36協定届の提出方法とは?電子申請のやり方や注意点までわかりやすく解説
更新日: 2025.10.7 公開日: 2021.9.2 jinjer Blog 編集部

36協定届は、企業が法定労働時間を超えて従業員に時間外労働や休日労働をさせる際に必要な届出です。そのため、労働者に残業や休日出勤をさせる場合、あらかじめ労使間で36協定を締結したうえで、労働基準監督署へ提出する必要があります。
36協定届は36協定の締結を続ける限り、毎年提出しなければならないため、正しい提出方法をしっかり覚えておくことが大切です。
従来の方法から変更された点もあるため、改めて提出方法をかくにんしておきましょう。ここでは、36協定届の提出方法や令和3年におこなわれた改正の変更点、提出する際に注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。
目次
毎年対応が必要な36協定の届出。しかし、働き方改革関連法による上限規制の変更や複雑な特別条項など、正確な知識が求められる場面は増え続けています。
36協定届の対応に不安な点がある方は、今のうちに正しい手順と注意点を確認しませんか。
◆この資料でわかること
- 働き方改革関連法による上限規制の変更点
- 罰則を避けるための「特別条項」の正しい知識と運用
- ミスなく進めるための締結・届出の具体的な手順
- 【記入例付き】新しい届出様式の書き方
本資料では、届出作成~提出の流れまで36協定の届出について網羅的に解説しており、毎年発生する煩雑な業務の効率化に役立ちます。ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 36協定届の提出方法は


36協定届の提出方法は3つあります。
- 労働基準監督署の窓口
- 労働基準監督署への郵送
- e-Govによる電子申請
ここでは、それぞれの提出方法の特徴について説明します。
1-1. 労働基準監督署の窓口
36協定届の提出方法として、最も一般的なのが所轄の労働基準監督署へ直接持参する方法です。届出の内容に不備がないかをその場で確認でき、必要に応じて担当官から助言を受けられるため、初めて提出する場合や内容に不安がある場合にはこの方法がよいでしょう。
36協定届の用紙は窓口でもらうこともできますが、提出用と控えの2部作成しなければならず、かつ記入項目も多いです。そのため、厚生労働省のホームページや管轄の労働基準監督署のホームページで公開されている様式を印刷し、あらかじめ必要事項を記入してから提出するのがおすすめです。
提出時には、届出書を正副2部用意する必要があり、監督署側で1部を受理し、1部を企業控えとして返却してもらいます。返却された控えには受理印が押されるため、保管しておきましょう。
窓口での提出は、提出した日付で受理されるため、提出期限が迫っている場合にも確実な方法といえます。ただし、繁忙期には混雑が予想されます。また、平日日中の営業時間にしか提出できないので余裕をもった提出を心がけましょう。
36協定届出の様式はこちら:36協定届け出の様式(厚生労働省)
1-2. 労働基準監督署に郵送
36協定届は、労働基準監督署へ郵送で提出することも可能です。窓口に直接行けない場合や遠方の拠点から提出する場合には、郵送が便利な手段となります。
郵送する際は届出書を正副2部作成し、返信用封筒(切手貼付・宛名明記)を同封しておくと、受理印が押された控えが返送されます。
封筒に同封するものは以下のとおりです。
- 36協定届の原本
- 36協定届の控え(写し)
- 返送用の切手と封筒
- 同封した内容物とその数量を記入した送付状
控えは労使双方の確認資料となるので、大切に保管してください。
郵送の場合も、到着日が提出日となるため、期限に余裕を持って送付することが重要です。普通郵便は日・祝日(2021年10月からは土曜日も含む)の配達をおこなっていません。週末に投函した場合は、労働基準監督署に届くまでに2~3日以上の日数を要することもあるため、余裕をもって投函しましょう。
36協定届は受理されて初めて有効になるため、起算日または有効期間満了日より後に配達された場合、未提出期間=36協定が無効となる期間が発生します。未提出期間に時間外労働などをさせてしまうと、労働基準法違反になるので注意してください。
1-3.e-Govによる電子申請
「e-Govによる電子申請」は、政府のオンライン総合窓口「e-Gov」から、インターネットを通じてオンライン申請する方法です。パソコンの画面上に表示された様式に必要事項を入力して送信するだけで、オフィスや事務所にいながら36協定届を提出することができます。
電子申請には、専用のアプリケーションをインストールし、PCのブラウザ設定などを整えてe-Govアカウントの取得をするなどの手間がかかります。しかし、紙の届出と比べて提出後の確認や修正、控えの管理が容易になるメリットがあります。例えば、申請時に記入ミスがあった場合でも、オンラインでの手続きであればすぐに修正することが可能です。
また、24時間365日いつでも利用でき、窓口に出向いたり、封筒や切手を用意したりする手間を省けるのも大きなメリットです。
2. 36協定届を電子申請で提出する方法

36協定届を電子申請で提出するためには、下記の手順を踏む必要があります。
- e-Govアカウントを取得する
- ブラウザの設定をおこなう
- アプリケーションをインストールする
ここでは36協定届をe-Govから電子申請するやり方を紹介します。
2-1. e-Govアカウントを取得する
初めて電子申請をおこなう場合、e-Govアカウントの取得が必要です。e-Govは政府が提供するオンライン申請プラットフォームで、アカウント登録は無料でできます。
e-Govサイトにある「アカウント仮登録入力画面」に、アカウントとして利用するメールアドレスを入力し、指示に従って本登録を完了します。
アカウントの取得は5分~10程度ですぐにできます。入力項目も複雑ではなく、さまざまな電子申請に同じアカウントを使用することが可能です。アカウント取得後は、申請情報の管理や過去の申請履歴の確認も可能になるため、先にアカウントだけでも取得しておくと今後の手続きがスムーズに進みます。そのため、
2-2. ブラウザの設定をおこなう
e-Gov電子申請アプリケーションをインストールする前に、必要に応じてポップアップブロックの解除や、信頼済みサイトへの登録など、ブラウザの設定をおこないます。これらの設定をおこなわないと、正しく画面が表示されなかったり、警告メッセージが表示されたりする可能性があります。
また、使用しているブラウザにも注意が必要です。Windowsの場合は以下に対応していると記載されています。
- Google Chrome
- Microsoft Edge
- Firefox
MacOSやiPhone、AndroidなどでもGoogle Chromeには対応しているため、端末によってブラウザを変えたくない場合はGoogle Chromeを選ぶとよいです。
2-3.アプリケーションをインストールする
36協定届の電子申請には、e-Govが指定する電子署名用のアプリケーションをPCにインストールする必要があります。このアプリは電子証明書を利用した本人確認に使われるもので、申請の安全性を確保するために必要なものです。
インストールは公式サイトからダウンロードし、案内に従って設定をおこないます。インストールをするときには、利用するパソコンのOSに合ったアプリケーションを選びましょう。OSのバージョンが古すぎると正常に動作しない可能性があるため、エラーが出る場合はバージョンの確認をしてみましょう。
これは初回のみの手続きですが、正しくインストールしないと申請時にエラーが発生するため注意が必要です。インストール後はPCを再起動し、動作確認をしてから申請に進んでください。
2-4. 申請手続きをおこなう
電子申請の手続きは、e-Govのマイページにログイン後、36協定届の申請入力フォームでおこないます。申請入力ホームに記載されている必要事項を入力し、作成した届出書をアップロードして送信します。
申請後に書類を提出する際は、まずは必要な書類を作成します。すべての書類がそろい、内容にも問題がなければ提出ボタンをクリックするだけで提出が完了します。
送信後は、申請内容の確認や訂正が可能な期間が設けられており、誤りがあれば修正できるので不安がある場合は確認しましょう。申請が受理されると「受理通知」が届くので、通知がきたら申請完了となります。
3. 36協定届の提出方法の変更について


ここまで36協定届の提出方法を3つに分けて紹介しましたが、なかには従来の方法から変更があった部分もあります。これまで36協定届を提出したことがある方は、以前と提出方法が異なっている可能性もあるので、変更点を確認してから手続きを始めましょう。
3-1. 電子申請に限り、本社一括届出が可能になった
本社一括届出とは、複数の事業所を有する企業の本社が、支社や支店のぶんまでまとめて届出をおこなうことです。しかし、対象となるのはすべての事業所について、1つの過半数労働組合と36協定を結んでいる場合に限られていました。
しかし、2021年4月1日より、e-Gov電子申請に限り、事業所ごとに労働者代表が異なる場合でも本社一括届出をおこなうことが可能となりました。本社一括届出をおこなった場合、各事業所がそれぞれ届出をする必要はなくなるため、申請の手間を省くことができます。
ただし、一括届出は義務ではないので、従来通り事業所ごとに届出をしても問題ありません。
関連記事:36協定を本社一括届出にする方法やメリット・デメリット
3-2. 電子署名・電子証明書の添付が不要になった
e-Gov電子申請を使った36協定届の提出は以前よりおこなわれていましたが、申請には別途電子証明書の添付が必要だったため、手続きが煩雑になってしまうところがネックでした。
しかし、2021年4月1日付で36協定届の押印・署名が廃止されたことにともない、電子申請の際も電子署名・電子証明書の添付は不要となりました。
36協定届のフォーマットに必要事項を記入・送信するだけで提出できるため、窓口・郵送からの切り替えも容易となっています。
ただし、36協定の新様式には、協定当事者が確認するためのチェックボックスが新設されています。これは電子署名の変わりともいえるボックスで、確認項目のチェックボックスにチェックがされていないと受理されないので注意してください。
関連記事:36協定届の押印・署名が廃止に!その背景や企業の対応を紹介
4. 36協定届の提出方法に関する注意点

上記で紹介した通り、36協定届の提出方法は複数ありますが、それぞれの提出方法において注意しなければならない点があります。
- 初回の電子申請には時間がかかる
- 窓口や郵送で提出する場合には2部用意する
- 労働基準監督署ごとに提出方法を確認する
注意点を事前に把握しておくことで、円滑に36協定届の提出をおこなえます。。
4-1. 初回の電子申請には時間がかかる手間や時間、タイムラグ等を考慮すると、e-Gov電子申請を利用して電子申請をおこなうのがおすすめです。
しかし、電子申請には適切なブラウザ環境や事前の設定、アカウント取得などが必要となります。電子証明書の発行が不要になった分、申請・手続きまでに要する時間は短縮されましたが、パソコンの扱いに不慣れな方は事前準備やアプリのインストールに戸惑う可能性もあります。
そのため、「電子申請できるから後で提出しよう」と考えていると、準備に手間取ったときに提出期限を過ぎてしまうこともあるので、例え電子申請で36協定届を提出する場合でも、早めに対応することを心がけましょう。
当サイトでは、具体的な締結手順や必要な準備についてまとめた無料資料を用意しているため、抜けもれなく期限通りに提出したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
たとえ電子申請で36協定届を提出する場合でも、早めに対応することを心がけましょう。
4-2. 窓口や郵送で提出する場合には2部用意する36協定届を労働基準監督署へ窓口や郵送で提出する際は、届出書を正副2部用意しておく必要があります。
1部は監督署で受理される分で、もう1部は受理印が押された控えとして企業側が保管する分になります。控えは、労使双方で締結内容を確認する重要な証拠となるため、紛失しないよう適切に管理しましょう。
郵送で提出する場合は、返信用封筒と切手を同封しないと控えが返送されない場合があるので、忘れないように同封してください。また、窓口提出の際も、事前に必要部数や書類の内容を確認し、不備がない状態で持参することが重要です。
4-3. 労働基準監督署ごとに提出方法を確認する
36協定届は、東京・大阪・福岡など全国各所に設けられている労働基準監督署へ提出します。36協定届の提出方法は全国共通の基本ルールがあるものの、実際には所轄の労働基準監督署ごとに受付時間や担当窓口、提出時の書類の扱いが異なる場合があります。
例えば一部の労働基準監督署では、混雑を避けるために提出時間を限定していたり、郵送提出時の控え返送方法に独自の規定を設けていたりすることがあります。正副2部の提出や押印の有無など、基本的なポイントに違いはありませんが、念のため最新情報を公式サイトや電話で確認してから提出を進めると安心です。
特に初めての提出時や複数拠点を管轄する場合には、労働基準監督署ごとの運用ルールを把握し、誤りのないよう手続きをおこなうことが重要です。
5. 36協定届は正しい方法で毎年必ず提出しよう

36協定届は、窓口・郵送・電子申請のいずれかの方法で提出することができます。
それぞれの提出方法ごとにメリット・デメリットがありますが、36協定届は同協定を継続する限り、毎年提出しなければならないため、手間や時間をかけずに提出できる電子申請の利用が便利です。
電子申請は以前に比べて、電子証明書の添付が不要になったことや本社一括届出が可能になったことなど、利用のハードルが低くなりました。そのため、この機会に電子申請による提出を検討してみてもよいかもしれません。
しかし、企業によって提出方法には相性があるため、自社に適した方法で36協定を締結しましょう。
関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説



毎年対応が必要な36協定の届出。しかし、働き方改革関連法による上限規制の変更や複雑な特別条項など、正確な知識が求められる場面は増え続けています。
36協定届の対応に不安な点がある方は、今のうちに正しい手順と注意点を確認しませんか。
◆この資料でわかること
- 働き方改革関連法による上限規制の変更点
- 罰則を避けるための「特別条項」の正しい知識と運用
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