給与所得とは?手取りや給与収入の違いと計算方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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給与所得とは?手取りや給与収入の違いと計算方法をわかりやすく解説

給与をいただいている人

給与所得とは、会社から支給される賃金やボーナスなどから、給与所得控除額を除いたもののことです。社員に年末調整を記載してもらうためには、給与所得を適切に算出してもらう必要があります。

しかし「給与所得と給与収入の違いがわからない」「給与所得の計算方法を知りたい」と、お悩みの方もいるでしょう。

そこで本記事では、給与所得の概要や正しい計算方法を解説します。年末調整における給与所得の申請方法も解説するので、給与所得について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

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1. 給与所得とは

レシートを集める

給与所得とは、会社から受け取る源泉徴収する前の賃金やボーナスなどから、給与所得控除額を除いた所得のことです。

給与というのは、手取りや給与収入などのワードでも表現されることがあるため、すべて同じ意味だと思っている従業員が多いようです。しかし、従業員が正しく意味を理解していないと、「給与が少ない」「給与が毎月変わる」などの不満につながる可能性もあるので、給与担当者も「給与所得」に関して正確に理解しておく必要があります。

ここでは、給与所得と手取り、給与収入との違いについて解説します。

1-1. 給与所得と手取りの違い

給与所得と手取りの違いは、税金や社会保険料を差し引かれているかいないかです。手取りとは、労働者が実際に受け取る給与のことを指します。給与収入から所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた金額が手取りです。

給与明細には「差引支給額」と記載されていることが多く、手取りの金額は自分で自由に使っていいお金となります。

一般的には、給与収入の75%〜85%が手取りです。例えば300万円が給与収入だった場合、手取りは、225〜255万円となります。給与収入よりも、手取りが少なくなることを覚えておきましょう。

関連記事:差引支給額とは?計算方法や注意点、計算を効率化する方法を解説

1-2. 給与所得と給与収入の違い

給与所得控除がマイナスされているかいないかが、給与所得と給与収入の異なる部分です。給与所得は、給与収入から給与所得控除をマイナスすることで求められます。

給与収入は、簡単にいうと年収のことです。源泉徴収前の給与やボーナスをすべて合計した金額を指します。例えば以下のような、会社から社員に支払われる労働の対価はすべて給与収入です。

  • 給与
  • 賞与(ボーナス)
  • 住宅手当や休日出勤手当
  • 残業代
  • 無料や低価格で受け取った自社製品のような現物支給

ちなみに、給与収入は現金だけでなく、無料や低価格で受け取った自社製品などの現物も含まれます。

2.給与所得控除とは

電卓と男性

給与所得控除とは、会社から給料をもらうすべての給与所得者が受けられる控除を指します。会社員やアルバイト・パートは、研修費や通勤費など特定の支出以外は経費として計上できません。

しかし業務のためにペンやノートを購入したり、営業先への移動で交通費がかかったりするケースもあります。つまり、給与所得控除を活用すれば、給与収入から必要経費が控除されるため、税金の負担が軽減されるというメリットがあるのです。

ただし、給与所得控除は年収によって控除される値が異なるので、給与所得は正確に計算しなければなりません。また、同じような控除で「所得控除」もあります。

ここでは、給与所得控除と所得控除の違い、給与所得控除が適用される収入を解説します。

参考:国税庁|No.1410 給与所得控除

2-1.給与所得控除と所得控除の違い

給与所得控除と所得控除は同じような名前ですが、内容はまったく違います。

給与所得控除というのは、会社員やパート・アルバイトなど給与所得者が受けられる控除のことです。

一方、所得控除というのは、医療費や住宅ローンなど従業員個人の状況によって、課税所得から控除して所得税を減らす制度です。

例えば、年間10万円以上の医療費がかかった従業員や住宅ローンを毎月支払っている従業員など、個人の状況は異なります。このような状況が所得控除の要件に該当する場合は控除が適用されるので、給与所得からさらに所得控除を差し引いて課税所得を算出します。

最終的な所得税額は、給与所得控除と所得控除を差し引いた課税所得に、税率をかけて算出するという流れになります。

2-2.給与所得控除の適用は「給与収入」だけ

給与所得控除が適用されるのは、会社から給料が支払われる従業員の「給与収入」だけです。

個人事業主やフリーランスでも毎月の収入を「給与」と呼ぶケースがありますが、事業所得者は仕事に関わった支出を経費にすることができます。つまり、個人事業主などの所得税は、収入から経費を差し引いた所得に対してかかるので、経費分で節税できるのです。

しかし、正社員やパート・アルバイトなどの給与所得者は、スマホ代やスーツ、文房具など仕事で使うものであっても、経費として計上することができません。

給与所得控除というのは、経費計上できない給与所得者のために設けられた制度なので、「給与収入」にしか適用できないのです。

3. 源泉徴収とは

書類と男性

源泉徴収とは、従業員の給与や賞与から税金、保険料を会社が徴収して、従業員に代わって納税する仕組みです。

この源泉徴収の内容、つまり年間に納付した所得税額や控除額が記されているのが源泉徴収票になります。一般的に、源泉徴収票が発行するのは確定申告が終了した後です。

源泉徴収を算出するには、給与所得や給与所得控除などを計算しなければなりませんが、そのために正確な給与収入を算出しておく必要があります。

ここでは、給与収入になるもの・ならないものや所得税に関わる「103万円の壁」について解説します。

関連記事:源泉徴収票とは?正しい見方や期間、計算方法について詳しく解説

3-1. 給与収入になるもの・ならないもの

給与所得控除を算出するには、年間でどれだけの給与が支払われたを確認する必要があります。確認をおこなう際には「給与収入になるもの」「ならないもの」を把握しておくことが重要です。

「給与収入になるもの」には基本給はもちろん、残業手当や休日出勤手当などの各種手当が含まれます。

一方、月額10万円以下の通勤手当や必要と認められた転勤や出張費などは給与収入にはならないので、「給与収入にならないもの」に分類されるということを覚えておきましょう。

3-2. 103万円の壁との関係

給与所得と関係するのが、「103万円の壁」です。

「103万円の壁」とは、所得税が発生するかどうかの収入ラインです。年間の収入が103万円であれば、基礎控除額48万円と給与所得控除55万円を引くとゼロになるため、所得税は発生しません。

しかし、年間の収入が113万円の場合、10万円の所得税の課税対象額が生じることになります。ぎりぎりのラインの従業員に関しては年間収入の計算を間違えないようにしましょう。

4. 給与所得の計算方法

人物情報から精査する

給与所得は以下の計算式で求められます。

給与収入(給料+現物支給)−給与所得控除額

給与所得控除額は年収によって異なるため、計算する際には国税庁が公表している下記の表を活用します。

年収 給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001~1,800,000円まで 年収×40%-100,000円
1,800,001~3,600,000円まで 年収×30%+80,000円
3,600,001~6,600,000円まで 年収×20%+440,000円
6,600,001~8,500,000円まで 年収×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

例えば、収入が700万円だった場合の給与所得は、以下のように算出します。

700万円(給与収入)−700万円×10%+110万円=180万円(給与所得控除額)=520万円

給与収入を700万円もらっているケースでの給与所得は、520万円です。1,625,000円以上の収入がある際は、給与所得控除額を求めて、給与所得を導き出す必要があります。

参照:国税庁|No.1410 給与所得控除

5. 給与所得者に関係する書類

サイン

給与所得の管理業務をおこなう際には、下記のような書類が必要になることがあります。

  • 給与所得者の基礎控除申告書
  • 給与所得者の異動届出書
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

他にも書類はありますが、ここではこれらの書類について解説します。

5-1. 給与所得者の基礎控除申告書

「給与所得者の基礎控除申告書」という書類は、納税者が生活するうえで必要となるものには税金を課さないことを証明するものです。この書類は、納税者の合計所得金額が、2,500万円以下になる場合に記入しなければなりません。

「給与所得者の基礎控除申告書」には、利子所得や配当所得、事業所得などの記入欄があります。これらの所得は算出の方法がわからないという担当者の方もいるかもしれませんが、下記ような計算方法になります。

  • 利子所得=収入金額-元本取得に要した負債の利子
  • 配当所得=総収入金額-必要経費
  • 事業所得=総収入金額-必要経費

他にも、不動産所得などがあるので、それぞれの計算方法を確認しておきましょう。

5-2. 給与所得者の異動届出書

「給与所得者異動届出書」の書類は、退職や転勤、休職、死亡などの理由で、従業員が給与の支払いを受けなくなった際に提出しなければならないものです。この書類を提出しないと、住民税の特別徴収を止めることができません。そのため、雇用している(もしくはしていた)会社が市町村に提出します。

「給与所得者異動届出書」というのは、給与の支払いを受けなくなったタイミングによって提出期限が異なるので、事前に期限を確認してから、期限内に提出してください。

5-3. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類は、配偶者や親族が扶養家族に該当する場合、配偶者の所得控除を受けるために提出しなければならないものです。

この書類には、下記のような欄が設けられているので、正確に記入できるように記入方法を確認しておきましょう。

記入欄 記入方法
所得税務署長等 給与支払者(会社)の所在地等を管轄する税務署・市区町村長の名称
給与の支払者の名称 会社名
従業員の個人番号 マイナンバーが記載された帳簿を添付する場合は不要
従たる給与についての扶養控除等申告書の提出 2か所以上から給与を受け取っている場合は○

受け取っていない場合は無記入

老人扶養親族 / 特定扶養親族 該当する親族がいる場合は○

いない場合は無記入

所得の見積額 控除対象配偶者や控除対象扶養親族が得ている所得の見積額
6歳未満の扶養親族 該当する扶養親族の情報

6. 年末調整における給与所得の申告方法

ポイントを示している

年末調整は、給与所得者の基礎控除申告書を使って給与所得を申告します。給与所得の計算方法を用いながら給与所得控除額を計算してから、自身の所得金額を求めて記入しましょう。

基礎控除申告書を紙の様式で記載してもらう場合、以下の書類を合わせた1枚の様式になっています。

  • 配偶者控除等申告書
  • 所得金額調整控除申告

正社員に限らずアルバイト・パートも年末調整の対象者です。対象者に記入方法を正しく伝えると同時に、計算ミスがないか必ず確認しましょう。

また会社からの給与以外に不動産の運用所得や副業で得ている収入がある場合は、給与との合計額を基礎控除申告書に記載します。会社からの給料以外に収入があり、以下が該当するケースでは確定申告が必要です。

  • 1か所から給与の支払いを受けている人で、給与所得もしくは退職金以外の所得の合計値が20万円を超えるもの
  • 2か所以上から給与が支給されており、給与の全部が源泉徴収の対象となるケースで、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得もしくは退職金以外の所得との合計値が20万円を超えるもの

年末調整は、記入者が間違えないようにサポートしながら正しく記入してもらいましょう。

参考:国税庁|No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

6-1. 所得金額調整控除とは

所得金額調整控除とは、2020年分から導入された制度です。

所得金額調整控除を受けることで、税金を計算する際の軸となる所得金額を控除可能です。ただし、所得金額調整控除は誰でも受けられるわけではなく、次のような条件を満たす人が受けられます。

  • 年収850万円超の給与所得者のうち、下記のいずれかに該当ケース
    1. 所得税の確定申告をする年の12月31日の段階で23歳未満の扶養親族がいる
    2. 本人が特別障害者
    3. 同一生計配偶者か扶養親族のいずれか一人が特別障害者
  • 給与所得と年金所得が両方ある方のうち、所得額の合計が10万円を超える人

6-2. 配偶者控除等申告書とは

配偶者控除等申告書は、配偶者についての控除を受けるために必要な申告書です。

配偶者がいるのであれば、要件を満たすことで配偶者特別控除もしくは配偶者控除が受けられます。配偶者特別控除や配偶者控除を受けることで、所得税の負担を軽減できます。

控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額と控除対象配偶者の年齢によって決められています。

控除を受ける納税者本人の
合計所得金額
控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
9,000,000円以下 380,000円 480,000円
9,000,000円超9,500,000円以下 260,000円 320,000円
9,500,000円超10,000,000円以下 130,000円 160,000円

参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

7. 給与所得を正しく理解して税額計算をしよう

会議をしている

給与所得は会社から支給される賃金やボーナスなどの所得から、給与所得控除額をマイナスすることで算出できます。

つまり、給与所得控除額は収入金額によって異なるため、従業員一人ひとり違うということです。そのため、従業員には正しい年収を伝えて、給与所得控除額を算出してもらうことが重要です。

また、原則として正社員だけでなく、アルバイト・パートにも年末調整の記入が必要です。アルバイトやパートの従業員は計算が間違っていたり、記入方法がわからなかったりするケースもあるので、担当者の方は記入前にわからない点がないか確認しておきましょう。

経理業務をおこなう方は、給与所得と給与収入の違いや計算方法を理解して、対象の従業員が給与所得申告を正しく実施できるようにサポートをおこないましょう。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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