電子契約は相手方にどんな問題が起こる?パターン別に対処法を解説!
更新日: 2023.4.20
公開日: 2021.9.13
HORIUCHI
コロナ禍への対応のため、電子契約に必要な機能がパッケージ化された「電子契約サービス」を導入する企業が増えています。
その過程で「自社は電子契約を導入したが、相手方は導入していない」「相手方が異なる電子契約サービスを導入しているが問題ないか」といった懸念が生まれています。
この場合、どのように電子契約を締結すればよいのでしょうか。また、相手方に電子契約を利用してもらうため、どのような説明をすればよいのでしょうか。
今回は、電子契約の導入後に起きる問題の対処法を解説します。
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目次
1.電子契約の仕組みと安全性
まず大切なのは、取引先に電子契約の仕組みと安全性を知ってもらうことです。
電子契約の中でも、書面契約における記名押印の代わりに「電子署名」を利用した契約方法は、最も安全な取引方法の一つです。
電子署名とは、「公開鍵暗号方式」によって暗号化された電子的な本人確認方法を表します。
公開鍵暗号方式は、「公開鍵」「秘密鍵」の2種類の鍵を使うのが特徴です。
公開鍵と秘密鍵はペアになっており、公開鍵は取引先をふくむ第三者が利用できますが、秘密鍵は本人しか利用できません。
電子契約では、契約書を送る企業(甲)が本人の秘密鍵で暗号化をおこない、契約書を受け取る取引先(乙)が秘密鍵とペアになった公開鍵(電子証明書)で復号化します。
秘密鍵は、第三者機関の認証局によって、甲に紐付けられています。
乙は電子証明書の有効性を確認することで、相手が甲本人であり、第三者によって契約書が改ざんされていないことがわかる仕組みになっています。
関連記事:電子契約とは?|メリットとデメリット、おすすめサービスを解説 | jinjerBlog
2.相手方と異なる電子契約サービスを利用している場合の対処法
電子契約サービスを導入する企業が急増した結果、自社と相手方が導入しているサービスが異なる状況が発生します。
この場合、どちらの電子契約サービスで契約を締結すればよいのでしょうか。
お互いが譲らない状況になった場合、せっかく電子契約を導入したのに、その相手方とは紙で契約書を交わすような事態になりかねません。
ここでは、想定される対処法を3つ紹介します。
関連記事:電子契約の立会人型、当事者型とは?|メリット・デメリット、選び方を解説 | jinjerBlog
2-1.いずれか一方の電子契約サービスを選択
合意形成が可能な場合は、いずれか一方のみの電子契約サービスを選ぶのがもっとも簡単な対処法です。
判断基準としては、電子契約サービスが法務省の指定リストに記載されており、十分に信頼性があるかという点が挙げられます。
しかし、不慣れな電子契約サービスを使うと管理コストが増大する点に注意が必要です。
たとえば、相手方の電子契約サービスを受け入れた場合、契約書を自社のサービスでは管理できない可能性もゼロではないため、事前に確認しておきましょう。
2-2.PDFを用意し互いに電子署名
同意を得られない場合は、契約書のPDFを2部用意し、お互いに電子署名をする方法があります。
自社の採用サービスで電子署名が可能なため、現場の混乱が発生しにくいのが特徴です。
ただし、契約締結の証拠として、相手方が電子署名をおこなった契約書のPDFを保管管理しておく必要があります。
または電子署名をしたPDFにもう一方の電子署名を重ねて、お互いの電子署名を二重に付与する方法もあります。契約書のPDFを1部のみ管理すればよいため、管理の手間が減るのがメリットです。
2-3.電子契約サービスを利用しない場合は当事者型の契約が必要
上記PDFを用意した電子契約サービスを利用しない契約を進める場合は、当事者型の電子署名が必要です。
当事者型は契約者本人が認証局(認証サービスを扱う会社)に申請して、本人性を担保する電子証明書を用いて電子署名をおこなうことを指します。
なりすましのリスクが低く本人性を満たせるメリットがある一方で、認証局への申請や電子証明書の発行工数がかかってしまうデメリットがあります。
そのため、電子契約サービスを利用するかどうかはPDFファイルのみで契約する場合と比較して最終的に決めるとよいでしょう。
電子契約の当事者型の詳しい解説はこちら:電子契約の立会人型、当事者型とは?|メリット・デメリット、選び方を解説|jinjerBlog
3.相手方が電子契約未導入の場合の対処法
そもそも相手方が電子契約を導入していない場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
まずは電子契約を導入してもらえるように、電子契約の導入メリットを説明しましょう。
相手方の合意を得られない場合は、相手方が未導入でも契約締結可能な電子契約サービスを利用する方法があります。インターネット環境があれば、サービス登録不要で電子署名が可能です。
3-1.合意を得るために説明をする
電子契約は、相手方の合意がなければ締結できません。
まずは、電子契約を導入するメリットや、電子契約の安全性について説明し、電子契約の導入が可能か打診しましょう。
「新型コロナウイルスの感染予防対策として、非対面での契約手続きが必要」など、自社の導入理由を説明することも大切です。
3-2.相手方が未導入でも契約締結可能な電子契約サービスを利用する
なかには、「電子契約に対応したい気持ちはあるが、電子契約サービスの導入予定はない」「ITリテラシーに不安がある」といった企業もあります。
その場合、相手方が未導入でも使える電子契約サービスを導入するのがおすすめです。立会人型のサービスのほとんどが相手方が未導入の状態でも電子契約できます。当事者型は相手の導入が必要な場合が多いです。
インターネット環境とメールアドレスがあればたとえPCがなくとも、サービス登録不要で電子署名が可能なため、相手方に負担をかけずに電子契約を締結できます。
4.電子契約の導入メリットと相手方に説明するときのポイント
相手方に電子契約を導入してもらうためには、電子契約の安全性や導入メリットをしっかりと説明することが大切です。
業界によっては電子契約への理解が進んでおらず、電子契約のセキュリティ面に懸念を抱いている企業もあります。まずは電子契約の仕組みや安全性を説明し、当事者にとってどんな利点があるかを具体的に伝えましょう。
4-1.セキュリティ面の懸念払拭
電子契約の導入を断られるもっとも大きな理由が、セキュリティ面への懸念です。
冒頭で説明したように、電子契約は安全性の高い契約手段です。相手方の理解を得るため、電子署名を利用した電子契約は安全に本人確認が可能であることを伝えましょう。
また、不正アクセスやサイバー攻撃対策のため、自社がどのようなセキュリティ対策をおこなっているかも説明すると効果的です。
4-2.電子契約導入のメリットを強調
次に、電子契約の導入メリットを強調しましょう。
電子契約のメリットは、業務効率化とコストカットです。紙の契約書を印刷し、記名押印する手間を省くことで、バックオフィス業務を削減できます。
また、電子契約書は印紙税の貼付が不要です。印紙税をカットできるため、取引金額によって大幅なコストカットにつながり、紙の書類を持たなくて良くなるため、災害などによる紛失リスクの対策にもなります。
当サイトでは、ここまで解説したような電子契約のメリットや仕組みなどを、図を用いながら解説した資料を無料で配布しております。電子契約の仕組みや導入までのフローなど、電子契約の概要をまとめて確認したいご担当者様は、こちらから「電子契約の始め方ガイドブック 」をダウンロードしてご確認ください。
印紙税削減に関する詳しい解説はこちら:電子契約はなぜ印紙税が不要?|電子契約によるコスト削減例もご紹介|jinjerBlog
5.電子契約サービスの効果的な選び方
電子契約サービスを選ぶうえでもっとも大切なのが、「自社にとってベストなものを選ぶこと」です。
電子契約サービスには、高額で多機能な製品もありますが、自社が使わない機能が多ければ、無駄なコストになってしまいます。
ポイントとなるのが、自社で作成する契約書や帳票書類に対応しているかどうかです。対応可能な書類は電子契約サービスの公式サイトに記載されているため、サービス導入前に確認しましょう。
また、2021年9月1日にデジタル改革関連法が施行され、電子化が可能な書類が増えました。
省庁のページに記載されている情報や各法律を確認して自社に対応している書類に間違いがないか確認すると良いでしょう。
また、取引先の意向により、電子契約サービスを導入したくないというケースもあります。
その場合は、相手方のサービス登録がなくとも契約締結できるサービスを選ぶことで、取引先に負担をかけずに電子契約を進められます。
6.電子契約の導入には相手方の理解が必要
電子契約は、相手方の理解を得なければ導入できません。電子契約の仕組みや安全性、導入メリットについて説明し、電子契約を導入してもらえるよう合意形成に努めましょう。
企業によって、「電子契約は導入してもよいが、電子契約サービスの運用には不安がある」という場合もあります。
その場合は相手方が未導入でも契約締結可能な電子契約サービスを利用する方法がおすすめです。
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