労働時間の法律は改正される?2024年から2026年の法改正の流れ・要点を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働時間の法律は改正される?2024年から2026年の法改正の流れ・要点を解説

要点説明

2019年の働き方改革以降、労働時間をめぐる法規制は段階的に見直されてきました。2023年までに労働基準法をはじめとする関連法令の改正が相次ぎ、従来は問題とされなかった働き方が、現在では法令違反となるケースも少なくありません。

さらに、2024年4月には時間外労働の上限規制に関する猶予期間が終了し、業種を問わず対応が求められる場面が増えています。加えて、今後は2026年を見据えた労働時間制度の見直しも議論されており、企業には中長期的な視点での対応が求められます。

この記事では、2023年以降の法改正の流れを整理したうえで、2024年から2026年にかけて想定される労働時間規制のポイントを解説します。人事担当者として押さえておきたい最新動向と、今後に備えて考えるべき実務対応を確認していきましょう。

関連記事:2026年、労働基準法が40年ぶりに大改正へ!重要ポイントと企業が備えるべき対応

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1. 労働時間は2026年法改正(仮)でどう変わる?

はてなの吹き出し

労働時間をめぐる法制度については、2024年1月に有識者で構成された「労働基準関係法制研究会」が設置され、労働基準法を中心とした制度全体の検討が本格的に始まりました。

同研究会では、長時間労働の是正が十分に進んでいない現状や、働き方の多様化を踏まえ、労働時間規制のあり方を抜本的に見直す必要性について議論が重ねられてきました。その成果として、2025年1月に、改正案の方向性を示した「労働基準関係法制研究会報告書」が公表されています。

なお、現時点では、具体的な法案はまだ成立していません。労働政策審議会・労働条件分科会において、報告書の内容を踏まえた審議が継続している段階です。2025年10月には新政権の高市早苗氏が「心身の健康維持と従業員の選択を前提にした労働時間規制の緩和」を厚労大臣に指示したことも報じられており、企業の労務管理に大きな影響を与える可能性が高いため、今後も注視が必要です。

次の章では、労働基準関係法制研究会報告書をもとに、労働時間に関する主な法改正案の方向性を整理します。

参考:労働基準関係法制研究会|厚生労働省

2. 労働時間に関する法改正案

ガベルと本労働基準関係法制研究会報告書では、複数の見直し案が示されています。いずれも現時点では確定した内容ではありませんが、今後の法改正を見据えるうえで重要な論点です。

ここでは、企業の実務に影響が大きいと考えられる労働時間に関する改正案のポイントを整理します。

2-1. 最長労働時間規制に関する法改正案

報告書では、時間外・休日労働の上限規制そのものを直ちに変更するのではなく、上限規制の実効性を高める方向での見直しが検討されています。主な論点は次のとおりです。

  • 時間外・休日労働の上限規制
    2019年に導入された上限規制は、一定の効果を上げているものの、引き続き実態把握が必要です。「長時間労働を前提としない働き方」に適した制度とするため、見直しに向けた議論を続けていくことが重要とされています。
  • 企業による労働時間情報の開示
    長時間労働の是正を促す手段として、時間外・休日労働の実態について、企業外部(求職者等)や企業内部への情報開示を進めることが有効とされています。
  • テレワーク等の柔軟な働き方
    テレワークは労働時間の把握が難しく、長時間労働につながるおそれがある点が課題とされています。加えて、現行のフレックスタイム制は部分的な適用ができないため、テレワーク日と通常勤務日が混在する場合には活用しにくいという問題もあります。こうした背景を踏まえて、テレワークの実態に合わせたフレックスタイム制の見直しや、実効的な健康確保措置を前提とした在宅勤務向けのみなし労働時間制の導入可否について検討が進められています。
  • 週44時間特例の見直し
    現行制度では、一定の小規模事業場に限り、法定労働時間を週40時間ではなく週44時間まで認める特例措置が設けられています。しかし、87.2%の事業場が実際には特例を利用していない実態を踏まえ、撤廃を視野に入れた検討が必要とされています。
  • 実労働時間規制が適用されない労働者に対する措置
    労働時間規制が適用されない管理監督者等についても、健康・福祉確保措置について検討すべきとされています。

2-2. 労働からの解放に関する法改正案

労働時間の上限規制に加え、「どれだけ休めているか」という観点から、労働からの解放に関する規制の見直しも議論されています。主な論点は次のとおりです。

  • 休憩
    長時間労働が発生した場合の追加的な休憩の必要性や、働き方の多様化を踏まえた休憩の一斉付与原則の見直しが論点とされています。また、形式的な休憩付与だけでなく、実際に休憩できる環境を整えることの重要性が指摘されています。
  • 休日
    長期間の連続勤務を防ぐため、13日を超える連続勤務を制限する方向での検討が示されています。また、法定休日の特定の義務化についても議論されています。
  • 勤務間インターバル
    現在は努力義務とされている勤務間インターバルについて、「11時間」のインターバル時間の義務化を視野に入れた検討が進められています。
  • つながらない権利
    勤務時間外の対応が労働とならないよう、労働時間と私生活の境界を明確にするためのルール整備が検討されています。
  • 年次有給休暇制度
    取得率が政府目標に達していない現状を踏まえ、計画的な取得を促進する取組の強化が求められています。また、長期間の連続休暇の在り方や、育児休業復帰者・退職予定者に対する時季指定義務の取扱い、年休取得時の賃金算定方法についても、実態を踏まえた整理・検討が必要とされています。

3. 2026年労働時間の法改正に備えて企業がとるべき対策は?

はてなマーク2026年を見据えた労働時間制度の見直しは、現時点ではあくまで検討段階にあり、すべてがそのまま法改正として実現するとは限りません。しかし、労働基準関係法制研究会報告書からは、労働時間管理を「実態ベースで可視化し、長時間労働を前提としない働き方へ転換していく」方向性が一貫して示されています。

企業が今の段階で取り組むべきなのは、新しいルールへの対応策を考えることではなく、自社の働き方がどのような実態になっているのかを客観的に点検することです。

具体的には、

  • 実労働時間を正確に把握できているか
  • 特定の部署や個人に長時間労働が集中していないか
  • 管理監督者やテレワーク勤務者の働き方がブラックボックス化していないか

といった点を把握できているかが重要になります。

また、今回の検討内容では、労働時間の上限規制だけでなく、休憩・休日・勤務間インターバルなど、労働基準関係法制研究会報告書に記載のとおり「労働からの解放」が重視されている点も特徴的です。形式的に制度を整えるだけでなく、実際に休める体制づくりが、今後ますます求められるでしょう。

社会保険労務士の立場から見ると、労働時間の問題は「法律に違反しているかどうか」だけで判断できるものではありません。制度上は問題がなくても、特定の人に負荷が集中していたり、見えない長時間労働が常態化していたりするケースは少なくありません。

そのためには、勤怠管理を単なる労務管理にとどめず、勤怠管理システム等を活用して働き方を可視化するためのデータとして捉える視点が重要です。労働時間の法改正は負担増として受け止められがちですが、見方を変えれば、自社の働き方を見直すよい機会にもなります。今後の制度動向を注視しながら、早めに「見える労働時間管理」へシフトしておくと、将来の選択肢を広げることにもつながるでしょう。

4. 2024年以前の主要な法改正

グラフと虫眼鏡

労働基準法で定められている労働時間や賃金のルールは、これまでも段階的に見直しがおこなわれてきました。ここでは、2023年以前に施行された主な法改正のうち、時間外労働や有給休暇、柔軟な働き方に関する重要なポイントを整理します。

4-1. 2019年施行|時間外労働時間の上限の設定

時間外労働は、36協定を労使で締結し、労働基準監督署へ届け出ることで、企業が労働者に命じられる制度です。

以前は明確な罰則規定がなかったところ、2019年に労働基準法が改正され、時間外労働時間の上限が「原則月45時間・年360時間」と明文化されました。特別条項付き36協定を締結した場合でも、次の事項を守らなければなりません。

  • 時間外労働が年720時間以内
  • 時間外労働+休⽇労働の合計が⽉100時間未満
  • 時間外労働+休⽇労働の合計が2~6ヵ月平均すべて⽉80時間以内
  • 時間外労働の⽉45時間超過は年6回まで

この改正は、長時間労働による健康障害・過労死などの社会問題を背景に施行されました。

なお、当サイトでは、法改正で整備された6つの項目のうちの1つ「残業時間の上限規制」を始め、残業の定義や割増率の計算方法など、残業に関するルールを網羅的にまとめた資料を無料で配布しています。テキストだけでは理解しにくいところも、図とイラストを用いてわかりやすく解説しているので、こちらから資料をダウンロードしてぜひご覧ください。

参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省

関連記事:時間外労働の上限規制はいつから?上限時間と罰則・労働時間管理のポイントを解説

4-2. 2019年施行|年5日間の有給休暇取得の義務化

2019年の改正では、年次有給休暇の取得促進を目的として、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、年5日以上の有給休暇を取得させることが企業の義務となりました。

従来は、有給休暇の取得は労働者の権利とされつつも、自由に休めない労働者が多い実態がありました。この状況を受け、企業が主体的に取得を確保する仕組みとして施行されています。

なお、有給休暇は正社員に限らず、一定の要件を満たすパート・アルバイトにも付与されるため、注意が必要です。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省

関連記事:有給休暇年5日の取得義務化とは?企業がおこなうべき対応を解説

4-3. 2019年施行|フレックスタイム制の清算期間が最大3ヵ月に延長

フレックスタイム制は、労働者が始業・終業時間を自由に選択できる制度です。2019年の改正により、清算期間の上限が1ヵ月から最大3ヵ月に延長されました。

これにより、繁忙期と閑散期に応じて労働時間を配分しやすくなり、業務の繁閑に合わせた柔軟な働き方が可能となっています。

なお、フレックスタイム制では1日8時間の法定労働時間の制限は適用されません。清算期間内での労働時間管理が必要です。

参考:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省

4-4. 2019年施行|高度プロフェッショナル制度の創設

働き方改革法では、一定の高度専門職を対象に、労働時間規制や割増賃金の適用を除外し、成果で評価する働き方を認める高度プロフェッショナル制度が創設されました。

対象職種は、金融商品の開発やアナリスト、研究開発など専門性が高く、業務遂行方法や時間配分を労働者の裁量に委ねる必要がある業務で、年収が一定額(1,075万円以上)を超える労働者に限られます。

一方で、長時間労働を防ぐため、年104日以上の休日確保や健康診断など、健康面を考慮した措置をとることも義務づけられています。

参考:⾼度プロフェッショナル制度わかりやすい解説|厚生労働省

4-5. 2019年施行|管理職を含む労働時間把握の義務化

2019年の改正では、すべての労働者について労働時間を把握することが企業の義務となりました。対象には、一般社員だけでなく、管理監督者も含まれます。

「本人が自主的に働いた時間」であっても、実態として労働時間に該当する場合には、企業が把握・管理しなければなりません。企業は原則として「客観的な方法」により労働時間を1分単位で管理する必要があります。

参考:働き方改革関連法のあらまし(改正労働基準法編)|厚生労働省

関連記事:労働時間の把握が義務化!法改正の内容と対応方法とは?

4-6. 2019年施行|勤務間インターバル制度の努力義務

勤務間インターバル制度は、前日の退勤から翌日の出勤までに一定の休息時間を確保する仕組みです。法的義務ではありませんが、健康確保の観点から努力義務として導入が推奨されています。

十分な休息時間を確保することで、疲労の蓄積や健康リスクの軽減につながります。厚生労働省では、中小企業向けに助成金制度を設けるなど、導入支援もおこなっています。

参考:勤務間インターバル制度について|厚生労働省

4-7. 2023年施行|60時間を超える時間外労働の割増賃金率

2019年に施行された「働き方改革関連法」により、企業規模や業種を問わず、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられました。中小企業については猶予期間が設けられていましたが、2023年4月からはすべての企業に適用されています。

残業時間と割増率の解説

参考:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省

4-8. 2024年施行|時間外労働の上限規制の完全適用

時間外労働時間の上限規制は、2019年の働き方改革関連法以降、段階的に適用が進められtてきました。業務の特殊性などから一部の業種には猶予期間が設けられていましたが、2024年4月をもって猶予が終了し、上限規制が全面適用となっています(一部特例あり)。

猶予期間が設けられていた主な業種は、次の4つです。

  • 建築業(工作物の建設の事業)
  • 運送業(自動車運転の業務)
  • 医療業(医業に従事する医師)
  • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

これらの業種についても、猶予期間中に労働時間管理の見直しや人員体制の整備を進め上限規制を厳守できる体制づくりが求められてきました。猶予期間終了後は、原則として他の業種と同様に「月45時間・年360時間」の上限を遵守する必要があります。ただし、業種ごとに特例的な上限が設けられており、次のような取扱いとなっています。

【2024年4月以降の各業種の時間外労働の上限】

事業・業務 猶予後の取り扱い(2024年4月~)
建設業 すべての上限規制が適用されます。

※ただし、災害の復旧・復興の事業には、

・時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満

・時間外労働と休⽇労働の合計が2~6ヵ月平均80時間以内

の規制が適用されません。

運送業 特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が「年960時間」となります。

※次の規制は適用されません。

・時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満

・時間外労働と休⽇労働の合計が2~6ヵ月平均80時間以内

・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回まで

医師 特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外・休日労働の上限が「最大1860時間」となります。

※次の規制は適用されません。

・時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満

・時間外労働と休⽇労働の合計が2~6ヵ月平均80時間以内

・時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回まで

砂糖製造業 すべての上限規制が適用されます。

参考:時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務|厚生労働省

参考:建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制特設サイト「はたらきかたススメ」|厚生労働省

参考:医師の働き方改革の制度について|厚生労働省

5. 労働時間の法改正内容を正しく把握して事前に準備しよう

対話する男女

労働基準法をめぐるこれまでの改正によって、時間外労働には罰則付きの上限が設けられ、有給休暇の取得義務化やフレックスタイム制の拡充など、労働時間管理の在り方は大きく変わってきました。さらに今後は、「最長労働時間規制」だけでなく、休憩・休日・勤務間インターバルといった「労働からの解放」も含めた制度設計が議論されています。

2026年を見据えた法改正は、現時点では検討段階にありますが、労働時間を実態ベースで把握し、長時間労働を前提としない働き方へ転換していくという方向性は明確になりつつあります。そのためには、法改正の内容を追うだけでなく、自社の労働時間の実態を把握し、継続的に見直せる体制を整えておくことが重要です。

法律が求める基準をすべて人の手で管理することは容易ではありません。勤怠管理システムなどを活用して労働時間を可視化することで、法改正への備えと同時に、より無理のない、持続可能な働き方へとつなげていきましょう。

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