産休・育休中社員の配偶者特別控除を忘れずに!年末調整の注意点も解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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産休・育休中社員の配偶者特別控除を忘れずに!年末調整の注意点も解説

夫婦で赤ちゃんをあやす産休・育休を取得する社員は、一般的に会社から給与が支払われないことが多いです。育休中の収入が減る分、配偶者特別控除を受けられる場合があります。

本記事では、育休中の配偶者特別控除の条件と社員への説明ポイントについて解説します。

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令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「アルバイトやパート、退職者に年末調整は必要?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」

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1. 産休・育休中も配偶者特別控除は適用となる場合も

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産休・育休中の社員に給与を支払うかどうかは、企業の判断に委ねられています。一般的に、産休・育休中の社員は無給になる場合が多いです。

代わりに、産休・育休中の生活費補填の観点で、受給要件を満たせば育児休業給付金の手続きをおこなえます。

育児休業給付金の他にも、出産育児一時金、出産手当金、出生後休業支援給付金、出生児育児休業給付金など、さまざまな給付金が存在します。

これらの給付金は非課税であり、1年間の所得金額に含まれません。よって、産休・育休中の社員は、通常時よりも大幅に所得が減る場合が多く、税扶養や配偶者特別控除などの対象となる可能性が高いです。

2. そもそも配偶者控除・配偶者特別控除とは

はてなのふきだし

配偶者控除とは、所得税法上の「控除対象配偶者」がいる方が受けられる所得控除です。ただし、納税者自身の合計所得金額が1000万円以下の場合に限られます。控除対象配偶者とは、その年の12月31日時点で、次の要件すべてを満たす方をいいます。

控除対象配偶者の要件
  1. 民法上の配偶者であること(内縁関係の方は除く)
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が58万円以下(給与所得者の場合、給与収入123万円相当)であること
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年中に給与支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

なお、控除を受ける本人の合計所得金額が1000万円超の場合は、配偶者控除を受けることができません。

一方、配偶者特別控除とは、所得者(合計所得金額が1000万円以下)が、生計を一にする配偶者(合計所得金額が133万円以下)を有しており、その配偶者が配偶者控除の対象にならない場合に適用される所得控除です。

所得者本人の所得金額の合計から、最大38万円(配偶者の所得や本人の所得により段階的に減少)を限度として控除できます。なお、配偶者の合計所得金額が58万円以下または133万円を超える場合は、配偶者特別控除の適用を受けることはできません。

配偶者特別控除を受ける際の要件は次の通りです。

配偶者特別控除の要件
  1. 控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円以下であること
  2. 配偶者が次のすべてに当てはまること
    • 民法上の配偶者であること(内縁関係の方は除外)
    • 控除を受ける人と生計を一にしていること
    • 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
    • 年間の合計所得金額が58万円超〜133万円以下であること(給与所得者の場合、年収換算で約123万円〜201万6000円未満)
  1. 夫婦の双方で同時に配偶者特別控除を受けることはできない
  2. 所得者の配偶者特別控除の対象となる配偶者が、他の所得者の特定親族にも該当する場合は、どちらか一方の控除のみが適用される

参考:年末調整のしかた・手順・控除額の確認|国税庁
参考:令和7年度税制改正の大綱の概要|財務省

配偶者特別控除の詳細を知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:配偶者特別控除の所得金額はいくらまで?年末調整や年収の壁との関係を解説

また、令和7年度税制改正の影響を受けて、配偶者控除に関する103万円の壁(所得48万円を年収換算した際に103万円となること)が、令和7度分の年末調整から123万円に変更となりました。配偶者特別控除や年収の壁への影響は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:103万円の壁撤廃はいつから?150万円・160万円の引き上げや税制改正の適用時期を解説

3. 【人事担当者向け】産休・育休中の社員がいる場合のチェックリスト

チェックリスト

産休・育休中の社員には、年末調整の際、自社での給与所得が少ない場合に”産休・育休社員の配偶者の会社”の年末調整にて、配偶者控除・配偶者特別控除の対象になり得る可能性があると伝えてあげると丁寧です。

社員によっては「所得」と「収入」の違いを正しく理解していなかったり、非課税収入を含めて誤って申告したりする可能性もあるでしょう。ここからは、人事担当者が質問を受けた際、実務上確認すべき項目をご紹介します。

3-1. 社員の所得を確認して控除対象かどうかを判断

産休・育休中は給与が支給されない、または一部のみ支給されるケースが多く、社員の所得が下がることが一般的です。所得が下がることで、産休・育休社員の配偶者の会社にて、配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けられる可能性が高くなります。

ここで注意したいのは、控除を判断する基準が「年収」ではなく「所得」であることです。非課税収入である育児休業給付金や出産手当金は、所得に含めません。収入と所得の関係性を社員が正しく理解できるよう、あらかじめ説明しておくと良いでしょう。

<人事担当者の実施事項>

  • 社員本人に、「課税所得(=給与所得−給与所得控除)」で判定することを産休・育休前に案内する
  • 賞与支払いがある場合は、所得に含めることを説明する
  • 配偶者の所得が控除基準(133万円以下)に該当するか確認するよう促す
  • 控除申告書(配偶者控除等申告書)記入時に、非課税収入は含めないことを明示する

なお、配偶者控除等申告書の記入項目や書き方は、次の記事で詳しく解説しています。

関連記事:配偶者控除等申告書の書き方を徹底解説!令和7年度年末調整と法改正内容

3-2. 年末調整での申告タイミングに注意する

配偶者控除と、配偶者特別控除の判定には、その年の最終的な課税所得額が必要です。しかし、育休中は、給与支給や賞与の有無によって月ごとに課税収入が変動しやすく、年末調整をおこなう時期に、その年の課税所得額が確定していない場合があります。

例えば、育休明けの復職月や賞与額が年末時点で未確定だったり、所得額が不明だったりするケースが挙げられます。

これらのケースでは、翌年の確定申告で控除を受けられることを社員へ案内するとスムーズでしょう。

<人事担当者の実施事項>

  • 「所得が未確定の場合、その年の年末調整では申告せず確定申告で控除申請できる」ことを説明する
  • 配偶者の会社の年末調整で記載した「見込み年収」が誤っていた場合は、その後の修正申告や還付申告で調整可能であると案内する
  • 翌年1月に源泉徴収票を発行したあと、社員自身に所得を確認してもらって配偶者へ確定申告を促す

3-3. 社内説明・案内のタイミングを整える

社員が産休・育休を取得する前に、早めに制度の案内をおこなうことが大切です。出産予定日が先の日付でも、妊娠中の体調によって、予定よりも早く休業を取得するケースも考えられます。

<人事担当者の実施事項>

  • 産休・育休に関する制度を早期に整備し、全社員へ周知の機会を設ける
  • 産休・育休前面談で、育児休業給付金は非課税であることや、給与が減ると配偶者の税扶養になる可能性があることを説明しておく
  • 年末調整時の混乱を防ぐため、「控除や申告に関する簡易ガイド」や「よくある質問(FAQ)」を社内マニュアル化し、年末調整書類と一緒に配布する
  • 産休・育休中の社員でも年末調整書類を提出しやすいよう、郵送・電子提出の体制を整える

このチェックリストをもとに、産休・育休中社員に関する年末調整の抜け漏れを防ぎましょう。

4. 育休と配偶者特別控除に関するQ&A

Q&Aのブロック

育休と配偶者特別控除にまつわる疑問を、Q&A形式でご紹介します。

4-1. 配偶者特別控除は性別を問わず受けられる?

配偶者控除、配偶者特別控除は、性別を問わず受けられる所得控除です。例えば、夫が育休中で妻が働いている場合、妻の課税所得額など一定条件を確認して、配偶者控除、配偶者特別控除の対象かどうかを判断します。

4-2. 年末調整の対象外となる育児関連の収入が知りたい

年末調整の対象外となる非課税の給付金や手当は次の通りです。

  • 出産育児一時金(健康保険から出産時に支給される一時金)
  • 出産手当金(健康保険から産前産後休業の際に支給される給付金)
  • 育児休業給付金(雇用保険から育児休業中に支給される給付金)
  • 児童手当(市区町村から中学校卒業までの子どもを養育する家庭に支給される手当)

上記の給付金・手当はいずれも非課税収入であり、年末調整や確定申告での所得計算には含めません。社員の中には「給付金も収入だから年収に入る」と誤解して申告してしまうケースがあるため、課税所得の考え方を明確に説明しておくことが重要です。

4-3. 産休・育休中の社員にも、年末調整書類を提出してもらう必要がありますか?

産休・育休中の社員も年末調整の対象となり、書類の提出内容は他の社員と同様です。育休中で給与支給がない場合でも、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「保険料控除申告書」「配偶者控除等申告書」など、年末調整で必要な書類は通常どおり提出してもらいましょう。

ただし、休業中に出社することが難しく、書類の郵送に手間を感じる方も少なくありません。可能な限り、システムの活用を取り入れ、社員に負担をかけずにリモート対応できる体制づくりを心掛けましょう。

4-4. 年内に社員が出産した場合、扶養控除申告書に記入しますか?

年内(1月〜12月)に社員が出産した場合は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「16歳未満の扶養親族」欄に出生した子どもの氏名・生年月日・個人番号・続柄を記入してもらいましょう。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出や判定は、年度(4月〜翌年3月)ではなく暦年(1月〜12月)単位でおこなうことに注意が必要です。例えば、12月末に社員が出産した場合は、当年分の申告書に記載が必要ですが、翌年1月の出産であれば翌年分に反映されます。

誤ってしまうと、住民税の計算に反映されないおそれがあるため注意しましょう。

5. 産休・育休中の配偶者特別控除を確認してミスなく年末調整をおこなおう

指でオーケーマークを作る人事労務担当者

産休・育休中は、給与支給の有無や給付金の扱いにより、課税所得が大きく変わります。

その結果、配偶者控除や配偶者特別控除の対象となるケースが増える一方で、社員自身が「所得」と「収入」の違いを正しく理解していないことも少なくありません。

配偶者特別控除の判断や年末調整の対応を正確におこない、産休・育休中の社員が安心して復職できる環境を整えましょう。

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