【記入例あり】雇用保険被保険者資格喪失届の書き方や添付書類とは?
更新日: 2024.9.26
公開日: 2022.1.12
OHSUGI
雇用保険被保険者資格喪失届は、自社の従業員が退職などで雇用保険の資格を失った際に届出が必要な書類です。
雇用保険被保険者資格喪失届の手続きを正しくおこなうことで、退職した従業員が失業給付を受けられるようになります。
今回は、雇用保険被保険者資格喪失届の項目ごとの記入例や提出の際に必要な添付書類を紹介するとともに、書類の提出期限について解説していきます。
▼そもそも「雇用保険被保険者資格喪失届とは?」という方はこちらをご覧ください
雇用保険被保険者資格喪失届が必要になるケースや書き方を解説
社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびに行う手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
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目次
1. 雇用保険被保険者資格喪失届の記入例を紹介
上記が雇用保険被保険者資格喪失届です。
雇用保険被保険者資格喪失届は、管轄ハローワークの窓口でも入手可能ですが、ハローワークのホームページからもダウンロードすることが可能です。
<ダウンロードした様式を使用する際の注意点>
- A4は白色用紙であること
- 等倍(100%)で印刷すること
- 読取時の基準マーク(3点の■)が印刷できていること
- 印刷した様式が用紙に対して極度に傾いていないこと
- 文字や枠線にかすれがない、2重に印刷されていないこと
参照:印刷時の注意事項 | ハローワークインターネットサービス
雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が退職した場合や役員に就任したときなど、失業給付の支給がなされる場合の受給額を決定する資料となるため、正確な記入が必要となります。
なお、令和2年12月25日より雇用保険被保険者資格喪失届への押印は不要となりました。手続き時には、押印欄のある旧様式も使用できますが、押印がなくても受理してもらえます。
ここでは、雇用保険被保険者資格喪失届に記入するべき内容について、主となる16の項目の記入例を紹介していきます。
1-1. 個人番号
個人番号欄には、マイナンバーを記入します。
従業員にマイナンバーを提出してもらう際には、利用目的を伝えるだけでなく、番号確認と本人の身元確認を必ずおこなってください。
従業員がマイナンバーの提出を拒否する場合には、「本人事由によりマイナンバー届け出不可」と記載しておく必要があります。
1-2. 被保険者番号
雇用保険加入時にハローワークから交付された雇用保険被保険者証の被保険者番号を確認し、同じ番号を記入します。
ただし、1981年7月6日以前に被保険者番号を発行されている場合は現在の交付番号と異なるため、下10桁の番号のみを記載し、残り1桁は空欄にしておきます。
1-3. 事業所番号
雇用保険の事業所番号を記入します。
事業所番号は、適用事業所台帳(雇用保険適用事業所設置届事業主控)や雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書に記載されているので確認してください。
1-4. 資格取得年月日
退職する従業員が、雇用保険の資格を取得した年月日を記入します。
1-5. 離職等年月日
退職する従業員が、雇用保険の被保険者としての資格を失う日を記入します。
具体的には、退職日が該当します。
1-6. 喪失原因
退職する従業員が、雇用保険の資格を喪失する原因について、該当する番号を記入します。
「1」は死亡や出向元への復帰などといった「離職以外の理由」の場合、「3」は「解雇や退職勧奨など事業主の都合による離職」の場合、「2」は定年退職や自己都合による退職、期間満了など「3」に該当しない離職の場合となります。
1-7. 離職票交付希望
離職票の交付を機能する場合には「1」を、希望しない場合には「2」を記入します。
1-8. 1週間の所定労働時間
退職する従業員の1週間の所定労働時間を記入します。
1週間の所定労働時間が40時間の場合には、「4000」と記入します。
1-9. 補充採用予定の有無
退職した従業員のあとに従業員を採用する予定がある場合には「1」を記入し、無い場合には空欄にしておきます。
1-10. 新氏名
雇用保険被保険者資格喪失届の提出をおこなう際に、雇用保険被保険者証と氏名が異なる場合に新しい氏名を記載します。
記載の必要がないときには、空欄のままで問題ありません。
ちなみに、氏名変更がある場合は、変更前の氏名を「20」に、氏名を変更した年月日を「25」に記入することを忘れないようにしましょう。
1-11. 被保険者氏名
雇用保険被保険者証に記載されている退職する従業員の氏名を記入します。
1-12. 性別
退職する従業員の性別を選択します。
1-13. 生年月日
雇用保険被保険者証に記載されている退職する従業員の生年月日を記入します。
1-14. 被保険者の住所又は居所
雇用保険被保険者証に記載されている退職する従業員の住所を記入します。
1-15. 事業所名称
事業所の名称を記入します。
1-16. 被保険者でなくなったことの原因
被保険者でなくなったことの原因について具体的に記入します。
この原因は退職者の基本手当の受給や給付日数に直接影響する部分となるため「本人から退職希望の申し出があった」等、なるべく詳細に書いておくようにしましょう。
万が一、事業所とハローワークで離職理由の言い分が異なる場合には、ハローワーク側で調査後、最終的な決定がなされます。
2. 雇用保険被保険者資格喪失届を提出するケース
雇用保険被保険者資格喪失届は、雇用保険に加入していた従業員が被保険者でなくなったことを届け出る書類です。
一般的に、雇用保険被保険者資格喪失届を提出するのは、従業員が退職したときですがそれ以外にも提出が必要になることがあります。ここでは、退職を含め提出が必要になるケースを5つ紹介します。
2-1. 退職をした場合
従業員が退職した際、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、所轄のハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。
参照:雇用保険の主な手続きについて|ハローワーク池袋雇用保険適用課
2-2. 所定労働時間が20時間未満になった場合
対象者の労働時間が一時的なものではなく、継続的20時間未満になった場合、その時点で雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。
2-3. 死亡した場合
従業員が死亡した場合、 雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。多くの場合、喪失年月日は死亡日の翌日となります。
2-4. 役員に就任した場合
従業員が昇格等で役員に就任した場合、雇用保険の被保険者の対象外となります。そのため、従業員が役員に就任した時点で、所轄のハローワークへ雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければりません。
2-5. 他社に出向した場合
従業員が他の会社へ出向した場合、該当者は出向先の会社で被保険者として資格を取得します。そのため、出向元では雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となります。
3. 離職票の発行有無によって必要な添付書類が異なるため注意
ここでは、雇用保険被保険者資格喪失届を事業所所轄のハローワークに提出する際に必要となる添付書類について紹介します。
添付書類は、離職票を必要とするか否かで必要になる書類が異なるので注意しましょう。
3-1. 雇用保険被保険者離職証明書(離職票が必要なときのみ)
離職証明書については、退職者が離職票を必要とするときのみ発行し、ハローワークへ提出します。退職者の年齢が59歳以上の場合には、離職票の交付を希望していない場合でも離職証明書を発行し、ハローワークに提出する必要がありますので、注意しましょう。
なお、離職証明書の発行が必要となる場合には、出勤簿や賃金台帳を準備しなければならないため、忘れずに用意しておきましょう。
関連記事:離職証明書とは?必要なケースと退職証明書との違い
関連記事:離職票と離職証明書の違いや交付されるまでの流れも解説
3-2. 労働者名簿
労働者名簿は、雇用保険被保険者資格喪失届に記入された離職年月日や離職理由を確認するために必要となる書類です。
氏名、生年月日、雇用年月日、退職年月日という情報のほか、該当のある場合は死亡年月日やその原因の記載が義務になっています。
3-3. 出勤簿もしくはタイムカード
離職票の交付には、退職日からさかのぼり11日以上出勤した月の12ヵ月分のタイムカード、もしくは出勤簿を提出しなければなりません。
離職票が不要の場合は、退職日を確認できるタイムカードもしくは出勤簿を提出してください。
3-4. 賃金台帳もしくは給与明細
離職票を交付してもらう場合は、賃金支払基礎日数が11日以上ある月を対象として、6か月分の賃金台帳もしくは給与明細がを添付します。
ただし、不足があると交付してもらえないので、念の為6ヵ月分よりも少し多めに、7~8ヵ月分の賃金台帳もしくは給与明細を用意しておくことをおすすめします。
3-5. 退職理由が確認できる書類
雇用保険被保険者資格喪失届を提出する理由によって提出すべき書類は異なります。
- 退職(自己都合):退職届
- 解雇:解雇予告通知書
- 定年退職:就業規則
- 契約期間満了による退職:雇用契約書
上記を参考に退職理由の確認できる書類を用意してください。
ここまで解説をしてきた離職票の有無によって、雇用保険被保険者資格喪失届の提出時に必要になる添付書類の違いを早見表にまとめました。
提出前に改めて確認の上、漏れがないよう注意しましょう。
離職票あり | 離職票なし | |
雇用保険被保険者離職証明書 | 〇 | – |
労働者名簿 | 〇 | 〇 |
出勤簿もしくはタイムカード | 〇 | 〇 |
賃金台帳もしくは給与明細 | 〇 | 〇 |
退職理由が確認できる書類
|
〇 |
※契約期間満了による離職、週の所定労働時間が30時間未満になった場合の該当者のみ雇用契約書が必要 |
参照:雇用保険被保険者資格取得・喪失 必要書類一覧|厚生労働省
4. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法と注意点
雇用保険被保険者資格喪失届を提出する方法は、郵送、もしくは管轄ハローワークの窓口に提出する、さらにはe-Govでの電子申請も可能です。
ここでは、それぞれの提出方法の注意点を紹介します。
4-1.郵送で提出する
郵送の場合、管轄のハローワークを宛先として添付書類と共に郵送しましょう。なお、郵送であれば、ハローワークインターネットサービスから様式をダウンロードし、雇用保険被保険者資格喪失届を印刷して提出することができます。
印刷時はA4の白色用紙を用意し、等倍(倍率100%)に設定して印刷してください。
また、切手を貼った返信用封筒が必要となるため、同封漏れのないようにしましょう。
4-2. ハローワークの窓口で提出する
管轄のハローワーク窓口に直接提出することも可能です。
郵送と同様に、ハローワークインターネットサービスから様式をダウンロードし、雇用保険被保険者資格喪失届を印刷して提出することができます。窓口で提出する場合も、印刷時の注意事項を守って正しい様式で提出しましょう。
4-3. 電子申請で提出する
e-Govを活用すれば、電子申請も可能です。
電子申請では、離職票交付ありの場合でも離職票交付なしの場合でも申請することができます。
注意点として、e-Govから電子申請をおこなう場合は、電子署名の用意が必要になります。そのため、e-Govを活用する場合はあらかじめ電子証明書を取得しておきましょう。
電子申請であれば、365日24時間提出が可能なため、手続き回数が多い企業におすすめです。
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5. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限はいつまで?
雇用保険被保険者資格喪失届の提出は、事業所所轄のハローワーク窓口へ提出する必要があります。
ただし、提出はいつでもよいわけではなく、あらかじめ期限が決まっているため、期限内に必ず手続きをおこなうようにしましょう。
ここでは、提出期限や期限がすぎてしまったときの対処法、提出しないリスクを解説します。
5-1. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限
雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限は、雇用保険の被保険者(退職者)が被保険者でなくなった日の翌日から10日以内となっています。先に紹介した添付書類を添えた上で、期限内に提出をおこないましょう。
提出期限については、離職票の交付についての希望有無に関わらず守らなければなりません。
5-2. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出が遅れた場合
雇用保険被保険者資格喪失届の提出が期限内に間に合わなかった場合には、退職者の失業給付受け取りが遅延することになります。
期限内を過ぎてしまうことで、退職者とのトラブルにつながる可能性も高くなるため、「被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に書類提出」という期限はしっかりと守った上で手続きをおこなうようにしましょう。
5-3. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出をしなかった場合
期限内に雇用保険被保険者資格喪失届が提出できなかった場合でも、遅れて提出する場合にはペナルティの対象とはなりません。
しかし、何らかの理由で資格喪失届の提出をおこなわなかった場合には、雇用保険法第7条違反の対象となり、事業主に対して「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則が科されるので注意が必要です。
また、雇用保険被保険者資格喪失届の提出後に発行される離職票の交付を拒否した場合についても、雇用保険法第76条第2項違反の対象となり、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されるため、ペナルティを受けることのないよう、正しく処理するようにしましょう。
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6. 雇用保険被保険者資格喪失届の記入例を確認し期限内に正しい手続きを
今回は、雇用保険被保険者資格喪失届の記入例やハローワーク提出時に必要となる添付書類のほか、具体的な書類の提出期限について紹介しました。
雇用保険被保険者資格喪失届は、退職者が失業給付を滞りなく受給するために重要となる書類です。記載内容に誤りがあると、退職者が失業給付を受けられないなど、トラブルにつながる可能性もあるため、間違いのない記入をおこなうようにしましょう。
また、何らかの理由で雇用保険被保険者資格喪失届の提出をしなかった場合には、雇用保険法第7条違反として、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」のペナルティが科されるので注意しましょう。
社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
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