労働基準法における退職の定義と手続き方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働基準法における退職の定義と手続き方法をわかりやすく解説

手続き

労働基準法では「解雇」について、30日前の予告が必要と定められていますが、「退職」に関しては具体的な定義がありません。

そのため、従業員の退職に関しては、労働基準法ではなく民法の規定が適用されます。民法では、2週間前に会社に対して退職の申し出をすれば、退職の自由として自由に辞められると定義されています。

この記事では、従業員の退職の定義と手続き方法、退職に関するトラブルの解決方法を解説します。従業員から何日前に退職について手続きすればいいのか質問された際に正確に回答できるようにしておきましょう。

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1. 労働基準法における退職の定義

定義

退職とは労働者からの申し出により、労働契約を終了することです。

労働についてのルールは労働基準法に定められているのが一般的です。しかし、退職については労働基準法において明確な定義は設けられていません。労働者の自由として、退職は認められています。労働者は退職の予告(退職予告)をいつでも使用者に伝えられます。退職は労働者の自由であるため、使用者側が無理に引き留めることができません。憲法22条においても、職業選択の自由が認められているため、従業員は自社を退職して、新たに勤務先を探すことが可能です。

退職は労働者の自由ですが、労働者は自社の就業規則や民法に則って、退職についての手続きを進める必要があります。

2. 労働基準法における退職の手続き方法

手続き方法

前述のように、従業員の退職は民法が適用され、さらに、雇用期間に定めがあるか否かによっても扱いが異なります。

参考:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Gov 法令検索

2-1. 雇用期間に定めのない者の退職(無期雇用)

正社員・パート、アルバイトを問わず、雇用期間の定めのない従業員は、民法上、退職の2週間前までに口頭や文章で申し出ればよいとされています。(民法第627条第1項)

そのため、仮に就業規則に規定されている期限を過ぎていても、会社側は退職の申し出を受理しなくてはいけません。

関連記事:労働基準法による退職届は何日前までに必要?法的ルールを解説
関連記事:労働基準法上は退職2週間前通知で大丈夫?スムーズな手続き方法

2-2. 雇用期間に定めのある者の退職(有期雇用)

雇用期間に定めのある従業員の場合、雇用契約の満了により労働契約が終了するため、更新をしなければその時点で退職となります。
また、基本的には雇用契約の途中で退職はできません。

ただし、労働者にやむを得ない事情(育児、介護など)がある場合は、雇用契約を解消し退職できるとしています。(民法第628条)
やむを得ない事情がないにも関わらず、雇用契約を解消する場合は、会社との合意が必要です。

2-3. 雇用期間に定めのある者で1年以上経過している場合

雇用期間に定めのある者の中でも、例外的に途中退職が認められるケースがあります。
雇用契約期間が1年以上の場合、契約期間の初日から1年を過ぎていれば、使用者に申し出ることでいつでも自由に退職できます。これを「契約期間の経過措置」といいます。(労働基準法 第137条)

2-4. 就業規則の規定よりも民法が優先される

就業規則で退職について規定していた場合も、手続き上は民法の規定が優先されます。
そのため、「退職の際は〇ヵ月前までに申し出ること」と書いていても、これを理由に退職を引き留めることは法律上できません。

参考:確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト|厚生労働省

3. 労働基準法上の退職に関するトラブル

トラブル

退職に関するトラブルでは、従業員に対して損害賠償請求ができるケースと、会社側が訴えられてしまいかねないケースがあります。
それぞれのケースを把握し、トラブルなく退職手続きをおこないましょう。

3-1. 有期雇用者が一方的に退職したケース

有期雇用者がやむを得ない理由もなく、会社との合意もないままに一方的に退職した場合、会社側は従業員に対して損害賠償請求が可能であると、民法上定められています。

これとは逆に、会社側に過失(賃金の未払いやパワハラ・セクハラなど)があった際は、従業員が一方的に退職したとしても、損害賠償を請求される可能性があります。

3-2. 無期雇用者が引継ぎをせず退職したケース

無期雇用者は法律上2週間前に申し出れば退職できますが、引継ぎなどを一切せずに辞めてしてしまった場合、会社側は従業員に対して損害賠償請求が可能です。
とはいえ、このようなトラブルを避けるためにも、退職方法を事前に従業員に周知するなどの対策も必要でしょう。

3-3. 試用期間中に退職希望があったケース

企業側は、試用期間中の教育にかかった費用や労力が無駄になることから、試用期間中に退職希望があった際は、損害賠償を請求するケースがあります。しかし、無期雇用の場合、退職は基本的な自由であり、損害賠償請求は認められないのが実情です。

これは、試用期間中に退職希望があった場合でも、退職のルールは他の雇用形態と同様に適用されるためです。原則的には合意退職となり、就業規則に基づく対応が求められます。

したがって、このケースでは退職を受け入れるほか、選択肢がないため、試用期間中に退職者が多い場合は、今後のため教育方法や職場環境の改善を検討する必要があります。

3-4. 労働条件が異なっていたケース

実際に就業した結果、会社側が提示した労働条件と著しく異なっていた場合、従業員は労働契約を即時解除できます。
さらに、就職のため転居をしていたなら、14日以内の申請により帰郷費用を会社側が負担しなくてはいけません。(労基法第15条)

著しく異なるとは、次のようなケースがあげられます。

  • 無期雇用と記載して募集していたにもかかわらず、採用時は有期雇用だった。
  • 求人票に記載されている給与と採用時の給料が明らかに異なり、事前に説明も受けていない。

求人票の内容は曖昧に記載しないことや、入社時には労働条件など正しく説明し、合意を得る必要があります。

3-5. 会社側が違法な引き止めをしてしまったケース

会社側が退職する従業員に対して、「引継ぎが見つかるまで退職を認めない」「退職金を支払わない」などと無理に引き止めてしまうと、録音され、労働基準監督署や弁護士に相談されるケースも考えられます。
労働者が退職を申し出た際は、法律に則った対処をしましょう。

関連記事:労働基準法に退職金の規定はある?金額の決め方を詳しく解説

4. 労働基準法に則った退職者の有給休暇の取り扱い

はてなと男性

また従業員が退職する際の有給休暇の取り扱いはどのように対応すべきなのか、労働基準法に則った正しい対応方法を解説します。有給休暇の取り扱いをきちんとおこなうことで、退職時のトラブルを避け、円満な職場環境を保つことができるでしょう。

4-1. 退職日までの有給休暇申請は拒否できない

退職日までの有給休暇の申請は、原則として拒否できません。労働基準法において、会社が従業員の有給休暇の取得を拒むことができるのは、時季変更権が行使される場合のみです。

この時季変更権とは、指定された日に有給休暇を取得することが事業運営に支障をきたす場合に、会社が他の日への変更を提案する権利を指します。しかし、退職日までの期間においては、従業員が有給休暇を申請した際に他の日に変更することは不可能であり、会社はその申請を受け入れる義務があります。

したがって、退職が決まった従業員に対しては、十分な引継ぎ期間が設けられていたとしても、申請された有給休暇を拒否することはできません。

4-2. 退職時の有給休暇の買取は可能

退職時の有給休暇の買取は可能です。労働基準法第39条により、有給休暇は現実に与えられるものであり、原則として買取は禁止されています。

しかし、退職する際に未消化の有給休暇が残っている場合、例外として買い取りが認められています。また、有給休暇の買取は企業の義務ではないことから、従業員から退職時に有給休暇の買取を要求されても、それを拒むことができます。

参考:労働基準法|e-GOV法令検索

5. 急な退職に備える体制づくりのポイント

ポイントのブロック

民法上、従業員は2週間前に申し出れば退職できますが、実務上は2週間という期間では引き継ぎが追いつかないケースも少なくありません。退職そのものを防ぐことはできなくても、組織として備えておくことで、急な退職によるダメージを最小限に抑えることは可能です。ここでは、企業が事前に取り組んでおくべき体制づくりのポイントを3つ紹介します。

5-1. 業務の属人化を防ぐ

特定の従業員にしか業務の進め方が分からない状態、いわゆる「属人化」が進んでいると、その従業員が急に退職した際に業務が止まってしまうおそれがあります。

属人化を防ぐためには、日頃から業務マニュアルや手順書を整備しておくことが重要です。日常的に使用するシステムの操作方法、取引先や顧客への対応ルール、定期業務のフローなどをドキュメント化しておくことで、担当者が不在になっても業務を継続しやすくなります。

また、複数人で同じ業務を担当するダブルアサインメントを取り入れたり、定期的に業務ローテーションを実施したりすることも有効な手段のひとつです。属人化の解消は、退職リスクへの備えだけでなく、急な病欠や長期休暇の際にも役立ちます。

5-2. 定期面談で退職の兆候を把握する

急な退職と感じられるケースでも、あとあと振り返ると退職を検討するきっかけとなった出来事や、態度の変化があったというケースは少なくありません。定期的な1on1面談や上長との個人面談を設けることで、従業員の不満や悩みを早期に把握し、離職につながる前に対処できる可能性が高まります。

面談では業務上の課題だけでなく、職場環境への満足度やキャリアに対する考え方なども率直に話せる場として機能させることが重要です。従業員が「言いやすい」と感じられる心理的安全性の高い環境を作ることが、退職の兆候を早期にキャッチするうえで欠かせません。

なお、面談で把握した情報は適切に扱うとともに、改善できる点は速やかに対応する姿勢を示すことが、従業員との信頼関係の構築につながります。

5-3. 引き継ぎルールを整備する

退職が発生してから慌てて対応するのではなく、引き継ぎに関するルールをあらかじめ就業規則や社内規定として定めておくことも重要です。

具体的には、引き継ぎ期間の目安、引き継ぎ書の作成フォーマット、引き継ぎ先となる担当者の決め方などをルール化しておくと、退職者や後任者の負担を軽減できます。

また、在職中から引き継ぎへの理解と協力を得られる職場の雰囲気を醸成することも大切です。社内研修や面談などを通じて、引き継ぎの重要性を日頃から周知しておくとよいでしょう。

6. 2週間前に申し出れば、従業員は自由に退職できる

棒を持った男性

民法では、従業員は退職を希望する2週間前までに会社に申し出ることで、退職理由に関係なくいつでも自由に退職できると定められています。
しかしながら、2週間前に申し出れば全てのケースが認められるわけではなく、引継ぎをせずに退職するなど、会社に損失を与えた場合は損害賠償請求が可能となります。
退職トラブルを避けるためにも、就業規則の遵守を促すことや、信義誠実の原則に従わない場合の罰則などについて、事前に周知するとよいでしょう。

関連記事:労働基準法に定められた「退職の自由」の意味を分かりやすく解説
関連サイト:マイチョイス

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