健康診断は会社の義務!健診内容や項目、結果の扱い、費用負担を徹底解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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健康診断は会社の義務!健診内容や項目、結果の扱い、費用負担を徹底解説

患者の足を検査する医師

労働安全衛生法に基づき、会社は従業員に健康診断を受診させる義務があります。この義務を怠ると、労働安全衛生法に基づき罰則を受ける可能性があるだけではありません。

従業員が、病気に気づくことができず、健康を害し、休職や離職するおそれもあるなど、会社にとってのリスクです。人事担当者は、会社に実施義務がある健康診断について、やるべきことを把握し、円滑に健康診断を実施しなければなりません。

本記事では、会社がおこなうべき健康診断の実施内容や法的背景、実施にあたっての注意点を詳しく解説します。会社が果たすべき役割や健康診断の受診を拒否する従業員の対処法も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

深夜残業をしたら健康診断は必要?

深夜労働では健康診断が必要と知っていても、「どれくらいで必要になるの?」「深夜労働がメインではなく、残業が深夜帯に及んでしまった場合も必要?」など、具体的な基準を把握できていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向け、当サイトでは深夜労働・深夜残業で健康診断が必要になる基準や、受けさせるべき健康診断の項目について、本記事の内容をまとめた資料を無料で配布しております。

また月80時間を超える時間外・休日労働を行い、さらに疲労の強い従業員から申し出があった場合も、過重労働者として医師による面接指導も必要も必要になります。

深夜労働に対する健康診断や、過重労働に関する面接指導の扱いに不安のある方は、こちらからダウンロードしてご確認ください。

1. 健康診断は会社の義務

診察

健康診断の実施は、会社の義務です。労働安全衛生法第66条により、会社は従業員に対して健康診断を受診させなければなりません。

第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行わなければならない。

引用:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

会社が適切に健康診断を実施しない場合は、罰則が課される可能性があります。はじめに、会社が実施すべき健康診断の内容を解説します。

1-1. どこまで会社の義務?健康診断ですべき内容

健康診断はただ受診させればよいわけではありません。次のような、健康診断に付随する措置も会社がおこなう必要があります。

  • 健康診断個人票の作成・保存
  • 労働者への健康診断の結果の通知
  • 健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
  • 労働者の健康のために必要な措置
  • 健康診断結果に基づく保健指導(努力義務)
  • 健康診断結果の所轄労働基準監督署長への報告(従業員数が50人以上の会社のみ)

会社は従業員に健康診断を受診させた後、その結果を把握し、従業員の健康を保つための措置を講じることも義務となっています。

1-2. 健康診断を実施しないと50万円以下の罰金

会社が健康診断を実施しない場合は、労働安全衛生法第66条違反となり、同法第120条により、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、労働契約法第5条により会社には、労働者の生命・身体の安全を守り、健康に配慮しながら働けるようにする安全配慮義務があります。会社が健康診断を実施せず、従業員に健康障害が生じた際は、安全配慮義務違反と判断されるかもしれません。その場合、従業員から損害賠償請求される可能性も考えられます。

このように、労働安全衛生法の観点だけでなく、労働契約法の観点からも、適切に健康診断を実施し受診を促すことが必要です。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

参考:労働契約法|e-Gov法令検索

1-3. 従業員にも受診義務がある

健康診断に関する義務は会社だけでなく、従業員にも課せられています。会社から健康診断を促された場合は、従業員側にも受診義務があるため正当な理由なく拒むことはできません。

しかし、会社と違って、従業員側には罰則はありません。そのため、従業員が健康診断を拒否する可能性が考えられます。

ここで注意したいのは、たとえ従業員が拒否したために健康診断を受診させることができなかったとしても、会社側が罰則を受けなくてはならない点です。会社は、従業員にも受診義務があることを伝え、受診率100%を目指しましょう。

また、健康診断の受診義務を満たすためには、必ずしも会社が指定する病院で受診する必要はありません。従業員自身が選んだ病院で健康診断を受診しその結果を提出する形式でも受診したことになるので、会社での受診を拒否する従業員には、結果を提出する形を提案するなどして対応しましょう。なお、その場合は検査項目など法定基準を満たしているか事前の確認が重要です。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

2. 会社が実施すべき健康診断の種類

スマホを見ながらチェック項目にチェックする様子

会社で実施すべき健康診断は、「一般健康診断」と「特殊健康診断」の2つがあります。この章では、それぞれの特徴を解説します。

2-1. 一般健康診断

一般健康診断とは、業種や職種を問わず、すべての会社に義務づけられている健康診断のことです。健康診断によって従業員の健康状態を把握し、職場環境での健康リスクを早期に発見します。一般健康診断の種類は、次のとおりです。

雇入れ時健康診断 新たに雇用された従業員が対象で、入社時に実施される
定期健康診断 常時使用される従業員に対して、1年以内ごとに1回実施される
特定業務従事者の健康診断 労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者を対象に実施される
海外派遣労働者の健康診断 海外に6ヵ月以上派遣される従業員を対象に実施される
給食従業員の検便 給食業務に従事する労働者を対象に実施される

雇入れ時健康診断と定期健康診断は、すべての会社で共通して実施が必要です。法律で定められた頻度と内容を正確に把握し、適切なタイミングで実施しましょう。

2-2. 有害業務従事者向けの特殊健康診断

特殊健康診断とは、法律で定められている有害な業務を担当する労働者を対象に実施される健康診断のことです。一般健康診断とは異なり、特定のリスクを伴う業務環境や作業内容に関連した健康障害の予防を目的としています。

特殊健康診断には、次のような種類があります。

  • じん肺健康診断
  • 高気圧作業健康診断
  • 電離放射線健康診断
  • 除染等電離放射線健康診断
  • 鉛健康診断
  • 四アルキル鉛健康診断
  • 有機溶剤等健康診断
  • 特定化学物質健康診断
  • 石綿健康診断
  • 歯科医師による健康診断

特殊健康診断は、実施頻度や項目が労働安全衛生法で定められています。雇入れ時や配置替え時に必ず実施し、その後も一定間隔で継続的に実施する点が特徴です。

検査項目や実施頻度は対象となる業務によって異なります。適切に実施するために事前に確認しておきましょう。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

3. 健康診断の検査項目

カルテを書く医師

雇入れ時健康診断や定期健康診断には、法律で定められた検査項目があります。この章では、雇入れ時や定期健康診断などの一般健康診断と特殊健康診断でおこなわれる検査項目を解説します。

3-1. 雇入れ時と定期健康診断の11の検査項目

雇入れ時健康診断および定期健康診断では、次の11項目の検査が義務付けられています。

①既往歴および業務歴の調査

②自覚症状および他覚症状の有無の検査

③身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査

④胸部エックス線検査

⑤血圧の測定

⑥貧血検査(血色素量・赤血球数)

⑦肝機能検査(AST、ALT、γ-GTP)

⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)

⑨血糖検査

⑩尿検査(尿中の糖および蛋白)

⑪心電図検査

これらの11項目は、雇入れ時と定期ともに共通です。ただし、定期健康診断では、従業員が40歳未満(35歳を除く)かつ、医師が必要でないと認めたときに次の4つの項目を省略できます。

▼定期健康診断で40歳未満の従業員が省略可能な項目

  1. 血液検査(貧血・肝機能・血中脂質)
  2. 血糖検査
  3. 心電図検査
  4. 胸部エックス線検査

このうち、胸部エックス線検査は従業員が20歳、25歳、30歳および35歳といった節目年齢の時や、一定の業務従事者は省略できないため注意しましょう。

3-2. 特殊健康診断の検査項目

特殊健康診断の具体的な検査内容は、取り扱う有害物質や作業内容によって異なります。そのため、事業者は該当する労働安全衛生法の条文を確認し、対象となる業務に応じた健康診断を適切に実施しましょう。次に記載するのは、主な検査項目です。参考にご覧ください。

  • 業務歴およびばく露歴の調査
  • 自覚症状および他覚症状の有無の検査
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 肝機能検査などの生化学検査
  • 胸部エックス線検査
  • 肺機能検査
  • 神経学的検査

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

4. 健康診断の対象者

チェック項目にチェックする医師

健康診断を正しく実施するには、対象者の範囲を正しく理解しなくてはなりません。この章では、健康診断の受診義務がある対象者について詳しく解説します。なお、一般健康診断と特殊健康診断では対象者が異なるため、ここでは一般健康診断の対象者に絞って解説します。

4-1. 正社員は全員が対象

一般健康診断の対象者は、常時使用する労働者です。常時使用する労働者とは次のとおりです。

①期間の定めのない労働者、または1年以上の雇用見込みのある労働者(もしくは、1年以上雇用された実績のある労働者)

②週所定労働時間が通常労働者の4分の3以上の労働者

正社員の場合は、この2つの条件を自動的に満たし、対象になることがほとんどです。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

4-2. アルバイト・パートは労働時間で判断

契約社員やパートタイム労働者は、次の2つの条件の両方に当てはまる人が健康診断の対象です。

①1年以上の雇用見込みのある労働者、または1年以上雇用された実績のある労働者

②週所定労働時間が通常労働者の4分の3以上の労働者

ただし、通達によると週所定労働時間がおおよそ2分の1以上であれば、健康診断を受診させることが望ましいとされています。

法律では、対象外となってしまう契約社員・パートタイム労働者も、通達および安全配慮義務を考慮すると、雇用形態に関わらず労働者全員に健康診断を受診させることが望ましいといえます。

なお、役員には労働安全衛生法上、健康診断の受診は義務付けられていません。ただし、一般健康診断の受診義務の対象者かどうかは、実態として「労働者」に該当するかで判断されます。そのため、工場長や支店長など、ほかの従業員と同様に働き、労働者性が強い役員は健康診断の対象となりますので、対象者に該当するか事前の確認が必要です。

4-3. 派遣社員や出向社員はどこで受ける?

派遣社員や出向社員は一般的な正社員と同様に健康診断の対象者です。ただし、雇用形態によって健康診断を受診させる会社が変わります。

出向社員は、在籍出向の場合、出向元と出向先の双方と雇用関係があるため、一律にどちらが実施するとは決まっていません。実務上は、実際に労務管理をおこなっている出向先が健康診断を実施する場合が多いです。ただし、最終的には出向契約の内容に基づいて決定されるため、契約内容を確認しましょう。

また、転籍の場合は出向元との雇用関係が終了し、転籍先が新たな雇用主となるため、健康診断の実施義務は転籍先にあります。

このように、雇用形態ごとに健康診断の実施主体が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

4-4. 従業員の家族は対象者ではない

従業員の家族に関しては、健康診断を実施する義務はありません。労働安全衛生法で実施が義務付けられているのは、従業員に対してのみです。従業員の家族を対象に含めるかどうかは、会社側で自由に決められます。会社によっては福利厚生の一環として、従業員の家族に対しても事業主負担で健康診断を実施している会社もあります。

5. どこまで会社負担?健康診断の費用

はてな

会社には従業員に健康診断を受診させる義務があります。そのため多くの場合、健康診断の費用は会社負担です。

しかし、「どこまで会社が負担するのか」「再検査やオプション検査の費用も対象になるのか」など、費用負担の範囲について疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。この章では、健康診断の費用負担について解説します。

5-1. 法定項目の健診費用は全額会社負担

厚生労働省の見解や過去の通達で、健康診断にかかる費用は原則として会社が全額負担するものとされています。事業者に実施義務がある以上、その費用を労働者に負担させることは適当ではないからです。

なお、健康診断は保険適用外なので、自由診療扱いとなります。そのため、費用は医療機関によって異なりますが、1人当たり10,000円〜15,000円あたりが相場です。健康診断の費用は従業員数が多いほど、金額もかなりの額となります。事前に見積もりを取って、総額でいくらかかるのか検査内容と合わせて把握しましょう。

参考:健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?|厚生労働省

5-2. オプション項目や人間ドックの費用負担は?

健康診断の費用は原則として会社負担ですが、オプション項目や法定項目を超える人間ドックの費用は会社が負担する必要はありません。ただし、企業によっては福利厚生の一環として費用の一部または全額を補助するケースもあります。

このような制度は従業員の健康維持や労働生産性の向上につながるので福利厚生として導入を検討するのもいいでしょう。なお、健康保険組合の場合は独自の福利厚生を設けていることも多く、協会けんぽでも人間ドック健診の補助を開始しています。

参考:新しい健診のお知らせ|協会けんぽ

5-3. 福利厚生費として処理する方法

健康診断の費用は、福利厚生費として経費処理することが可能です。ただし、経費として処理するには、次の判断ポイントを確認しましょう。

  • 全従業員が健康診断を受診できる制度になっている
  • 費用が会社により負担されていること
  • 健康診断の費用が常識的な金額の範囲に留まり、健康管理の目的で実施されている

これらの点を踏まえ、従業員の個人的な利益と認められる場合には、福利厚生費ではなく給与課税の対象となる可能性があります。そのため、福利厚生費として処理するためには、会社が指定する医療機関での受診を原則とするのが望ましいでしょう。例外的に他の医療機関で受診する場合は、検査項目などを事前承認のうえ領収書等の提出により実費精算とする運用が適切です。

5-4. 会社が負担しないと法律違反?

会社が法定の健康診断を実施しないことは労働安全衛生法違反ですが、費用負担については、法律に「会社が必ず負担しなければならない」と定めた条文があるわけではありません。

しかし、法定の健康診断は会社に実施義務があるので、厚生労働省は「費用も当然事業者が負担すべきもの」としています。そのため、健康診断の費用は会社負担が望ましいでしょう。なお、従業員が健康診断の費用を立て替え、領収書の提出をもって会社が費用を支払う対応も可能です。ただし、この場合は事前にどこの医院で受診するのか、法定の検査項目を満たしているかなどを事前に確認しておくのが望ましいでしょう。

参考:健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?|厚生労働省

6. 健康診断の実施手順6ステップ

黒背景でチェック項目にチェックする

健康診断を実施する際に会社側でやるべきことは、次のとおりです。

①医療機関を選定する

②健康診断の日程や場所を従業員に通知する

③健康診断の実施

④健康診断結果を従業員に通知する

⑤健康診断個人票を作成して5年間保存する

⑥定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出する

この章では、段階を踏んで解説していきます。健康診断を適切に実施できるよう、会社は何をすべきなのかをしっかり理解しておきましょう。

6-1. 医療機関を選定する

会社として健康診断を実施すると決まったら、まず医療機関を選定します。

選定する医療機関は、法定項目をすべて実施できることが必須です。胸部エックス線検査や血液検査など、法令で定められた検査項目が網羅されているか確認しましょう。

受診可能な人数や予約方法も確認すべき項目といえます。従業員数が多い会社では、一度に対応できる人数やスケジュールを柔軟に調整できるかを調べておくことが重要です。

6-2. 健康診断の日程や場所を従業員に通知する

従業員が確実に健康診断を受診できるように、幅を持たせた日程や場所を設定しましょう。従業員の自宅場所や、それぞれの就業時間を考慮した設定が重要です。医療機関の選定後は、健康診断の日程と場所を従業員に通知します。

通知する際は、確実に従業員にメッセージを届けることが大切です。メールや掲示板、社内イントラネットなど、さまざまな手段を活用しましょう。繁忙期などで従業員が多忙な場合は、リマインダーの送付も効果的です。1週間前や前日に再度通知することで、受診忘れを防げます。

健康診断は法的義務であり、未受診者が出ると会社側に責任が生じるため、確実に受診させるシステム作りが大切です。

6-3. 健康診断の実施

定期健康診断は、原則として就業時間内の受診が望ましいとされています。そのため、会社は就業時間内に受診できるように業務調整をおこないましょう。

また、やむを得ず就業時間外に受診させる場合には、労働時間としての取扱いや手当の支給などの適切な対応が求められます。

6-4. 健康診断結果を従業員に通知する

健康診断終了後はすみやかに結果を従業員へ通知しなければなりません。個別封書や専用システムで結果を渡す方法が一般的です。

有所見者(異常所見があった者)には、保健指導や医師の意見聴取などの措置が求められます。産業医や専門医と連携しながら、適切な対応策を講じましょう。

6-5. 健康診断個人票を作成して5年間保存する

会社が従業員の健康診断を実施したあとは、結果をもとに「健康診断個人票」を作成して5年間保存する義務があります。

有害物質を扱う業務など特定の条件下で実施される特殊健康診断の場合は、内容によって保存期間が異なるので、保存期間を確認しましょう。適切な期間保存しないと罰則として50万円以下の罰金が科される可能性があります。

健康診断個人票は、産業医や医療機関が健康診断結果に異常があった従業員に適切な対処を実施する際に重要なデータです。情報の漏洩に注意しながら、適切に保存してください。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

6-6. 定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出する

「定期健康診断結果報告書」の提出義務は、労働安全衛生規則第52条に定められています。常時50人以上の従業員を雇用する事業者は、報告書を作成して所轄労働基準監督署に提出しなければなりません。

第五十二条 常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、健康診断を行ったときは、遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、次に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

引用:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索

提出方法は、次の2つがあります。

  1. 電子申請システム(e-Gov)を利用したオンライン提出
  2. 労働基準監督署への直接持参または郵送

原則、電子での報告が義務付けられていますが、電子での報告が困難な場合には、当分の間、書面による報告もできます。なお、報告書の提出期限は、「遅滞なく」とされていますが、一般的には健康診断終了後1ヵ月以内が目安です。記入ミスや漏れがあると手続きが滞る可能性もあるので、慎重に確認してから提出しましょう。

7. 健康診断後に従業員に対して会社がやるべきこと

注意

会社の義務は健康診断を受診させるだけではありません。この章では従業員が健康診断を受診した後の会社の対応を解説します。

7-1. 従業員に結果を通知する

健康診断を実施した後、会社はその結果を従業員本人に通知しなければなりません。健康診断の結果は、個人の健康管理に重要な情報なので確実に従業員本人に通知しましょう。

なお、再検査や精密検査が必要とされた場合には、医療機関の受診を勧めるなどの対応も求められます。

7-2. 医師の意見聴取と就業上の措置の検討

従業員の健康診断の結果が所見ありだった場合、会社は医師の意見を聴く必要があります。これは「医師の意見聴取」とよばれ、労働安全衛生法に定められている会社の義務です。この「医師の意見聴取」により、必要に応じて就業場所の変更、作業内容の見直し、労働時間の短縮などの就業上の措置を検討します。

ここで意見を求める「医師」は、会社に産業医がいる場合は原則会社の産業医です。一方、産業医がいない場合は、最寄りの産業保健総合支援センターを活用しましょう。無料で医師の意見聴取をしてもらえます。

参考:産業保健総合支援センター(さんぽセンター)|厚生労働省

7-3. 二次健診の受診勧奨と保健指導

健康診断の結果、再検査や精密検査が必要とされた従業員に対しては、会社が二次健診の受診を促すことが重要です。早期に医療機関を受診することで、病気の早期発見や重症化の防止につながります。

また、生活習慣の改善が必要とされる場合には、産業医などによる保健指導をおこなうことも有効です。会社は従業員が適切に受診できるよう働きかけ、健康の保持増進につなげていきましょう。

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一般的に会社側は「健康診断は実施しなければならないもの」という意識を持っています。しかし、その後の対応まできちんとできている会社は少ないです。

例えば、健診結果を提出させるのみで、所見有の従業員に対して何か措置を講じるまでには至っていないことがほとんどです。

従業員に健康診断を受診させるのはそれなりの管理コストがかかりますが、長期的には労働生産性の向上にもつながります。また、健康経営優良法人の取得を目指すのもおすすめです。従業員の健康管理が必須の要件になっているので、取得を目指す過程で自然と従業員の健康管理ができます。

解説:社会保険労務士

8. 健康診断を実施する際の注意点

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健康診断は従業員個人に深く関わる事柄であることから、注意しなくてはならない点があります。この章では、個人情報の管理や、例外的に健康診断を受診しなくてもいいパターンなど会社側が知っておかなければいけない健康診断に関する注意点を解説します。

8-1. 健康診断結果の第三者提供には本人の同意が必要

個人情報保護法により、会社が従業員の健康診断の結果を第三者に提供する際は、本人の同意を得ることが必要と定められています。個人情報の不適切な利用や漏洩を防ぎ、労働者のプライバシーを保護する必要があるためです。

同意取得の方法は、健康診断時の案内や掲示などによる黙示的なものでも問題ありません。ただ、誤解やトラブルを防ぐためにも、書面などでできる限り明確に意思確認するよう心がけましょう。

参考:雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項|厚生労働省

8-2. 健康診断を受診しない従業員に対策を講じる

健康診断を受診していない従業員がいる場合は、放置せず対処しなければなりません。労働安全衛生法では、事業者に対して従業員に健康診断を受けさせる義務が課されているためです。従業員が健康診断を受診していない状況を放置すると、最大50万円以下の罰金を科される可能性があります。

健康診断を受診しない従業員がいる場合は、ヒアリングして理由を聞き出し、適切な対策を講じましょう。健康診断が法的義務であることや、定期的に健康状態を確認する重要性を説明して、理解を求めることが大切です。

従業員の中には、「会社に健康診断の結果を見られたくない」と考えている人もいるかもしれません。そういった場合は、会社側の義務や、会社が健康診断の結果をどう利用するのかを事前に明確にしておくことも必要です。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

8-3. 従業員が指定する医療機関での健康診断も可能

会社が指定した医療機関で健康診断を受診するのが一般的ですが、従業員がかかりつけの医院などで健康診断の受診を希望する場合もあります。その場合は、従業員自身が医療機関を選んで受診することも可能です。

ただし、従業員が受診する前に、健康診断の項目が法定項目を満たしているか確認しましょう。なお、受診後は健康診断結果を提出するように促すことが重要です。

8-4. 健康診断中の給与の支払い義務はないが払うことが望ましい

労働には「ノーワークノーペイ」という原則が存在します。これは働いていない時間には給与は発生しないという労働における大原則です。この原則にあてはめると、健康診断を受診している間は、労働していないので給与は発生しないと考えるのが自然なように思えます。

しかし、健康診断は会社側には実施する義務、従業員側には受診する義務があります。よって健康診断の受診をスムーズに促すためにも、健康診断を受診している時間にも給与を支給することが望ましいでしょう。

参考:健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?|厚生労働省

8-5. 産休・育休中の従業員は健康診断の対象外

定期健康診断は、通常業務に従事している労働者の健康状態を把握するために実施されるものです。よって、産休・育休などで長期間業務に従事していない従業員は、休業期間中は健康診断の対象としないのが一般的です。

ただし、職場復帰の際には、しっかりと健康状態を確認することが望ましいでしょう。会社は休業中と復職時の状況を踏まえ、適切に対応することが重要です。

9. 健康診断を実施して従業員の健康を守ろう

手を挙げて重ね合わせる

従業員に対して、会社が健康診断を受診させるのは、労働安全衛生法に定められた義務です。ただ、会社が従業員に健康診断を受診させる意味は、法的義務を果たすというものだけではありません。従業員の健康を守るうえで欠かせない取り組みです。

未実施や受診率の低下は、法的リスクや従業員の健康被害につながる可能性があります。会社は医療機関の選定や受診環境の整備、結果通知の徹底などを通じて確実な対応をおこないましょう。

正社員や一定条件を満たす契約社員・パートタイム労働者はもちろんのこと、会社で働く従業員の健康を守るために適切に実施しましょう。

深夜残業をしたら健康診断は必要?

深夜労働では健康診断が必要と知っていても、「どれくらいで必要になるの?」「深夜労働がメインではなく、残業が深夜帯に及んでしまった場合も必要?」など、具体的な基準を把握できていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向け、当サイトでは深夜労働・深夜残業で健康診断が必要になる基準や、受けさせるべき健康診断の項目について、本記事の内容をまとめた資料を無料で配布しております。

また月80時間を超える時間外・休日労働を行い、さらに疲労の強い従業員から申し出があった場合も、過重労働者として医師による面接指導も必要も必要になります。

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