給与支払報告書とは?書き方や提出方法・期限をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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給与支払報告書とは?書き方や提出方法・期限をわかりやすく解説

給与計算をする様子

給与支払報告書とは、従業員に支払った給与などの金額を、従業員の住所地の市区町村に報告するための書類です。源泉徴収票と記載内容は似ていますが、提出先や目的が異なります。

本記事では、給与支払報告書とは何か、書き方や作成の流れ、提出期限・方法を踏まえてわかりやすく解説します。正しく作成・提出するために、ぜひ最後までご覧ください。

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1. 給与支払報告書とは

卓上に物が散らばっている図

給与支払報告書とは、給与支払者(会社など)が給与受給者(会社員やパート・アルバイトなど)に対して支払った前年中の金額などを、市区町村に報告するために提出する書類のことです。

市区町村は、この報告書を基に住民税額を確定し、後日通知をおこないます。なお、給与支払報告書は、総務省や自治体のホームページからフォーマットをダウンロードできるので、必要がある場合はいつでも入手できます。

参考:個人住民税と特別徴収について|東京都

1-1. 給与支払報告書と源泉徴収票の違い

給与支払報告書に記載する内容は、源泉徴収票とほぼ同じです。ただし、両者は提出先と利用目的が異なります。給与支払報告書は、住民税および国民健康保険料(国保加入者の場合)を算定するため、市区町村に提出します。

一方、源泉徴収票は主に従業員本人への交付が義務で、税務署への提出は一定条件を満たす場合に限られます。それぞれの違いを正しく理解し、作成・提出をおこないましょう。

参考:No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁

関連記事:源泉徴収票の作成方法や記載内容をわかりやすく解説

1-2. 給与支払報告書は2つの書類で構成されている

給与支払報告書は「個人別明細書」と「総括表」の2つによって構成されています。
それぞれについて詳しくみていきましょう。

個人別明細書

個人別明細書は、給与を受け取る従業員ごとの住所、氏名、生年月日、給与額、社会保険料額、扶養親族の情報などを記載する書面です。記載項目は源泉徴収票とほぼ同じのため、転記するのは比較的容易でしょう。しかし、住所や扶養親族の誤り、金額の転記ミスなどがあると従業員の住民税額に影響を及ぼす恐れもあるため、正確に記載することが重要です。

総括表

総括表は、個人別明細書をまとめるための表紙的なものであり、何人分の個人別明細書を提出したか、退職した人の有無などを記載します。
そのため、従業員が住んでいる市区町村の数だけ作成しなければなりません。

1-3. 給与支払報告書の提出対象者

給与支払報告書の対象者は、前年1月1日から12月31日までに給与の支払いを受けたすべての人です。たとえその年の途中で退職した人や、1度だけ給与を支払った短期雇用者も対象となり、市区町村へ提出する必要があります。

雇用形態は関係なく、正社員やパート・アルバイト、日雇い労働者など、給与の支払いがあれば全員が対象です。なお、前年中に退職した従業員で、その年中の給与支給額が30万円以下の人については、給与支払報告書の提出義務が免除されます。

参考:その他の注意事項|国税庁

1-4. 給与支払報告書の提出期限

給与支払報告書の提出期限は例年1月31日で、31日が土日祝日の場合は翌平日が期限となります。例えば、令和7年中の給与分に係る給与支払報告書(令和7年分)は、令和8年2月2日(月)(※令和8年1月31日が土曜日のため)が提出期限となるでしょう。

提出が遅れると、住民税の決定が遅れ、通常6月から翌年5月まで12回に分割して徴収される特別徴収税額が、残りの月数で按分されるため1回あたりの負担が増えることがあります。自治体によっては、分割回数や対応が異なる可能性もあるので必ず期限内に提出しましょう。

1-5. 給与支払報告書の提出先

在職者の給与支払報告書は、その提出年の1月1日現在に住所がある市区町村に提出します。例えば、令和8年1月31日までに提出すべき給与支払報告書(令和7年中の給与分)は、令和8年1月1日現在の住所地へ提出します。一方、退職者に関しては、退職日時点に住んでいた自治体で判断するので注意しましょう。

参考:地方税法第317条の6|e-Gov法令検索

2. 給与支払報告書の書き方

書類を説明する様子

給与支払報告書の書き方については、「個人別明細書」と「総括表」に分けて解説します。

給与支払報告書を正しく提出するためにも、それぞれの書き方を理解しておきましょう。

2-1. 個人別明細書の書き方

個人別明細書は、源泉徴収票と記載内容がほぼ同じです。そのため、既に作成した源泉徴収票をもとに転記すれば、基本的には問題ありません。

ただし、一部項目や書式が異なる部分もあります。これらの違いを確認し、漏れや誤りがないよう記入しましょう。以下に主な記載事項とその書き方を紹介します。

記載事項

書き方

支払いを受ける者

従業員の住所や氏名などを記載する(住所は1月1日現在のもの)

支払金額

その年に支払った給与の総額を記載する

給与所得控除後の金額

源泉徴収票をもとにして給与所得控除後の金額を記載する

所得控除の額の合計額

社会保険料控除や生命保険料控除など、控除の合計額を記載する

源泉徴収税額

年末調整後に確定した源泉徴収税額や復興特別所得税を記載する

控除対象配偶者や扶養親族、障害者

控除対象配偶者や扶養親族などを該当箇所に記載する

社会保険料の金額、控除額

社会保険料や生命保険料などの控除額とその内訳を記載する

扶養親族

控除対象の配偶者や扶養親族、16歳未満の扶養親族の名前などを記載する

配偶者の合計所得

配偶者が控除対象の場合は合計所得を記載する

国民年金保険料等の金額、旧長期損害保険料の金額

社会保険料控除を受けた国民年金保険料などの金額を記入する

支払者

従業員に給与を支払った会社の情報を記載する

2-2. 総括表の書き方

総括表は基本的に市区町村から送付されるものに記入します。
そのことから、記載する内容は市区町村によって異なる場合があるため注意しましょう。
間違えないようにするには、提出先の記入例を確認しながら作成することをおすすめします。以下が主な記載事項とその書き方です。

記載事項

書き方

給与の支払期間

前年の1月分から12月分

提出区分

通常は年間分であり、退職者の場合は退職者分に丸をつける

法人番号

事業所の法人番号を記載する

給与支払者

事業所の情報を記入する

事業種目

事業内容を記載する

提出先市区町村数

提出する市区町村の数を記載する

受給者総人員

1月1日時点の在職者数を記載する

報告人員

給与支払報告書を提出する人を在職者と退職者に分ける

所轄税務署

所得税の源泉徴収を実施する事業所を管轄する税務署を記載する

給与の支払の方法およびその期日

給与の支払い方法と支払日を記載する

特別徴収税額の払い込みを希望する金融機関

払い込みを希望する金融機関の名称や所在地などを記入する

給与支払者番号

市区町村から通知された給与支払者番号を記載する(初めての場合は新規に丸をする)

本章で、住民税の金額を確定させるのに必要な給与支払報告書の記載方法を解説しました。しかし、そもそも住民税がどのように算出されるか、正しい計算方法に不安はないでしょうか。当サイトでは、給与支払報告書に記載が必要な所得税や住民税の計算方法を解説した資料を無料で配布しています。税率の変更や計算ミスが起きやすい給与計算業務を効率化させる方法も紹介していますので、給与計算業務でお悩みの方はこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

3. 給与支払報告書を提出する流れ

書類を渡す様子

ここでは、給与支払報告書の作成から提出までの流れについて詳しく紹介します。

3-1. 年末調整をおこなう

給与支払報告書の作成前に年末調整をおこなう必要があります。年末調整をおこなうには、従業員に提出してもらう「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」などの書類が欠かせません。

年末調整の対象者は、原則としてその年の12月31日時点で在籍している従業員ですが、法令により詳細が定められており例外もあります。例えば、その年の給与収入が2,000万円を超える人や、災害による特例を受けた場合などは対象外です。ただし、年末調整の対象外であっても、給与支払報告書は退職者を含むすべての従業員分を提出する義務があるため注意しましょう。

参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

関連記事:年末調整の対象者とは?必要な書類や確定申告との関係も解説

3-2. 給与支払報告書を作成する

年末調整が終わったら、確定した金額をもとに給与支払報告書を作成します。総括表は多くの市区町村で11月〜12月頃に事業所宛てに送付されますが、送付時期は自治体によって異なります。届いたら必要事項を記入しましょう。

あわせて、給与支払報告書の個人明細書を作成します。税務署および従業員本人に交付する源泉徴収票と記載内容がほぼ共通しているため、同じタイミングで作成すると効率的です。

3-2. 給与支払報告書を期限までに提出する

給与支払報告書の作成が完了したら、提出期限(翌年1月31日)までに提出をおこないます。期限に遅れることのないよう、あらかじめ社内スケジュールを明確化し、早めに手続きを進めることが大切です。

4. 給与支払報告書の提出方法

書類

給与支払報告書の提出方法は、下記の3つになります。

  • 窓口持参
  • 郵送
  • eLTAX

ここでは、これらの提出方法について簡単に解説していきます。

4-1. 窓口持参

自治体の窓口に直接持参し、給与支払報告書を提出できます。窓口持参の場合、受付時間に注意が必要です。また、従業員数が多い場合、窓口に出向く時間やコストが大きくなるのでほかの方法を採用することをおすすめします。

4-2. 郵送

自治体に郵送することで、給与支払報告書の提出も可能です。給与支払報告書は重要な書類のため、封筒の余白に「給与支払報告書在中」などと記載し、郵送先の担当者がすぐに把握できるようにしておきましょう。

郵送であれば、窓口に出向く手間を減らせます。ただし、提出期限ギリギリに郵送をすると、到着までに時間を要し、間に合わない可能性があります。そのため、余裕をもって郵送手続きをおこないましょう。

4-3. eLTAX

eLTAX(エルタックス)を用いた電子申請により、給与支払報告書の提出もできます。eLTAXとは「地方税ポータルシステム」の呼称で、地方税の手続きをインターネットを活用して地方税の手続きを電子的におこなうシステムです。

地方公共団体が共同で運営しているシステムなので、一つの窓口で各地方公共団体への手続きが可能です。ただし、使用するには事前に利用者IDの取得が必要なため、余裕をもって準備しておくのがよいでしょう。

関連記事:給与支払報告書を電子申請する方法をわかりやすく解説

5. 給与支払報告書を作成する際の注意点

注意

給与支払報告書には、記載項目が多く、従業員の人数によっては作成するだけでもかなりの労力が必要です。しかし、必ず作成しなければならない書類なので、記入漏れやミスがないようにすることが重要です。

ここでは、作成するときの注意点を解説するので、担当者の方は事前にチェックしておきましょう。

5-1. 従業員のマイナンバーを収集する

給与支払報告書にはマイナンバーの記載が必要です。そのため、担当者は全従業員のマイナンバーを収集しておく必要があります。

マイナンバーを収集する際には、運転免許証や通知カードといった本人確認書類も提示してもらい、間違いがないか確認しましょう。また、担当者はマイナンバーの収集だけでなく、管理も徹底しなければなりません。重要な個人情報なので、不正アクセスの防止や持ち出しの制限など適切な対策を講じましょう。

5-2. 源泉徴収票の枚数によっては提出方法が限定される

2021年1月以降に提出する給与支払報告書に関しては、前々年に提出した給与所得の源泉徴収票が100枚以上の場合、eLTAX(電子申告)もしくは光ディスクなどで提出することが義務づけられています。

税制改正前までは1,000枚以上となっていましたが、改正後の現在は100枚以上となるので、義務化の対象となっている場合は窓口や郵送での提出はできないということを理解しておきましょう。

参考:地方税法第317条の6|e-Gov法令検索

参考:No.7455 法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務|国税庁

6. 給与支払報告書を提出しなかったらどうなる?

はてな

給与支払報告書の提出は法律(地方税法)で定められた給与支払者(会社など)の義務です。これを怠った場合、地方税法第317条に基づき、1年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金の罰則が課せられる恐れがあります。

また、従業員の住民税の決定が遅れることで納税タイミングがズレてしまい、後から一括徴収となるケースもあります。従業員とのトラブルにつながるリスクもあるので、正しく給与支払報告書を作成し、期限までに提出しましょう。

参考:地方税法第317条の7|e-Gov法令検索

6-1. 給与支払報告書に間違いがあったら修正・訂正できる?

給与支払報告書に間違いがあったら、再提出により対応が可能です。修正・訂正内容がわかるように再提出をおこなうことが大切です。

給与支払報告書にミスが見つかったら、まずは速やかに市区町村に相談してみるのがよいでしょう。なお、特別徴収から普通徴収へ切り替える修正は「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」の提出が必要です。

関連記事:給与支払報告書の書き方のポイントや訂正方法、提出先を詳しく解説

7. 給与支払報告書を理解して正しく提出しよう

書類

給与支払報告書は源泉徴収票と記載項目がほぼ同じですが、提出先は従業員の住所地の市区町村であり、主な提出の目的は住民税額の計算という違いがあります。また、自治体によって提出方法や添付書類の要否が異なる場合もあるため、事前に確認が必要です。

業務負担が大きい場合は、複数自治体に一括提出できる「eLTAX」の活用が有効です。とくに初めて作成する場合は、内容を正しく理解し、ミス防止のための準備を整えてから提出しましょう。

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Q. 大学生などのアルバイト収入が増えても、親の控除額は減らない?
Q. 年末調整の対象者は?
Q. 退職者や二か所で働く従業員の年末調整は必要?
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