3. 不正や改ざんを発見した場合の立場別対処方法とは?
周囲にいる同僚や上司、派遣社員が勤怠不正や改ざんをしていることを発見した場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。対処方法は、不正をおこなった人の立場によって異なるので、それぞれの対処の仕方をチェックしておきましょう。
3-1. 部下の勤怠不正を発見した場合
基本的に、勤怠を含む部下の不正は、上司にあたる管理職の責任となってしまいます。部下の勤怠不正を隠すため、上司がタイムカードを正しい内容に直してしまうことも改ざんにあたるので注意が必要です。
このような改ざんのほか、不正を隠す行為、見逃す行為があった場合、部下共々懲戒解雇処分になることもあり得ます。つまり、部下の不正に対する対応によって、自分自身が処罰の対象となるのです。
部下の勤怠不正が発覚した際は、前述の処分の手順と同様に、まずは口頭での注意をおこないます。それでも不正が見られる場合は労務などに報告をします。その後は、会社として懲戒処分をおこなうために調査をした上で、処分内容が決定されます。
3-2. 上司の勤怠不正を発見した場合
部下の場合とは異なり、上司の勤怠不正を発見した場合は、部下から直接口頭で注意することは難しいでしょう。本来は管理する側である管理職の不正となれば、なおさらです。
上司の不正は、社内の他の上司にもなかなか相談しづらいものです。不正を告発するためにどのように動けばいいのか、社内で相談できる人がいない場合は、弁護士に相談してみるのもひとつの手段です。弁護士によっては無料相談をおこなっているので、検討してみましょう。
また、一般企業では、内部通報を受け付ける「通報窓口」を設置しているところが多くあります。
上司か部下かにかかわらず、誰もが不正をする可能性があります。勤怠時間の改ざんなどの不正があったとしても、すぐ発見できるように、企業としては社内の誰もが内部通報できる開かれた体制を整えておくことが重要です。
3-3. 派遣社員の勤怠不正を発見した場合
派遣会社に籍をおいて働く派遣社員は、派遣先の企業の労働契約ではなく、派遣会社との労働契約の元で働いています。とはいえ、派遣社員は就業先企業のルールに従って勤務する必要があるので、派遣先の勤務場所である企業での勤怠管理も必要とされています。
このことからも、派遣社員の勤怠不正が発覚した際は、派遣会社への報告が必要です。発見したのが直属の上司であれば直接派遣会社に報告をおこない、その他の社員であれば派遣社員の直属の上司、または派遣会社との契約担当をおこなう社員に派遣社員の不正を報告します。
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3. 勤怠の不正や改ざんの主な手口とは?
勤怠不正は、主に手作業で打刻をおこなう方法に多く見られます。勤怠管理を手作業でおこなっている企業の場合、勤怠不正や改ざんがおこなわれるリスクがあるといえるでしょう。しかし、改ざんの手口を知っておけば、不正防止に活かすことができます。
ここでは、不正や改ざんのおもな手口を紹介するので、万が一のときのための参考にしてみてください。
3-1. タイムカードの代理打刻
出勤・退勤時、タイムカードをタイムレコーダーという機械に通して打刻をするタイムカード式の勤怠管理は、比較的不正や改ざんがしやすい方法だといわれています。遅刻してしまったときなど、打刻をおこなうタイムレコーダー自体の時刻を修正して時間通りに出勤したと見せかけるのは、タイムカードの不正でおこなわれやすい手口です。
また、タイムカードさえあれば本人以外でも打刻ができるため、社内にいる他の人に代理で打刻してもらうケースが少なくありません。タイムカードの代理打刻は、不正打刻かつ違法なので注意が必要です。
3-2. 自由記入式のタイムシートの悪用
タイムカードでの打刻は機械が時刻を打ってくれますが、中には出勤・退勤時間を手書きするタイプのタイムシートで勤怠管理をおこなう企業もあります。すべて手書きでおこなうタイムシートでは、違う時刻を書こうと思えば簡単に書けてしまうため、これを悪用した不正が起こり得ます。
遅刻をした、または定時で退社した場合でも、出勤時刻を早めに、退勤時刻を遅く記載して残業時間を水増しし、残業代を不正受給することもできるので注意しましょう。
4. 不正や改ざんは勤怠管理システムで予防できる
タイムカードや手書きのタイムシートでの勤怠管理では、個人で時刻を調整しやすいため、不正がおこなわれやすいデメリットがあります。そんな勤怠管理の不正を予防するための方法として、デジタル技術を活用した勤怠管理システムの利用がおすすめです。
4-1. デジタル活用で打刻時間を厳密に管理
勤怠管理システムでは、打刻した時間を自動的に集計できるので管理がしやすく、一人ひとりの残業時間などもリアルタイムで集計も把握できるメリットがあります。そして、正確な打刻時間を管理できることも、大きなメリットです。
勤怠管理システムは、現在さまざまなシーンで使われているデジタル技術が採用されています。
各社員の私物であるICカード、タブレットやスマートフォンでの打刻ができ、さらに指紋や静脈を使用した生体認証にも対応するシステムもあります。
いずれの方法でも、本人以外は打刻が不可能です。そのため、代理打刻による不正を予防できるのはもちろん、正確な打刻時間で勤怠管理をスムーズにおこなうことができます。
このように、最新のデジタル技術により、従来のアナログなタイムレコーダーでの打刻や手書きタイムシートのような不正を勤怠管理システムでおこなうことは困難で、本人の正しい時間での打刻のみを管理できます。
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5. 不正や改ざんが出来ない環境を整えよう
出勤時間や退勤時間をごまかして遅刻を避けたり、残業代を多くもらったりする勤怠の不正は明らかな罪であり、就業規則違反にあたる行為です。不正や改ざんが発覚した場合は、企業による適切な対応が求められます。
しかし、自分で記入するなどの客観性に欠ける打刻方法では、不正や改ざんが簡単にできてしまうため、企業側が改善する必要があるというのも事実です。
近年では、デジタル技術を応用した勤怠管理システムで、厳密に正確なデータの管理が可能となっています。このようなシステムでは勤怠の不正や改ざんもできないので、未然に防ぐためにも導入を検討してみることをおすすめします。
勤怠の改ざんがあったときは、どのような対処が妥当?
勤怠の改ざんがあった際、直ちに従業員を解雇とすることは、法律的にも「不当解雇」とみなされる可能性があるため、処罰には順を追う必要があります。
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