健康診断は会社の義務!実施内容や費用負担・受けないとどうなるかを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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健康診断は会社の義務!実施内容や費用負担・受けないとどうなるかを解説

患者の足を検査する医師

「健康診断は会社の義務?」

「健康診断を実施する際に会社がすべきことは?」

上記の疑問をお持ちではありませんか。

健康診断は、法律で定められた会社の義務です。全従業員を対象とした適切な健康診断を実施することについて、会社には責任があります。会社がやるべきことを把握し、円滑な健康診断の実施をはかりましょう。

本記事では、会社の健康診断の法的背景や注意点を詳しく解説します。果たすべき役割や受けない従業員の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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1. 健康診断は会社の義務

家のソファで年配女性を診察する医師

健康診断の実施は、会社の義務です。労働安全衛生法第66条には、雇用者が従業員に対して医師による健康診断をおこなうことが明記されています。

企業が健康診断を実施しない場合は、50万円以下の罰金が科される可能性があるため注意が必要です。また、従業員が健康診断を受けないことで健康被害が発生した場合は、安全配慮義務違反として責任が問われるおそれもあります。

法的リスクを回避するために、適切な時期に全従業員を対象とした健康診断を実施することが大切です。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

参考:労働契約法|e-Gov法令検索

2. 健康診断の実施率・受診率の現状

チェック項目にチェックする医師

厚生労働省の調査によると、定期健康診断の実施率は91.9%です。従業員が50人以上の事業所は実施率が100%に近い一方、小規模事業所では90%を下回っています。

同じく厚生労働省の調査によると、企業における定期健康診断の受診率は81.5%です。すべての事業所規模で90%を下回っており、実施率に対する受診率の低さがわかります。

健康診断の未受診は「面倒だった」「多忙だった」などが主な理由です。健康診断を受診する重要性を理解できていない従業員が多く存在することがわかります。

参考:平成24年「労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)」の概況|厚生労働省

3. 健康診断の対象者

カルテを書く医師

労働安全衛生法では、健康診断の対象者は常時使用する労働者と明記されています。主な対象者は以下のとおりです。

  • 正社員
  • 一部の役員
  • 一定条件を満たす契約社員
  • 一定の条件を満たすパートタイム労働者

正社員の場合は、雇用状況や年齢にかかわらず全員が対象となります。

一方で契約社員やパートタイム労働者は、以下のどちらにも当てはまる人が健康診断の対象です。

  • 週の所定労働時間が正社員の4分の3以上
  • 雇用期間が1年以上見込まれる

また、工場長や支店長など、役員でありながら労働者として働く人も対象となります。業務内容によって対象になるかどうかが異なるため、あらかじめ確認が必要です。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

4. 会社で実施すべき健康診断の主な種類

スマホを見ながらチェック項目にチェックする様子

会社で実施すべき健康診断の主な種類は、以下の2つです。

  • 一般健康診断
  • 特殊健康診断

4-1. 一般健康診断

一般健康診断とは、業種や職種を問わずすべての企業に義務づけられている健康診断のことを指します。従業員の健康状態を把握し、職場環境での健康リスクを早期に発見することが目的です。

一般健康診断には、以下のような種類があります。

雇入れ時健康診断 新たに雇用された従業員が対象で、入社時に実施される
定期健康診断 常時使用される従業員に対して、1年以内ごとに1回実施される
特定業務従事者の健康診断 特定の業務に従事する労働者を対象に実施される
海外派遣労働者の健康診断 海外に6ヵ月以上派遣される従業員を対象に実施される
給食従業員の検便 給食業務に従事する労働者を対象に実施される

雇入れ時の健康診断と定期健康診断は、すべての企業で共通して実施が必要です。法律で定められた頻度と内容を正確に把握し、適切なタイミングで実施しましょう。

4-2. 特殊健康診断

特殊健康診断とは、法律で定められている有害な業務を担当する労働者を対象に実施される健康診断のことです。一般健康診断とは異なり、特定のリスクを伴う業務環境や作業内容に関連した健康障害を予防することを目的としています。

対象となる業務は、主に以下のとおりです。

  • 高気圧業務
  • 放射線業務
  • 特定化学物質業務
  • 石綿業務
  • 鉛業務
  • 有機溶剤業務

特殊健康診断は、実施頻度や項目が法令で厳密に定められています。雇入れ時や配置替え時に必ず実施し、その後も一定間隔で継続的に実施する点が特徴です。

検査項目や実施頻度は対象となる業務によって異なるため、適切に実施するために事前に確認しておきましょう。

5. 健康診断を実施する際に会社側でやるべきこと

黒背景でチェック項目にチェックする

健康診断を実施する際に会社側でやるべきことは、以下のとおりです。

  1. 医療機関を選定する
  2. 健康診断の日程や場所を従業員に通知する
  3. 健康診断結果を従業員に通知する
  4. 健康診断個人票を作成して5年間保存する
  5. 定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出する

それぞれ、順に解説します。健康診断を適切に実施できるよう、会社に何が求められるのかをしっかり理解しておきましょう。

5-1. 医療機関を選定する

健康診断を実施する際は、まず企業が医療機関を選定します。

医療機関は、法定項目をすべて実施できることが必須です。胸部エックス線検査や血液検査など、法令で定められた検査項目が網羅されているか確認しましょう。

受診可能な人数や予約方法も確認すべき項目といえます。従業員数が多い企業では、一度に対応できる人数やスケジュールを柔軟に調整できるかを調べておくことが重要です。

5-2. 健康診断の日程や場所を従業員に通知する

医療機関の選定後は、健康診断の日程と場所を従業員に通知します。

通知する際は、全従業員が確実に受診できるよう配慮することが重要です。メールや掲示板、社内イントラネットなど、さまざまな手段を活用しましょう。

繁忙期などで従業員が多忙な場合は、リマインダーの送付も効果的です。一週間前や前日に再度通知することで忘れ防止につなげられます。

健康診断は法的義務であり、未受診者が出ると企業側に責任が生じるため、受診率向上策をしっかり講じることが大切です。

5-3. 健康診断結果を従業員に通知する

健康診断終了後はすみやかに結果を従業員へ通知しなければなりません。個別封書や専用システムで結果を渡す方法が一般的です。

有所見者(異常所見があった者)には、保健指導や医師の意見聴取などの措置が求められます。産業医や専門医と連携しながら、適切な対応策を講じましょう。

5-4. 健康診断個人票を作成して5年間保存する

企業が従業員の健康診断を実施した際は、結果をもとに「健康診断個人票」を作成して5年間保存しなければなりません。労働安全衛生法に明記されており、企業の法的責任として厳格に求められています

有害物質を扱う業務など特定の条件下で実施される特殊健康診断の場合は、内容によって保存期間が異なるため注意が必要です。適切な期間保存しないと罰則として50万円以下の罰金が科される可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

健康診断個人票は、産業医や医療機関が健康診断結果に異常があった従業員に適切な対処を実施する際に重要なデータです。情報の漏洩に注意しながら、適切に保存してください。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

5-5. 定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出する

定期健康診断結果報告書の提出は、労働安全衛生規則第52条に明記されている重要な義務です。常時50人以上の従業員を雇用する事業者は、報告書を作成して所轄労働基準監督署に提出しなければなりません。

提出方法は、主に以下の2つが挙げられます。

  • 労働基準監督署への直接持参または郵送
  • 電子申請システム(e-Gov)を利用したオンライン提出

報告書の提出期限については「遅滞なく」とされていますが、一般的には健康診断終了後1ヵ月以内が目安です。記入ミスや漏れがあると手続きが滞る可能性があるため、慎重に確認してから提出しましょう。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

6. 従業員が健康診断を受けない場合の対処法

演説 演壇目線

従業員が健康診断を受けない場合の対処法は、以下のとおりです。

  • 健康診断の重要性・メリットを説明する
  • 受診しやすい環境を整備する

6-1. 健康診断の重要性・メリットを説明する

従業員が健康診断を受けない場合は、健康診断の重要性・メリットを説明しましょう。健康診断の重要性・メリットを理解することで、受診する意味が明確になって受診率が高まる可能性があるためです。

健康診断の重要性・メリットには、主に以下の2つが挙げられます。

  • 健康診断は病気の早期発見と予防につながる
  • 健康状態の変化を比較できる

病気は初期段階では自覚症状がないことが多く、症状が現れた時にはすでに進行している場合があります。健康診断を定期的に受けることで、これらの疾患を早期に発見し、適切な治療や生活習慣の改善が可能です。

また、毎年実施されるため、過去の結果と比較することで体調の経年変化を確認できます。生活習慣や加齢による影響なのか、潜在的な疾患の兆候なのかを判断するための貴重な情報となるでしょう。

健康診断の重要性・メリットを従業員にしっかり伝え、受診の大切さを認識してもらうことが重要です。

6-2. 受診しやすい環境を整備する

従業員が健康診断を受けない場合は、従業員が健康診断を受けやすい環境を整えることも大切です。受診しやすい環境を整えることで、忙しいことを理由に健康診断を受診しない従業員の受診率向上が期待できます

受診しやすい環境を整備したいなら、以下の2点がポイントです。

  • 受診にかかる時間や費用などの負担を減らす
  • 繁忙期を避ける

健康診断の実施場所を従業員の通勤圏内や職場近くに設定することで、移動時間を短縮できます。健康診断にかかる時間を削減することで、心理的負担を軽減できるでしょう。

また、健康診断費用を会社が負担することも効果的です。従業員が抱える経済的な不安を取り除けます。

健康診断の日程を繁忙期以外に設定することも重要です。部署ごとの業務スケジュールや繁忙期を把握し、それぞれの閑散期に合わせて日程を調整するとよいでしょう。

7. 健康診断を実施する際の注意点

注意

健康診断を実施する際の注意点は、以下のとおりです。

  • 健康診断の結果を第三者に提供する際は本人の同意を得る
  • 健康診断を受診していない従業員がいる場合は放置せず対処する

7-1. 健康診断の結果を第三者に提供する際は本人の同意を得る

個人情報保護法により、健康診断結果を第三者に提供する際は本人の同意を得ることが必要と定められています。個人情報の不適切な利用や漏洩を防ぎ、労働者が不利益を被らないようにするためです。

同意取得の方法は、健康診断時の案内や掲示などによる黙示的なものでも問題ありません。ただ、誤解やトラブルを防ぐためにも、書面などでできる限り明確に意思確認するよう心がけましょう。

参考:雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項|厚生労働省

7-2. 健康診断を受診していない従業員がいる場合は放置せず対処する

健康診断を受診していない従業員がいる場合は、放置せず対処する必要があります。

労働安全衛生法では、事業者に対して従業員に健康診断を受けさせる義務が課されているためです。従業員が健康診断を受診していない状況を放置すると、最大50万円以下の罰金を科される可能性があります。

健康診断を受診しない従業員がいる場合は、ヒアリングして理由を聞き出し、適切な対策を講じることが大切です。健康診断が法的義務であることや、重要性について丁寧に説明することも欠かせません。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

8. 健康診断を実施して会社の義務を果たそう

手を挙げて重ね合わせる

健康診断は、従業員の健康を守るだけでなく、企業が法的義務を果たすためにも欠かせない重要な取り組みです。正社員や一定条件を満たす契約社員・パートタイム労働者を対象に適切な健康診断を実施することが求められています。

未実施や受診率の低下は、法的リスクや従業員の健康被害につながる可能性のある危険事項です。企業は医療機関の選定や受診環境の整備、結果通知の徹底などを通じて確実な対応をおこないましょう。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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