HRとは?ビジネスでの意味や業務領域をわかりやすく解説
更新日: 2024.11.15
公開日: 2024.10.27
OHSUGI
「HRのビジネスでの意味や役割とは?」
「HRと人事部の違いは?」
「HRテックとは何か?」
「HR」という言葉をビジネスシーンで耳にする機会が増えています。HRについて調べようとすると上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
HRとは「Human Resources(人的資源)」の略で、企業におけるすべての人的資源(人材)に関わる業務です。
本記事では、HRの定義やビジネスにおける役割、業務領域などについて詳しく解説します。
最後まで読むことで、HR業務の改善を目指すために注目されている「HRテック」の理解も深められるでしょう。
目次
1. HRとは人的資源(人材)を意味する
HRは「Human Resources」の略であり、「人的資源(人材)」を意味します。ビジネスにおいて、企業のすべての人的資源に関わる業務を意味する用語です。
HRの役割は、人的資源(人材)を最大限に活かすための取り組みをすることといえます。従業員を企業の最も重要な資産である人材として捉え、活躍できる仕組み作りに取り組むことが重要です。
なお、「HR業界」という場合は、以下の事業を行う業界を意味します。
- 採用
- 人材育成
- 人材労務
- 人事労務システム・業務ツール
基本的には、人的資源全般を扱う言葉である点を理解しておきましょう。
2. HRと人事部の違い
HRと人事部の違いは、以下の表のとおりです。
項目 | HR | 人事部 |
役割 | 人事戦略の策定と実行 | 採用や評価などの管理業務 |
範囲 | 企業全体 | 日常的な人事管理や労務 |
目的 | 経営目標の達成 | ・従業員の労働環境の整備
・従業員の労務管理 |
HRは人事部の役割を含めて包括的な人事戦略を策定・実行することに対して、人事部は管理的な業務を担当する違いがあります。
3. HRの5つの業務領域
HRが担う業務領域は以下の5つです。
- 採用人事
- 人材育成
- 人事戦略の策定と実行
- 組織開発
- 労務管理
それぞれの業務領域をみていきましょう。
3-1. 採用人事
HRの重要な業務の一つが採用人事です。
採用人事とは、自社に必要な人材を検討・採用することを意味します。具体的な業務は以下のとおりです。
- 採用計画の策定
- 求人の掲載
- 面接の実施
- 入社手続き
経営目標達成のために、自社が求める人材を確保する役割があります。
3-2. 人材育成
HRの領域の一つとして人材育成があります。
採用した従業員を企業に貢献できる人材へ育成し、企業の競争力を強化することはHRの重要な役割です。人材育成の具体的な施策は以下のとおりです。
- 研修
- 資格取得支援制度
- キャリア開発支援
- 1on1ミーティング
従業員を適切に育成することで、企業が期待する働きをしてもらえるようになります。経営目標の達成のために、人材育成は欠かせない要素といえるでしょう。
3-3. 人事戦略の策定と実行
HRの領域として、人事戦略の策定と実行が挙げられます。
人事戦略とは、企業の経営戦略を達成するために人的資源をどう効率的に活用するかの方針や計画を定めたものです。具体的には以下のプロセスにおける方針・計画を検討します。
- 採用
- 配置
- 育成
- 評価
- 報酬
- 退職
例えば、成長期のベンチャー企業の場合は、経営戦略における組織拡大をねらい、人事戦略として採用で積極的な人材獲得を方針に掲げるケースが挙げられるでしょう。
経営戦略を踏まえ、人的資源の観点から方針や計画を策定し実行する領域です。
3-4. 組織開発
HRの領域に、組織開発があります。
組織開発は、経営目標達成のために組織構造や組織文化、組織プロセスなどを計画的に変革していく活動のことです。具体的な施策例として以下が挙げられます。
- ビジョン・ミッション・バリューの再定義・浸透
- 行動指針・評価制度への反映
- コミュニケーション促進
- 労働時間短縮
- 休暇取得促進
どのような価値観・風土の組織にするかで社内の雰囲気や業務への取り組み方が変わります。経営目標を達成しやすい組織にするためにも組織開発が重要です。
従業員がパフォーマンスを最大限に発揮できる環境を構築すれば、競争力の強化につながるでしょう。
3-5. 労務管理
労務管理の整備もHRの業務領域に含まれます。
労務管理とは、従業員の労働条件や労働環境など、労働全般を管理する業務です。具体的な業務の例として、以下が挙げられます。
- 労働契約の締結・維持・終了
- 労働時間・休日・休暇の管理
- 賃金・賞与の計算・支払い
- 労働安全衛生の確保
上記のように労働における基本的な業務を担当します。従業員が働きやすい労働環境に改善し、サポートすることが中心です。
4. HR担当者に求める3つのスキル
HR担当者に求められるスキルは以下の3つです。
- HR戦略をサポートする専門知識
- 経営戦略の知識とスキル
- コミュニケーション能力
4-1. HR領域の専門知識
HR担当者にはHR領域の専門知識が必要となります。HRでは経営資源のなかでも最も重要な人材について、多岐にわたる領域を担当するためです。
HRの領域である以下の5つは、いずれも専門性の高い知識が必要となります。
- 採用人事
- 人材育成
- 人事戦略の策定と実行
- 組織開発
- 労務管理
例えば、採用人事では採用活動に関する法律や採用手法などの知識がなければなりません。魅力的な求人活動や効果的な選考を実現するためにも、どのような方法が適切かを知っておく必要があります。
人的資源の価値を最大化し、経営目標の達成につなげるためにも、HRの各領域における専門知識が重要です。
4-2. 戦略立案・企画
HR担当者に必要なスキルとして、戦略立案・企画が挙げられます。人材不足や働き方の多様化といった社会の変化に対応しながら人的資源の価値を最大化するためには、人事戦略の策定が求められるためです。
人事戦略・企画により、以下を図ることが重要になります。
- 優秀な人材の獲得
- 人材の定着・離職防止
- エンゲージメントの向上
- 生産性の向上
優秀な人材を採用・育成することで獲得し、長期的かつモチベーション高く働いてもらうことで生産性が上がり、経営目標の達成につながります。
4-3. 経営の知識
HR担当者には経営の知識も必要です。単純に人材を管理するだけではなく、経営戦略を踏まえて人的資源の観点から経営目標の達成を目指すためです。
実際に、HRの業務では経営層と連携して人事戦略を策定する、経営状況に応じて対応するなど、経営視点が求められるシーンが多くあります。経営の知識を身につけることで、適切なHRの遂行を実現できるでしょう。
4-4. コミュニケーション能力
HR担当者に求めるスキルとして、コミュニケーション能力があります。HRでは従業員との面談や経営層への報告・協議、労使間の調整などがあり、円滑に物事を進める必要があるためです。
どのような立場の相手とも良好にコミュニケーションできる能力が求められます。
5. HRの業務改善につながるHRテックとは
HRテックは「Human Resources Technology」の略で、HR業務におけるテクノロジーを活用したツールやサービスです。テクノロジーを駆使したHR業務の効率化や改善を目的としています。
HRテックの具体例は以下のとおりです。
- 採用管理システム
- 勤怠管理システム
- 労務管理ツール
- パフォーマンス評価の自動化システム
HRテックは、企業の競争力を高めるためにHR業務を効率化するニーズが高まっていることから注目されています。
テクノロジーの進化は、採用活動や従業員管理におけるデータ分析を可能としました。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進がHRテック導入を促進しています。
HRテックの導入により、業務効率化はもちろん、リモートワークを含む柔軟な働き方が可能となり、人材の流出を防ぐ効果が期待できるでしょう。
6. HRテックを導入する3つのメリット
HRテックを導入するメリットは以下の3つです。
- 業務負担を軽減できる
- 業務の品質向上を図れる
- 人的資源を確保した経営ができる
それぞれのメリットを解説します。
6-1. 業務負担を軽減できる
HRテックを導入するメリットの一つは、担当者の業務負担を大幅に軽減できることです。採用管理や労務管理などのHR業務にある定型業務を自動化することで、作業時間や手間を削減できます。
例えば、勤怠管理や給与計算、労務契約の更新などの手作業の業務をシステムにより自動化でき、効率化が可能です。人的ミスをなくせるため、正確な業務遂行ができる点も利点といえます。
担当者はより戦略的な業務に集中でき、HR全体の生産性が向上するでしょう。
6-2. 業務の品質向上を図れる
HRテックの導入によるメリットとして、データ分析による業務の品質向上があります。従業員のデータを収集・分析できるため、精度の高い対応を迅速に実行可能です。
分析するデータとして、以下の従業員情報が挙げられます。
- 従業員の実績
- 従業員のスキル
- 従業員のエンゲージメント
- 従業員の退職リスク
従業員のあらゆるデータをもとに分析でき、より適切な人事戦略や人材育成プランを策定できます。HR業務の品質向上につながるといえるでしょう。
6-3. 人的資源を確保した経営ができる
HRテックを導入するメリットとして、人的資源を確保した経営ができることが挙げられます。システムの導入でリモートワークを含む柔軟な働き方が可能となり、働きやすい環境を求める人材の定着を図れるためです。
例えば、出勤や退勤をパソコン上で登録・管理できる勤怠管理システムを導入することで、オフィスに出社しなくともリモートワークによる働き方ができます。
HRテックの活用は、リモート環境でも円滑なコミュニケーションや業務管理を可能にするうえ、従業員の健康管理やモチベーションの維持につながるでしょう。
7. HR領域を理解してHRテックを活用した業務改善を図ろう
HRとは、人的資源を意味する言葉で、企業の経営を人材の観点から支える役割を持ちます。人的資源に関する幅広い業務領域を担当するため、多くの専門知識をもった理解が必要です。
また、HR担当者の業務負担を軽減できるHRテックの導入は、企業の競争力強化を図れる効果的な施策といえます。
自社のHR領域の課題解決や発展のため、業務改善を図れるHRテックの導入を検討するといいでしょう。
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