HRとは?ビジネスでの意味や業務領域・役割をわかりやすく解説
更新日: 2025.6.13 公開日: 2024.10.27 jinjer Blog 編集部

HRとは「Human Resources(人的資源)」の略で、企業におけるすべての人材に関わる業務を指します。また、HRは人事部とよく比較されますが、両者には役割や業務範囲に違いがあります。
本記事では、HRの基本的な定義から、ビジネスでの仕事領域までを詳しく解説します。また、記事の後半では、近年注目されている「HRテック」についても取り上げ、HR業務の効率化や改善に役立つ情報も紹介します。
目次
その人事データ、ただ入力するだけで終わっていませんか?
勤怠、給与、評価…それぞれのシステムに散在する従業員データを一つに集約し、「戦略人事」に活用する企業が増えています。
「これからの人事は、経営戦略と人材マネジメントを連携させることが重要だ」「従業員の力を100%以上引き出すには、データを活用した適切な人員配置や育成が必要だ」そう言われても、具体的に何から始めれば良いか分からない担当者様は多いでしょう。
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◆この資料でわかること
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1. HRとは人的資源(人材)を意味する


HRとは「Human Resources」の略であり、「人的資源」、つまり企業で働く人々やその能力を意味します。ビジネスの文脈では、企業のすべての人的資源に関わる業務全般を指す言葉として使われます。
HRの役割は、従業員を企業の重要な資産と捉え、その力を最大限に引き出すための仕組みや環境を整備することにあります。採用、人材育成、配置、評価、報酬制度、労務管理など、多岐にわたる業務が含まれます。
なお、「HR業界」という場合には、次のような分野でサービスを提供する企業群を指します。
- 採用支援(求人広告、人材紹介など)
- 人材育成(研修、コーチング、eラーニングなど)
- 労務支援(給与計算、社会保険手続きなど)
- HRテクノロジー(人事労務システム、評価ツールなど)
このようにHRという言葉は、人的資源に関するあらゆる側面を包括する概念として広く使われています。
1-1. HRM(人的資源管理)とは?
HRMとは「Human Resource Management」の略で、「人的資源管理」「人材マネジメント」などと訳されます。HRMは、人材を経営資源の一つと捉え、組織目標の達成のために有効活用しようとする考え方です。
昨今の少子高齢化や働き方改革などの影響も受け、人材の価値への注目が高まっています。従業員一人ひとりの価値を最大限に引き出し、組織の成長へとつなげるためにも、HRMが重視されています。
関連記事:人的資源管理(HRM)とは?5つの機能モデルと課題・企業の事例を解説
2. HRと人事部の違い


HRと人事部の違いは、以下の表のとおりです。
| 項目 | HR | 人事部 |
| 役割 | 人事戦略の策定と実行 | 採用や評価などの管理業務 |
| 範囲 | 企業全体 | 日常的な人事管理や労務 |
| 目的 | 経営目標の達成 | ・従業員の労働環境の整備
・従業員の労務管理 |
HRは人事部の役割を含めて包括的な人事戦略を策定・実行することに対して、人事部は管理的な業務を担当する違いがあります。
3. HRの仕事領域・役割


HRが担う業務領域は幅広いです。ここでは、HRの仕事領域・役割について詳しく紹介します。
3-1. 採用人事
採用人事は、経営目標の達成に向けて、自社にとって必要な人材を確保することを目的とした、HRの重要な業務の一つです。採用人事の主な業務は以下のとおりです。
- 採用計画の策定(採用人数・時期・ポジションの明確化)
- 求人媒体や自社サイトでの募集掲載
- 応募者の選考(書類選考・面接・適性検査など)
- 内定後のフォローと入社手続き
これらを通じて、自社の事業戦略に合致する人材を適切なタイミングで採用し、組織の成長につなげる役割を担います。
3-2. 人事評価
人事評価は、HRの重要な業務領域の一つです。人事評価は、組織の目標達成に貢献する人材を見極め、適切に評価・フィードバックをおこなうためにも重要とされています。人事評価の具体的な施策には、次のようなものが挙げられます。
- 目標設定(MBO:Management by Objectives)
- パフォーマンス評価
- 360度評価
- 行動評価(コンピテンシー評価)
- ノーレイティング
自社のニーズにあった制度を取り入れ、公平な人事評価を実現すれば、従業員の帰属意識も高まり、仕事へのモチベーションを向上させることができます。
3-3. 人材育成
HRの主要な領域の一つが人材育成です。採用した従業員を、専門性やスキルを備えた戦力として成長させることで、企業の競争力を強化することができます。人材育成の具体的な施策には、以下のようなものがあります。
- 研修
- 資格取得支援制度
- キャリア開発支援
- 1on1ミーティング
従業員を戦略的に育成することは、組織全体のパフォーマンスを高め、経営目標の達成につなげるうえで不可欠な取り組みです。
関連記事:1on1とは?目的や人事面談・フィードバックとの違いをわかりやすく解説
3-4. 人材配置
人材配置は、HRの重要な業務の一つであり、従業員の能力やポテンシャルを最大限に活かし、組織全体の生産性を向上させるために欠かせません。具体的な仕事内容には、以下があります。
- 適材適所の配置
- キャリアパス設計
- 後継者計画
- 多様性の促進
- 柔軟な働き方の推進(リモートワーク、フレックスタイム制度など)
人材配置の精度を高めるためには、能力や経験、資格、強みなどを一元管理するタレントマネジメントが重要となります。適材適所の人材配置を実現できれば、競争優位性を確保し、変化する市場環境にも柔軟に対応できます。
関連記事:タレントマネジメントとは?目的やメリット、導入方法まで徹底解説
3-5. 組織開発
組織開発は、企業の経営目標を達成するために、組織構造や組織文化、業務プロセスなどを計画的に改善・変革していく活動です。これは単なる改善ではなく、企業の戦略に合わせて組織全体を最適化することを目指します。組織開発の具体的な施策として、以下のものが挙げられます。
- ビジョン・ミッション・バリューの再定義・浸透
- 行動指針・評価制度への反映
- コミュニケーション促進
- 労働時間短縮
- 休暇取得促進
これらの施策を通じて、企業が目指す価値観や文化を従業員全体で体現し、会社目標を達成しやすい組織に変革することが、組織開発の役割です。
関連記事:組織開発とは?手順や成功のコツ・具体例をわかりやすく解説
3-6. 労務管理
労務管理は、従業員の労働条件や労働環境を適切に管理・維持する業務であり、HRの重要な役割の一つです。具体的な業務には、以下の内容が含まれます。
- 労働契約の締結・維持・終了
- 労働時間・休日・休暇の管理
- 賃金・賞与の計算・支払い
- 労働安全衛生の確保
労務管理は、従業員が安心して働ける環境を提供することが目的であり、これによって生産性や従業員満足度を向上させることが可能となります。
関連記事:労務管理の基礎知識!意味や目的・仕事内容、勤怠管理・人事管理との違いを徹底解説
3-7. 人事戦略の策定と実行
人事戦略の策定と実行は、企業の経営戦略を達成するために、人的資源を効率的かつ効果的に活用するための方針や計画を定める重要な業務です。人事戦略は、企業が求める人材を確保し、育成し、維持するための包括的なアプローチを提供します。具体的なプロセスには、以下の項目が含まれます。
- 採用
- 配置
- 育成
- 評価
- 報酬
- 退職
例えば、成長期のベンチャー企業では、経営戦略の一環として組織拡大を目指し、採用において積極的な人材獲得を方針とすることが一般的です。このように、経営戦略に基づき、人的資源の観点から方針を策定し実行することが人事戦略の目的です。
4. HR担当者に求められるスキル


HR担当者は、人事・労務に関する専門知識に加えて、経営に関連するスキルも求められます。ここでは、HR担当者に必要な知識・スキルについて詳しく紹介します。
4-1. HR領域の専門知識
HR担当者にはHR領域の専門知識が必要となります。HRでは経営資源のなかでも最も重要な人材について、多岐にわたる領域を担当するためです。
HRの領域である以下は、いずれも専門性の高い知識が必要となります。
- 採用人事
- 人事評価
- 人材育成
- 人材配置
- 組織開発
- 労務管理
- 人事戦略の策定と実行
例えば、採用人事では採用活動に関する法律や採用手法などの知識がなければなりません。魅力的な求人活動や効果的な選考を実現するためにも、どのような方法が適切かを知っておく必要があります。
人的資源の価値を最大化し、経営目標の達成につなげるためにも、HRの各領域における専門知識が重要です。
4-2. 戦略立案・企画
HR担当者に必要なスキルとして、戦略立案・企画が挙げられます。人材不足や働き方の多様化といった社会の変化に対応しながら人的資源の価値を最大化するためには、人事戦略の策定が求められるためです。
人事戦略・企画により、以下を図ることが重要になります。
- 優秀な人材の獲得
- 人材の定着・離職防止
- エンゲージメントの向上
- 生産性の向上
優秀な人材を採用・育成し、長期的かつ高いモチベーションを維持して働いてもらうことで、生産性の向上が図られ、結果として経営目標の達成につながります。
4-3. 経営の知識
HR担当者には経営の知識も必要です。単純に人材を管理するだけではなく、経営戦略を踏まえて人的資源の観点から経営目標の達成を目指すためです。
実際のHR業務では、経営層と連携して人事戦略を策定したり、経営状況に応じて柔軟に対応したりする場面が多く、常に経営的な視点が求められます。経営の知識を身につけることで、より的確かつ効果的な人事施策の遂行が可能になります。
4-4. コミュニケーション能力
HR担当者に求めるスキルとして、コミュニケーション能力があります。HRでは従業員との面談や経営層への報告・協議、労使間の調整などがあり、円滑に物事を進める必要があるためです。
どのような立場の相手とも良好にコミュニケーションできる能力が求められます。
5. HRの業務改善につながるHRテックとは


HRテックとは「Human Resources Technology」の略で、HR業務におけるテクノロジーを活用したツールやサービスのことです。テクノロジーを駆使したHR業務の効率化や改善を目的としています。
ここからは、HRテックが注目される背景・理由と具体例について詳しく紹介します。
5-1. HRテックが注目される背景・理由
近年、日本では少子高齢化の進行により労働人口が減少しており、人材の確保に苦労する企業が増えています。そのため、限られた人材で最大限の成果を出すために、HR業務の効率化が強く求められています。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、企業が競争優位性を確保するためには、デジタル技術の有効活用が不可欠です。その一環として、社内に蓄積された人材データや業務データの活用による、迅速かつ的確な意思決定も重視されるようになっています。
このような背景・理由から、自社の経営課題を解決し、組織目標の達成を効率的に実現する手段として、HRテックの導入が注目されています。
5-2. HRテックの具体例
昨今のテクノロジー技術の発展により、さまざまなHRテックが登場しています。代表的なHRテックには、以下のようなものがあります。
- 人事管理システム
- 採用管理システム
- 勤怠管理システム
- 労務管理ツール
- 給与計算ソフト
- タレントマネジメントシステム
- 従業員エンゲージメントツール
- 学習・研修管理システム
- パフォーマンス評価の自動化システム
これらのツールは、自社が抱える課題や実現したい目的によって、導入すべきものが異なります。例えば、勤怠管理システム一つを取っても、勤怠管理に特化したものから、給与計算機能も備えた一体型のシステムまで、さまざまな種類があります。
自社の目的を明確にし、料金・機能・使いやすさ・サポート・セキュリティなどの観点から、複数のシステムを比較したうえで、最適なHRテックを選ぶことが大切です。
6. HRテックを導入するメリット


HRテックを導入することで、企業はさまざまなメリットが得られます。ここでは、HRテックを導入するメリットについて詳しく紹介します。
6-1. 業務負担を軽減できる
HRテックを導入するメリットの一つは、担当者の業務負担を大幅に軽減できることです。採用管理や労務管理などのHR業務にある定型業務を自動化することで、作業時間や手間を削減できます。
例えば、勤怠管理や給与計算、労務契約の更新などの手作業の業務をシステムにより自動化でき、効率化が可能です。人的ミスをなくせるため、正確な業務遂行ができる点も利点といえます。
担当者はより戦略的な業務に集中でき、HR全体の生産性が向上するでしょう。
6-2. 業務の品質向上を図れる
HRテックの導入によるメリットとして、データ分析による業務の品質向上があります。従業員のデータを収集・分析できるため、精度の高い対応を迅速に実行可能です。
分析するデータとして、以下の従業員情報が挙げられます。
- 従業員の実績
- 従業員のスキル
- 従業員のエンゲージメント
- 従業員の退職リスク
従業員のあらゆるデータをもとに分析でき、より適切な人事戦略や人材育成プランを策定できます。これにより、HR業務の品質向上につながるといえるでしょう。
6-3. 人的資源を確保した経営ができる
HRテックを導入するメリットとして、人的資源を確保した経営ができることが挙げられます。システムの導入でリモートワークを含む柔軟な働き方が可能となり、働きやすい環境を求める人材の定着を図れるためです。
例えば、出勤や退勤の時刻をパソコン上で登録・管理できる勤怠管理システムを導入することで、オフィスに出社せずともリモートワークが可能になります。HRテックの活用は、リモート環境においても円滑なコミュニケーションや業務管理を可能にするだけでなく、従業員の健康管理やモチベーションの維持にもつながるでしょう。
7. HR領域を理解してHRテックを活用した業務改善を図ろう


HRとは、人的資源を意味する言葉で、企業の経営を人材の観点から支える役割を持ちます。HR部門は、採用、人材育成、評価、労務管理など、人的資源に関わる幅広い業務領域を担当しており、対応には高度な専門知識と実務理解が必要です。
HR担当者の業務負担を軽減し、組織全体の生産性を向上させる手段として、HRテックの導入が注目されています。HRテックの活用により、業務の効率化はもちろん、データに基づく意思決定や戦略的な人材活用が可能となり、企業の競争力強化にもつながります。そのため、自社のHR領域における課題解決や組織の発展を図るうえで、業務改善につながるHRテックの導入を積極的に検討することが大切です。



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