雇用保険法とは?制度の基本や適用範囲をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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雇用保険法とは?制度の基本や適用範囲をわかりやすく解説

「雇用保険法とは何か詳しく把握しきれていない」

「雇用保険法の一部が改正されると聞いたものの内容がわからない」

上記のお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

雇用保険法とは加入対象者を雇用保険に加入させることを定めた法律のことです。2024年4月に雇用保険法の一部の改正が決まり、2025年4月に施行日が予定されています。

本記事では雇用保険法の基本や適用範囲、2025年4月に施行される改正法の概要を紹介します。最後まで読むことで、雇用保険法への理解を深められるため、ぜひご一読ください。

1. 雇用保険法とは?

雇用保険法とは、雇用保険制度のことをまとめた法律のことです。以下を目的として定められました。

  • 労働者の生活および雇用の安定と就職の促進
  • 失業の予防、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力開発および向上、労働者の福祉の増進

雇用保険制度は、失業や休業で収入が減少した際に必要な給付をおこなう公的保険です。雇用保険制度を正しく運用するために、雇用保険法への理解を深めることが重要といえます。

2. 雇用保険法の適用範囲

雇用保険の適用範囲は、原則として労働者が一人でもいる事業所です。

雇用保険の加入条件は、以下の条件を満たしていれば正規・非正規を問いません。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 同一の事業主に継続して31日以上の雇用が見込まれている

ただし、一定の季節のみ雇用される場合など、一部被保険者にならないことがあるため、該当するか迷う場合はハローワークに相談しましょう。

参考:雇用保険の被保険者について|厚生労働省

3. 雇用保険法の2024年の改正の動き

2024年5月10日には「雇用保険法等の一部を改正する法律」、同年の6月5日には「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」が可決されました。

2024年の雇用保険法の改正の目的は以下のとおりです。

  • 多種多様な働き方を効果的に支えるセーフティネットの構築
  • 労働者の学び直しを支援
  • 共働きや共育ての推進

改正内容を以下にまとめました。

雇用保険法等改正 子ども・子育て支援法等改正
雇用保険の適用範囲の拡大

教育訓練やリスキリング支援の充実

育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保

こども未来戦略の「加速化プラン」の施策を実行するため、共働き・共育ての推進に関わる施策を実施するのに必要な措置

雇用保険法が改正されることになった要因には、高齢者や女性などの人材が労働に参加したこと、労働に対する考え方やライフスタイルが多様になったことが影響しています。

また、少子化が進行しているため、社会全体で子育てを支援するために、男女が働きながら育児をできる環境を整えることもねらいです。

4. 2025年4月に施行される雇用保険法等改正法の概要

2025年4月に施行される雇用保険法等改正法の概要を以下の2つに分けて紹介します。

  1. 雇用保険法等改正法(令和6年法律第26号)
  2. 子ども・子育て支援法等改正法(令和6年法律第47号)

4-1. 雇用保険法等改正法(令和6年法律第26号)

雇用保険法等改正法の改正事項は、以下の4つに分けられます。

  • 雇用保険の適用拡大
  • 教育訓練やリスキリング支援
  • 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保
  • そのほか雇用保険制度の見直し
4-1-1. 雇用保険の適用拡大

2025年4月の改正では、セーフティネットを拡大するために、1週間の所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に拡大されました。

ただし、1週間の所定労働時間は通常の週に勤務する時間のことで、祝日や夏季休暇などの特別な休暇は含まれません。

参考:雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要|厚生労働省

4-1-2. 教育訓練やリスキリング支援

労働者が安心して再就職活動をしたり主体的にリスキリングしたりするために、給付制限期間の見直しや教育訓練給付の拡充がおこなわれます。

主な施行内容は以下のとおりです。

自己都合退職者の給付制限期間の短縮 自己都合退職であっても給付制限が撤廃

給付制限期間が2ヵ月から1ヵ月に短縮

2025年4月1日から施行

教育訓練給付金 教育訓練給付金の給付率の上限が70%から80%に引き上げ

2024年10月1日から施行

教育訓練休暇給付金の創設 被保険者期間が5年以上で教育訓練のために休暇を取得

離職した際に支給される基本手当と同額が給付

給付日数は被保険者期間に応じて90日・120日・150日のいずれかになる

2025年10月1日から施行

施行内容によって、施行日が異なるため、内容と合わせて把握しておきましょう。

参考:雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要|厚生労働省

4-1-3. 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保

育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保のために、以下の改正がおこなわれます。

  • 育児休業給付に関する国庫負担割合が8分の1に引き上げ
  • 当面の保険料率は0.4%に据え置きつつ、本則両立を0.5%に引き上げ、実際の両立は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入

国庫に係る点は2024年5月17日から施行、保険料率に係る点は2025年4月1日からの施行です。

参考:財政運営|厚生労働省

4-1-4. そのほか雇用保険制度の見直し

教育訓練支援給付金の暫定措置が2年間延長し、給付率が80%から60%に引き下げられます

また、介護休業給付の国庫負担割合を80分の1にする暫定措置も2年間延長や、支援実績が少ない就業手当の廃止、就業促進定着手当の上限を支給残日数の20%へ引き下げが決まりました。

これらは2025年4月1日に施行されます。

参考:雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要|厚生労働省

4-2. 子ども・子育て支援法等改正法(令和6年法律第47号)

子ども・子育て支援法等改正法の雇用保険制度に関する改正は以下の2つです。

  • 出生後休業支援給付の創設
  • 育児時短就業給付の創設
4-2-1. 出生後休業支援給付の創設

子どもの出生直後の一定期間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取得する場合、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額が支給されるようになります。

出生後休業支援給付と、後述する育児時短就業給付と合わせると、給付率は80%となる仕組みです。

なお、一定期間以内とは、男性は出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内です。

参考:子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の概要|厚生労働省

4-2-2. 育児時短就業給付の創設

時短勤務をすることで給与額が下がる場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を上限に育児時短就業給付金が支給されます。

時短勤務を推奨するためではなく、所定労働時間で勤務することを推進する目的のものです。

また、時短後に支給される賃金と給付金の合計額が時短前の賃金を越えないような仕組みをしています。

参考:子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の概要|厚生労働省

5. 雇用保険法の改正による企業への影響と対応方法

2025年の雇用保険法の改正では、各制度の施行日に注意して準備していく必要があります。

なかでも雇用保険の適用拡大は、パート労働者が平成21年には約1,431万人にも登るため対象者が多く、自社でも対応が必要になる可能性が高いです。

対象労働者の数や保険料負担が増加するかなどを事前に把握しておきましょう。

妊娠や出産などの申し出があった場合は、現行の育児休業給付と新設される出生後休業支援給付の2つの事項を把握しておかなければいけません。

育児休業の取得の有無や日数などをサポートできるとスムーズに手続きできるため、事前に確認しておきましょう。

参照:パートタイム労働の現状|厚生労働省

6. 雇用保険法についてきちんと把握しておこう

本記事では雇用保険法とは何か、提要範囲、改正法の概要について紹介してきました。

雇用保険法は2025年に改正されるため、事前にどのように変わるのか、対応しなければいけない点はあるのか事前に把握しておく必要があります。

担当者は本記事を参考に定められた期限までに手続きをおこないましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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