ストック休暇とは?メリット・デメリットや導入方法・事例を紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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ストック休暇とは?メリット・デメリットや導入方法・事例を紹介

ストック休暇

「ストック休暇とはどのような制度なの?」

「ストック休暇を導入するメリットやデメリットが知りたい」

「ストック休暇の具体的な導入方法や事例を教えてほしい」

上記のような疑問はないでしょうか。

ストック休暇とは、従業員が使いきれなかった有給休暇を積み立て、将来必要なときに活用できる制度です。

本記事では、ストック休暇の概要や導入のメリット・デメリット、さらに導入方法や成功事例をわかりやすく解説します。

最後まで読むことで、ストック休暇の導入に必要な知識を得られ、企業内での効果的な運用に役立つヒントが得られるでしょう。


1. ストック休暇とは

ストック休暇とは

ストック休暇とは、消化しきれなかった有給休暇を積み立て、将来必要な時に使用できるようにする企業の自主的な制度です。

通常、有給休暇は2年で失効します。しかし、ストック休暇を導入すれば、消滅するはずだった有給休暇を無駄にせず、病気や介護などの長期休暇が必要なときに活用できるのです。

例えば、積み立てた有給休暇を最大100日まで保存し、病気療養や介護、育児など特別な状況で使用するケースがあります。

ストック休暇により、従業員は必要な時に安心して休暇を取れるため、企業にとっても従業員の健康管理や働きやすい環境づくりに役立つでしょう。

2. ストック休暇と有給休暇の違い

ストック休暇と有給休暇

ストック休暇と有給休暇の違いは次の表のとおりです。

項目 ストック休暇 有給休暇
法的義務 企業が任意で導入する 労働基準法第39条に定められた法定休暇
目的 企業が設定する用途に限定されることが多い 従業員が自由に取得可能
失効 失効した有給休暇を積み立てる 最大2年で失効
日数制限 企業が設定する 労働基準法にもとづく
賃金の支払い 企業によって異なる 取得日も通常の賃金が支払われる
取得の義務 なし 年5日以上の取得が義務

有給休暇は、労働基準法第39条にもとづき、一定の条件を満たすすべての従業員に対して付与が義務付けられた制度です。年間10日以上の有給休暇が付与される従業員には、少なくとも5日間の取得が義務化されています。

一方、ストック休暇は法律で定められているものではなく、企業が自主的に運用する制度です。取得理由や日数、時効期間は企業ごとに異なり、就業規則で明記されることが一般的でしょう。

さらに、有給休暇を取得するときには通常の日給がそのまま支払われますが、ストック休暇の場合、企業の裁量により賃金額が設定されます。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

3. ストック休暇を導入するメリット

ストック休暇のメリット

ストック休暇を導入するメリットは次の2つです。

  1. 従業員が安心して働ける環境が作れる
  2. 優秀な人材の確保につながる

3-1. 従業員が安心して働ける環境が作れる

ストック休暇の導入により、従業員は病気や介護、育児など、予期せず長期休暇が必要な場合でも安心して働きつづけられる環境が作れます

例えば、長期の療養が必要な場合に、積み立てた有給休暇を使用することで、復帰後もスムーズに職場に戻れるでしょう。

従業員は不足の事態に備えられるため、ストレスを軽減し、仕事への集中力も高まります。

3-2. 優秀な人材確保につながる

ストック休暇は、柔軟な働き方を求める人にとって大きな魅力です。ワークライフバランスを重視する求職者が増えている中、この制度がある企業は優秀な人材を引きつけやすくなるでしょう。

例えば、育児や介護と仕事を両立したい人にとって、ストック休暇の存在は安心できる要素になります。育児中の従業員が安心して仕事を続けられ、退職者が減る効果が期待できるでしょう。

4. ストック休暇を導入するデメリット

ストック休暇のデメリット

  1. コストが増える
  2. 制度が機能しないと従業員の意欲が低下する

4-1. コストが増える

ストック休暇を導入すると、企業は従業員が積み立てた有給休暇を利用するときに人件費の増加が避けられません。本来であれば時効によって消滅するはずの有給休暇が保存され、休暇取得に伴って支払う必要が生じるからです。

さらに、休暇の残日数の管理が複雑化し、管理コストも発生します。

特に、従業員数が多い企業では、休暇の管理が煩雑になり、システム導入や管理体制の強化が求められる場合があるでしょう。

4-2. 制度が機能しないと従業員の意欲が低下する

ストック休暇を導入しても、制度がうまく機能しないと、従業員の意欲が低下するリスクがあります

制度を導入していても、忙しい職場で休暇が取りにくい状況がつづくと、従業員が制度を利用できず、無力感を感じることがあるためです。

結果として、ストック休暇の存在意義が無くなり、従業員のモチベーションが低下します。

ストック休暇を効果的に運用するには、利用しやすい職場環境を整えることが重要です。

5. ストック休暇の導入方法

ストック休暇の導入方法

ストック休暇を導入する方法は次の手順です。

  1. 運用ルールを明確にする
  2. 就業規則を改定する
  3. 従業員へ周知する
  4. 制度の運用とフォローアップをする

5-1. 運用ルールを明確にする

まず、ストック休暇について、社内の運用ルールを明確に定めます。

運用ルールは以下の事項を検討しましょう。

項目 内容
積立できる日数の上限 年間または積立できる日数の上限を設定する
休暇の取得単位 全日、半日、時間単位など、取得できる単位を設定する
有効期限 積み立てた休暇の有効期限を定める
利用目的 病気療養、介護、育児など利用できる目的を定める

運用ルールを定めるときには、あらかじめ従業員へヒアリングをして、実際に利用しやすい形で制度を整えることが重要です。意見を取り入れながら、制度が効果的に機能するようなルール作りを心がけましょう。

5-2. 就業規則を改定する

ストック休暇を導入する際は、労働条件が変わるため、就業規則の改定が必要です。

さらに、常時10人以上の従業員がいる企業では、労働組合や従業員代表者の意見書を添付したうえで労働基準監督署への届出が必要になります

就業規則に明確にルールを記載することで、トラブルの予防にもなるでしょう。

参考:就業規則を作成しましょう | 厚生労働省

5-3. 従業員へ周知する

就業規則の改定後は、ストック休暇を従業員に周知しましょう

効果的な周知方法は以下のとおりです。

  • 社内掲示板を利用する
  • 社内ネットワークを利用する
  • 書面で通知する
  • 説明会を開催する

社内環境に応じて、ストック休暇が従業員全員に浸透するよう工夫していきましょう。

5-4. 制度の運用とフォローアップをする

制度が導入された後も、従業員がストック休暇を利用しているか定期的に確認し、必要に応じてフォローアップをしましょう。

とくに初期段階では、従業員からのフィードバックを受け取ることで運用上の課題を改善でき、より良い制度運用を目指せます。

6. ストック休暇を導入するときの注意点

ストック休暇導入の注意点

ストック休暇を導入するときの注意点は次の3つです。

  1. 退職時のストック休暇の扱いを明確にする
  2. ストック休暇の給与・賞与への影響を決める
  3. 休暇取得を促進する環境作りをする

6-1. 退職時のストック休暇の扱いを明確にする

ストック休暇を導入するときには、退職時の扱いをあらかじめ決めておくようにしましょう。退職の扱いが不明瞭で起こるトラブルを未然に防げるためです。

例えば、退職時にストック休暇が未消化の場合、退職日までに消化させるか、退職金に上乗せして支払うかを明確にしましょう。退職金に上乗せする場合は、従業員にその旨を事前に通知し、誤解を防ぐことが必要です。

6-2. ストック休暇の給与・賞与への影響を決める

ストック休暇を取得した日数について、給与や賞与にどのように影響するかを事前に決めておきましょう。扱いがあいまいだと、従業員との認識がずれていた場合に問題になりやすいためです。

有給休暇は通常、出勤扱いとなりますが、ストック休暇の扱いは企業ごとに設定する必要があります。例えば「ストック休暇は賞与の査定時は出勤扱いにする」など決めておきましょう。

扱いの設定後は、従業員に周知をすることで、制度導入後の誤解やトラブルを防げます。

6-3. 休暇取得を促進する環境作りをする

休暇取得を促進する環境作りをすることも注意点です。ストック休暇を導入しても、従業員が利用できない雰囲気がある場合、制度が機能しません。

とくに忙しい職場では、長期休暇を取りづらいことがあります。業全体で休暇取得を推奨し、従業員が気軽に休暇を申請できる環境作りが重要です。

制度を定着させるためには、休暇取得の促進を積極的にして、職場文化の改善にも取り組む必要があります。

7. ストック休暇の導入事例

ストック休暇の導入事例

ストック休暇の導入事例を2社紹介します。

  1. 大手生命保険会社A社
  2. 大手製造業B社

7-1. 大手生命保険会社A社

大手生命保険会社A社は、傷病時の検診や通院など治療を目的として「傷病ストック休暇」を導入しています

制度の特徴は次のとおりです。

  • 最大60日まで積立可能
  • 1時間単位で取得可能
  • 病気以外の理由でも使用可能

大手生命保険会社A社のストック休暇は、従業員の健康と働きやすさを重視した制度です。最大60日まで積み立てができ、急な病気や家族の介護など、長期的に休みが必要な場面でも柔軟に対応できるよう設計されています。

また、1時間単位での休暇取得が可能であるため、短時間の通院や検診にも活用できることが特徴です。仕事を休む負担を最小限に抑えられるでしょう。

リフレッシュや育児など多様な目的で利用でき、従業員のワークライフバランスを支援する制度として効果的に機能しています。

7-2. 大手製造業B社

大手製造業B社は、従来は本人の病気やケガの治療を目的として、2005年にストック休暇を導入しました。

制度の特徴は次のとおりです。

  • 最大40日まで積立可能
  • 多様な利用目的に対応
  • ほかの休暇と組み合わせ可能

大手製造業B社のストック休暇は、失効した年次有給休暇の最大40日分を積み立て、特定の理由に対して有給で利用できるようにしています。

傷病や育児休職、介護だけでなく、不妊治療や学級閉鎖など、幅広いライフイベントに対応できることが特徴です。

また、無給の育児休暇中にストック休暇を使用することで、経済的な負担を軽減でき、長期的に安心して休暇を取得できる仕組みが整えられています。

8. ストック休暇を導入して多様な働き方を取り入れよう

ストック休暇を取り入れよう

ストック休暇は、従業員が使い切れなかった有給休暇を積み立てて、病気や介護、育児などに活用できる制度です。

ストック休暇を効果的に運用するためには、制度の目的や利用ルールを明確に伝え、従業員が積極的に活用できる環境を整える必要があります

本記事で解説したストック休暇の導入方法や成功事例を参考に、ストック休暇を活用した働き方を取り入れ、企業全体の成長につなげましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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