社会保険の加入が必要になる労働時間の条件は?確認の手順、手続きの違いも解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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社会保険の加入が必要になる労働時間の条件は?確認の手順、手続きの違いも解説

歯車の上を走る男性のイラスト

入社した従業員が社会保険に加入できるか確認する際、労働時間の要件が複雑で迷う人事担当者は多いのではないでしょうか。加入要件の判断を誤ると、従業員が必要な給付を受けられなかったり、社会保険料を遡及して徴収する必要があったりするなど、トラブルのもとになります。

この記事では、社会保険への加入が必要になる労働時間の要件や確認手順、手続きの違いを解説します。労働時間による加入要件の違いを正しく押さえ、手続きを正確かつスムーズに進めましょう。

1. 社会保険の加入が必要になる労働時間

時計の写真

社会保険の加入が必要になる労働時間には、大きく分けて2つの判断基準があります。実務で重要な2つの基準をそれぞれ確認しましょう。

1-1. 週の所定労働時間・日数が通常の従業員の3/4以上

1つ目はパート・アルバイトの従業員が社会保険の加入対象になる原則的な基準で、一般的に「4分の3基準」とよばれます。

パートやアルバイトの従業員は、同じ事業所で同様の業務に従事する通常の従業員(正社員など)と比較して、週の所定労働時間と月の所定労働日数の両方が4分の3以上であれば、社会保険に加入しなければなりません。

所定労働時間

日本年金機構の図をもとに弊社編集

例えば、通常の従業員の週所定労働時間が40時間、月所定労働日数が20日の場合、次の労働時間と日数を満たすパート・アルバイトは社会保険の加入対象です。

  • 週の所定労働時間:30時間以上(40時間 × 3/4)
  • 月の所定労働日数:15日以上(20日 × 3/4)

次に説明する要件とは異なり、4分の3基準を満たす場合は企業の従業員数に関係なく、社会保険に加入させる必要があります。

1-2. 週の所定労働時間が20時間以上

特定適用事業所の場合、週所定労働時間が20時間以上の短時間労働者は、4分の3基準を満たさない場合でも社会保険の加入対象となるケースがあります。特定適用事業所とは、厚生年金の被保険者数が51人以上(※)の事業場を指します。

週20時間以上の要件に加えて、次の条件をすべて満たす従業員は社会保険の加入対象です。

  • 報酬額が月額8.8万円以上(※)
  • 2ヵ月を超えて雇用される(見込みを含む)
  • 学生でない

加入対象引用:従業員のみなさま | 社会保険の加入条件やメリットについて|厚生労働省

特定適用事業所の人数要件と報酬額の要件は、社会保険適用拡大により今後撤廃される予定です。詳細は関連記事をご覧ください。

関連記事:社会保険適用拡大とは?今後の動向や必要な対応を解説

2. 労働時間に関係なく社会保険に加入しない場合

労働時間やほかの要件が基準を満たしていても、次のいずれかに該当する場合は原則として、社会保険の被保険者に該当しません。

区分 (例外)社会保険の被保険者に該当するケース
2ヵ月以内の期間を定めて使用される人
  • 契約書に更新規定がある場合
  • 実態として更新された実績がある場合

※いずれも最初の雇用期間から加入対象

日々雇い入れられる人(日雇労働者) 1ヵ月を超えて引き続き使用される場合
季節的業務に使用される人 当初から継続して4ヵ月を超えると見込まれる場合
臨時的事業の事業所に使用される人 当初から継続して6ヵ月を超えると見込まれる場合
所在地が一定しない事業所に使用される人

なお、社会保険には従業員個人だけでなく、事業所単位での適用要件もあります。事業所自体が社会保険の適用事業所でない場合も、従業員は加入できません。

3. 社会保険への加入が必要な従業員の確認手順

書類を渡す

社会保険への加入の判断を誤ると、企業が納める保険料や、従業員から徴収する保険料を正しく計算できません。トラブルを防ぐためにも、手順に沿って正確に要件を確認しましょう。

3-1. 労働時間に関係なく社会保険に加入しない従業員か確認する

最初に、労働時間以外の要件で社会保険の加入対象から外れないかを確認します。次のいずれかに該当する従業員は、原則として被保険者になりません。

  • 雇用契約が2ヵ月以内の人
  • 日々雇い入れられる人
  • 季節的業務(4ヵ月以内)に使用される人
  • 臨時的事業の事業所(6ヵ月以内)に使用される人
  • 所在地が一定しない事業所に使用される人

3-2. 労働条件から所定労働時間・日数を確認する

適用除外に該当しない場合は、雇用契約書や就業規則で所定労働時間と日数を確認します。週の所定労働時間と月の所定労働日数が、通常の従業員の4分の3以上(4分の3基準を満たす)であれば、企業の従業員規模に関わらず社会保険の加入対象です。

3-3. (週20時間以上勤務の場合)自社が特定適用事業所か確認する

4分の3基準を満たさない場合、所定労働時間が週20時間以上であれば、社会保険の要件を満たす可能性があります。前提として、自社が「特定適用事業所」に該当するか確認しましょう。

特定適用事業所は、厚生年金の被保険者数が1年のうち6ヵ月以上、51人以上在籍すると見込まれる場合に該当します。

被保険者数は、フルタイムの従業員と4分の3基準を満たす被保険者の合計です。4分の3基準を満たさない週20時間以上勤務の被保険者(短時間労働者)は含まれません。複数の事業所がある場合、全事業所の合計人数で判断します。

特定適用事業所の該当は一度把握しておけば、毎回確認する必要はありません。次回以降の手間が省けるよう、該当有無を記録に残しておきましょう。

3-4. (特定適用事業所の場合)労働時間以外の要件を確認する

特定適用事業所に該当する場合、週所定労働時間が20時間以上の従業員が次の要件をすべて満たすか確認します。

  • 報酬が月額8.8万円以上(今後、報酬要件は撤廃予定)
  • 雇用期間が2ヵ月を超える(見込みを含む)
  • 学生でない

要件をすべて満たす場合は、社会保険の被保険者となるため、加入の手続きをしましょう。

4. 区分別の社会保険の手続きの違い

はてなの吹き出し

同じ社会保険の被保険者でも、労働時間の違いによって取り扱いが一部異なる手続きがあります。関係する手続きを2つ紹介します。

4-1. 定時決定・随時改定

同じ社会保険に加入していても、労働時間の違いによって定時決定・随時改定での支払基礎日数の取り扱いが異なります。定時決定・随時改定とは、社会保険料の計算基礎となる「標準報酬月額」を見直す手続きです。

標準報酬月額は「支払基礎日数」によって計算対象となる月を判断し、対象月の報酬額の平均値をベースに算出します。支払基礎日数とは賃金の支払対象となった日数で、月給制なら原則暦日、日給・時給制なら実労働日数です。

定時決定や随時改定では、支払基礎日数の基準が従業員の区分によって次のとおり異なります。

  • 定時決定の場合
区分 具体例 算定対象となる月の支払基礎日数
一般の被保険者 フルタイムの正社員 17日以上
短時間就労者 4分の3基準を満たすパート・アルバイト 原則17日以上

(すべて17日未満の場合は15日以上)

短時間労働者 特定適用事業所で週20時間以上勤務するパート・アルバイト(短時間就労者を除く) 11日以上
  • 随時改定の場合
区分(具体例は定時決定と同様) 算定対象となる月の支払基礎日数
一般の被保険者

短時間就労者

17日以上
短時間労働者 11日以上

区分による支払基礎日数の違いを整理しておかないと、標準報酬月額が誤って算出され、毎月の社会保険料の計算を間違える可能性があるため注意しましょう。

定時決定・随時改定の詳細は関連記事をご覧ください。

関連記事:社会保険料の定時決定(算定基礎届)とは?対象者や算出方法、手続きの流れを解説

関連記事:社会保険の随時改定とは?標準報酬月額を改定する条件やタイミング、手続きや注意点を解説

4-2. 区分変更届

区分変更届は労働条件の変更などにより、一般の被保険者が短時間労働者に、または短時間労働者が一般の被保険者に変わる場合に必要な手続きです。

区分変更届を出さないと、年金機構や健康保険組合側で区分を正しく判断できず、定時決定や随時改定の支払基礎日数を誤って取り扱われるおそれがあります。しかし、被保険者資格や標準報酬月額に変動があるわけではないため、手続き漏れがおこりがちです。

従業員の労働時間や日数が変わった場合は、区分変更届の提出が必要ないか確認しましょう。

参考:3-4:一般被保険者が短時間労働者になったとき|日本年金機構

5. 社会保険の加入と労働時間の関係についてよくある質問

木のブロック

労働時間に関する社会保険の加入条件は、さまざまなパターンがあり複雑です。従業員の勤務形態によって取り扱いに迷うケースもあるでしょう。

特殊なケースにも対応できるよう、社会保険の加入判断や労働時間の考え方のよくある質問と回答をご紹介します。

5-1. パートでも社会保険に加入する必要はある?

パートやアルバイトの従業員も、条件を満たす場合は健康保険への加入が義務付けられています。次の基準に該当するか確認しましょう。

  • 4分の3基準:週の所定労働時間および月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上の場合。
  • 短時間労働者:勤務先が特定適用事業所で、次のすべてを満たす場合。
    • 4分の3基準に該当しない
    • 週の所定労働時間が20時間以上
    • 報酬月額8.8万円以上(今後、報酬要件は撤廃予定)
    • 2ヵ月を超えて雇用される(見込みを含む)
    • 学生でない

5-2. 「社会保険に加入したくない」と従業員から相談された場合は?

社会保険に加入したくないと従業員から相談された場合でも、企業に対応する義務はありません。社会保険は強制加入の制度で、従業員の希望や都合による加入の拒否は認められないためです。

社会保険に加入すれば、傷病手当金や出産手当金など、働けなくなった際に受けられる支給があるほか、将来受け取れる年金額も増えます。従業員が納得できるよう、加入するメリットを伝えるとよいでしょう。

5-3. 週の労働時間が変動する場合の判断方法は?

シフト制などで週の労働時間が変動する場合、次の方法で算出します。

  • 短期的・周期的に変動(4週5休など)する場合:変動する周期の1週間の平均時間を用います。
  • 所定労働時間が月単位で決まっている場合:「1ヵ月の所定労働時間 × 12ヵ月 ÷ 52週」で算出します。
  • 特定の月(繁忙期や夏休みなど)だけ変動する場合:変動のある例外的な月を除き、通常月の所定労働時間をもとに算出します。

労働時間の取り扱いは日本年金機構からQ&Aも出されています。必要に応じて参考にするとよいでしょう。

参考:短時間労働者に対する健康保険 ・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集 (令和6年 10 月施行分)|日本年金機構

5-4. 残業を含めると週20時間以上となる場合は?

所定労働時間が週20時間未満で、残業を含めると週20時間以上になる場合は、原則として社会保険の加入対象外です。加入条件の労働時間は、雇用契約や規則で定められた所定労働時間が基準となり、残業など突発的・一時的な労働時間は含まれません。

例外として、実労働時間が2ヵ月連続で週20時間以上になり、3ヵ月目以降も週20時間以上の状態が続くと見込まれる場合は、3ヵ月目から社会保険に加入する必要があります。

5-5. ほかの勤務先で社会保険に加入している場合は?

ほかの勤務先で社会保険に加入していても、自社で条件を満たす場合は加入が必要です。複数の企業で要件を満たす場合、両方で被保険者となります。

複数の企業で被保険者に該当する場合、従業員本人が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出する必要があります。

社会保険料はすべての勤務先の報酬を合算して決定され、各企業の報酬額に応じて按分して支払わなければいけません。計算方法がほかの従業員と異なるため、給与計算の取り扱いに注意しましょう。

なお、社会保険への加入は自社のみの労働時間で判断し、ほかの勤務先の労働時間は含めません。

5-6. 社会保険の加入が必要なのに加入しないとどうなる?

社会保険への加入が必要な従業員を加入させていない場合、次のような影響があります。

  • 手続きのやり直し

資格取得の手続きのほか、定時決定や随時改定の手続きもやり直さなければなりません。すでに退職した従業員の場合も同様です。

  • 過年度分の社会保険料の徴収

本来支払うはずだった社会保険料を、最大2年分遡って納付する必要があります。企業負担分だけでなく従業員負担分も対象です。

  • 6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

行政指導を受けても対応しないなど、悪質な場合は6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

年金機構から指導を受け、余計な手続きや費用負担を発生させないよう、従業員の労働時間は正確に把握し、加入の要否を正しく判断しましょう。

関連記事:社会保険の遡り加入が必要なケースや支払い方法を解説

5-7. 特定適用事業所でない場合は週20時間勤務でも社会保険に加入できない?

厚生年金の被保険者数が50人以下で、特定適用事業所でない企業の場合、4分の3基準を満たさない従業員は原則として、社会保険の加入対象外です。

例外として、企業が「任意特定適用事業所」に該当する場合は、週所定労働時間が20時間以上の従業員も、ほかの要件を満たせば社会保険に加入できます。任意特定適用事業所とは、特定適用事業所に該当しない企業が申し出によって特定適用事業所となった状態です。

任意特定適用事業所の申し出をするには、厚生年金保険の被保険者(70歳以上被用者、短時間労働者を含む)の2分の1以上の同意が必要です。

任意特定適用事業所に該当して社会保険に加入した従業員からは、ほかの従業員と同様、社会保険料を徴収します。申し出る場合は、加入による影響を対象者へ十分に説明しましょう。

6.  社会保険と労働時間の関係を押さえて正しく加入手続きをしよう

書類を書く女性

社会保険の加入条件と労働時間の関係は複雑で、整理をつけておかないと加入条件の判断を間違える可能性が高くなります。誤りなく手続きを進めるには、手順を追った確認が必要です。

「4分の3基準」「週所定労働時間20時間以上」の加入条件をひとつずつ確認し、手続きの抜け漏れをなくしましょう。

jinjer Blog 編集部

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