育休明けの部署異動は違法?命じる際の注意点や対応を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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育休明けの部署異動は違法?命じる際の注意点や対応を解説

育休「育児明けの社員に部署異動を命じるのは違法?」

「育児明けの社員に命じる際の注意点は?」

上記のような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。育休明けの社員に部署異動を命じることは違法ではありません。

今回は、育休明けの社員に部署異動を命じることの違法性や命じる際の注意点、対応を解説します。

育休明けの異動対応に備え、どのような知識が必要か事前に整理しておきましょう。

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1. 育休明けの社員に部署異動は違法ではない?

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育休明けの社員に部署異動を命じることは違法ではありません。就業規則などに明記されていれば、会社には一定の範囲で命令権があります。

厚生労働省ではモデル就業規則を出しており、その中では以下のような記載があります。

労働者を採用した後、会社が業務上の理由から就業場所や従事する業務を変更することは、変更がない旨の特別な合意等がない限り可能です。しかしながら、労働者の意に沿わない就業場所等の変更を命じた場合、トラブルが生じ得ますので、本規則のように就業規則に明記しておくことが望ましいと言えます。もちろん、労働者の同意を得るようにすることが大切であることは言うまでもありません。なお、労働者の就業場所を変更しようとする場合には、労働者の育児や介護の状況に配慮しなければなりません(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」といいます。)第26条)

参考:厚生労働省労働基準局監督課|モデル就業規則

上記のような就業規則であった場合は、命じられた社員は従う必要があります。

しかし、報復や退職させるためなど、悪質な転勤命令は社員にとって大きな負担です。悪質性が認められた場合、裁判で転勤命令が無効になることもあります。

2. 育休明けの部署異動が大変とされている理由

異動

育休明けの社員の部署異動が大変とされている理由は、次の通りです。

  1. 育児との両立に時間と体力の限界を感じるから
  2. 慣れない環境への適応に苦労するから

それぞれ詳しく解説します。

2-1. 育児との両立に時間と体力の限界を感じるから

育休明けの部署異動が大変なのは、仕事と育児の両立が難しいためです。朝は子どもの送り迎えを終えてから出勤し、仕事が終わったあとは家事に取りかからなければいけません。

そういった状況が続くと、時間だけでなく体力的にも限界を感じることもあります。子どもが小さければ夜泣きや体調不良などの突発的な問題もあり、負担がますます増加するでしょう。

社員の負担が増加すると、業務の生産性低下や、ストレスによる早期退職のリスクがあるので注意が必要です。

リスクを減らすためにも、企業側の配慮やサポートが重要になります。

2-2. 慣れない環境への適応に苦労するから

育休明けの部署異動は、慣れない環境への適応も大変な理由です。育休明けに復職するだけでも慣れるのに苦労しますが、異動も加わることでさらに負担が強まります

慣れない環境で試行錯誤が続くことで、社員のストレスやプレッシャーが高まり、心身共に疲弊することもあります。

社員の負担を減らすためにも、企業側は社員に対して新しい部署に関する明確な説明が必要です。

3. 育休明けの部署異動を従業員に乗り切ってもらうために必要なこと

話し合い

育休明けの部署異動を従業員に乗り切ってもらうために必要なことは、次の通りです。

  1. 周囲にサポートを促す
  2. メンタル面を大切にするよう伝える
  3. 積極的にコミュニケーションを取る

それぞれ詳しく解説します。

3-1. 周囲にサポートを促す

育休明けに部署異動する社員がいる場合は、周囲にサポートを促しましょう。自分一人で抱え込まずに、職場と連携を図ることで、社員の負担を減らせます。

具体例としては、業務の役割分担や周囲の積極的な声がけが挙げられます。

子育てと仕事を両立している社員がすでにいる場合は、アドバイスするよう促すのも効果的です。具体的な心構えや方法を聞くだけでも、社員は安心します。

3-2. メンタル面を大切にするよう伝える

育休明けに部署異動する社員には、メンタル面を大切にするよう伝えてください。育児と仕事の両立は、本人も知らないうちにストレスが溜まりやすいからです。

例えば、日頃の小さな達成を認めてあげることもモチベーションの維持につながります。定期的な休息や息抜きも提案し、社員の負担を少しでも和らげてあげましょう。

産業医やカウンセリングなど、メンタルをサポートしてくれる機関を頼るのも効果的です。

3-3. 積極的にコミュニケーションを取る

育休明けに部署異動する社員には、積極的にコミュニケーションをとることが重要です。復職面談の場を設けたり、日常的に声を掛けたりしましょう

社員も自分の悩みなどを打ち明けやすくなることで気が楽になるはずです。仕事内容や役割が明確になり、安心感を持って業務に取り組める職場作りに繋がります。

4. 育休明けの社員に部署異動を命じる際の注意点

ブロック

育休明けの社員に部署異動を命じる際の注意点は、次の通りです。

  1. 転勤命令を書面で交付する
  2. 社員の家庭状況を把握する
  3. 転勤命令を前もって定める

それぞれ詳しく解説します。

4-1. 転勤命令を書面で交付する

転勤命令は書面で交付しましょう。転勤命令を辞令として書面で交付することで、客観的に命令を出したことが分かりやすくなります

社員が転勤命令を拒否した場合でも、命令拒否に対する処分をする上で効果的です。口頭だけでは転勤命令の証拠に欠け、あとでトラブルになることもあるので注意しましょう。

転勤命令を書面で交付することは、社員が転勤命令に従わなかった場合の処分を正当化する際の証拠としても有効になります。

辞令には転勤日時や対象者名、発行者や転勤の内容を明記しましょう。

4-2. 社員の家庭状況を把握する

育休明けの社員に部署異動を命じる前は、社員の家庭状況を把握しておきましょう。状況を把握せずに命じる行為は、社員への配慮に欠けるためです。

配慮に欠けると職場への不信感が高まり、モチベーションの低下や離職率の増加につながる恐れがあるので注意しましょう。

把握しておくべき状況は、次のものが挙げられます。

  • 現住所
  • 住宅費の負担
  • 社員の健康状態
  • 育児や介護の状況
  • 子供の就学の有無
  • 配偶者や扶養家族の有無
  • 未成年者や要介護者の状況
  • ほかの家族による育児の状況
  • 同居家族の属性や人数などの詳細
  • 共働きと専業主婦のどちらに該当するか

社員の意向を確認した上で、個人的な事情として転勤が難しくないかを判断することが大切です。

4-3. 転勤命令を前もって定める

転勤命令については、前もって就業規則や雇用契約書などに定めておきましょう。入社時から転勤の可能性があることを明示しておくことで、トラブルの防止につながるためです。

例として、「業務上の都合で転勤を命ずることがある」と規定があれば、制度として理解されやすくなります。

転勤対象者の要件やルール、金銭面などの条件も定めておき、社員の疑問を可能な限り払拭しましょう。

転勤対象者の要件や通知タイミング、転勤手当や引越し費用の補助などの金銭面の条件も明文化してください。ルールを事前にしっかり整備することで、不要なトラブルを未然に防げます。

5. 育児を理由に部署異動を拒否された場合の対応

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育児を理由に部署異動を拒否された場合の対応は、次の通りです。

  1. 転勤の必要性を説明する
  2. 転勤できないことを証明するための資料を提出してもらう

それぞれ詳しく解説します。

5-1. 転勤の必要性を説明する

育児を理由に部署異動を拒否される場合は、転勤の必要性を説明しましょう。

育児中の社員に転勤命令を出す行為は、社員だけでなく家族にも負担が掛かることがあるため、必要性を理解してもらわなければなりません

社員に説明するべき事項は、次の通りです。

  • 転勤が必要な理由
  • 転勤対象者に選んだ基準
  • 転勤後の勤務地や職務内容
  • 転勤後の勤務条件
  • 転勤後の通勤所要時間や通勤経路

転勤にともなう手当や引っ越し費用補助などの支援内容

転勤になる理由や転勤後の具体的な詳細も一緒に説明し、納得してもらえるよう努めましょう。

5-2. 転勤できないことを証明するための資料を提出してもらう

育児を理由に部署異動を拒否された場合は、転勤できないことを証明するための以下のような資料を提出してもらいましょう

  • 診断書やカルテなどの子どもの健康状態を証明する資料
  • 子どもの通園先や通学先を証明する資料
  • 配偶者や扶養家族がいることを証明する資料

同時に、転勤できない理由も確認します。資料の内容や理由によっては、会社が転勤命令の見直しを検討する必要性もあるからです。

6. 育休明けの部署異動を適切におこなおう

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育休明けの社員に部署異動をおこなうことは、違法ではありません。原則として、命じられた社員は従う必要があります。

しかし、育児との両立や環境への適応などの理由で、社員に大きな負担がかかるのも確かです。社員の負担を少しでも和らげられるよう、周囲にサポートを促したり、積極的にコミュニケーションを取るよう促したりすることも大切になります。

トラブルが起きないよう、社員の家庭状況を把握した上で、転勤命令を書面で交付しましょう。転勤命令を前もって定めておくことも重要です。

育児を理由に拒否された場合は、転勤の必要性を説明したり、転勤できないことを証明するための資料を提出してもらったりしましょう。

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人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。

しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

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