうと、管理監督者としての尊厳や信頼がなくなってしまいます。

法律上で何か具体的に定められているものではありませんが、管理監督者という役割と責任を持っていることを忘れずに働くことが求められます。企業側は管理監督者がどのような働き方をしているか、しっかりと把握しておきましょう。

2-4. 管理監督者を設置する場合の就業規則の定め方

「2-2. 管理監督者とみなされる4つの基準」において基準を紹介しましたが、この基準は労働基準法で定められているわけではありません。そのため、管理監督者を設置する場合は、どの職位の人が管理監督者にあたるかを就業規則にて定めておく必要があります。

管理監督者に該当する条件が明確にされていないと、従業員の間で不安や不信感が生まれてしまう恐れがあります。また、管理監督者になった場合の待遇の変化もわかりやすくしておくと、一般の従業員との違いが明確になり、トラブルを予防しやすくなるでしょう。

当サイトでは「管理監督者の勤怠管理マニュアル」という資料を無料配布しております。本資料では管理職の残業代や労働時間の上限などを法律の観点でわかりやすく解説しております。また、そもそも労働基準法における管理監督者がなんなのかも説明しており、勤怠管理の管理者にとっては大変参考になる内容となっております。管理監督者の勤怠管理を適切におこないたい方は、こちらから無料でダウンロードしてご覧ください。

3. 管理職や管理監督者の残業の取り扱い

時計

管理監督者は労働基準法による労働時間の上限規制が適用されず、残業は無制限にできてしまいます。しかし、だからこそ残業の取り扱いには注意が必要です。管理監督者の残業による問題や、労災との関係を知っておきましょう。

3-1. 残業や休日出勤には配慮が必要

管理監督者には残業代が支払われないことや、36協定の上限規制が適用されないなど、一般の従業員と異なる待遇になることをここまで解説してきました。労働基準法に縛られず、長時間働くことが可能なわけですが、企業は従業員に安全で健康的な働き方をさせなければなりません。

たとえば、残業時間が月の100時間を超えてしまうと、単純計算で1日5時間の残業を20日以上続けたことになります。こうした長時間労働は肉体の疲労だけでなく、メンタル面への影響が深刻化する可能性があります。繁忙期やトラブル対応による一時的な残業時間増はしかたない部分がありますが、管理監督者でも残業時間や休日出勤には一定の配慮をしなければなりません。

また、管理監督者本人にも働きすぎによる悪影響を理解してもらい、予防のために企業側から働きかけることも大切です。

3-2. 何かあった場合は労災になる可能性がある

管理監督者が月に100時間の残業をしたとしても、違法にはなりません。しかし、80時間を超える残業をしている場合は、肉体と精神にさまざまな悪影響が発生します。厚生労働省は「1ヶ月に100時間以上」または「2〜6ヶ月間の1ヶ月平均が80時間以上」が過労死ラインと定めています。

80時間以上の残業は睡眠不足による体調不良やうつ病、精神疾患を発症するリスクが高まり、場合によっては過労死や過労自殺を引き起こすこともあるでしょう。また、ストレスや慢性的な睡眠不足は、心疾患や脳血管障害を発症させることもあります。

こうした事故が発生した場合、業務との因果関係が認められると労災になる可能性があります。これは管理監督者でも同じであるため、働きすぎには十分に注意しなければなりません。

4. 管理職の労働時間を正確に把握する方法

タブレット内の電子帳簿

2019年4月の法改正により、管理職や管理監督者であっても、企業として労働時間をしっかりと把握することが求められるようになりました。

しかし、管理監督者は働く時間が固定されておらず、自分の裁量で自由に決められるため、企業側が労働時間を正しく把握するのが難しい場合があります。そうした管理監督者の労働時間を正確に把握するにはどうすればよいか、4つの方法を紹介します。

4-1. タイムカードで管理する

中小企業を中心に一般的に用いられているのがタイムカードです。従業員が出社したときに打刻し、退勤時に再度打刻すると労働時間が記録されます。

導入費用やランニングコストが非常に少ないため、導入しやすい勤怠管理の方法です。ただし出退勤の管理しかおこなえないため、ヒューマンエラーにより労働時間を正しく把握できない恐れがあります。さらに社外で仕事をする従業員がいる場合には正確な把握ができません。

外出していることが多い管理職であれば、GPS打刻ができる勤怠管理システムの導入がおすすめです。

GPS打刻について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください▶タイムカードはもう不要?GPSで打刻できる勤怠管理システムとは

4-2. パソコンの使用記録を使う

パソコンの使用記録によって勤怠管理をおこなっている企業も少なくありません。出社と同時にパソコンの電源を入れ、退社時にパソコンの電源を落とせば労働時間を把握できます。

客観的な記録が残るという点では非常に魅力的ですが、その一方で休憩時間や業務の進捗状況の把握などが難しいというデメリットもあります。勤怠管理は社内すべての従業員で統一するのが基本であるため、一般社員の勤怠管理では不便な点も出てくる可能性があります。

また、操作ログを取得すると社内ネットワークに負荷が大きくかかります。場合によっては社内ネットワークが重くなってしまうため、対策が必要です。

4-3. 勤怠管理システムを用いる

客観的に、しかも正確に管理職の労働時間を管理するなら、勤怠管理システムの導入がおすすめです。

現在ではスマホやタブレットなどと連動して勤怠管理ができるシステムも開発されています。社外にいる管理職、管理監督者であっても、スマホなどを使って正確に労働時間を記録できます。

さらに、勤怠管理システムを使えば労働時間、休憩時間、休日労働、時間外労働などを自動的に集計でき、知らないうちに労働基準法違反になることを避けることができるでしょう。

「具体的に勤怠管理システムで何ができて、どう楽になるの?」という方に向け、当サイトでは勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の機能やシステムを使うメリットをご紹介した無料資料を配布しております。ご希望の方はこちらからダウンロードページをご覧ください。

4-4. 自己申告制には注意が必要

管理職の労働時間を把握するため、エクセルファイルや出勤簿を使って自己申告制にするという方法もあります。

エクセルファイルであれば自動的に労働時間や休憩時間を集計し統計を取ることができるなどのメリットがありますが、自己申告制は原則として客観的な労働時間の記録として認められていません。また、基本的には手入力になるため、改ざんや入力ミスのリスクが高くなります。

エクセルや出勤簿はコストをかけずに労働時間を把握できますが、課題も多いという点に注意が必要です。

5. 管理職と管理監督者の違いを理解して労働時間の上限規制を守ろう

スーツ姿の男女

管理職だからといっていくらでも時間外労働をさせられるというのは、大きな誤解です。一般的な管理職と管理監督者には大きな違いがあるということをよく理解しておきましょう。管理監督者として認定されない従業員を管理職として働かせていると、大きなトラブルに発展することもあります。

また、管理監督者として認められる立場の人でも、働きすぎによる悪影響があることは企業・従業員共に理解して予防しなければなりません。すべての従業員が適正な給与を受け取り、安全で健康的に働ける環境を維持することが企業には求められています。

管理監督者の勤怠管理、法的に問題なくできていますか?

管理監督者に残業の上限規制は適用されませんが、労働時間の把握は管理監督者であってもしなくてはならないと、法改正で変更になりました。

この他にも、法律の定義にあった管理監督者でなければ、残業の上限超過や残業代未払いとして違法になってしまうなど、管理監督者の勤怠管理は注意すべきポイントがいくつかあります。

当サイトでは、「管理職の勤怠管理を法律に則っておこないたい」という方に向け、管理監督者の勤怠管理の方法やポイントについて、本記事の内容に補足事項を加えわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

管理職の勤怠管理に不安のある方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

勤怠・給与計算のピックアップ

新着記事