ノー残業デーを導入する会社のメリット・デメリットを解説!形骸化させない継続のコツとは
更新日: 2025.8.25 公開日: 2022.3.5 jinjer Blog 編集部

残業をせず定時退社するノー残業デーは、約6割の企業で導入されている制度です。
うまく活用できれば、残業代の削減につながる一方、形だけの導入になってしまったり、業務が滞る原因になってしまったりするケースもみられます。
この記事では、ノー残業デーを導入するメリットとデメリットや、活用するためのコツを解説します。
関連記事:残業の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!
目次
人事労務担当者の実務の中で、勤怠管理は残業や深夜労働・有休消化など給与計算に直結するため、正確な管理が求められる一方で、計算が複雑でミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、働き方が多様化したことで管理すべき情報も多く、管理方法と集計にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな担当者の方には、集計を自動化できる勤怠システムの導入がおすすめです。
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1. ノー残業デーとは


まずはどのような制度がノー残業デーといわれているのか、確認していきましょう。また、ノー残業デーが導入された背景や、水曜日を指定している企業が多い理由も解説します。
1-1. 残業せずに定時退社する日
ノー残業デーとは、「定時退社日」「早帰り日」と言い換えられることもあり、残業をせず定時で退社をする日を指します。
厚生労働省の調査によると、60.3%の企業が、労働時間削減の取り組みとしてノー残業デーを活用しています。
ノー残業デーを取り入れることで、残業代の削減に加えて、従業員のプライベートが充実し、十分な休養をとれることで生産性の向上が期待できるでしょう。
しかし、デメリットが全くないわけではありません。導入する際は後述するメリットとデメリットを理解し、検討することが大切です。
1-2. ノー残業デー導入の背景
ノー残業デーは最近登場した制度ではなく、1970年、高度経済成長期頃に登場しました。
当時は国際社会と比較して、日本人の労働時間が長いことから、残業を減らす取り組みとして始まったと考えられています。また、過労死が社会問題となり始めた1980~1990年代には、週1回のノー残業デーを導入する動きがでてきたとされています。
昨今では働き方改革の推進に伴い、時間外労働削減の好事例として改めてノー残業デーの取り組みが見直されています。
1-3. ノー残業デーは水曜日が一般的だが柔軟に対応するのがポイント
官公庁の定時退庁日が水曜日であるため、民間企業のノー残業デーも水曜日に設定されていることが多いです。しかし、ルールや推奨されている曜日はないので、何曜日をノー残業デーにしても問題ありません。
実際、厚生労働省の紹介するノー残業デーの好事例では以下のような内容が紹介されています。
- 従業員自らがノー残業デーを決定する
- あえて忙しい曜日(月曜日など)に設定する
ノー残業デーをどこで設定すれば残業を減らし、従業員の業務効率を上げられるかを考えて導入するのがポイントです。
事業内容や法定休日、従業員の希望などを組み込み、効果が出やすくデメリットが少ない曜日に設定しましょう。
1-4. ノー残業デーが「意味ない」「おかしい」と指摘される理由
ノー残業デーは「普段残業があること」が前提の制度と捉えられることから、「形式的で意味がない」「残業デーを設ける方が現実的では」といった批判もあります。実際に制度を導入しても人員体制や業務量が変わらなければ、現場の負担感は残ったままです。
しかし、残業が常態化している職場にとっては、ノー残業デーが働き方を見直す契機となり得ます。また、制限を設けることで業務の効率化や時間管理の意識が高まり、メリハリのある働き方につながることもあるため、ノー残業デーは「意味ない」「おかしい」と一概に断じることはできないでしょう。
2. ノー残業デーを導入する会社のメリット


ノー残業デーは、企業・労働者、双方にメリットがあります。
ノー残業デーを導入すれば、残業代の削減や生産性の向上だけでなく、従業員満足度を高めることにもつながります。
企業、労働者の視点から、それぞれのメリットを解説します。
2-1. 人件費の削減
月60時間を超える残業には50%の割増賃金の支払いが必要です。
そのため、残業時間を削減できれば割増賃金分の支払いが減り、人件費を削減できます。
また、全従業員が早い時間に退社すれば、電気代をはじめとした光熱費の削減も可能になり、思わぬ経費削減効果が表れることがあります。
関連記事:月60時間超残業の割増賃金率引き上げは中小企業も対象に!計算方法を解説
2-2. 生産性の向上効果
残業をしないためには、より効率的な業務が求められます。そのため、従業員自らタイムパフォーマンスを上げる工夫をし始めることがあります。
また、毎回定時で終わらない従業員を把握できれば、業務を振り分けたり、業務内容を見直したりするきっかけにもなるでしょう。
2-3. 従業員満足度を高められる
残業がない日は、従業員のワークライフバランスの充実につながります。
働きやすくプライベートを大切にできる職場は、従業員が定着しやすくなり、優秀な人材も確保しやすくなるでしょう。
従業員満足度が上がれば、エンゲージメントも高まり意欲的に働く従業員も増えてきます。
3. ノー残業デーを導入する会社のデメリット


活用できればメリットの大きいノー残業デーですが、形だけの導入ではデメリットが発生することがあります。
企業側と労働者側、それぞれに発生する可能性があるデメリットを知り、ノー残業デーをうまく活用するようにしましょう。
3-1. 顧客対応に不備が出やすくなる
今まで定時以降も顧客対応をしていた場合、周知が十分でないままノー残業デーを導入すると、取引先に悪影響がでる可能性があります。今まで可能であった連絡が滞ると、どうしてもストレスや不満が発生してしまうでしょう。
先方に事前に事情を説明し了承を得るなど、導入前に十分な準備と周知が必要です。
3-2. 部署間の連携が鈍くなる
部署によりノー残業デーの実施日が違うと、連携を取りにくくなって仕事が滞ったり、部署間で不満が溜ったりする原因にもなりかねません。全社一斉のノー残業デーが難しい場合は、緊急時の対応者を週交代で設置するなどの対策が必要です。
4. ノー残業デーを導入する従業員のメリット


一方でノー残業デーを導入することで従業員にとってはどのようなメリットがあるのかについても正しく理解しておきましょう。
4-1. 疲労やストレスを軽減できる
定時で帰宅し、ゆっくりと休養をとれる日があれば疲労やストレスは大きく軽減できます。
運動不足の解消や食生活を充実させる、十分な睡眠時間を確保するなど、心身の健康維持に役立ちます。
週に1回でもこのような日があれば、翌日からの業務へのやる気も保ちやすくなるでしょう。
4-2. 余暇時間の充実につながる
早く帰れる日は、趣味の時間を充実させたり、家族や友人と過ごす時間を増やしたり、精神的な充足感も高められます。
また、習い事や自己研鑽などに励んでスキルアップができれば、待遇がよくなったり、仕事に自信を持てたり、さまざまなプラスの変化が出てくるでしょう。
4-3. 業務を効率化する能力が身につく
残業を禁止されれば、業務を効率化するために仕事の方法を変えていかなければいけません。優先順位を意識する、無駄な作業を洗い出すなどの工程は、普段の仕事にも役立つため、結果として全体的な残業の削減にもつながります。
さらに、ノー残業デーの実施により、従業員は限られた時間内にタスクを終わらせる必要があるので、自然と効率的な業務遂行のスキルが身につきます。 これにより、時間の使い方や業務の進め方が改善され、従業員一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
5. ノー残業デーを導入する従業員のデメリット


またノー残業デーを導入することで起こりうる従業員側のデメリットも紹介します。効果的に運用するためにもメリット・デメリットをそれぞれ理解しておきましょう。
5-1. 別の日にしわ寄せがいくことがある
仕事の効率化が思うように進まないと、ノー残業デーで残った仕事が翌日、翌々日と持ち越されることになってしまいます。ノー残業デーには残業をしていなくても、別の日にその分の残業をしていては意味がありません。
仕事が溜まっている従業員がいれば、業務手順を考える、不要な仕事を洗い出すなどの対策をして残業時間そのものを減らす工夫が求められます。
5-2. 収入が減ってしまう
今まで残業があるものとして働いていた従業員は、残業手当も重要な収入になっています。ノー残業デーが導入され、残業できる日が減ればその分収入が減ります。
また、ノー残業デーの導入により企業全体で残業を削減する機運が高まれば、残業時間が大幅に減って収入減に悩む従業員が現れるかもしれません。この点は避けられないデメリットですが、導入前に十分に周知して理解を求めましょう。
6. ノー残業デーを形骸化させないためのコツやポイント


せっかくノー残業デーを導入しても、名前だけの導入になってしまっては意味がありません。確実に機能させて効果を出すためには、以下の点を意識してみましょう。
6-1. ポスターの設置など周知を徹底し定着を計る
ノー残業デーを定着させるためには、さらなる工夫が必要です。例えば、ポスターだけでなく、社内イントラネットやメールでの定期的なリマインダーも効果的です。従業員が意識的にノー残業デーを意識できるよう、会社としてのルールが明確であることが求められます。
企業文化の一環として積極的に行動することが大切であり、従業員間のコミュニケーションを活性化させるためのイベントやアクティビティを設けることも考えましょう。また、ノー残業デーの達成状況を定期的に振り返り、成功事例や課題を共有することで、全員の意識を高め、次回の取り組みに生かされるようにすることも重要です。
このように、企業全体での取り組みがノー残業デーの定着を助け、長期的に持続させる鍵となります。
6-2. 強制的に残業できない仕組みを導入する
ノー残業デーを形骸化させないためには、企業が具体的な制度を導入し、従業員が実際に残業できない環境を整えることが求められます。
例えば、従業員に対して業務を定時までに終わらせることを徹底的に促すため、会社全体で消灯時間を早めたり、業務用サーバーを定時にシャットダウンさせる制度を設けたりすることが有効です。
また、雇用契約や就業規則において、ノー残業デーの取り決めを明示し、違反した場合のペナルティを設けることで、従業員に遵守意識を浸透させることも重要です。さらに、パソコンの使用ログを管理し、業務の持ち帰りを禁止するような取り組みも効果的です。
このような仕組みを導入することで、従業員は「定時で帰ることが当たり前」と捉えるようになり、業務上の慣習も見直されるようになります。最終的には、従業員それぞれが自分の仕事を効率的に進め、ノー残業デーの意義を再確認し、健康的な働き方を推進することができるでしょう。
関連記事:残業削減のためのアイデア7選!残業の原因を分析して効果的な対策を打とう
6-3. ノー残業デーの残業も柔軟に対応する
ノー残業デーを導入したとはいえ、一切の残業を禁止してしまうと、仕事がしづらくなってしまいます。
緊急時には少し残って仕事をできるようにしたり、ノー残業デーを別日にずらしたり、ある程度柔軟な対応ができた方が、従業員もストレスなく仕事ができるでしょう。
ノー残業デーの目的は「残業をしないこと」ではなく「残業を減らして経費の削減やライフワークバランスを整えること」です。この点を念頭に入れて対応することが大切です。
6-4. トップダウンで進める
ノー残業デーの導入直後は「本当に帰ってよいのか」と考える従業員が多いです。上司が残っているうちは帰れないと感じる従業員もいるでしょう。
そのため、ノー残業デーの習慣が定着するまでは、トップダウンでしっかりと進めることが大切です。残業が多い部署は朝のうちに残業をしないで帰ることを呼びかけたり、立場が高い人間が率先して仕事を切り上げたりすると効果的です。
6-5. 交代制で導入する
ノー残業デーを全社員一斉に実施すると、業務が滞ったり、翌日にしわ寄せが集中したりする恐れがあります。しかし、交代制で導入すれば、一定数のメンバーが通常通り勤務しているため、業務の流れを維持しやすくなるでしょう。
また、交代制であれば業務の都合に応じて柔軟にスケジュールを調整できるので、無理なく制度を運用できます。シフトや業務スケジュールと連携しながら、負担の偏りや不公平感が生じにくい仕組みを整えることが大切です。
7. ノー残業デーを推進することで生産性の向上を目指そう


残業をせずに定時で退社するノー残業デーは、多くの企業で導入されている働き方の一つです。
残業の削減や従業員のモチベーション向上につながる一方、形だけの導入ではデメリットが発生することがあります。導入のポイントは、企業に合わせた柔軟な対応と、残業する習慣を変えることです。
ノー残業デーを形骸化させずに継続し、生産性を向上して企業発展に結び付けましょう。



人事労務担当者の実務の中で、勤怠管理は残業や深夜労働・有休消化など給与計算に直結するため、正確な管理が求められる一方で、計算が複雑でミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
さらに、働き方が多様化したことで管理すべき情報も多く、管理方法と集計にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな担当者の方には、集計を自動化できる勤怠システムの導入がおすすめです。
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