プレゼンティーイズムとは?原因と企業に与える損失額・対策をわかりやすく解説
公開日: 2026.1.19 jinjer Blog 編集部
従業員の生産性低下をまねく「プレゼンティーイズム」という現象に、近年、注目が集まっています。メンタルヘルスの不調などから本来の力を発揮できず、組織の生産性に悪影響をおよぼすプレゼンティーイズムは、健康経営の重要指標としてよく聞かれる言葉になりました。
本記事では、プレゼンティーイズムの定義やアブセンティーイズムとの違い、企業にもたらす損失や原因、そして具体的な予防・対策方法まで網羅的に解説します。プレゼンティーイズムへの理解を深め、従業員の健康と幸福を両立させて自社の生産性向上とウェルビーイングを実現するために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. プレゼンティーイズムとは?


欠勤や休職には至っていないため勤務上は問題ないように見えるものの、仕事の効率は明らかに落ちていることから、企業にとって「見えにくい損失」となります。例えば、休むほどではないけれど、頭痛や腰痛、花粉症の症状、不安感や寝不足などを抱えつつ働いている状況がプレゼンティーイズムの典型例です。
プレゼンティーイズムが生じると、業務のミス増加や進捗の遅れなどによって業績にも悪影響がおよびます。また、将来的な休職や、最悪の場合離職につながるリスクもあるため、放置せず早期に実態を把握して、何かしらの対策を講じることが重要です。
2. アブセンティーイズムとの違いと損失額の比較


アブセンティーイズムは、休んでいる間の生産性がゼロになるなど、企業の損失が顕在化するため課題と捉えられやすいです。一見、欠勤・遅刻など「働いていない」状態を指すプレゼンティーイズムのほうが、企業への悪影響が大きいように見えますが、両者の損失額を比較すると、プレゼンティーイズムのほうが損失が大きいと示した調査結果があります。
例えば、厚生労働省の「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」では、米国における興味深い例として、ミシガン大学のある金融関連企業の事例研究を紹介しています。この調査では、プレゼンティーイズムによる損失(下図黄色部分)の方がアブセンティーイズム(下図青色部分)より遥かに高額であることがわかります。
プレゼンティーイズムは、従業員が出勤していることから、その損失が見えにくいのは事実ですが、アブセンティーイズムだけでなく早急な対策が求められるテーマといえるでしょう。
| 調査 (調査年) | プレゼンティーイズム損失 | アブセンティーイズム損失 | 対象範囲・備考 |
| 横浜市立大学研究(原・永田ら、2025) | 年間約7.3兆円(損失合計の約96%) | 年間約0.3兆円(約4%) | 日本全体(働く人のメンタル不調による生産性損失の試算)。年間総損失7.6兆円はGDPの約1.1%に相当する。 |
| 民間企業4社調査(産業医科大・Nagataら、 2018) | 従業員1人当たり年約3,055ドル(約33~40万円)※総健康コストの64% | 従業員1人当たり年約520ドル(約5~6万円)※総健康コストの11% | 日本の製薬企業4社の従業員を対象とした研究。総健康関連コストに占めるプレゼンティーイズムの比率が最も高く、欠勤損失の約6倍。 |
※円換算は2018年当時の為替にて計算
3. プレゼンティーイズムが企業・従業員にもたらす損失と影響


3-1. 企業側の損失
プレゼンティーイズムは企業経営に対して大きな負のインパクトを与えます。生産性の低下や余計なコストの発生など、プレゼンティーイズムが企業に与える影響を3つご紹介します。
3-1-1. 生産性の低下
代表的な損失要因として、まず 労働生産性の低下が挙げられます。集中力の低下やミスの増加につながり、個人およびチーム全体の業務効率が落ちてしまいます。
加えて、無理がたたって労働災害や重大なミスにつながるリスクも高まります。
3-1-2. 追加コストの発生
従業員が体調を崩したまま無理をすれば、やがて欠勤・休職といったアブセンティーイズムに移行しやすく、休業者の代替要員確保や残業対応など追加コストも発生します。
内閣府男女共同参画局の資料では、試算によると一定の仮定のもと「休職者1名にかかる追加コスト」は約422万円と発表されています。
参考:企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット|男女共同参画局
3-1-3. 組織の士気低下
体調不良の従業員が無理に出社し続けると、周囲の従業員に負荷がかかり、「自分も体調が悪くても休めない」という悪い雰囲気が職場に広がるおそれがあります。その結果、職場全体のモラール(士気)が下がり、さらに深刻なプレゼンティーイズムの蔓延を招く悪循環に陥る可能性も指摘されています。
最悪の場合退職してしまうケースもあり、蓄積したノウハウの喪失や人材補充コストといった損失にもつながります。
3-2. 従業員側の損失
プレゼンティーイズムは従業員本人にも大きなデメリットをもたらします。「休むほどではないから大丈夫」と安易に捉えるのではなく、自分自身で健康状態や仕事・プライベートへの影響を見直すことが欠かせません。主な従業員の損失を3つご紹介します。
3-2-1. 健康状態の悪化
無理をして働き続ければ症状が悪化し、小さな不調が重大な疾患につながった結果、長期療養を要する事態になるおそれがあります。
適切な休息を取らずに働き続けることで回復が遅れてしまえば、長期間仕事ができなくなるリスクがあることを、社内で共有することが大切です。
3-2-2. キャリアへの悪影響
体調不良により仕事のパフォーマンスが落ちた状態が続けば、いずれ人事評価に悪影響がおよび、従業員が昇進や昇給のチャンスを逃す可能性があります。最悪の場合、業務上のミスや成果未達によって降格・解雇につながるおそれもあるでしょう。
本人にその気がなくとも、健康問題が原因でキャリア上の損失が発生するリスクがあります。
3-2-3. 私生活への影響
体調不良を抱えた状態では、仕事以外の時間も疲労回復や通院に充てざるを得なくなり、家族や友人との時間を楽しめないなど生活の質(QOL)の低下につながります。趣味に取り組む気力や体力も削がれてしまい、心身のリフレッシュができないためにストレスをさらに溜め込む悪循環に陥ります。
こうした私生活の充実度低下はメンタル面の不調を招きます。メンタルヘルス不調が悪化すれば、仕事のパフォーマンスが下がり、結果として企業の生産性低下にもつながるでしょう。
4. プレゼンティーイズムの主な原因


-
- 長時間労働の常態化
慢性的な長時間労働は従業員の休息不足を招き、疲労や体調不良を抱えたまま出勤せざるを得ない状況につながります。蓄積した疲労は集中力低下やミスの誘発、メンタル不調を招きます。
-
- 休暇を取得しづらい職場風土
有給休暇などを遠慮なく取得できない企業風土や、「休んではいけない」という罪悪感は、従業員に無理を押して出勤させる要因になります。十分な休養が取れないことで心身ともに疲弊し、プレゼンティーイズムを助長してしまいます。
-
- 極端な成果主義のプレッシャー
極端に成果だけを重視する評価制度も原因の一つです。成果が出なければ評価が下がるという過度なプレッシャーから、「体調が悪くても休めない」心理状態に陥りがちです。
-
- 職場の人間関係の悪化やハラスメント
同僚とのコミュニケーション不足や上司からの過度なプレッシャー、さらにはパワハラ・セクハラといった問題は従業員の精神的健康を著しく損ない、プレゼンティーイズムの大きな原因となります。
相談できる相手もなく問題を抱え込むことで、状況が悪化してしまう例もあります。
-
- 従業員の特性
従業員個人の要因としては、「真面目すぎる性格」「強すぎる責任感」「周囲への過剰な気遣い」などが挙げられます。
例えば、「体調が悪くても自分が休むと職場に迷惑がかかる」と考え無理をしてしまうケースや、「多少無理してでも目標を達成しなければ」という完璧主義的な思いから休めないケースです。また、不調を周囲に相談できない性格も原因となり得ます。
実際の職場では、これら企業側・個人側の複数の要因が相互に影響し合ってプレゼンティーイズムを引き起こしているのが実情です。
5. プレゼンティーイズムによって発生しやすい症状


5-1. 発症しやすいメンタル症状(心理的な不調)
プレゼンティーイズムにつながりやすい症状は大きくメンタル面とフィジカル面に分類できます。代表的なメンタル面の不調や症状例としては次のようなものが挙げられます。
- 抑うつ気分・不安感(気分の落ち込み、意欲低下など)
- 不眠症状(よく眠れず日中の眠気や倦怠感)
- ストレス反応(イライラや緊張の高まり)
- 適応障害・うつ病などの精神疾患(診断がつくレベルのメンタル不調)
これらの状態では、症状が他人から見えにくいため、本人の「休むほどではない」という判断のみで通常の労働を続けがちです。しかし実際には、仕事へのエンゲージメント低下やバーンアウト(燃え尽き)を引き起こし、生産性低下のみならずミスや事故の誘発リスクも高まります。
5-2. 発症しやすいフィジカル症状(身体的な不調)
プレゼンティーイズムの背景には、メンタル症状だけでなく身体的な不調も多数存在します。
- 腰痛、首・肩こり
- 頭痛
- 花粉症
- 眼精疲労
ほかにも消化器系の不調(胃痛・下痢など)や軽度の発熱・風邪など、本人でもつい「この程度なら大丈夫」と見過ごしてしまいがちな身体の不調が、実は仕事の質と速度を大きく低下させていることがあります。
こうした不調が見られる従業員には早めにケアや勤務配慮をおこない、深刻化・慢性化する前に対処することが重要です。
6. プレゼンティーイズムへの具体的な対策


関連記事:ウェルビーイング経営とは?健康経営との違いや効果、企業事例を解説
6-1. 企業側のプレゼンティーイズム対策
企業が講じるべきプレゼンティーイズム対策としては、多角的な職場環境の改善と制度整備が求められます。ここでは、企業が取り組むべきプレゼンティーイズムの主要な対策を5つご紹介します。
6-1-1. 長時間労働の是正
従業員の過重労働を防ぐため、残業時間の管理徹底や業務量の調整をおこないます。ICカードやPCログを用いた勤怠管理システムで客観的に労働時間を把握するなどの対策が有効です。
管理職にも研修を実施し、部下の長時間労働を是正する意識改革を促します。
関連記事:過重労働とは?長時間労働との違いや企業が実施すべき対策を紹介
6-1-2. 休みやすい職場風土の醸成
年次有給休暇を計画的に取得できるよう奨励します。休暇取得率向上に向けた目標設定や、休んでも業務が回る人員体制づくりなどが有効でしょう。
従業員が気兼ねなく休める雰囲気を作ることで、心身の疲労回復を図りプレゼンティーイズムを予防します。
関連記事:有給休暇の計画的付与制度とは?導入方法や注意点を紹介
6-1-3. ラインケア
「ラインケア」(ラインによるケア)とは、職場の管理監督者(部長・課長などの上司)が中心となって部下のメンタルヘルスを支援する取り組みです。平たく言えば、直属の上司が日常的に部下の様子を観察し、「いつもと違う」変化(心身の不調や行動の変化など)にいち早く気付き、適切に声掛けや対応をおこなうことです。
部下が無理をしていないか、過度なプレッシャーを感じていないかを観察し声掛けすることで、プレゼンティーイズムの早期発見、解決を心がけます。
6-1-4. メンタルヘルス対策の強化
ストレスチェック制度を年1回実施するだけでなく、結果を分析して職場環境の改善に活かします。高ストレス者へ早期に面談フォローをおこなうほか、必要に応じて配置転換や業務負荷調整などもおこないます。
また、産業医・産業保健スタッフやカウンセラーとの連携による相談窓口を設置し、従業員が気軽に専門家へ相談できる体制を整えます。
関連記事:企業におけるメンタルヘルスケアとは?4つのケアや事例を紹介
6-1-5. 職場環境の整備
快適で働きやすい職場環境の整備も重要です。照明・空調の最適化、集中して仕事に取り組める静かなスペースの確保、リフレッシュできる休憩エリアの充実などハード面の改善があります。
あわせて、テレワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方を導入し、従業員の負担軽減やワークライフバランス向上を図ることも有効でしょう。
6-2. 従業員側のプレゼンティーイズム対策
従業員自身もまた、自分の健康管理に主体的に取り組む必要があります。企業側がどんなに制度を整えても、本人の心がけ次第で健康状態やパフォーマンスは大きく変わるため、従業員教育をするといいでしょう。
ここでは、従業員に向けたプレゼンティーイズムの対策を3つご紹介します。
6-2-1. 日頃からの体調管理
規則正しい生活習慣としてバランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、健康維持に努めさせましょう。また、自身の体調変化のセルフチェックを習慣化し、疲労感や強いストレスを感じたら意識的に休息を取るようにすることを勧めます。忙しいからといって、従業員が自身の不調を放置しないようサポートすることが肝心です。
6-2-2. 適切な休息とリフレッシュ
心身の疲労を回復させるためには、計画的に休暇を取得してリフレッシュすることが不可欠です。休暇中はできるだけ仕事のことを忘れて、趣味や旅行などで英気を養うことができるよう、休める環境を整備しましょう。例えば、時間外のメール・電話対応をさせない、長期休暇前は仕事をしっかり引き継ぐといった取り組みも大切です。
6-2-3. 上司や同僚、社外の専門機関への相談
仕事上の悩みや体調不良は、一人で抱え込まず周囲に相談する習慣を持たせましょう。上司や同僚に現状を話せば、業務調整や支援など問題解決の糸口が見つかることも多いです。職場にメンター制度や定期的な1on1ミーティングの機会を作り、状態をオープンに共有してもらうことが大切です。
また、社外の相談窓口を利用させるのも有効です。EAP(従業員支援プログラム)や、産業医・カウンセラーの外部相談サービスなどを契約していれば、積極的に活用させましょう。
7. プレゼンティーイズム対策で従業員の健康と企業の生産性向上を実現しよう


企業がプレゼンティーイズム対策に本腰を入れることは、「従業員を大切にし、持てる力を最大限発揮してもらう」ための投資です。従業員の声に耳を傾けながら職場環境を改善していくことで、従業員の健康と生産性を両立する職場づくりを目指しましょう。



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