年次有給休暇管理簿の作成が義務化!作成方法と保管期間を解説
更新日: 2026.2.26 公開日: 2020.5.1 jinjer Blog 編集部

働き方改革の一環として、有給休暇を取得させることが企業の義務となりました。
以前であれば、有給休暇を取得するのは従業員の決定に任されていたものが、使用者の義務と規定されたのです。
企業は、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対して、基準日から1年以内に最低でも年間5日間以上の有給休暇を取得させなければなりません。
この有給休暇の取得義務化とともに、従業員ごとの年次有給休暇管理簿を作成し、有給休暇の取得状況を把握することも企業に義務づけられました。
本記事では年次有給休暇管理簿の作り方や保存期間などのルールについて詳しくみていきましょう。
関連記事:年次有給休暇とは?付与日数や取得義務化など法律をまとめて解説
目次
毎月の有給休暇の付与計算、取得状況の確認、法改正への対応…。
「この管理方法で本当に問題ないだろうか?」と不安を抱えながら、煩雑な業務に追われていませんか?
当サイトでは、担当者の方が抱えるそのようなお悩みを解決し、工数を削減しながらミスのない管理体制を構築するための実践的なノウハウを解説した資料を無料配布しています。
◆この資料でわかること
-
年5日の取得義務化で、企業が対応すべき3つのポイント
-
すぐに使える!Excelでの年次有給休暇管理簿の作り方
-
複雑なケース(前倒し付与など)の具体的な対応フロー
最新の法令に対応した、効率的で間違いのない有休管理のために、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、ルールの見直しにお役立てください。
1. 年次有給休暇管理簿とは?

年次有給休暇管理簿とは、従業員一人ひとりの有給休暇の取得状況を記録する帳簿のことをいいます。労働基準監督署が事業場で臨検監督を実施する際に、開示が求められる法定書類の1つでもあります。
働き方改革関連法の施行前は、多くの企業が従業員の有給休暇取得状況を有給休暇の残日数で管理していました。
2019年4月に有給休暇5日の取得が義務化されるまでは、従業員があとどのくらい有給休暇を取得できるかがわかれば問題ありませんでしたが、今後は企業が従業員の有給休暇の残日数はもちろん、有給休暇取得状況を把握することが求められます。具体的には有給休暇を付与してから1年間で5日取得できているかを確認する必要があります。
関連記事:【図解付き】有給休暇付与日数の正しい計算方法をわかりやすく解説
1-1. 有給休暇の5日取得義務化によって管理簿の作成・保管も義務に
年次有給休暇管理簿は作成するだけでなく一定期間保存しておかなければなりません。
働き方改革によって、有給休暇の取得状況を帳簿によって管理することが義務付けられたため、開示を求められた場合には速やかに提示できるようにしておくべきでしょう。
年次有給休暇管理簿は有給休暇を与えた期間中および該当期間満了後5年間保存しておかなければなりません(当面の間は経過措置として3年間)。
年次有給休暇管理簿の作成・保管はあくまでも有給取得が確実に年5日できているか確認するものであって、年次有給休暇管理簿を作成・保管すること自体が目的ではありません。
年次有給休暇管理簿を保管していないからといって罰則があるわけではありませんが、必ず年次有給休暇管理簿を作成して5年間は保存しておくようにしましょう。
なお、紙での保管方法以外に、必要なときにいつでも出力できる仕組みとした上で、システム上で管理・保管することも可能です。
1-2. 管理簿に記載する対象者
年次有給休暇管理簿に記載する対象者は、年10日以上の有給休暇を付与されている従業員です。これは、年10日以上付与された従業員に対して、企業に年間5日間の有給休暇を取得させる義務があるため、その義務を確実に遂行することを目的としているからです。
2. 年次有給休暇管理簿の作成方法
年次有給休暇管理簿は、従業員も雇用主も有給休暇の取得状況を把握するうえで非常に重要なものですが、必ず記載しなければならない項目が定められています。それが基準日・日数・時季の3つです。それぞれについて解説します。
2-1. 基準日
基準日とは、従業員に年次有給休暇を付与する義務が、法律上発生する日を指します。
労働基準法では、入社日から6か月間継続して勤務し、その間の出勤率が8割以上であることが有給休暇付与の要件とされています。そのため、この要件を満たす入社から半年後の日を基準日とする企業が多いのです。
基準日から1年ごとに、毎年有給休暇を付与し、付与した日を年次有給休暇管理簿に記載します。
基準日の変更などで基準日が2つ発生する場合は、2つ分を記入しておきます。
関連記事:有給休暇義務化における「基準日」とは?従業員管理の重要性を解説
2-2. 日数
基準日から1年以内に取得した有給休暇の日数を記載します。この際、取得日数に加えて、保有日数も記載しておくと実務で役立ちます。
入社2年目以降は、前年度に使いきれなかった有給休暇の繰り越しが発生するため、従業員ごとに有給休暇の保有日数の管理が煩雑になりがちです。取得日数と合わせて保有日数も記載することで、有給管理のミス削減につなげられます。
なお、有給の繰り越しの仕組みについては以下の記事で詳しく解説していますので、不安な方はぜひご覧ください。
なお、基準日が2つある場合は、1つ目の基準日から2つ目の基準日の1年後までに保有している有給休暇日数を記載します。
2-3. 取得時季
年次有給休暇を取得した日付を記載しておきます。半日単位や時間単位の取得が可能な場合は、取得した時間数を記載しておくと良いでしょう。
2-4. 年次有給休暇管理簿の記入例とフォーマット
年次有給休暇管理簿の記載例とフォーマットは、厚生労働省のホームページで公開されています。
年次有給休暇管理簿に上述の3つの記載事項(基準日・取得日数・取得時季)を記載しておけば、どのような形式で作成しても問題がないため、自社でExcelなどを使って作成することや、勤怠管理システムに情報を入力して作成することも可能です。
3. 年次有給休暇管理簿や年次有給休暇に関する罰則

年次有給休暇に関する罰則はいくつか存在しますが、取得義務化に関して設けられている罰則も存在ます。
罰則が科される場合、企業におおきな損失を与えるため、事前に確認して違法でないかどうかを確認しましょう。
3-1. 年次有給休暇を
年次有給休暇に関する罰則はいくつか存在しますが、取得義務化に関して設けられている罰則も存在します。
罰則が科される場合、企業におおきな損失を与えるため、事前に確認して違法でないかどうかを確認しましょう。
3-1. 年次有給休暇を取得させなかった場合の罰則
年次有給休暇を付与しない場合や、年次有給休暇を年間5日間以上取得させなかった場合については罰則が規定されています。
年間5日間の有給休暇を取得させなかった雇用主には、従業員1人につき6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。
さらに従業員が有給休暇を申請した場合に、雇用主の判断で有給休暇を取得させずにいると6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となる恐れがあります。
このほかにも、就業規則に雇用主が時季指定をして有給休暇を取得させることが記載されていない場合には、同様に30万円以下の罰金が科されることもあります。
罰金は有給休暇の取得義務を果たせなかった従業員1人につき科されるため、対象となる従業員が100人いた場合は、最大3,000万円の罰金が科されます。また、罰金以外にも悪質な場合、企業名が公表されるなど、企業イメージの低下につながります。有給休暇を取得させない企業という悪い評判はなかなか消えないので、年次有給休暇管理簿でしっかり管理して年間5日間の有給休暇を取得させることは非常に重要です。
このように、組織に不利益を与えないようにするためには、有給取得の義務化において定められている事項を厳守しなければなりません。当サイトでは、有給休暇の取得義務化にあたって対応すべきことや、そもそもの有給休暇のルールをまとめた資料を無料で配布しております。自社の各対応が法律的に問題ないか確認したい方は、こちらからダウンロードページをご覧ください。
3-2. 年次有給休暇管理簿の作成・保管を怠った場合の罰則
年次有給休暇管理簿の作成や保管をしなかった場合の罰則は設けられていません。しかし、年次有給休暇管理簿の作成・保管をしていないということは、有給休暇の適切な管理を怠ったとみなされ、有給休暇の取得に関するトラブルが生じた際に企業が不利になることがあります。
例えば、従業員から「有給休暇を取得できない」などと労働基準監督署に通報があった場合、年次有給休暇管理簿がなければ、有給休暇を取得させたという証拠がないため、万が一取得させていたとしても違法となり罰則が科される可能性があります。
また、有給休暇の取得に関してトラブルが発生した場合、年次有給休暇管理簿があることで、スムーズに解決することができます。
トラブル防止のためにも、年次有給休暇管理簿は適切に作成・保管をおこないましょう。
4. 年次有給休暇管理簿の作成で得られる効果


年次有給休暇管理簿は、単に法律上の義務に従って作成するだけの書類に留まらず、実務上の管理や改善に役立つツールとしても活用できます。
ここでは、年次有給休暇管理簿を作成することで得られる具体的な効果を紹介します。
4-1. 年5日取得義務の履行確認がスムーズになる
年次有給休暇管理簿には、従業員ごとの付与日や取得日数、取得日を記録するため、誰がいつ何日取得したのかを簡単に把握できます。
これにより、年5日以上の取得義務を確実に履行しているかどうかをチェックでき、未達の従業員には計画的に取得を促すことが可能です。
結果として、法律違反を避けつつ、従業員の有給休暇の取得を適切に管理できます。
4-2. 付与・消滅時期の確認が容易になる
有給休暇の時効は、付与日から2年間です。そのため、残日数だけの管理では、どの付与分がいつまで有効かが分かりにくく、消滅リスクや過少付与のトラブルが発生しやすくなります。
厚労省の提供している年次有給休暇管理簿を活用すれば、付与日や有効期限、前年度の繰り越し分などを一覧で確認できるため、期限切れによる有休消滅の防止や、正確な付与計算が容易になります。
特に勤続年数が長い従業員が多い職場では、管理簿を活用することで、有給休暇の管理に伴うトラブルの削減が期待できるでしょう。
4-3. 有給休暇の取得傾向を把握できる
年次有給休暇管理簿のデータを分析することで、部署別や時期別の取得傾向や「特定の従業員だけ取得が少ない」といったパターンを把握することもできます。
これにより、計画的な有給休暇の取得の促進や業務分担の調整がしやすくなり、従業員のライフワークバランスの拡大や生産性の向上にもつながります。
また、取得状況の可視化は、働き方改革のKPIや人事評価などに役立てることも可能です。
5. 年次有給休暇管理簿を作成する際の注意点


年次有給休暇管理簿を作成する際は次のような注意点を意識しましょう。
- 記載ミスや計算ミスに注意する
- 労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成する
5-1. 記載ミスや計算ミスに注意する
年次有給休暇管理簿は有給休暇の取得義務を適切に管理することが目的です。年次有給休暇管理簿の記載ミス、計算ミスが発生してしまうと、有給休暇の適切な管理ができなくなってしまいます。記載ミス、計算ミスが原因で有給休暇の取得が漏れてしまい、罰金が発生しかねません。
従業員の有給休暇を個別に管理するには労力がかかります。さらに手作業で進めようとすると記載ミス、計算ミスにつながる恐れがあります。人的なミスを防ぐにはツールを活用しましょう。
5-2. 労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成する
年次有給休暇管理簿は労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成するのもおすすめです。労働者名簿、賃金台帳はそれぞれ次のような書類を指します。
- 労働者名簿:従業員の氏名・採用日などを記した書類
- 賃金台帳:従業員の賃金や交通費、税金などを記した書類
年次有給休暇管理簿をこれらの書類とあわせて作成することで、書類の管理をまとめることが可能です。
6. 有給管理を楽にする方法


有給休暇の管理方法は主に以下の3つあります。
- 紙に手書きで管理する方法
- Excelで管理する方法
- システムで管理する方法
どの方法を用いても問題はありませんが、従業員一人ひとりの年次有給休暇管理簿をエクセルや手書きの表で管理することは、毎回記入する手間が発生するほか、義務化された有給休暇の年5日取得がしっかりと済んでいるか都度従業員ごとに確認する必要があり、煩雑になりがちです。
そのような悩みを解決できるのが、勤怠管理システムによる有給休暇の管理です。年次有給休暇管理簿は勤怠情報や賃金台帳と一緒に管理しても良いとされているため、勤怠管理システムでの帳簿作成が可能です。
勤怠管理システムであれば、管理者が有給休暇の取得状況を従業員一覧で確認できるため、一目でだれが取得義務のある5日を取得していないのかを確認することができます。
従業員が有給を取得した日を自動で記録してくれるほか、基準日や有給日数とあわせてcsvデータなどで従業員ごとに情報を出力してくれる機能もあるため、管理簿の作成がワンクリックで終わります。
さらに、勤怠管理システムでは有給休暇の年5日取得が済んでいない従業員とその管理者にアラートを出すこともできるため、管理簿の作成だけでなく有給休暇の確実な取得にも役立つでしょう。
7. 年次有給休暇管理簿の作成で健全な企業づくりを

年次有給休暇管理簿は、年次有給休暇の取得義務化に伴って、作成と保管が義務付けられている帳簿です。
年次有給休暇管理簿の作成はある程度の手間がかかりますが、きちんと帳簿を作成することは企業が従業員の心身の健康に配慮していることの表れのひとつともいえるでしょう。
人材不足が深刻となっている現在、有給休暇を適切に取得させているということは対外的にも効果的に示すことができます。
従業員の有給休暇の取得状況に気を配って健全な企業づくりをしていきましょう。
▼こちらもおすすめ!有給休暇のカテゴリで人気の記事
有給休暇の労働基準法における定義|付与日数や取得義務化など法律を解説



毎月の有給休暇の付与計算、取得状況の確認、法改正への対応…。
「この管理方法で本当に問題ないだろうか?」と不安を抱えながら、煩雑な業務に追われていませんか?
当サイトでは、担当者の方が抱えるそのようなお悩みを解決し、工数を削減しながらミスのない管理体制を構築するための実践的なノウハウを解説した資料を無料配布しています。
◆この資料でわかること
-
年5日の取得義務化で、企業が対応すべき3つのポイント
-
すぐに使える!Excelでの年次有給休暇管理簿の作り方
-
複雑なケース(前倒し付与など)の具体的な対応フロー
最新の法令に対応した、効率的で間違いのない有休管理のために、ぜひこちらから資料をダウンロードの上、ルールの見直しにお役立てください。
勤怠・給与計算のピックアップ
-



有給休暇の計算方法とは?出勤率や付与日数、取得時の賃金をミスなく算出するポイントを解説
勤怠・給与計算公開日:2020.04.17更新日:2026.03.19
-


36協定なしの残業は違法!残業時間の上限や超えたときの罰則などを解説
勤怠・給与計算公開日:2020.06.01更新日:2026.03.10
-


社会保険料の計算方法とは?計算例を交えて給与計算の注意点や条件を解説
勤怠・給与計算公開日:2020.12.10更新日:2025.12.16
-


在宅勤務における通勤手当の扱いや支給額の目安・計算方法
勤怠・給与計算公開日:2021.11.12更新日:2025.03.10
-


固定残業代の上限は45時間?超過するリスクを徹底解説
勤怠・給与計算公開日:2021.09.07更新日:2025.11.21
-


テレワークでしっかりした残業管理に欠かせない3つのポイント
勤怠・給与計算公開日:2020.07.20更新日:2025.02.07
法改正関連記事の関連記事
-

勤怠・給与計算【2024年問題】物流・運送業界における勤怠管理の実態調査 時間外労働の上限規制について70%以上は「把握している」が「労働時間の集計が正しくできている」と回答した企業は30%以下
公開日:2023.11.20更新日:2025.09.29
【2024年問題】物流・運送業界における勤怠管理の実態調査 時間外労働の上限規制について70%以上は「把握している」が「労働時間の集計が正しくできている」と回答した企業は30%以下
勤怠・給与計算公開日:2023.11.20更新日:2025.09.29
-


インボイス制度が美容室に与える影響や対策について解説
経費管理公開日:2022.02.05更新日:2025.06.18
-


インボイス制度に対応した補助金の種類や受給条件とは
経費管理公開日:2022.02.04更新日:2025.06.18
有給休暇の関連記事
-


有給休暇の計画的付与制度とは?導入方法や注意点を紹介
勤怠・給与計算公開日:2024.12.26更新日:2026.01.30
-


有給休暇の取得率とは?現状や計算方法・メリット・向上させる方法を解説
勤怠・給与計算公開日:2024.12.25更新日:2025.10.06
-


傷病手当金と有給休暇どちらを優先すべき?優先度や両者の違いを解説
勤怠・給与計算公開日:2024.12.25更新日:2026.01.27














