所得税預り金の仕訳方法は?納付期限や罰則も解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

所得税預り金の仕訳方法は?納付期限や罰則も解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

所得税預り金の仕訳方法は?納付期限や罰則も解説

預り金

給与計算や年末調整をおこなう際に出てくるのが、預り金です。これは勘定科目の1種で、さまざまな預り金を一括りにして預り金といいます。

所得税預り金とは、所得税における預り金のことで、会社側が従業員の所得税を徴収する際に仕訳をおこないます。仕訳自体は複雑ではありませんが、立替金や前受金と間違えないようにしなければなりません。
また、所得預かり金には納付期限があり、期限を過ぎてしまうと罰則が課せられることがあるので注意が必要です。

ここでは、所得税預り金と立替金などの違いや仕訳方法、納付期限について解説していきます。

関連記事:所得税とは?納税方法や確定申告が必要な人・不要な人について解説

\ 従業員の人数が増えてきたら /
給与計算はシステムを使って工数削減!

給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。

・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる

システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。

1. 所得税預かり金とは

計算

「預かり金」は勘定科目の1つで、従業員や取引先などから本人もしくは本人に代わり第三者への支払いのために一時的に預かった額を分類します。預かり金の仕訳には、住民税や社会保険料などがありますが、その中に「源泉所得税」も含まれます。つまり、所得税預かり金というのは「源泉所得税」のことを指しているのです。

こう見ると、仕訳は簡単に思えるかもしれませんが、預かり金と似たような科目で「立替金」や「前受金」というのがあり混乱してしまうこともあるでしょう。ここでは、預かり金と立替金や前受金との違い、預かり金を負債としてどのように扱うのかを解説します。

1-1. 「立替金」「前受金」との違い

所得税の預り金の仕訳方法について確認する前に、まず知っておきたいのが似たような勘定科目との分類の仕方です。預り金は、立替金や前受金と似たような部分があります。

「立替金」というのは企業の役員やそこで働く従業員、あるいは取引先などが負担する必要のあるお金を、会社が一時的に立て替えて払った際に用いられる勘定科目です。つまり、立替金では負担すべき本人に代わって会社のお金を動かすことになるため、「預かり金」とは性質がまったく異なります。

「前受金」というのは、取引先に対して商品やサービスなどの提供がまだ完了していないものの、この先売上高となるお金をあらかじめ受け取った際に使用される勘定科目です。預り金の場合は、そのお金が先売上になることはありませんが、前受金はこの先の売上の一部あるいは全部に対して使用されます。

1-2. 預り金は流動負債として扱われる

預り金は、基本的に負債として扱われます。
やがて資産は減っていくもので、1年の内に支払いきれることが多いため、通常は流動負債として分類します。

ただし、預かり金の中には1年の内に支払いが終わらない場合も少なくはありません。

例えば、賃貸として扱っている不動産において、退去した際に返される予定の敷金や保証金といったものは、すぐに返金されることは基本的にないでしょう。
このような場合には、預り保証金となるので固定負債に分類します。

2. 所得税など預り金の仕訳方法

計算する様子

ここでは、実際に従業員の給与を例とした所得税預かり金や他の預り金を仕訳する際のポイントについて解説します。

まずは、あらかじめ税金などの支払いをおこなうために、6月の総支給額から源泉徴収した場合です。例えば、社会保険料等を控除した後の給与が20万円、源泉徴収税が4,770円だった場合の仕訳は次のとおりです。

借方 貸方 摘要
給与 200,000円 普通預金 195,230円 6月分給与
預かり金 4,770円 6月分源泉所得税ほか

従業員が支払うべき所得税などを支払うために、会社が預り金として天引きしたということになります。

上記の預り金で実際に税金などを支払うと、以下のようになります。

借方 貸方 摘要
預かり金 4,770円 現金 4,770円 源泉所得税ほか

続いて、外部から講師を招いてセミナーを開催した際、受講料を預かったケースについて見てみましょう。例えばセミナー受講料が1万円を社員から預かったケースの仕訳は次のとおりです。

借方 貸方 摘要
現金 10,000円 預かり金 10,000円 セミナー受講料社員負担分

もし、セミナーに割引が適用されて返金する場合は、以下のようになります。

借方 貸方 摘要
預かり金 10,000円 預金 8,500円 セミナー受講料社員負担分
現金 1,500円 社員に返金

これらの表を参考に、預り金の仕訳方法についてしっかりと把握しておきましょう。

3. 所得税預り金の納付期限

プラスとマイナス

預り金は、支払うべき人からあらかじめ差し引きした金額ですが、その額がすべて納付の対象となるわけではありません。
納付とは公的機関に対して税金、あるいは社会保険料といったものを支払う際に用いられる言葉なので、預り金のなかには対象にならない部分があるケースは少なくありません。

ただし、預り金のなかに「納付しなければならない預かり金」がある場合は、納付期限に注意しなければいけません。

ここでは、預かり金の納付期限と納付期限を過ぎた場合の罰則について解説します。

3-1. 納付期限は「一般納付」と「納付特例」で変わる

所得税の納付期限は、一般納付と納付特例で異なります。

所得税預かり金として源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、給与などを支払った月の翌月10日までに税務署に対して納税するのが原則です。これが一般納付というものですが、給与支払いが発生する従業員が、常時10人未満の企業の場合は「納付特例」が適用されます。

納付特例では、所得税および復興特別所得税は半年分をまとめて納付できるので、給与支払いが発生する年の1月から6月分は7月10日、7月から12月分は翌年1月20日が納付期限となります。

参考:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁

3-2. 納付期限を過ぎてしまった際の罰則

税金には納付期限があり、納付期限を過ぎてしまうと、延滞税などのペナルティが発生してしまいます。延滞税は、納付期限の翌日から2ヵ月が過ぎるまでは2.6%、それをさらに過ぎると8.9%となります。
しかし、所得税というのは金額が大きくないため、数日程度の遅延であれば延滞税が発生しない場合もあります。そのため、納付期限を過ぎてしまったとしても、気づいた段階で速やかに納めることが重要です。

ただし1回でも納付期限を過ぎてしまうと、1年以内にまた同様のミスをおかした際には、不納付加算税が発生するので注意してください。不納付加算税は、納付しなければならなかった税額に対して10%加算されます。

また、所得税だけでなく、同じように預り金として扱われる厚生年金保険料などもペナルティが課せられるため、納付期限を過ぎないようにしましょう。厚生年金保険料の納付が遅れると、まず督促状が送られてきます。さらに、督促状の内容にも従わないでいると、督促状で指定された期日以降から延滞金が発生することを覚えておきましょう。

当サイトでは、上述した納付期限をを過ぎてしまった際のペナルティーについてわかりやすく図示した資料を無料で配布しております。

本資料には、上記の内容以外にも、そもそもとなる税金の計算方法や計算時に気を付けるべきポイントなどをまとめておりますので、不安な点があるご担当者様は、こちらから「所得・住民税 給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。

4. 所得預かり金は正しい勘定科目で仕訳しよう

チェックリスト

給与所得者に支払い義務がある所得税や保険料などは、雇用している企業が源泉徴収として給与から天引します。天引きされる金額を仕訳に記載する場合は、所得預り金として、摘要に源泉徴収などある程度の詳細な情報と合わせて表記します。

また、速やかに納付される所得預り金は、基本的に流動負債として扱うことも覚えておきましょう。

加えて、所得税には納付期限があるということも覚えておかなければいけません。例えば源泉所得税や住民税は、支払い月の翌月10日までに税務署に納付が必要です。納付期限を過ぎてしまうと、ペナルティが発生します。最初は督促状が送付されますが、督促を無視していると延滞税や不納付加算税を支払わなければならなくなるので、従業員に負担をかけないようにしっかり支払いや仕訳をおこないましょう。

\ 従業員の人数が増えてきたら /
給与計算はシステムを使って工数削減!

給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。

・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる

システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

勤怠・給与計算のピックアップ

新着記事