売買契約書の印紙代はいくら?必要性や金額を解説
更新日: 2023.1.12
公開日: 2022.9.9
MEGURO
売買契約とは、「契約当事者の片方が相手方に財産権を譲渡すること」「相手方がその代金を支払うこと」について双方が合意することで、効力を発揮する契約です。(民法第555条)
契約の際は「売買契約書」に契約内容の詳細を記載することはもちろん、必要な額面の収入印紙を貼付することも必要です。
本記事では、売買契約書における印紙代の必要性や金額について詳しく紹介します。
関連記事:印紙代とは?意味・必要性・購入方法を徹底解説 | jinjerBlog
契約書によっては、印紙税を納めなければなりません。この印紙税の金額は、契約書に記載された取引額によって変動します。
そのため、間違えて多く貼ってしまった、という経験があるのではないでしょうか。
また、購入場所も限られているため、買いに行くのが面倒と感じる人も多いでしょう。
そこで今回、印紙代を削減する方法をまとめた資料を用意しました。
印紙税法により課税対象となる書類やその金額についても解説しているので、「毎回、印紙代を確認している」という方にもおすすめです。
無料でダウンロードできるので、ぜひご覧ください。
1. 売買契約書には印紙税が必要
売買契約書は、「印紙税」の課税対象となっています。収入印紙の貼付は法律で定められており、疑問の余地はありません。
売買契約書に収入印紙を貼る必要性について紹介します。
1-1. 売買契約書は「課税文書」
課税文書とは、書面作成の際に納税が必要となる文書です。
以下の三つの項目に当てはまる書面は、全て課税文書として取り扱われなければなりません。
(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
[引用]No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断|国税庁
売買契約書も課税文書に含まれるため、収入印紙の貼付が必要となります。
1-2. 「課税文書」の種類
印紙税法別表第1で挙げられている「20種類の文書」のうち、以下の文書番号が売買契約に関係します。
上記に照らすと、不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書は1号文書、売買取引基本契約書、代理店契約書、業務委託契約書は7号文書に該当します。
1-2-1. 課税文書かどうかは内容で判断される
課税文書かどうかの判断は、文書の内容に即して判断されます。これはつまり、契約書とは異なる様式の文書も、記載内容によっては収入印紙が必要になるということです。
たとえばただの「覚書」でも、経済的利益に関わるとみなされれば印紙税の納付が必要となります。
1-3. 収入印紙を貼らない場合は「脱税」となる
収入印紙を貼るのは、法律によって定められた印紙税を納付するためです。収入印紙を貼らない行為は「脱税」となり、「過怠税」というペナルティが課せられます。
税務調査などで契約書の不備が発覚した場合、本来の額面の3倍の金額(納付しなかった印紙税の額+その2倍に相当する金額)の納付が必要です。
また不備に気付いて自己申告した場合でも、1.1倍の金額(納付しなかった印紙税の額とその10%に相当する金額との合計額)の納付が必要となります。
1-3-1. 「消印」を忘れないよう注意
売買契約書に収入印紙を貼っただけでは、適切に処理されたとはいえません。収入印紙を貼り付けたら、必ず「消印」が必要です。
消印とは、契約書と収入印紙それぞれに陰影がかかるように押印することをいいます。収入印紙に印を押すことで、再利用を防ぐのが目的です。
消印の性質上、使う印鑑はどのようなものでもよいとされています。印鑑証明付きの正式な印鑑ではなくても、作成者、代理人、使用人、従業者の印鑑または署名の使用が可能です。
ただし、「斜線を引くだけ」「印と書くだけ」では印鑑や署名の変わりとはなりません。すぐに消えてしまう鉛筆での署名も、消印には不適切です。
消印が不適切と見なされた場合も、ペナルティの対象となります。印紙の金額に相当する過怠税を収めなければなりません。
2. 売買契約の印紙代
売買契約の印紙代は、書類の内容によって異なります。物品の売買契約・不動産の売買契約の印紙代を見ていきましょう。
2-1. 物品の売買契約
契約書に記載されている額面が1万円以下の場合、収入印紙は不要です。
なお、契約金額のないものは一律200円の収入印紙が必要です。
また7号文書の印紙代は以下のとおりとなります。
ただし、「契約期間が3ヵ月以内」「更新の定めがない」契約については除外されます。
参考:印紙税額|国税庁
2-2. 不動産の売買契約
「所得税法等の一部を改正する法律」の施行により、租税特別措置法の一部が改正されました。「不動産売買契約書」については軽減税率が適用され、印紙代は以下のようになっています。
契約書の額面が10万円以下のものは、軽減税率が適用されず、従来どおり200円が必要です。
軽減税率は、不動産譲渡を成立させるためのあらゆる文書が対象です。土地・建物の売買はもちろん、売買金額の変更等についても軽減税率が適用されます。
ただし軽減税率の適用は一時的な措置であり、永久的なものではありません。現行の印紙代は令和6年3月31日までに作成されたものが対象です。
参考:「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について|国税庁
3. 電子契約なら印紙税が不要
契約を交わす機会が多い企業にとっては、収入印紙代や契約書を作成するコストなどが大きな負担となるケースもあります。
印紙代をカットしたいと考えるのであれば、電子契約の導入も検討するのがおすすめです。
印紙税がかからない電子契約について紹介します。
3-1. 電子契約とは電子データによる契約
電子契約は、電子文書に電子署名をして取り交わす契約を指します。
そもそも印紙税は、「課税文書」について課せられる税金です。国税庁は電子データによってやり取りされる契約書について「課税文書を作成したことにはならない」という見解を示しています。
すなわち、電子契約については印紙税を納付する必要がないということです。
参考:(別紙)|国税庁
3-2. 電子契約が認められるための要件
電子契約はその特性上、紙面の契約書よりも「なりすましが容易」「改ざんが容易」という特徴があります。
契約書として効力を持たせるには、「本人であると確認できること」「改ざんがないと証明できること」が必要です。
一般的な電子契約書では、「タイムスタンプ」または「電子証明書」を付与して真正性を担保しています。
「電子契約はよくわからない」という企業には、契約書の作成から保管まで一気通貫で行える電子契約システムがおすすめです。
クラウド型ならサーバーを設置したり保守管理の人員を配置したりする必要がなく、導入のハードルは比較的低いでしょう。
4. 売買契約書には適切な額面の印紙が必要
売買契約書を取り交わす際は、契約書に記載された金額に合わせて収入印紙の貼付が必要となります。これを怠ると脱税行為となり、過怠税を徴収されるため注意しましょう。
なお月々の印紙代が高額になっていると感じる企業には、「電子契約」というコストカット方法があります。
電子契約は印紙税の対象となりません。文書でのやり取りに必要な紙代・印刷代・郵送代もかからず、契約の負担をグッと抑えることが可能です。
産業界全体のデジタル化が進む昨今、多くの企業が契約業務もデジタル化しています。業務効率や労働生産性の向上を目指すなら、契約スタイルを見直すのも一つの手です。
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