従業員満足度(ES)とは?向上させるメリットと調査の流れを紹介
更新日: 2025.12.1 公開日: 2022.11.8 jinjer Blog 編集部

近年、多くの企業で、従業員満足度(Employee Satisfaction:ES)の向上が注目されています。従業員満足度とは、従業員が業務内容や職場環境、給与・福利厚生などに、どの程度満足しているかを示す指標です。
この記事では、従業員満足度の構成要素やエンゲージメントとの違い、従業員満足度を高める方法について解説します。
目次
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 従業員満足度とは?意味と注目される背景を解説


従業員満足度とは、人間関係も含む社内の環境や業務、福利厚生、給与といった面において、従業員がどれだけ満足しているかを把握するための指標です。英語では「Employee Satisfaction」と呼ばれており、ESと略されることもあります。
近年、従業員満足度が重視される背景には社会全体の変化に伴ういくつかの理由があります。その背景について、3つの視点から解説します。
1-1. 人口減少による労働力不足
1つ目の理由は、人口減少と少子高齢化による労働力不足です。内閣府の調査によると、15歳以上65歳未満の生産年齢人口は減少傾向にあり、2065年には4,529万人になると予想されています。2020年と比較すると、2,877万人も減少する見通しです。
このように、今後はさらに人材確保が難しくなっていくことが懸念されています。このように労働力人口が減少するなかで、限られた人材に長く働いてもらうための環境づくりが重要視されるようになりました。その背景から、従業員満足度の向上が注目されています。
1-2. 働き方や価値観の多様化
2つ目は、働き方や価値観の多様化です。終身雇用や年功序列が崩れ、給与や待遇だけでなく、働きがい・人間関係・成長機会・ワークライフバランスなど、仕事への満足度を重視する傾向が強まっています。
こうした背景から、従業員満足度が高い企業ほど、採用活動において「選ばれる企業」として優位に立ちやすい傾向があります。反対に、従業員満足度が低ければ、採用活動で不利になったり人材が定着しなかったりするリスクが生じます。結果として、従業員の多様な価値観を尊重し、柔軟に対応できる企業ほど、従業員満足度向上と人材定着の両立が期待されています。
1-3. 企業の評価軸の変化
3つ目は、企業の評価軸の変化です。近年は、人的資本経営やサステナビリティ情報開示の流れの中で、従業員満足度が企業価値を示す重要な指標として注目されています。
また、従業員が満足している職場では、生産性や顧客満足度が高まり、離職率も低下する傾向があります。
つまり、従業員満足度の向上は、企業の持続的な成長とブランド価値の向上の両方につながる重要なテーマといえるでしょう。
2. 従業員満足度とエンゲージメント、ロイヤリティとの違い


従業員満足度とは、仕事内容や職場環境、上司や同僚との関係、待遇などに対して、どれだけ満足しているかを示す指標です。働きやすさや居心地の良さを感じているほど、従業員満足度は高くなります。
一方で、従業員エンゲージメントは、企業や組織に対して「自分の力で貢献したい」と思う意欲を表します。満足しているだけでなく、「この企業と一緒に成長したい」と感じている状態であり、企業側の取り組みや支援によって高めることができます。
ロイヤリティは、企業に対する愛着や帰属意識を指します。「この企業の一員であり続けたい」「役に立ちたい」といった思いが強くなるほどロイヤリティが高まります。
つまり、従業員満足度は今の職場への満足感、エンゲージメントは成長や貢献への意欲、ロイヤリティは企業への愛着を示すものです。従業員満足度を高めることは、結果としてエンゲージメントやロイヤリティの向上にもつながると考えられます。
3.従業員満足度を構成する要素


従業員満足度は、仕事内容や職場環境、人間関係などいくつかの要素で構成されています。構成する要素を理解し、企業としてどの要素を改善していくか考えることが大切です。ここでは代表的な7つの要素を解説します。
3-1. 企業理念やビジョン
企業理念やビジョンへの共感は、従業員満足度を構成する大切な要素の1つです。従業員が企業の理念や方向性を理解し、「この企業で働きたい」「自分の仕事が理念の実現に貢献している」と感じられるほど、誇りや期待感を持って働けます。
企業理念やビジョンが従業員の価値観と一致している場合、仕事へのモチベーションが高まり、ストレスの少ない健全な職場が形成されます。このように、企業理念への共感はエンゲージメントや定着率の向上にもつながるといえます。
3-2. 仕事内容・役割
仕事内容や自分の役割に対するやりがいは、満足度を左右する大きな要素です。自分のスキルが活かせていると実感できるとき、仕事を通して成長できていると感じるとき、あるいは業務が企業や社会に貢献していると理解できるときなどに、従業員は充実感を得ます。
仕事内容や自身の役割に誇りを持ち、主体的に取り組むようになれば、従業員満足度は高まるでしょう。つまり、人材配置やタレントマネジメントが適切におこなわれている企業では、個々の能力が十分に発揮されやすく、満足度が高まりやすくなります。
3-3. 人間関係(上司・同僚・部下)
職場の人間関係は、従業員満足度に直結する重要な要素です。人間関係が良好な職場では、安心感と信頼感が生まれ、チームの協力体制や生産性も向上します。
一方で、コミュニケーションが不足したり、意見が言いづらい雰囲気があったりすると、ストレスが蓄積し離職につながるケースもあります。
このことから、従業員同士で意見を尊重し合い、建設的な対話ができる職場づくりが従業員の心理的安全性を高める鍵となるでしょう。従業員同士の人間関係が良好に築ければ、定着率向上だけでなく、企業の新たな発想やサービス創出にもつながります。そうした前向きな組織風土が、従業員一人ひとりの貢献意欲や働きがいを高め、結果として従業員満足度の向上につながるでしょう。
3-4. マネジメント・評価
上司や管理職によるマネジメントの質、評価の公平さは、従業員の満足度を大きく左右します。適切なフィードバックを受け、自分の努力や成果が正当に認められていると感じることで、モチベーションが維持されやすくなるためです。
また、従業員の考えを理解し、キャリア形成を支援するマネジメントがおこなわれている企業では、信頼関係が強まり、心理的な安心感も高まるでしょう。逆に、評価が不透明で、上司の指導が一方的な環境では不満が生まれやすく、満足度が低下する傾向にあります。
3-5. 給与・待遇
給与や待遇は、従業員満足度を構成する最も基本的な要素です。成果や貢献度に応じた報酬が適切に支払われ、昇給や賞与などの仕組みに納得感があるかどうかが満足度に影響します。
また、役職や責任に見合った処遇が整っていることも重要です。転職が一般化した現代では、ほか企業との比較を意識する従業員も多く、公平で透明性のある報酬制度を整備することが欠かせません。
3-6. 働き方(休日休暇・残業)
働き方の柔軟性やワークライフバランスも、従業員満足度を高めるうえで欠かせない要素です。残業が少なく、テレワークや時短勤務など多様な働き方が認められている職場では、従業員の満足度が高まる傾向があります。
また、仕事量や難易度が適正で、育児や介護といったプライベートとの両立がしやすい環境であることも重要です。従業員が無理なく働き続けられる仕組みを整えることで、長期的な定着と生産性向上の両立が可能となり、従業員満足度が向上するでしょう。
3-7. 職場環境・風土
職場の物理的な環境や、企業風土も従業員満足度を左右します。オフィスの清潔さはもちろんのこと、照明や空調などの快適さも重要です。加えて、意見を言いやすい雰囲気や、従業員の声が反映される文化が根付いていることが理想です。
また、福利厚生の充実も満足度に直結します。住宅手当や食事補助、特別休暇、スキルアップ支援制度など、従業員の生活と成長を支える制度が整っている企業は、安心感と誇りを提供できます。こうした環境づくりが、従業員一人ひとりの働きがいを支え、従業員満足度に影響を与えるでしょう。
4. 従業員満足度を高めるメリット


従業員満足度を向上させることで、生産性の向上や離職防止など、さまざまなメリットがあります。ここでは、従業員満足度を高めるメリットについて解説します。
4-1. 生産性の向上
従業員満足度が低い企業では、モチベーションの低下により生産性が落ちる傾向があります。一方、満足度が高い企業では、従業員が仕事にやりがいを感じ、自発的に貢献しようとする姿勢が育まれます。
このような職場では、業務効率が上がるだけでなく、従業員同士のコミュニケーションが活発になり、新しいアイデアや改善策が生まれやすくなるでしょう。
従業員満足度を高めることは、働きやすい環境を整えるだけでなく、組織全体の生産性・業績・創造性を高める重要な取り組みです。結果として、新規事業の創出や企業の持続的な成長にもつながります。
4-2. 人材の流出防止
従業員満足度が高い企業では、従業員が職場環境や待遇に満足し、長く働きたいと感じるため、離職率が低くなります。満足度の高い環境は「辞めない理由」をつくるだけでなく、「ここで働き続けたい」と思わせる魅力を生み出します。その結果、優秀な人材の流出を防ぎ、組織の安定につながります。
さらに、従業員満足度の向上は、業績や企業イメージの向上にも寄与します。従業員が誇りを持って働くことで社外からの評価も高まり、採用活動にも良い影響を与えるでしょう。
このように、従業員満足度を高めることは、人材の定着と採用力強化の両方を実現し、企業にとっての好循環を生み出します。
4-3. 顧客満足度の向上
従業員満足度の高い企業では、従業員が意欲的に業務へ取り組むため、顧客への対応品質も向上します。日々の業務に前向きに取り組む姿勢は、顧客とのコミュニケーションやサービスの丁寧さにも表れ、顧客満足度(CS:Customer Satisfaction)の向上につながります。
顧客満足度は、顧客が商品やサービスを購入した際に感じる満足度を示す指標です。数値が高いほど顧客の満足度が高く、リピート獲得につながるとされています。
また、従業員が自社の商品やサービスに誇りを持ち、顧客の視点で改善を考えることで、より顧客ニーズに沿った商品開発やサービス提供が可能になります。
従業員満足度と顧客満足度は相互に影響し合い、結果として企業全体の信頼性とブランド力の向上につながるでしょう。
5. 従業員満足度調査の流れ


従業員満足度調査とは、企業に対する従業員の満足度を把握し、課題を可視化するための調査です。もっとも一般的な手法は「ES調査(従業員満足度調査)」と呼ばれるアンケート形式で、職場環境や人間関係、給与・待遇などに関する設問を通じて現状を数値化します。
ただし、調査は実施して終わりでは意味がありません。目的を明確にして従業員に周知し、調査後は速やかに結果を分析して改善策を立案・実行することが重要です。
初めて従業員満足度調査を実施する場合は、設問設計や分析が難しい場合もあるため、外部機関や専用ツールの活用も効果的でしょう。
関連記事:従業員満足度調査とは?実施手順や質問項目をわかりやすく解説
関連記事:厚生労働省も重要視する従業員満足度調査とは?目的や方法を解説
5-1. 調査目的の明確化
従業員満足度調査を行う際は、まず「何のために実施するのか」を明確にしましょう。目的が曖昧だと、調査自体が目的化し、結果を有効活用できないためです。
例えば、「入社3年目以内の離職率を改善したい」「人事評価制度の課題を見つけたい」といった具体的な目的を設定することで、質問項目や分析の方向性が定まり、結果を改善に結びつけやすくなります。
5-2. 調査対象や質問項目を決める
次に、調査対象者の範囲と質問項目を決定します。全従業員を対象にするのか、部署や職種、勤続年数別に分けるのかを検討しましょう。
質問項目は目的に沿って設計し、数が多くなりすぎないよう注意が必要です。質問例や設問設計のコツについては、関連記事で詳しく紹介しています。
関連記事:従業員満足度調査とは?実施手順や質問項目をわかりやすく解説
5-3. 調査を実施する
調査の実施前には、目的や趣旨を従業員にしっかり周知し、「人事評価には影響しない」ことを明確に伝えることが大切です。安心して回答できる環境を整えれば、より信頼性の高い結果が得られます。
回答のしやすさを考慮し、オンラインツール(Googleフォーム、Microsoft Formsなど)の活用がおすすめです。匿名性を確保できる専用ツールを利用すれば、データの可視化や改善策の検討もスムーズに進みます。
5-4. 結果分析
調査後は、速やかに結果を集計・分析します。まず、全体の傾向を把握する「単純集計」で回答の合計や平均値を確認し、自社の強み・弱みを整理します。
次に、部署・職種・入社年数などの属性ごとに分析する「クロス集計」をおこなうと、特定の層での課題や特徴が見えてきます。さらに、設問同士の関係性を把握する「構造分析」をおこなうことで、満足度の高低に影響している要因を特定できます。
これらの分析方法を組み合わせて多角的に見ることで、より精度の高い課題抽出が可能です。さらに、過去の調査結果と比較して推移を確認すれば、施策の効果測定や従業員満足度の改善状況も把握できるでしょう。
5-5. 対策の立案
分析結果が出た後は、経営層への報告、従業員へのフィードバックをおこないます。その後、結果に基づいた改善策を迅速に実行しましょう。
一度にすべて実施しようとするのではなく、無理なく実行可能な施策から開始し、効果を測定しながら継続的に改善していくことが、従業員満足度向上への鍵となるでしょう。
調査から時間が経つと従業員の意識も変化するので、調査からなるべく時間を空けずに対策をおこなうことが大切です。
6. 従業員満足度を高める方法


従業員満足度を向上させるには、従業員満足度の構成要素それぞれに対して改善策を検討・実施することが重要です。具体的な方法についてみていきましょう。
関連記事:従業員満足度が高い企業の取り組みとは?自社で活用できるポイントを分かりやすく紹介
6-1. 企業理念やビジョンの浸透
企業理念やビジョンが浸透すると、組織の方向性への理解が深まり、従業員のモチベーションや満足度が向上します。また、日々の仕事にやりがいを感じ、企業への帰属意識も自然と高まります。
ただし、企業理念を一方的に押し付けるだけでは、従業員満足度は向上しません。経営層だけが理念を策定・浸透させるのではなく、現場の意見や価値観を取り入れながら、対話を通じて浸透を図ることが重要です。
理念やビジョンを理解・共感してもらうために、研修やセミナーなどの場を設けることも効果的です。従業員が自らの仕事と企業の目指す方向性を重ね合わせられるようになると、自発的な行動や前向きな姿勢が生まれ、従業員満足度の向上につながります。
6-2. 仕事内容・役割の最適化
従業員の適性や希望に合った業務の割り振りや役割の設定は、従業員満足度を高めるうえで非常に重要です。個々のスキルや性格に応じた人材配置をおこなうことで、無理のない形で能力を発揮でき、仕事へのやりがいや成長実感を得やすくなります。
また、異動希望やキャリアプランを尊重し、従業員が自律的にキャリア形成できる環境も大切です。そのためには、定期的なキャリアアップ面談を実施し、業務内容の見直しや目標設定をサポートする取り組みが効果的でしょう。
さらに、資格取得支援や研修制度を充実させ、従業員が自律的にスキルを磨き、キャリアを形成できる仕組みが求められます。データを活用した適材適所の人材配置と、成長を支える教育体制の両輪で、満足度の高い職場づくりを目指しましょう。
6-3. 社内コミュニケーションの強化
グローバル化や働き方の多様化が進む中で、さまざまな価値観や背景を持つ従業員が働いている企業も多いでしょう。加えて、リモートワークやフレックスタイム制の導入により同じ時間・同じ場所で働く機会は減少しつつあります。その分、意見の衝突や人間関係のすれ違いが起こる可能性が高まっています。人間関係が円滑でない職場は、従業員に大きなストレスを与え、離職につながるリスクもあります。
そのため、気軽に意見交換ができる環境づくりが重要です。社内チャットツールやオンライン会議ツールを導入し、オンラインランチ会や店舗やエリアを超えた会議など、場所を問わずコミュニケーションを取れる機会を設けるとよいでしょう。
ほかにも、1on1ミーティングを取り入れて上司と部下が個別に話せる場を確保し、信頼関係の構築を推進することも有効です。
ただし、コミュニケーションを無理に強制するのではなく、自然に会話が生まれるきっかけを提供することがポイントです。従業員が安心して話せる環境を整えることが、職場全体の風通しの良さと満足度向上につながります。
6-4. 評価プロセスの透明化や見直し
従業員満足度を高めるためには、客観的で納得感のある評価制度の導入が大切です。人事データを活用し、複数の評価指標を組み合わせて新たな評価基準を設けることで、より公正で透明性の高い仕組みを実現できます。
データに基づく評価は、主観的な判断を減らし、納得感ある評価につながります。成果に応じたインセンティブや昇給制度を整備することで、従業員の努力が正当に報われ、モチベーションの維持・向上にも効果的です。
6-5. 給与・待遇の改善
給与や待遇は、従業員のモチベーションを左右する大きな要素です。評価プロセスの改善とあわせて、給与や待遇にも適切に反映させることが大切です。
例えば、成果を上げていない人と同じ給与である、昇給の基準があいまいといった不満があると、やる気の低下や離職につながることもあります。
このような場合は、給与テーブルの見直しやインセンティブ制度の導入をおこない、従業員の不満解消につなげていきましょう。
6-6. 働き方の改善とワークライフバランスの向上
従業員満足度を高めるには、ワークライフバランスの充実が欠かせません。長時間労働は心身の不調やモチベーション低下につながるため、業務プロセスの見直しや業務効率化ツールの導入などによって、残業を削減する取り組みが重要です。
テレワークやハイブリッド勤務、フレックスタイム制など、多様な働き方を選べる制度を整備することで、従業員がライフステージに応じた働き方を実現できます。
近年では、通勤手当や家賃補助、従業員食堂、慶弔休暇、メンタルヘルス支援、自己啓発支援など、生活を支える福利厚生制度も重視されています。
さらに、2025年10月施行の改正育児・介護休業法では、「子どもが3歳から小学校就学前の従業員」を対象に柔軟な働き方を実現するための措置が義務化されました。企業は、「始業・終業時刻の変更」「テレワーク」「短時間勤務制度」など5つの選択肢のうち、少なくとも2つを導入・運用する必要があります。
詳しい情報は、こちらの記事で紹介しています。
関連記事:2025年10月施行!柔軟な働き方を実現するための措置の内容と企業の対応事項を解説
6-7. 組織診断サーベイの実施と職場環境改善
従業員満足度を高めるには、まず自社の現状を正確に把握することが重要です。従業員の意識やモチベーションを可視化するために、定期的な組織診断サーベイを実施しましょう。全体結果だけでなく、部署や職種、年次など属性ごとに分析することで、より具体的な課題を発見できます。
ただし、サーベイは実施するだけでは意味がありません。分析結果をもとに改善策を立案・実行し、その効果を再びサーベイで検証するというサイクルを継続することが大切です。これにより、職場環境の改善だけでなく、従業員との信頼関係構築にもつながります。
組織の現状を見える化し、データに基づいた改善を重ねていくことで、従業員満足度の向上と離職防止、さらには企業全体の活性化を実現していきましょう。
関連記事:組織サーベイとは?実施する目的や種類、メリット・デメリットを徹底解説
関連記事:組織診断サーベイの始め方|ツールの比較方法・導入ステップ・社内通知のコツを紹介
7. ハーズバーグ二要因理論の活用方法


ハーズバーグの二要因理論とは、仕事における「満足」と「不満足」は同じ要因で決まるのではなく、それぞれ異なる要因によって構成されるという考え方です。
具体的には、給与や職場環境などの「衛生要因」と、やりがいや達成感などの「動機付け要因」の2つに分けられます。
この理論を理解し、マネジメントや制度設計に適切に取り入れることで、従業員満足度の向上につながります。例えば、人事評価制度の見直しや、コミュニケーションを促進する施策を導入することで、従業員のモチベーション向上や離職防止を実現できます。
7-1. 動機付け要因
動機付け要因とは、従業員の仕事に対する満足感やモチベーションを高める要素を指します。具体的には、仕事の達成感や業務そのもののやりがい、上司や同僚からの承認、昇進・昇格の機会、責任ある業務の遂行などが挙げられます。
これらの要素が満たされることで、従業員は仕事にやる気を持ち、生産性の向上にもつながります。ただし、動機付け要因が十分でも、給与や労働環境などの不満が解消されていない場合には、満足度向上にはつながりません。そのため、衛生要因と併せて取り組むことが重要です。
7-2. 衛生要因
衛生要因とは、従業員の仕事に対する不満の有無に関わる要素を指します。具体的には、給与や労働条件、福利厚生、経営方針や人事労務体制、職場の人間関係などが該当します。これらの要素が整っていない場合、従業員は不満を感じやすくなります。
ただし、衛生要因が十分に整っていても、必ずしもモチベーションや仕事への満足度が向上するわけではありません。あくまで不満の解消にとどまるため、従業員のやる気や生産性を高めるには、衛生要因とともに動機付け要因を充実させ、承認や成長の機会を提供することが重要です。
8. 従業員満足度を高めて生産性を向上させよう


労働人口の減少や働き方の多様化が進む中で、生産性向上は企業にとってますます重要な課題となっています。その実現には、従業員満足度を高めて、自律的に働ける環境づくりが欠かせません。
従業員満足度を高めることは、人材の定着や離職防止につながるだけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にも直結します。従業員満足度の構成要素のうち、自社の課題はどこにあるか見極めて、改善を続けていきましょう。



従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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