「ノーレイティングの特徴や仕組みがわからない」

「ノーレイティングの導入方法がわからない」

上記のお悩みはないでしょうか。

ノーレイティングとは緻密な面談の繰り返しで待遇を決める評価方法のことです。従来の人事評価制度の代わりに導入する企業が増えており、自社への導入を考えている経営者の方もいるでしょう。

本記事では、ノーレイティングとは何か、どのようなメリットやデメリットがあるのかを解説します。導入方法や注意点も解説するので、ノーレイティングの導入を検討する際の参考にしてください。

目次
1. ノーレイティングとは
2.ノーレイティングが注目される背景
3.ノーレイティングを導入する4つのメリット
4.ノーレイティングを導入する2つのデメリット
5.ノーレイティングの導入方法
6.ノーレイティングで失敗しないための2つの注意点
7.ノーレイティングを正しく理解して導入しよう

1. ノーレイティングとは

ノーレイティングとは、上司と部下の1on1ミーティングで従業員の仕事を評価する方法です。

期末や年度末だけでなく、より頻繁で密接なコミュニケーションにより、上司と部下がお互いに納得したうえで評価を決定します。

また従来の評価方法とは異なり、ランク付けもありません。ランクによって昇給や昇格が決まるのではなく、1on1ミーティングでの目標設定やフィードバックを通して待遇が決まります。

2.ノーレイティングが注目される背景

ノーレイティングが注目される背景には、ビジネス環境や働き方の変化があります。

技術革新によりビジネス環境の移り変わりが激しくなり、従来のように年1〜2回の評価では成果の正しい評価が難しくなりました。

また、グローバル化や働き方の多様化により、多くの会社でさまざまなバックグラウンドをもつ人が一緒に働いています。それぞれの価値観や個性を尊重して働くには、一律的で機械的な評価方法は適していません。

したがって、ノーレイティングのように一人ひとりにこまめなフィードバックができる方法が必要とされています。

3.ノーレイティングを導入する4つのメリット

ノーレイティングを導入するメリットは以下のとおりです。

1. 変化に対応しやすい
2. 従業員のモチベーションが上がりやすい
3. 優秀な人材を確保しやすい
4. 多様な働き方を受け入れやすい

3-1. 変化に対応しやすい

ノーレイティングには、ビジネスや組織の変化に対応しやすいメリットがあります。

従来の評価方法では、環境の変化に対応するには評価項目や基準の見直しをしなければならず、スピーディーな対応が困難でした。

一方、ノーレイティングでは上司と部下が頻繁に目標やフィードバックなどを確認しあうため、急速に変化していく環境にも対応可能です。

今自分に求められていることは何か、適切な行動は何かを従業員がリアルタイムで把握でき、臨機応変に働けます。

3-2. 従業員のモチベーションが上がりやすい

ノーレイティングは従業員のモチベーションが上がりやすい点もメリットです。

ノーレイティングでは上司と部下が対話を繰り返して待遇が決まっていくため、従業員が納得して業務に取り組みやすい傾向があります。

また定期的なフィードバックにより成長を実感しやすいため、モチベーションの向上や維持が可能です。

モチベーションの高さは生産性の向上につながるため、業績アップも期待できます。

3-3. 優秀な人材を確保しやすい

ノーレイティングは優秀な人材の獲得や定着を計りやすい点もメリットです。

ノーレイティングでは個人の成長にフォーカスした評価ができるため、従業員がやりがいを感じて働けます。また上司との信頼関係も深まりやすく、やりがいや人間関係を理由にした離職の予防が可能です。

また離職率の低さが求職者へのアピールになり、優秀な人材からの応募の増加も期待できます。

3-4. 多様な働き方を受け入れやすい

ノーレイティングは多様な働き方に対応する評価ができる点もメリットです。

ノーレイティングは一律的な評価ではなく、それぞれの目標や価値観、個性にもとづいて評価します。そのため、多様性を尊重した柔軟な人事が可能です。

高いスキルがある一方家庭と両立できず悩んでいる従業員などをサポートでき、人材の流出も予防できるでしょう。

4.ノーレイティングを導入する2つのデメリット

ノーレイティングを導入するデメリットは以下のとおりです。

1. 管理職の負担が大きい
2. 従業員が混乱しやすい

4-1. 管理職の負担が大きい

ノーレイティングには管理職の負担が大きいデメリットがあります。

ノーレイティングでは定期的な面談や、一人ひとりの目標と特性にあわせたフィードバックが必要です。面談やフィードバックにさく時間が増えるため、管理職の業務内容そのものを見直してから導入しないとパンクするおそれがあります。

また、高いマネジメント能力が必要なため、継続的な知識の吸収やトレーニングが必須です。

従来の評価制度より負担が増えるため、管理職のキャパシティを考慮して導入しなければ、ノーレイティングのメリットを享受できないでしょう。

4-2. 従業員が混乱しやすい

ノーレイティングには従業員の混乱を招く可能性があるデメリットもあります。

従来の評価制度では目標は長期的な取り組みが前提であり、相対的な評価により比較も簡単でした。

しかしノーレイティングでは目標が常に変化していき、他者との比較もできないため、従業員がゴールを見失い混乱するおそれがあります。

ゴールがあいまいにならないよう、組織全体の課題や目標の共有を忘れず、チームとして取り組むべきことも日々の業務のなかで明示しましょう。

5.ノーレイティングの導入方法

ノーレイティングの導入方法を以下のステップに分けて説明します。

1. 課題の整理
2. 導入目的の明確化
3. 実施方法の具体化
4. 管理職への教育

5-1. 課題の整理

ノーレイティングを導入するには、まず課題を整理しましょう。

現状の評価方法にどのような問題があるのか、具体的に何を改善したいのかを明らかにします。課題点が明確になったら原因を分析し、ノーレイティングで改善できるのか判断しましょう。

5-2. 導入目的の明確化

課題が整理できたら、ノーレイティングを導入する目的を明確化しましょう。

導入目的を明確にすることで、効果測定や内容の定期的な見直しが可能になります。

ノーレイティングの効果を高めるため、導入目的は従業員にも共有し、なぜ導入が必要なのか理解してもらいましょう。

5-3. 実施方法の具体化

導入目的を明確にしたら、ノーレイティングの実施方法を具体化してください。例えば以下の内容を決定しましょう。

• 面談の最低実施回数
• 待遇の決定に関する管理職の裁量
• 導入の準備期間や仮導入の有無
• 導入にあわせて変更する社内制度

実施方法を具体的に検討しなければ、ノーレイティングを導入しても頓挫する可能性があります。ノーレイティングの影響を細部まで考慮し、効果的に導入するための具体的な実施方法を決めましょう。

5-4. 管理職への教育

ノーレイティングの導入前に管理職への教育もおこないましょう。

ノーレイティングは管理職のスキルが問われるため、事前のトレーニングが必須です。一度の研修では不十分な可能性が高いため、ケーススタディや練習も含めて複数回実施しましょう。

6.ノーレイティングで失敗しないための2つの注意点

ノーレイティングで失敗しないための注意点は以下のとおりです。

1. 管理職へのサポートを欠かさない
2. 会社の経営方針を全員に理解させる

6-1. 管理職へのサポートを欠かさない

ノーレイティングでの失敗を避けるには、管理職へのサポートを欠かさないようにしましょう。

ノーレイティングを導入すると、管理職の従業員はミーティングの時間を増やすために業務の取り組み方を変えなければいけません。学ばなければいけないことも多く、精神的にも負担です。

評価する側である管理職の相談窓口や会社への要望を伝えられる場などを設け、業務をサポートしましょう。負担の増加に見合う報酬を与えることも大切です。

6-2. 会社の経営方針を全員に理解させる

ノーレイティングでの失敗を避けるには、役職や部署に関係なく従業員全員に会社の経営方針を理解させましょう。

ノーレイティングを成功させるには、会社のビジョンや方針が個人の目標に反映されていることが重要です。従業員が経営方針を理解していなければ、従業員の出す結果が会社の目標にそぐわなくなります。

従業員全員に会社の経営方針を理解させ、そのうえで各人の目標を設定させましょう。

7.ノーレイティングを正しく理解して導入しよう

ノーレイティングとは、上司と部下が1on1ミーティングのなかで目標設定とフィードバックを繰り返しながら待遇を決める評価方法です。

従来の評価制度よりもビジネス環境の変化に柔軟に対応しやすく、優秀な人材の確保にもつながります。

しかし、管理職の負担が増えたり、従業員の混乱を招いたりするデメリットもあるため、導入には慎重な検討が必要です。

導入する場合は管理職へのサポートや経営方針の共有に力を入れ、効果的なノーレイティングを目指しましょう。