企業で働く従業員は、毎日出勤・退勤時間を記録して勤怠管理をおこないます。ところが、この記録時に不正を働いたり、記録したタイムカードなどの勤怠記録を改ざんしたりするケースも少なからず発生しています。
数分の時間調整という感覚で軽い気持ちでおこなっているかもしれませんが、勤怠不正はれっきとした違法行為です。ここでは、違法行為が発覚した場合の企業の対処法や勤怠時間の改ざんを予防するための方法を解説します。
更新日: 2025.1.31
公開日: 2021.9.27
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企業で働く従業員は、毎日出勤・退勤時間を記録して勤怠管理をおこないます。ところが、この記録時に不正を働いたり、記録したタイムカードなどの勤怠記録を改ざんしたりするケースも少なからず発生しています。
数分の時間調整という感覚で軽い気持ちでおこなっているかもしれませんが、勤怠不正はれっきとした違法行為です。ここでは、違法行為が発覚した場合の企業の対処法や勤怠時間の改ざんを予防するための方法を解説します。
勤怠の改ざんがあった際、直ちに従業員を解雇とすることは、法律的にも「不当解雇」とみなされる可能性があるため、処罰には順を追う必要があります。
当サイトでは、従業員による勤怠の改ざんが起こった際、どのように対応していけばよいか、本記事の内容をわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
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従業員がタイムカードの出勤・退勤時間の改ざんをしたなど、不正が発覚した場合には、企業側が毅然とした対処をおこなわなければなりません。ここでは、不正発覚時の対応について解説していきます。
不正が発覚した場合、まずは事実確認をおこないましょう。そのために必要なのは「証拠」です。
たとえ、明らかに改ざんされたことが判明しているとしても、不正をした本人が認めなければトラブルになる可能性があります。証拠がないまま事実確認をした場合、言い訳や言い逃れをすることもあるため、オフィスへの入退室やタイムカードの代理打刻が分かる防犯カメラ映像やパソコンのログイン記録など、客観的に「不正」が分かる証拠を確保しましょう。
その上で、本人に事実確認をして認めさせることが重要です。
懲戒処分には、制裁罰が軽いものから重いものまで複数の種類があります。その中でも最も重い罰が、企業が従業員をペナルティとして解雇する「懲戒解雇」です。
勤怠の不正や改ざんがおこなわれた場合の懲戒処分は、懲戒解雇が妥当といわれています。過去の判例では、タイムカードの打刻で不正を働いた従業員が懲戒解雇となったケースもあります。
なぜ、懲戒処分の中で最も重い懲戒解雇が妥当になるのかというと、勤怠の不正は法律違反つまり犯罪にあたるからです。
ただし、必ず懲戒解雇にするべきというわけではないので、制裁罰に関しては従業員との信頼関係や必要性に応じて決めましょう。
勤怠の不正をおこなった従業員が、必ずしもすべて懲戒解雇される、というわけではありません。場合によっては、従業員に処分が科されないこともあります。
過去には、勤怠管理を担当する労務が従業員の不正を承認してしまったケースにおいて、管理する企業側が不正を見抜けなかったとして懲戒解雇処分が認められなかった判例があります。従業員の不正の見逃しは企業側の責任となるため、勤怠管理は正しくおこなうことが重要です。
従業員の勤怠不正が発覚したら、すぐにその従業員を懲戒解雇に処するのではなく、軽めの処分をおこなうところから始めましょう。まずは懲戒処分のうち最も軽い「戒告」で、従業員の改善を促します。それでも不正が改善しないときは、減給、停職と徐々に重い罰になるよう手順を踏みます。
単なる打刻ミスの場合は口頭での注意で済むことも多いですが、勤怠の不正は法律違反となる行為です。明らかに意図的な不正や改ざんが見られ、それによって本来ならば発生しない残業代を受け取っていたときなどは、やはり懲戒解雇が妥当な処分です。
懲戒解雇相当の行為が発覚したとしても、企業が酌量して下す処分として、「諭旨解雇」があります。これは一方的な解雇ではなく、従業員に退職を促すもので、一定期間内に退職をすれば依願退職扱いとなります。
残業代の水増しのような不正・改ざんをおこなった従業員に対しては、どのような処分を下したとしても余分に受け取った残業代の返還請求を忘れずにおこないましょう。返還請求をおこなわないと、他の従業員に「不正や改ざんでお金を受け取れる会社」と考えられてしまうことがあるからです。
法律違反、労働契約違反の不正や改ざんに対してきちんと処罰をおこなうことは、不正を予防する大事なポイントです。
刑法では、勤怠で不正をおこない、本来の勤務時間分より給料を多く受け取ることは、他人を欺いて金品をだまし取る「詐欺」にあたります。打刻の不正のみで逮捕されることは多くないものの、刑法において詐欺罪は、最大10年の懲役または50万円以下の罰金に処されるので決して軽い罪ではありません。
民法においては、勤怠の不正は労働時間を改ざんしているため労働法違反となります。また、本来の勤務時間とは異なる実態のデータを元にお金を多く受け取り、相手となる企業に損害を与えることは民法第704条の悪意の受益者返還義務等に抵触するので法律違反にあたります。
この場合、従業員は不正によって受け取った賃金を会社に返還しなければなりません。
労働基準法は、労働者を守るために企業が順守すべき法律です。そのため、従業員が出勤簿など勤怠の改ざんをおこなったとしても、従業員自身が労働基準法違反で罰せられることはありません。
代わりに、遵守させる責務を果たしていないとして企業が罰せられる可能性があります。また、従業員自身も、社内の罰則規程に則って始末書の提出や減給、降格などとなることもあるでしょう。
周囲にいる同僚や上司、派遣社員が勤怠不正や改ざんをしていることを発見した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。対処方法は、不正をおこなった人の立場によって異なるので、それぞれの対処の仕方をチェックしておきましょう。
基本的に、勤怠を含む部下の不正は、上司にあたる管理職の責任となってしまいます。部下の勤怠不正を隠すため、上司がタイムカードを正しい内容に直してしまうことも改ざんにあたるので注意が必要です。
このような改ざんのほか、不正を隠す行為、見逃す行為があった場合、部下共々懲戒解雇処分になることもあり得ます。つまり、部下の不正に対する対応によって、自分自身が処罰の対象となるのです。
部下の勤怠不正が発覚した際は、前述の処分の手順と同様に、まずは口頭での注意をおこないます。それでも不正が見られる場合は労務などに報告をします。その後は、会社として懲戒処分をおこなうために調査をした上で、処分内容が決定されます。
部下の場合とは異なり、上司の勤怠不正を発見した場合は、部下から直接口頭で注意することは難しいでしょう。本来は管理する側である管理職の不正となれば、なおさらです。
上司の不正は、社内の他の上司にもなかなか相談しづらいものです。不正を告発するためにどのように動けばいいのか、社内で相談できる人がいない場合は、弁護士に相談してみるのもひとつの手段です。弁護士によっては無料相談をおこなっているので、検討してみましょう。
また、一般企業では、内部通報を受け付ける「通報窓口」を設置しているところが多くあります。
上司か部下かにかかわらず、誰もが不正をする可能性があります。勤怠時間の改ざんなどの不正があったとしても、すぐ発見できるように、企業としては社内の誰もが内部通報できる開かれた体制を整えておくことが重要です。
派遣会社に籍をおいて働く派遣社員は、派遣先の企業の労働契約ではなく、派遣会社との労働契約の元で働いています。とはいえ、派遣社員は就業先企業のルールに従って勤務する必要があるので、派遣先の勤務場所である企業での勤怠管理も必要とされています。
このことからも、派遣社員の勤怠不正が発覚した際は、派遣会社への報告が必要です。発見したのが直属の上司であれば直接派遣会社に報告をおこない、その他の社員であれば派遣社員の直属の上司、または派遣会社との契約担当をおこなう社員に派遣社員の不正を報告します。
関連記事:勤怠管理は何をチェックするべき?用意すべき法定三帳簿とは?
勤怠不正は、主に手作業で打刻をおこなう方法に多く見られます。勤怠管理を手作業でおこなっている企業の場合、勤怠不正や改ざんがおこなわれるリスクがあるといえるでしょう。しかし、改ざんの手口を知っておけば、不正防止に活かすことができます。
ここでは、不正や改ざんのおもな手口を紹介するので、万が一のときのための参考にしてみてください。
出勤・退勤時、タイムカードをタイムレコーダーという機械に通して打刻をするタイムカード式の勤怠管理は、比較的不正や改ざんがしやすい方法だといわれています。遅刻してしまったときなど、打刻をおこなうタイムレコーダー自体の時刻を修正して時間通りに出勤したと見せかけるのは、タイムカードの不正でおこなわれやすい手口です。
また、タイムカードさえあれば本人以外でも打刻ができるため、社内にいる他の人に代理で打刻してもらうケースが少なくありません。タイムカードの代理打刻は、不正打刻かつ違法なので注意が必要です。
タイムカードでの打刻は機械が時刻を打ってくれますが、中には出勤・退勤時間を手書きするタイプのタイムシートで勤怠管理をおこなう企業もあります。すべて手書きでおこなうタイムシートでは、違う時刻を書こうと思えば簡単に書けてしまうため、これを悪用した不正が起こり得ます。
遅刻をした、または定時で退社した場合でも、出勤時刻を早めに、退勤時刻を遅く記載して残業時間を水増しし、残業代を不正受給することもできるので注意しましょう。
タイムカードや手書きのタイムシートでの勤怠管理では、個人で時刻を調整しやすいため、不正がおこなわれやすいデメリットがあります。そんな勤怠管理の不正を予防するための方法として、デジタル技術を活用した勤怠管理システムの利用がおすすめです。
勤怠管理システムでは、打刻した時間を自動的に集計できるので管理がしやすく、一人ひとりの残業時間などもリアルタイムで集計も把握できるメリットがあります。そして、正確な打刻時間を管理できることも、大きなメリットです。
勤怠管理システムは、現在さまざまなシーンで使われているデジタル技術が採用されています。
各社員の私物であるICカード、タブレットやスマートフォンでの打刻ができ、さらに指紋や静脈を使用した生体認証にも対応するシステムもあります。
いずれの方法でも、本人以外は打刻が不可能です。そのため、代理打刻による不正を予防できるのはもちろん、正確な打刻時間で勤怠管理をスムーズにおこなうことができます。
このように、最新のデジタル技術により、従来のアナログなタイムレコーダーでの打刻や手書きタイムシートのような不正を勤怠管理システムでおこなうことは困難で、本人の正しい時間での打刻のみを管理できます。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
出勤時間や退勤時間をごまかして遅刻を避けたり、残業代を多くもらったりする勤怠の不正は明らかな罪であり、就業規則違反にあたる行為です。不正や改ざんが発覚した場合は、企業による適切な対応が求められます。
しかし、自分で記入するなどの客観性に欠ける打刻方法では、不正や改ざんが簡単にできてしまうため、企業側が改善する必要があるというのも事実です。
近年では、デジタル技術を応用した勤怠管理システムで、厳密に正確なデータの管理が可能となっています。このようなシステムでは勤怠の不正や改ざんもできないので、未然に防ぐためにも導入を検討してみることをおすすめします。
勤怠の改ざんがあった際、直ちに従業員を解雇とすることは、法律的にも「不当解雇」とみなされる可能性があるため、処罰には順を追う必要があります。
当サイトでは、従業員による勤怠の改ざんが起こった際、どのように対応していけばよいか、本記事の内容をわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
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