試用期間の給料設定や給与計算についてわかりやすく解説
会社には試用期間が設けられている場合があります。試用期間とは従業員の勤務態度や能力、適正などを判断する期間のことであり、この期間次第で本当に採用するかどうかを決める会社も存在しています。そうした性質を持つ試用期間では、給料を払う必要はあるのでしょうか。
本記事では試用期間の給料について解説します。また、残業代や給料額についても解説しているためぜひご確認ください。
目次
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1. 試用期間も給料を支払う必要はある?
まずは試用期間中の従業員に対して、給料の支払い義務があるのかどうかを正しく把握しておきましょう。誤った判断をしていると大きな問題に発展するおそれがあります。
1-1. 試用期間中も給与は必ず支払わなくてはいけない
結論から言うと、試用期間でも給料は支払わなくてはいけません。試用期間と聞くと仮の契約のように思えるかもしれませんが、実際には仮の契約ではなく他の社員と同じ正式な雇用契約になります。雇用契約が結ばれているため、交わした条件に従って給料を支払わなくてはいけません。
仮に給料を支払わなかったとしたら、賃金未払いの違法行為になります。自社のルールとして試用期間中の給料支払いはないとしている会社があるかもしれませんが、違法行為であり、罰則を受ける可能性が高いです。直ちに是正するようにしましょう。
中には本採用になったら試用期間中の給料をまとめて支払うとする会社もいます。しかし、最終的に支払っていたとしても試用期間中に給料の支払いがされていなければ違法です。雇用契約書などにその旨について記載をしておけば問題ないと考えている人もいます。
しかし、雇用契約は法律を下回る内容で結ぶことはできません。もし雇用契約上で「試用期間中の給料は支払わない」「本採用後に給料の支払いはおこなう」などと記載されていたとしても、法的には無効になり、従業員に給料を支払わなくてはいけません。
また、給料については支払う必要がある一方で、賞与については会社によって対応が異なります。法律上は賞与の支払い義務はありません。実際に賞与という制度がない会社も数多く存在しています。そのため、試用期間中に賞与がなかったり減額されたりしても違法にはならないのです。
しかし、就業規則に「試用期間中でも賞与の支給をおこなう」という旨が記載されているにも関わらず、支給しないというのは違法になります。賞与の支払いは就業規則に従っておこないましょう。
1-2. 試用期間中と本採用後で給与が違うのは問題ない
試用期間中であったとしても給与の支払いは必ずしなければいけません。
しかし、試用期間中と本採用後で給与額が異なることは問題ありません。ただし、その旨は従業員が正確に理解して把握できるように、雇用契約書などで明示する必要があります。
試用期間中の待遇が明示されていない、あるいは従業員側が正確に理解できていない場合はトラブルになる可能性があります。試用期間中の待遇が本採用後と違う場合は、求人情報や雇用契約書などあらゆる場面で再三説明し、間違いなく理解を得られるようにしましょう。
1-3. 社会保険の加入義務もある
試用期間中は給料の支払い義務があるほか、社会保険の加入義務も発生します。入社1日目から社会保険には加入しなくてはいけません。また、税金の給与天引きもおこないます。そのため、試用期間中だとしても給料に何かしらの変化があるといったことはほとんどありません。
試用期間中は専用の給与や待遇にすることは可能です。しかし、それ以外で試用期間中の従業員と他の従業員との間で何か違いがあるといったことはないため、注意しましょう。
2. 試用期間も残業代や解雇予告手当を支払う必要はある?
試用期間中でも残業代は支払う必要があります。先ほども述べたように試用期間中でも雇用契約を結んでいることには変わりありません。そのため、法律に準じて残業代を支払う必要があります。そのほかにも休日出勤や深夜労働が発生したらその分の賃金を支払わなくてはいけません。
試用期間中の残業を禁止している会社もあるでしょう。しかし、残業を禁止していたとしても何かしらの理由で残業が発生したのであれば、残業代を支払わなくてはいけません。どのような理由であれ、残業代を支払わないというのは法的に認められていないため、一般の社員と同様に管理しましょう。
ちなみに試用期間中に解雇が発生した場合は、解雇になる日まで労働した際の給料を支払わなくてはいけません。試用期間は従業員が会社に適合できるかを判断するための期間ですが、雇用契約を結んでいる以上は試用期間であることを理由に給与を支払わない行為は違法になります。
また、解雇通知は解雇日の30日前までにおこなわれるものですが、本日付での解雇を言い渡す場合もあるでしょう。その場合は、それから30日分働いたものとして解雇予告手当を支払わなくてはいけません。つまり、従業員に解雇を言い渡してそこから労働が発生しなかったとしても、30日分の給料は支払わなくてはいけません。
そういったトラブルにならないように解雇通知は30日前までにするようにしましょう。ただし、試用期間中で14日以内に解雇をする場合を除きます。
3. 試用期間の給料は最低賃金より低く設定できる?
各都道府県は労働者の賃金について最低ラインを定めています。これは労働者が法外に安い給料で雇用され、生活に困窮する問題を防ぐために設けられています。しかし、試用期間中については企業が労働局長の許可を得ていれば、最低賃金よりも低く雇用することが可能なのです。
これは「最低賃金の減額の特例」と呼ばれています。この特例の中では、試用期間中の労働者に対しては、最低賃金の20%を減額することができると定められています。つまり、最低賃金が時給1,000円だとしたら時給800円まで減らすことが可能です。
もちろん、最低賃金より減額する場合は、労働者の許可を得なくてはいけません。最低賃金に限った話ではありませんが、給料などの条件を明確にせずに雇用したり条件に反した給与を支払ったりするのは、全て違法です。正社員として雇用する場合に初任給や賞与などについて求人票に記載しますが、試用期間中の給料の取り扱いについても記載しておかなくてはいけません。
何も記載していない場合は、求人票に記載のある基本給を支払わなくてはいけないため注意しましょう。
これはあくまでも割合になりますが、試用期間中と本採用とで給料に変化がある会社は全体の4割程度というデータも存在しています。試用期間中には手当の支給をしないのも法的には問題ありません。そのため、試用期間が終わると受けられる手当の種類が増加して、結果として給料が増えるというケースがあるようです。
4. 試用期間中の給与管理は管理システム導入で効率化しよう
試用期間と本採用後で給料に大きな変化があることはありません。給料が減額されたり手当を受け取れなかったりするケースはありますが、会社側は試用期間中の従業員に対しても本採用後と同じように給料を支払う必要があります。
ちなみに今回紹介したのはあくまでも雇用契約を結んでいるケースに限ります。個人事業主やフリーランスなど会社と雇用契約が結ばれていない場合の給料の取り扱いについてはこの限りではないため、分けて考えるようにしましょう。
試用期間中の社員が多くなると、給料の計算業務も煩雑になります。人事や経理担当者の負担も増えてしまうでしょう。そこでおすすめなのが管理システムの導入です。管理システムを導入すれば、仕事をシステム上で一括で管理できるようになり、業務効率化に繋がります。ぜひ、管理システムの導入を検討してみてください。
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